ありふれた転生者は後ろにいる   作:新くさや

8 / 34
ようやく物語が始まる予感がした初投稿です


第08話

 

「グルァァァァァアアアアア!!」

 

 やばい。

 何がやばいって、とりあえず語彙が消滅するくらいには状況がやばい。

 

「アラン! 生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ! カイル、イヴァン、ベイル! 全力で障壁を張れ! ヤツを食い止めるぞ! 光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」

 

 メルド団長に指示された撤退先の階段前を塞ぐように沸き(ポップし)続ける髑髏兵は見るからにやばいし、私達を挟むように橋の反対側に沸いた(ポップした)ベヒモスとやらは一体だけなのに勝てるかどうか考える事を放棄しそうなくらいにはやばい。

 恵里と鈴は? ……いつの間にか私にしがみついてる。鈴は……ああ、いた。へたりこんでるな。

 撤退の指示はされた。しかしそれはあの化け物に背を向けるという事でもある――怖い

 

「恵里、行けるか? 鈴も、しゃっきりしい!」

 

 だが、どうすればいい? 増え続ける髑髏兵は未だその勢いを減じていない。三人でがむしゃらに突破を図った所で、すり潰されるのがオチだ。他の奴らが戦っている所を見るに、倒せないわけではない事だけは幸いか。

 

「……うん。でも、御麗」「レ、レイレイ、鈴どうすればいいの!?」

 

 メルド団長達がアレの足止めをしている間に活路を開かなければいけない、それは分かってる。ならどうするか。

 

「二人とも、まずは突っ込んでった奴ら援護しよ。今脱落者が出るのはあかん。あんなんまとまらな絶対突破しきれん」

 

 騎士達が身を挺してフォローしているが、あわやという場面が何度もあった。三人だけでも脱出出来るのならば私はそれでも構わなかったが、戦力が減れば減るだけ全滅は必至。ここは協力し合わなければならないだろう。

 とはいえ統率を執る者がいない。私が声を張り上げた所で"この人に従っていけばなんとかなる"と思わせるような力も無ければ信頼も無いのだ、聞く者がいるとは思えない。騎士達も必死に纏めようとしているが、クラスメイト達は眼前の恐怖に襲われるがままに撃退している。

 この状況ではメルド団長くらいしか……いやまて、天之河はどこにいる? こういう時こそ、勇者(あれ)のバ火力と人望が力を発揮する時だと言うのに。

 

 ――いた! なんでかベヒモスの前にいて南雲に胸倉掴まれてるけど! 仲間割れ!?

 

「あれが見えないの!? みんなパニックになってる! リーダーがいないからだ!」

 

 む? こっちの方指差してる。もしかして天之河、アレ倒そうと向こうに残ってて、南雲に怒られてるのか。南雲ぐっじょぶ。はよこっちに送ってくれ。

 

「下がれぇーー!」

 

「ぬわっ!」

 

 やばいなんかすごい衝撃来たと思ったら障壁割れてる。

 

 

 

「――この一撃を以て全ての罪科を許したまえ!――〝神威〟!」

 

 うっそだろ、倒せたならそれはそれで良かったのに、あれでも無傷ならもう撤退以外の選択肢は無くなる。ってメルド団長こっち来てるけど足止めは!? ……南雲? あれは、そうか! ……こっちの火力が下がるのは厳しいが、一秒でも長く足止め出来るなら!

 

「――〝分霊錬生〟……行け!

 

 次いで憑依! これで分霊分ステータスが上乗せされるはず。頼むぞ、南雲。

 

「――〝天翔閃〟! ――皆! 諦めるな! 道は俺が切り開く!」

 

「お前達! 今まで何をやってきた! 訓練を思い出せ! さっさと連携をとらんか! 馬鹿者共が!」

 

 メイン火力来た! これで勝つる! 天之河に頼らなければいけないというのは業腹だが、つべこべ言っている場合でもない。指示通り体制を整えた後、波状攻撃を仕掛ける。

 

「――〝螺炎〟!」「――〝飛翔閃〟!」「――〝断風〟!」「――〝破砕衝〟!」「――〝烈水〟!」

 

 道が……開けた! こじ開けろ!

 

「皆! 続け! 階段前を確保するぞ!」

 

 よっし橋頭堡確保ォ! 恵里も鈴もはぐれてへん! 後は南雲の退路の保持!

 私とて撤退の功労者である南雲を置いていくほど鬼ではないのだ。

 

「――〝光爆〟!」「――〝薙風〟! 恵里、鈴も手伝(てつど)うて!」

 

「え? う、うん!」

 

「なんか分かんないけど分かったよレイレイ!」

 

 前だけ見てて南雲に気付いてなかったらしい二人だけど、すぐ手伝ってくれて助かる。正直分霊の錬生分ステータス下がったのもあってそろそろ魔力が厳しいのだ。回復薬も使い果たしている。

 他の奴らの手も借りたいが、ひとまずは八重樫ちゃんと坂上が食い止めてる。その間にメルド団長辺りが指示するはずだ。

 

 

 

「――今だ! 撃て!!」

 

 来た! ――〝風撃〟――〝風撃〟……全然効いてる気はしないけど、足止めと目くらましにはなってるはず……! もいっちょ〝風撃〟あーやばいきつい。

 

 ――っなに!? まずい、直撃したぞ……! 誰が……誰が? まさか。クソッ、状況に気を取られ過ぎていた……! てめぇその表情、隠しきれてへんぞ檜山ァ……!

 

「グウァアアアァァァァァ――――!?」

 

 っく、それよりも南雲は!? ああ……あれは、もう。

 

「南雲ッ……!」

 

 

 

 崩落していく石橋、ベヒモスの断末魔が奈落に木霊する中。

 しがみついていた石畳が崩れ落ちた瞬間。手を伸ばす南雲と眼が合った気がした。

 

 




NGシーン

「――〝螺炎〟!」「――〝飛翔閃〟!」「――〝断風〟!」「――〝ちくわ大明神〟!」「――〝烈水〟!」「――誰だ今の!?」

こう、シリアス書いてるとたまにふざけたくなるよね。技名は適当です
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。