〜serial killer 氷結の殺人鬼〜   作:Mr.マスタード

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「まってくれ...金なら、金ならいくらでもやるから!だから命だけは助けてくれぇ!」

 

深夜。人通りも少なく街灯の灯りだけが夜闇を照らす唯一の光源。冷たい風が吹き、路面や壁面は一部凍結している。雪の降る地域故に歩く度に雪を踏む音が聞こえる。偶に聞こえる屋根から雪の落ちる音だけが深夜の静寂を破る唯一の音のはずだった。

 

しかし今夜は違う。街灯に照らされた表通りから外れた暗がりの路地裏に、寒さか或いは恐怖から震える男が一人尻もちを着きながら喚いている。その男を追い詰めるかのようにゆっくりと雪を踏み鳴らし、ザクザクと怯える男に近づく人物がいた。

 

路地裏には怯える男と追い詰める人物の二人しかいない。ヴィランのよく出るこの地域には厄介事に巻き込まれない対策からか全ての家屋に厳重なシャッターが備え付けられており、外で誰かが騒ごうが音が聞こえることは無い。

 

「金などいらないさ...そんなものは勝手にこちらで奪うだけだからね。僕が求めているものはただ一つだ。ヤツの居場所を教えてくれ。ただ...それだけだ」

 

そう言いながら怯える男の前に立つ人物は手に握られた銃をゆっくりと持ち上げ照準を合わせる。

 

「君が言わないのなら、その次がある。この引鉄は血の抜かれた人のように軽い。知っていたかい?成人男性の体重の60%は水分らしいよ...言っておくが、僕は我慢強くなくてね。直さなければならない短所だと言うことは理解しているんだけどどうしてもね...まあ、そういうことだから早めに吐くことをオススメするよ」

 

ダンっと大きな音がなり、怯える男のすぐ横の雪が跳ねる。白い雪が飛び跳ねる景色が次の瞬間には自分の血なのではないかと思えるほどに、鮮明に死を予感させる。

 

「な、なんであの男の所在を知りたいんだ!お、お前はサツじゃないんだろ!?何が狙いなんだ!俺が居場所を漏らしたとバレたら殺されっ....!!」

 

ひんやりとしたものが男の額に当てられているのがわかり、思わず息を飲む。銃口だ。引き金を引けば脳漿が飛び散り、為す術もなく死ぬだろう。

 

「君の質問に答える気は無いし、君の今後にも興味はない。今を選択しろ。それが君にできる唯一の仕事だ」

 

次はないと銃口を突き付ける怪物は告げる。感情のない機械のようにドライに...。

 

「に、日本だ。今は日本に身を潜め傷を癒していると聞いている...そ、それ以上は本当に知らない!」

 

「日本...そうか、日本か。なるほど、おおよそオールマイトへの復讐が目的といったところかな」

 

一人納得した目の前の人物は銃口を下げる。今がチャンスだ!今ここでこいつを殺せば情報を漏らしたことを誰にも知られることは無い!今殺すここで殺す!

 

個性を解放して一瞬で...?

 

「そんなにオールフォーワンが怖いか。そんなに怖いなら死ぬといい。死ねば恐怖もなくなるだろう?」

 

眉間と心臓を的確に撃ち抜かれている。どう足掻いても生きられない。

 

「ごぽっぉ」

 

雪に赤い染みが広がっていくと同時に鉄臭い匂いが広がる。銃声が鳴ったというのに騒ぎひとつ起こらない。もう慣れてしまったのだろうか。

 

「少しここに滞在しすぎたか」

 

 

 

 

 

 

 

 

黒いコートに黒いハット。顔はメタリックな骸骨の顔。全世界で指名手配中の国際指名手配されているシリアルキラー【ドライ6】。ひとつの国に滞在し過ぎると各国からエリートの国際刑事が集結するほどの有名人である。

 

始まりは、地方で開かれた祭りでの出来事だった。その地方では村の中から最も美しい女性を決める祭事があり、毎年自分が選ばれんと村の女達は美を追求し続けた。その結果その地方の女達はどの娘も美しいと評判だった。

 

そんな噂を聞きつけた男が祭りに忍び込む。今年の最も美しい女性が選ばれ、表彰されている時にそれは起こった。

 

まずは足。最終審査に残っていた優勝者を含めた6人の美女の両足が撃ち抜かれた。当然騒ぎになる。銃を握る男の姿は異様だった。黒コートに黒いハット。メタリックな骸骨の顔に両手に拳銃を持っていた。人々は我先にと逃げ出す。男は逃げる人達に興味はないとばかりに無視して女達へと近付く。

 

女達も何とか逃げようとするが、両足を撃ち抜かれているため逃げられない。彼女達の恋人や家族がなんとか連れて逃げようとするが即座に頭を撃ち抜かれて死んでいく。

 

銃声がなる度に女達の絶望の叫びが会場中に響き渡る。気付けば女達を助ける人達は全員死んでしまっていた。

 

「やだ...死にたくない、お願い助けてっ...!」

 

男はゆっくりとゆっくりと銃口を上げていき、女の太ももを撃ち抜く。

 

「あぁああああああああぁああああああ!!!!!!」

 

痛みから女は悲痛な叫び声をあげる。痛みで気絶する度に叩き起され、何度も執拗に四肢を撃ち抜き痛みを与える。

 

悲鳴で喉が枯れるほど叫び、生きる気力がなくなり感情が希薄になってきたところでようやく頭を撃ち抜く。

 

そうして次の女、次の女へと銃弾を込めながら歩いていく。女達の悲鳴を聞く度に男の体は震える。甘美、歓喜。歪んだ性癖が満たされていくのを感じる。女の家族達がどれだけ喚こうが邪魔しようが顔色ひとつ変えずに邪魔となれば撃ち殺す。女の悲鳴が聞こえにくくなるほどうるさい者もまた同様に。

 

会場に響く女の悲鳴が男を歓喜に満たしていくのを感じる。女が美しければ美しいほど、男は快楽を得る。今までは目に付いた人を殺すだけであまり充足感が得られなかった男が、今はあまりの歓喜に震えている。

 

「これが、こんなのが殺しなら僕は今まで何をやっていたんだ」

 

今までの自分は全く無意味なことをしていたことに気づいた男はこれ以降美女達を痛めつけ殺す事に執着する事になる。

 

個人情報が全く持って不明なため、最初の事件で6人の美女を殺したこと、彼女達を庇うものをなんでもないかのようにハエでも払うように殺したことからドライ6と呼ばれるようになったのだ。

 

現在では、累計殺害数は1000人以上の特級犯罪者として国際指名手配されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、日本に行くかな」

 

今、日本に大量殺人鬼が行こうとしていた。

 

 

 

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