【完結】男性向け同人エロゲの女主人公だけは勘弁してください! 何でもしますから!!   作:どうだか

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第八話 おじいちゃんが強キャラなのは常識

 住宅街を抜けると河川敷に出る。ここから少し先の橋まで行って、Uターンしてくるのが、私のランニングコースだ。

 

 早朝の河川敷には、ぽつぽつと人がいる。毎朝同じ時間にランニングをしているので、だいたい同じ顔触れになる。

 

 犬の散歩をしているお姉さん。ガチ装備でランニングしているお兄さん。のんびりと歩いているおばさん。そして、ゆったりとした動きで体操をしているおじいちゃん。

 

 おじいちゃんの体操は、たぶん何かの武術や武道の型だと思う。しかも、なんかこう、スゴい。ゆっくりとした手さばきや足さばきなのにキレがある。

 

 言葉では説明できないけど、あのおじいちゃんはゼッタイに強キャラ。間違いない。

 

 そう、今日の目的はランニングじゃない。このおじいちゃんに話しかけることだ。

 

 先日のおじさんの”訓練”を通して分かったことは、『エロゲみたいなことが起きる世界のヤバさ』だけじゃない。『教えてくれる相手がいると成長が早い』ということだ。

 

 あの”訓練”を経験して、たった数日。私は、多少の”刺激”に対して動じなくなっていた。タンスに小指をぶつけても、痛いとは思ったけど悲鳴をあげたりしなかった。どういう理屈かサッパリ分からないけど、”訓練”はたしかに効果があった。

 

 たった一年しかない。自分一人でどうにかするには明らかに時間が足りない。

 

 ならばこそ、技術で時間を補えるレベルの人に首を垂れて、教えを乞う。それしかない。

 

「お願いします……!」

 

「──ふむ」

 

 芳しくない反応に頭を上げる。おじいちゃんは、指でアゴ髭をしごきながら思案していた。全てを見通すような静かな目で見つめられ、なぜだか首筋がチリッと痺れた。

 

「あっ、あの、自分でも、都合がよすぎることを言ってるなと思います」

 

 やっぱり、おじいちゃんはこの近くで道場を開いている人だった。そんなおじいちゃんに私がお願いしたのは以下の二つ。

 

 ①逃げる・避ける方法を中心に護身術を学びたいこと。

 ②両親には内緒にしたいので、道場ではなく朝のこの時間に、この場所で学びたいこと。

 

 どう考えても、今日はじめて話す相手にお願いすることじゃない。特に②。図々しすぎる。

 

 でも、これは譲れない条件だ。お父さんとお母さんにバレたら、何かあったのかと心配され、いろいろとやりにくくなる。

 

 ぶっちゃけ、おじいちゃんには断られるだろうなぁと思って言っている。

 

 私の目的は、断られた後で「お知り合いに、この条件で引き受けてくれる人はいませんか?」と尋ねることだ。知り合いからの紹介なら断りにくい度が上がるだろうという、こすい作戦だった。

 

「──かわいそうに*1

 

「え?」

 

 風に紛れるように、おじいちゃんのつぶやきが聞こえた。いま「かわいそうに」って言った? 言ったよね??

 

 きょとんとしていると、おじいちゃんは取り繕うように首を振る。

 

「ああ、いや、何でもないんじゃよ。大変だったのう……」

 

 んんん? なにが??

 

 今までの話に、『かわいそう』とか『大変』とか言われる要素あった? …………あったわ。

 

 危機回避のために護身術を学びたい。両親には内緒にしたい。なんかめっちゃ必死で切羽詰まってる。羅列すると、何らかの犯罪被害者感がスゴい。特に、両親には内緒にしたいってところ。性犯罪っぽさがにじんでいる。

 

 なんか勘違いされてる気がするけど、訂正はしない。まあ、将来的にそういう目に遭うかもしれないから、あながち間違ってないし。

 

 おじいちゃんは相好を崩した。それまでの落ち着いた雰囲気はどこへやら。ウキウキした様子で呵々大笑する。

 

「いや~、こんな若い娘さんが武術に興味を持ってくれるなんて、うれしいのう! 儂、ばっちり教えちゃう」

 

 好々爺然とした様子に、ホッと肩の力を抜く。ていうか、え? あの条件で引き受けてもらえるの? マジで??

 

「ただし、儂の稽古は厳しいぞ~? あと一時間は早起きせんとな!」

 

「あ、ありがとうございます! がんばります!!」

 

 やった────っ!

*1
一人称『僕』おじさんに飲まされた血液が体内にあることを看破しており、良からぬものに目をつけられた娘さんだと思っている。向こう(おじさん)の出方が分からないので、毎朝稽古をつけて様子見することにした。なお、おじさんの本質はマジで良からぬものなので、おじいちゃんは間違ってない。

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