【完結】男性向け同人エロゲの女主人公だけは勘弁してください! 何でもしますから!!   作:どうだか

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第二十話 突撃! 隣の──

 鍋のフタにキッチンペーパーを挟んで、誰かがフタを開けたら分かるようにしておく。むやみやたらに調味料(?)を足すタイプのメシマズがいるらしいので、その対策だ。まさか、漫画で読んだ知識*1がメシマズ対策に応用できるとは思わなかった。

 

 鍋を冷蔵庫にしまったところで、お孫さん師範代がキッチンへ戻ってきた。洗い物と片付けは任せてほしいと言われたので、場所を入れ替わる。

 

 すれ違いざまに、師範代の胸が目に入る。見事な雄っぱいの巨乳だ。私は、男性の胸も揺れることを、師範代との稽古で知りました。

 

「……顔が赤いようだが、大丈夫か?」

 

「へ?」

 

 そう声をかけられお孫さん師範代の胸から顔を上げる。たしかに、なんか体がポカポカする、気がする。手のひらで自分の顔に触れる。ちょっと火照っているかもしれない。

 

「コンロの前にいたから、ですかねぇ」

 

「熱中症の初期症状ということもある。水分と塩分をしっかり摂っておくように」

 

「押忍じゃなくて、はい」

 

 冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出す。さっき入れたばかりなので、あんまり冷えていない。ゴクゴクと飲みながら、洗い物をするお孫さん師範代の後ろ姿をぼんやり眺める。

 

 早朝の稽古では正面から向かい合っていることが多い。なので、師範代の後ろ姿はなんだか新鮮だ。あと、とてもエッチな感じがする。特に、背中からお尻にかけての筋肉が素晴らしくセクシーだ*2

 

「……どうかしたのか?」

 

 お孫さん師範代は、振り返りもせずそう言った。不埒なことを考えていたので、思わずビクッとしてしまう。なんで見てることが分かったんです? 後ろに目でもついているんです??

 

「いや~、あはは~、何でもないデス~」

 

 愛想笑いを浮かべながら、そそくさとキッチンを後にする。

 

 自分の部屋に戻って荷解きしようっと。

 

 ちなみに、水分と塩分を摂っても、顔の赤みは引かなかった。海から戻ってきたみんなも心配してくれた*3けど、体はめっちゃ元気なんだよねぇ。むしろ調子が良いくらい。

 

 

 ◆

 

 

 合宿一日目の残りの予定は、おやつを食べて、勉強して、晩ご飯を食べる。

 

 すべて、予定通りにつつがなく進んだ。

 

 晩ご飯を先回りして作っていたことに対して、料理したがるタイプのメシマズ”ヒロイン”ちゃんたちが怒るかな~と思っていたけど、そんなこともなかった。三人とも、おいしそうにカレーを頬張っていた。眼鏡”主人公”くんが不思議そうにしているのが印象的だった。

 

 今から思い返せば、フラグだったんだと思う。

 

 夜半に寝苦しくて目が覚めた。冷房を入れても、パジャマを脱いでも、暑い。──熱い。体の奥がドロドロに溶けて、ぐつぐつ煮えているようだ。

 

「ぅっ……はぁ……」

 

 吐く息すら熱く感じる。内にこもる熱を解放したくて身をよじる。シーツが肌にすれる感覚すらもどかしい。パンツはもうぐじゅぐじゅだ。

 

 ここまで来るとさすがに分かった。

 

 ──はいはい、媚薬ね媚薬*4

 

 体は煮えたっているのに、頭はわりと冷静だ。たぶん”訓練”のおかげだろう。ありがとう、一人称『僕』おじさん。次に”訓練”がある時がコワいです。

 

 にしても、媚薬か~。エロゲにもけっこう出てくるけど、実際に摂取したのは初めてだなぁ。安全性とか、どうなってるんだろう。まあ、犯人と思われる三人がカレーをモリモリ食べていたので致死性は無いと信じたい。

 

 そう。どうやったのかは分からないけれど、”ヒロイン”ちゃんたちはカレーに媚薬を盛った。たぶん、カレールウに*5。午後から顔の赤みが引かなかったのもそれが原因だったんだと思う。

 

 全員が食べるカレーに媚薬を盛るだなんて……まったく……まったくもって──

 

 グッジョブ!!!!

 

 口元を緩ませながら、フラフラと立ち上がる。こんなチャンス、逃す手はない。向こうからキッカケを与えてくれるのならば、乗っかるしかあるまいて。

 

 今ごろ、眼鏡”主人公”くんたちは”お楽しみ”の真っ最中だろう。どさくさに紛れて混ぜてもらえれば! 私もセックスできるって寸法よ!! 発想が天才のそれ!!!!

 

 …………いや、でもなぁ。

 

 眼鏡”主人公”くんたちが関わっているヤバそうな事件(『学園の七不思議』)が頭をよぎる。もし、一夜限りの関係(サブイベント)ではなく、今後も付き合う関係(メインイベント)になったら……私も『研究所』とやらに行くことになるのでは??

 

 い、行きたくない。とても行きたくない。

 

 ──ふと、キッチンで見た後ろ姿が思い浮かんだ。

 

 そうだ、お孫さん師範代のところはどうだろう。

 

 師範代もカレーを食べていたので、媚薬を摂取しているはずだ。普段の師範代なら、私が迫っても良識ある大人の対応をする。確実にする。

 

 けれど、媚薬で性的興奮が高められている今なら?? いけるのでは??? 「からだが、あつくて……たすけてくださいっ」からの「薬で記憶がトンでいて何も覚えてないので無かったことに……」コンボが使えるのでは????

 

 いやいやいや、待て待て待て。

 

 たとえコンボがキマっても、気まずいことこのうえないが?? 今後も早朝の稽古で顔合わせるかもしれんのやで???

 

 しかも、お孫さん師範代は、眼鏡”主人公”くんたちの”サブキャラ”っぽいので、ヤバそうな事件に関わるヤバい人な可能性もある。いやまあ、ヤバい人には思えないけど。

 

 いや……しかし……でも……。頭の中でぐるぐると言葉が回る。けど……だって……。考えすぎて、なんだか目も回ってきている。あ~~~も~~~……なんかかんがえるのめんどくさくなってきた!! からだがあつい!!!

 

 もんだいはセックスしたいかしたくないかですよ!!!!

 

 セックスしたいです!!!!

 

 いえぇ~~~~い!!! いったれぇええ~~~~~~~っ!!!!

 

 えいやっとドアを引き開ける。目の前に筋肉の壁──もとい、お孫さん師範代が立っていた。右手にこぶしをつくっているので、ちょうどノックしようとしていたところだったらしい。

 

「…………中和剤*6だ。飲むように」

 

「アッ、ハイ」

 

 師範代は、栄養ドリンクサイズの瓶を渡すと、ドアを閉めた。歩き去る足音がドア越しに聞こえる。

 

「…………」

 

 私は、中和剤を一息にあおると、布団にくるまって寝た。

 

 べつに拗ねてない。

 

 ここに来たのはバイトをするためであって、”女主人公”対策をするためじゃないことを思い出しただけだ。

*1
自分が外出する際、ドアや引き出しに髪の毛を挟んでおいて、外出中に侵入者があったかどうか確認する方法。

*2
媚薬の効果が少し出ているのだが、普段から頭の中がわりとピンク色なので気がついていない。

*3
”ヒロイン”ちゃん三人が用意した媚薬入りカレールウのせいなのだが、メシマズなので料理を味見するという発想がなかった。普通に体調不良だと思って心配していた。

*4
七不思議について調べている途中で見つけた謎のレシピ。無口クール系”ヒロイン”ちゃんがそのレシピで作ったのが、カレーに使われた媚薬。部員たちは、『研究所』から持ち出されたレシピなのではと推測している。

*5
カレールウの箱を、開け口ではなく、横の接着面から開封して中身を取り出した。トレイの分かりにくいところに穴をあけ、ルウに媚薬を埋め込んだ。あとは、元に戻して箱を糊付けすれば、媚薬入りカレールウの完成!

*6
無口クール系”ヒロイン”ちゃんが媚薬を作った際、効能を中和する薬も作ったのだが、原料があまり確保できなかったため、中和剤は()()()()作れなかった。

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