【完結】男性向け同人エロゲの女主人公だけは勘弁してください! 何でもしますから!! 作:どうだか
男性向けエロゲみたいなことが起きる世界のファッションは、男女ともに体のラインが出ていることが多い。そして、レディースのだいたいの服に、乳袋がついている。
乳袋とは、おっぱいの円錐のカタチに生地が張りついているように見える洋服の描き方の通称だ。ブラジャーやコルセット、ビスチェに袖や襟がついて洋服になっていると想像すると分かりやすいかもしれない。
まあ、あんまり褒める意味で使うことはない。だいたいは、
ただ、リアリティのみを重視するとおっぱいとくびれの描写が両立できない……げふんげふん。
とにかく。
乳袋の表現は、好きな人もいれば嫌いな人もいる。そして、前世の感覚で言うと、乳袋は実現の難しい洋服ということだ。
コルセットやビスチェという前例があるので、できないわけじゃない。しかし、個人個人の体のラインに沿った縫製が必要になるので、オーダーメイドになるだろう。市販の既製品では難しい。
でも、この男性向けエロゲみたいなことが起きる世界の服には、市販の既製品にも乳袋がある。それはなぜか。私が考えるに理由は二つ。
一つは、基本的に女性の胸が大きく、またサイズがバラエティに富んでいるから。下はAカップから、上はZカップまであり、人数の分布は後半のカップ数に偏っている。女性の平均バストが大きいので、それを前提としたデザインになっているというわけだ。乳袋って、ようするにコルセットに近いから、安定感があるんだよね。
もう一つは、この世界の洋服のほとんどが、ものすごく伸縮性のある生地で出来ているから。この伸縮性のある生地、今世では綿や麻に並んで一般的なんだけど、前世では聞いたこともない素材なんだよね……なんなんだろう、これ……。
そんなわけで、男性向けエロゲみたいなことが起きる世界の服はシャツもセーターも、ぴっちりしてるのが当たり前。とくに、胸の部分の伸縮性がすごい。どんなサイズのおっぱいでも、ワイシャツのボタンがキレイにとまる。
なんてことをツラツラ考えながら、ショッピングを楽しむ。ここは駅ビルの中にあるレディースブランドオンリーのフロアだ。ナンパを気にせずお買い物ができる。
お、このスカートかわいい。
「これ、どうかな?」
ヒロインちゃんが指さすフリルシャツを手に取ってみる。
「うーん、冬物のセール品かぁ。値段は安いけど、色がなぁ。生地も厚手だし、これから着るのはちょっとって感じだね」
「難しいな……何がどう違うのか、僕には分からないよ……」
「トレンドとかが気にならないなら、いま買って来年の冬に着てもいいんじゃない? カタチはシンプルだし、たぶんいける」
ちなみに、最近のトレンドは乳袋のゆるめな服だ。オーバーサイズな感じで服を着ることで、こなれ感や細見えを演出する。前世の感覚で言うと乳袋と乳テント*1の間が近いかもしれない。
◆
そろそろ日も暮れるし、帰ろうかと話していたら、後ろからビックリしたような声が聞こえた。
「お兄ちゃ、じゃなくて、お姉ちゃん!」
TS”ヒロイン”ちゃんが振り返ったので、私もつられて振り返る。背の低い美少女がうれしそうに両手を振っている。年齢は私よりちょっと下かな。たぶん、TS”ヒロイン”ちゃんの妹ちゃんだろう。
TS”ヒロイン”ちゃんがキレイ系清楚美少女だとすると、妹ちゃんはカワイイ系小動物美少女だ。わしゃわしゃと頭を撫でて可愛がりたくなる感じ。
妹ちゃんの隣には、両腕に美少女をぶら下げた少年が立っていた。二人を振りほどこうとしつつ、気まずそうに辺りを伺っている。十中八九、親友”主人公”くんと、”ヒロイン”ちゃんたちだろう。
妹ちゃんに会釈をしながら、TS”ヒロイン”ちゃんに小声で話しかける。
「これって、ミサンガの効果ってこと?」
「……そうだとしたら、喜んでいいのやら、悲しんでいいのやら……」
まあ、親友”主人公”くん一人だけに遭遇するんじゃなくて、”ヒロイン”ちゃんたちも合わせて遭遇するということは──うん、TS”ヒロイン”ちゃん的にハーレムがありかどうかかもなぁ。
ちょうどいいので、ここで解散することになった。
TS”ヒロイン”ちゃんは、妹ちゃんたちといっしょに夕飯を食べて帰るらしい。ナンパまみれになっていたTS”ヒロイン”ちゃんを独りで帰して大丈夫かと心配していたので、これで一安心だ。
「いっしょにご飯食べませんか?」と妹ちゃんに誘われたけど、遠慮した。あの面子で何を話せと。やめなさい、TS”ヒロイン”ちゃん。そんな目で見られても行きません。帰るの遅くなるし。
そんなことを話しながら、エレベーターの到着を待つ。私は地下街を通って駅へ。みんなは、10階のレストランフロアへ行くそうだ。
ふと、TS”ヒロイン”ちゃんが「そうだ」と声を上げた。
「これ、僕の分ももらってよ」
しゅるりと自分の腕からミサンガをほどくと、私の手首に結わえる。
「僕には引き寄せ効果があっても意味ないって分かったし」
「ええっ?」
結び終わったときに、ちょうど上へ昇るエレベーターがやってきた。ミサンガを返す間もなく、TS”ヒロイン”ちゃんたちはエレベーターに乗り込む。TS”ヒロイン”ちゃんはバイバイと手を振りながら笑顔でこう言った。
「これで効果が二倍だね!」
そ、そんな単純計算でいいんだろうか……?
困惑した私の顔が、閉じていくエレベーターのドアに反射して映っていた。
3/23 18:00、疑似的に選択肢を選んでもらおうアンケートを〆切ました。
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『初めての出来事だ』
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