【完結】男性向け同人エロゲの女主人公だけは勘弁してください! 何でもしますから!! 作:どうだか
第一話 男性向け同人エロゲの女主人公とは
「……海外に出張?」
思わず箸が止まる。
「うん。今日、かなり上の人から直々に探りを入れられたし。順番的にも次はパパが海外の支社に行くんだろうな~って感じ。半年後くらいに内示が出るんじゃないかな?」
「ママの方もおんなじ。まさか、二人同時に海外出張が被るなんて」
家族三人水入らずの晩ご飯中に落とされた、特大の爆弾。お父さんもお母さんも、困った顔をしている。
「二年生の間は一人暮らしになっちゃうんだけど……大丈夫?」
大丈夫じゃない。ぜんっぜん大丈夫じゃない。でも、社会人経験者である私は、この海外出張が二人のキャリアにとってめちゃくちゃ重要であることが分かる。分かってしまう。
「うん、だいじょうぶ! 任せてよ!!」
ニッコリと笑って見せると、お父さんとお母さんはホッとした顔で微笑んだ。
◆
目を背けていた事実がある。
──前世の記憶があるとか、”主人公”か”ヒロイン”なんじゃね?
いやでも、前世の記憶があるだけだし。他に特殊なものないし。両親共働きの一般家庭で生まれ育った一般人だし。そう自分に言い聞かせて生きてきた。
でも、これはダメだ。
両親が海外出張で一人暮らしはダメだ! しかも二年生の時に!! おいしいポジションだよね二年生って!! 先輩も後輩もいるからね!! そういう問題じゃねぇんだよなぁ!!!
声にならない悲鳴をあげながら、勢いよくベッドに転がる。スプリングがギシッと音を立てた。両親の部屋は廊下を挟んで斜め向かいにあるので、ちょっと騒がしくしてもバレないだろう。
──二年生になったら何かあるんですね。分かります。
私は、”ヒロイン”ではない。モブ化現象を起こせない。突出した才能も権力も美貌も持っていない。”主人公”になりそうな男の幼馴染もいない。
で、『前世の記憶』『両親が海外出張で一人暮らし』『二年生』というワードから考えると、どう考えても”主人公”になるだろう。性別が女なので、”女主人公”、かぁ。
”女主人公”かぁ~~~~! ロクなことにならないの確定じゃないですか!! やだ──ー!!!!
◆
女主人公は、男性向け
もちろん、男性向け商業エロゲにも、女主人公のゲームがあると言えばある。女性同士の恋愛を描いた百合ゲーやごくごく一部のエロゲーに、女主人公が存在する。
ただまあ、本数が比べ物にならない。
ということは、私も男性向け同人エロゲの”女主人公”な展開にぶち当たる可能性がめちゃくちゃ高い。
んだけど。実は、女主人公の同人エロゲにそんな詳しくない。正確に言うと、ゲーム性のあるエロゲがあまりにも苦手&ヘタ。なので、ロールプレイングゲームやアクションゲームが多い女主人公のエロゲは敬遠してた。
幸いなことに、フォロワーさんが女主人公好きでSNSに情報が流れてきてたので、ちょっとだけ知っている。
基本的なゲーム内容は、女主人公がエッチな目に遭って快楽に堕ちていく姿を楽しむって感じらしい。選択肢や戦闘敗北などでエロスチルを見れるそうな。あと、エッチなパラメータがあったり、エッチなスキルがあったり、立ち絵の差分がたくさんあったりする。
ストーリーは、敵と戦ったり、お金に困ってたり、閉じ込められたり、巻き込まれたり。で、エッチなことばっかりしてると堕ちていく、と。
どうやって楽しむかは人それぞれなので割愛*1。
……正直、自分の身に何が起こるかは、想像がつきすぎて想像がつかない。変身ヒロインになるかもしれない。異能力に目覚めるかもしれない。異世界に召喚されて勇者になるかもしれない。学校や館に閉じ込められて化け物に追いかけまわされるかもしれない。
それに加えて、エロい目に遭う。
自分がプレイしてきたエロゲの記憶が恨めしい。最悪の展開が容易に想像できてしまう。
ぶっちゃけ、肉体を陵辱されるのはまだマシだ。相手が汚っさんでもモンスターでも、殺されないのであれば、たぶん耐えられる。犯されてるけど自分は人間のカタチを保ってるもん。
でも、極端な膨■やク■■■、ニ■■■▪▪■、眼■■、歯■■▪■、子■■、ダ■■、■*2。そういう肉体にくわえて尊厳を陵辱される展開はマジで勘弁してほしい!! むり!!!
いやね、まあ、プレイヤーとして、そういうハードでアブノーマルな陵辱も嗜んでましたけども!!! ゲームだからいいのであって、自分がされたいともしたいとも思わないんですよねぇ!!!
……はぁ、最悪の展開を想像しすぎて憂鬱になってきた。気分転換に、この一年で何をするのか、何ができるのか、もっと建設的なことを考えよう。