【完結】男性向け同人エロゲの女主人公だけは勘弁してください! 何でもしますから!!   作:どうだか

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その方がおさまりが良かったので、前話「無限ループからの脱出RTA」の最後(告白以降)に描写を足しました。
あと、本日は二話同時更新です。


エロゲの世界はヒロインに厳しい

 ――そして、また春がやってきた。

 

 両親はそれぞれ海外出張へ。私は一軒家で一人暮らし。慣れるまで、家事をこなすのは骨が折れそうだ……と、思っていたのだけども。ちらりと時計を見上げる。そろそろ時間だ。

 

 今回こそ、ちゃんと言おう。

 

 決意を胸に抱きつつソファから立ち上がると、ちょうどチャイムが鳴った。ドアを開いて客人を出迎える。いつも通り、私服姿のエイゴが立っていた。エイゴの姿を見るだけで、なんだか気持ちが明るくなって、笑顔になる。

 

「久しぶりだな」

 

「うん、一ヶ月ぶり!」

 

 軽く挨拶を交わした後、おそるおそる彼の背後を覗き込む。少し離れたところに、メイドさんがずらりと並んでいた。

 

 彼女たちは、私に向かって深々と頭を下げる。その一糸乱れぬ様子に、思わずビクッと体が跳ねた、何回見ても慣れない光景だ。

 

「奥様、本日もよろしくお願いいたします」

 

「あ、はい……よろしく……」

 

 すんでのところで、「お願いします」を飲み込む。敬語は無しでとお願いされてたんだった。

 

 彼女たちは、メイドだけどメイドじゃない。サークル活動としてメイドをしているメイドサークルの面々だ。上流階級しか通えない全寮制の学園で、メイドになりきることを生き甲斐にしているお嬢さまたちなんだって。そういう愉快な女の子、大好き。

 

 いろいろあって、エイゴはメイドサークルのご主人様役をやっているそうな。わーい、それなんてエロゲ。

 

 おそらく、メイドサークルの面々は”ヒロイン”で、私は恋のライバルとして立ちはだかるのだ! ――と、意気込んでいた。

 

 しかし、エイゴに恋人ができたと知ったメイドサークルの面々は「奥様! 奥様だわ!」と万歳三唱の大喜び。「ぜひ奥様にお目通りを!」と鼻息荒く盛り上がり、月に一回、メイドサークルの学外活動として我が家をお掃除しにきてくれる運びとなった。

 

 そんな申請、よく通ったなぁ*1

 

 ご近所さんには、月に一回ハウスキーパーを手配しているとごまかしている。みんな「やっぱり娘さんの一人暮らしは心配なのねぇ」と納得してくれるから助かる。両親の海外出張がこんなところで役に立つとは思わなかった。

 

 家を掃除してもらってる間、私とエイゴにできることはない……というか、何かすると怒られる。なので、この時間でデートをするのがお決まりになっていた。

 

「いってらっしゃいませ」

 

 お見送りのために整列するメイドさんたち。何回見ても迫力があってビビる。

 

「う、うん、いってきます」

 

「後は頼んだ」

 

 

 ◆

 

 

 デートから帰ってくるころにはすっかり掃除が済んでいる。ピカピカになった我が家に、メイド長さんだけが残って給仕をしてくれた。ソファでくつろぎながら、用意してくれたお茶とおやつに舌鼓を打つ。いつもながら、めちゃめちゃ美味しい。

 

「では、わたくしたちは”次の間”に控えておりますので、ご用の際は何なりとお申し付けくださいませ」

 

 ”次の間”とは、うちの近所にある一軒家だ。メイドサークルで使うためにサークル活動費で買ったらしい。まったくもって意味が分からないけど、そう言ってた。おかねもち、すごい。

 

 メイド長さんは後片付けを済ませると部屋を後にした。いま、この家にいるのは私とエイゴだけ。つまり、まあ、そういうこと。ちゃんとね、お膳立てをね、してくれるんですよ。メイドさんたち。

 

「――リンネ」

 

 エイゴの手のひらがゆっくりと太ももを這う。くすぐったいような気持ちいいような、ゾワゾワする感覚。

 

 だがしかし!

 

 今日はこのまま流されるわけにはいかないのである!!

 

 ガシッとエイゴの手を握って待ったをかける。エイゴはきょとんとしている。かわいいかよ。このまま流されてもいっかなぁと思う自分を叱りつけ、心を鬼にする。

 

「ちょっとお話があります」

 

「なんでしょう」

 

 ここで居住まいを正して話を聞いてくれるエイゴ、めちゃくちゃ好き。

 

「――エイゴさん、体がもたないので私以外にも彼女を増やしてください!」

 

「え、やだ」

 

「そこをなんとか……!」

 

 間髪入れず断るエイゴにすがりつく。

 

 初めての時は大丈夫だった。お互いに初体験だったし、それどころじゃなかったし。まあ気持ちよかったなぁで終わった。あのね、回を重ねるごとにね、えげつなくなってるんですよ。”訓練”を貫通させてイキ狂わされるんですよ。

 

 ――やっぱり、男性向けエロゲみたいなことが起きる世界の”人間”は、前世の”人間”とカテゴリーが根本的に違う気がする。

 

 前世において、エロゲのセックスはファンタジーだった。

 

 汁だくぶっかけも、時間を置かずに連続射精も、生理学的に難しい*2。でも、精液の量やセックスの回数は多い方がエッチでいいよね! と、前世の私はのんきに思っていた。

 

 ここは男性向けエロゲみたいなことが起きる世界。

 

 前世ではファンタジーだったエロゲのセックスが、今世では現実になっているのだ!! ファンタジーが現実になるなんて、異世界転生の醍醐味だよね! やったー!! やったーではないが??

 

 たぶん、出生率の低さをカバーするためにこういう進化を遂げてきたんだろうなってのは分かる。分かるんだけども。――体が!! もたない!!!!

 

「体がもたないのは分かった。でも、リンネ以外とセックスする気はない」

 

「うぐぐぐ……」

 

「でも、リンネに無理をさせるのは、俺もしたくない。だから……」

 

 ――いろいろと試してみようか。

 

 翌日ベッドから起き上がれないよりはマシだと思い、エイゴの提案に頷いた。以後、それはもう、()()()()()試すことになった。それはいい。

 

「でも! 後片付けは! 自分でするから!! 勘弁してください!!!!」

 

「ご主人様と奥様の身の回りのお世話は、メイドの仕事ですから♡」

 

「ちょっ、待っ」

 

 むなしい叫びがメイドさんたちにもみくちゃにされて消えていく。こんな風に、エイゴ(主人公)カノジョ(ヒロイン)としてドタバタな毎日を過ごすのだろう。

 

 

 ◆

 

 

 余談だけども、進学を機に同棲することになり、月に一回ではなく毎日セックスするようになったら体が慣れた。

 

 今世の私の体、しっかりこの世界(エロゲ)仕様だった。

*1
許可がもらえるまで粘っただけだと言っていたので、まあ、”時間をループさせる能力”を使ったんだろう。

*2
日本人男性が一度に射精する精液の量は平均で3.1ml――小さじの半分よりちょっと多いくらいの量では汁だくぶっかけにならない。体内で精子および精漿が作られ続けているとはいえ、インターバルなしでの連続射精も難しい。




リルナさまより、本作の主人公、『私』こと点瀬のイラストをいただきました!
どうだかの活動報告に飾りましたので、ぜひぜひ見てください!!
めちゃめちゃに可愛いので!!!!
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