厨二病だよ黒崎くん 作:きりたん
一護のやつが変わった。
私、朽木ルキアにとって黒崎一護はたまたま助けた人間でしかなかった。
だがその時に不甲斐なくも力をすべて奪われてしまい、死神としての活動ができなくなってしまった。
緊急の措置としてしばらくの間一護に死神の代行として活動してもらうことにしたのだが…
最初は見慣れない虚相手に戸惑っていた。
いきなり戦うことになった平和な国の若者が見知らぬ怪物相手にして怯まないはずがない。
当然の事だし、私の力が戻るまでの事だからと見守っていたのだ。
あれはいつだったか、死神代行として活動してしばらくした頃に一護から不思議な事を聞かれた。
「なぁルキア、あの世には幽霊がいっぱいいるんだろ?霊界探偵ってのがいるって聞いたんだが、そいつってどこ行ったら会えるんだ?」
「は?霊界探偵だと?私は今のところ聞いた事も会った事もないな。護廷の隊長たちなら何か知っているのかもしれんが、末端の私では聞いた事のない存在だ」
「そっか、霊丸ってやつを教えてもらいたかったんだが、自分でやってみるっきゃねーな」
何やら一護と同じく霊を見ることのできる知人から教えてもらったらしいが、霊界には事件を解決する探偵なんかもいるらしい。
まさか死神である私が現世の青年に教えてもらうとは!朽木ルキア一生の不覚!
私とて朽木家に属するまでは真央霊術院に通っていたというのに、まさかそんな存在がいたことすら気づかなかった。
いや、今まで聞いたことがなく現世だからこそ知ることができたと思えば、もしかしたら表の組織ではないのかもしれないな。
一護の様子を見るに、騙しているとかそんな雰囲気は感じられない。
ということは、その霊を見ることのできる知人が以前にその霊界探偵という者に助けられたのだろう。
私も会ってみたいが霊の事件が起きる時に現れるらしい。
虚なんかは現世滞在中の死神が解決するから、おそらく虚の関係しない事件の解決を担当しているのだろう。
そしてその日から一護の修行が変わった。
霊力を指先に集める練習をしていたり、斬魄刀ではなぜか抜刀術をよく練習していた。
目指すところは人間に9つある急所を同時に攻撃できるようになることらしい。
「九頭龍閃」という名前らしいんだが、それもその知人に教えてもらった技のようだ。
その知人は何者なのだろうか?
斬拳走鬼は知らないようだが、何か別の戦い方を知っているような感じがする。
現世の人間ならば剣術は知っていてもおかしくないが、霊力を操ったり集めたりなどは知らないものだ。
しかも遠い外国の秘境には
そして今のうちに霊力を扱った戦い方を学んでおかないとこれからの戦いを乗り越えることはできないと言われたそうだ。
確かに今の一護では弱い虚相手ならともかく、大虚なんて出てきてしまえば勝てないだろう。
一護の他に茶渡、井上、石田と共に戦う仲間が増えていき、お互いに切磋琢磨しながら腕を上げていった。
どうやら一護は知人から助言をもらっているようで、自分の中の魂に語りかけ打ち勝てと言われたのだと。
本当によく知っている。
自身の分身でもある斬魄刀に語りかけ屈服させることこそ死神の力を上げる方法だ。
それをわかっていて、具体的にではなく抽象的に語ることで考えることを促す。
これで一護がまた少し賢くなってくれれば知人の目的は達成されるのだろう。
どうやら一護たちの成長を見れるのはここまでのようだ。
尸魂界から迎えが来ることはわかっていたが、まさか兄様まで来るとは…
すまない一護、ここでお別れのようだ。
あのたわけものめ、何が「生きたいって言え!!」だ。
死神なんだからとっくに死んでおるわ。
というか一護よ。お前、月牙天衝という名前はどうした?
「月牙天衝…魔王半月剣!」って何が変わったのかよくわからんぞ。
え?出した衝撃が三日月から半月になれば力も強くなるのか?
でもそれだと満月になったら丸い衝撃波が飛んで行かないか?
本当は月の力を蓄える剣があるけど持ってないから再現したと?
この前まで使ってた抜刀術はどうしたのだ。
一護の考える事は私には難しすぎる。
共に戦う仲間たちですら理解できているのか怪しいものだ。
だがおかげで魂魄すらも消滅するという事態は逃れられたので良しとしよう。
藍染惣右介が黒幕だと判明し、虚圏に逃げられはしたが挽回のチャンスは残った。
一護たちは現世へと帰るらしいが、その前に戦っていた者たちは「あの剣術はなんだ?」と質問していた。
そして帰るまでの少しの時間で死神たちに「飛天御剣流」という剣術を説明して帰っていった。
待て一護よ!あとはルキアに教えてあるじゃないわ!この馬鹿者!
私は別に教えてもらっておらん!ええい、私は知らんのだ!
あれ卯ノ花隊長?いえ私は本当に何も知らないのです!
更木隊長がやられた技?飛び上がって打ち下ろして…
あぁ、それはおそらく龍翔閃からの龍槌閃でその後に龍巻閃、最後に龍巣閃ではないでしょうか?いえ、私は本当に使えないのです!
井上が拐われたと聞き虚圏に向かい、今は亡き海燕殿に扮した破面も倒すことができ、一護も現世へと向かった。
後は藍染を倒してくれるのを信じるだけだ。
しかし一護が知人から教えてもらったという「
私の袖白雪とも相性が良く、とても満足のゆく結果が出た。
問題は後述詠唱だけだ。なぜ後から「相手は死ぬ」って言わねばならんのだ?
どうやら一護は無事に藍染を倒し、封印することができたようだ。
そして一護たちもお咎めなしとなった。よかった。
一護はその力を全て使い果たし、もう死神として戦う事はできないという。
それでいい。現世で生きているのだからこれからは人間として暮らしてほしい。
だが最後に浦原に奇妙な事を言われた。
「朽木ルキアさん、あなた黒崎サンに何を教えていたんスか?」
「ん?なんのことだ?」
「黒崎サンが藍染惣右介に言ってたっすよ。これを見てください」
そこには一護と藍染の最後の戦いが映っていた。
どうやら浦原は一護が勝てばいいが、負けた場合に藍染の対策を練るために録画していたらしい。
そこには黒い霊圧を吹き出し藍染と対している一護がいた。
ふぅ、どうやら俺もついに
ほう?ただの霊圧にしか見えないが、それで私を楽しませてくれるのかい?
あぁ、その溢れ出る黒い霊圧ですべてを焼き払うという…邪王炎殺剣
私にはただの霊圧にしか見えないがね。まぁいい。その邪王炎殺剣とやらの力でこの私を倒してみせるがいい
ならば始める前に言っておく。己の力に溺れる者は、より大きな力の持ち主の前には必ず敗れ、己が不明を悔いるはめとなる。人それを…必滅という!
この私が敗れると言いたいのかい?面白い言葉だ。誰の言葉だい?
てめぇに教えてやる名前はねぇ!
そこからは映らないほどの速度で戦っているのであろう光景が映っていた。そして場面は最後の一護のすべてを賭けた最後の一撃になる。
邪眼の力を舐めるなよおおおお!!!!!!
ふむ、一護に邪眼などあっただろうか?その前にあんな口上述べる男だったか?藍染に最後の一撃を加える場面を見ながら私はそんなことを考えていた。
「今見て頂いたのが最後の戦いの場面っス。邪王炎殺剣てのが何かわかりませんが、黒崎サンはこれを教えてもらったと言ってました。黒崎サンに戦いを教えたのはあなたしかいないので、どういった技なのか聞きたかったんでス」
「いや、これは私ではない。一護の現世の知人が戦い方に詳しいらしくいろいろと助言をもらっていたようだ」
「ふむふむ、ならばいずれ現世でお会いすることもあるでしょう。それでは」
どうやら浦原はそれだけ聞きたかったようだった。
これで平和になった尸魂界だが、知らないところで違う問題が発生していたのだ。
今、尸魂界では飛天御剣流や邪王炎殺剣を自分たちも使いたいという動きがあるのだ。
そして護廷十三隊の十二番隊が一護に興味を持っている。
どうやら一護にある邪眼がその力の源として藍染をも超える力を出したと考えているようだ。
邪王炎殺剣も邪眼の持つ力によって出されたものではないかとかなんとか。
あのたわけものめ、ちゃんと責任とるのだぞ…
そこからわけのわからん技の研究をしている以外は平和だった尸魂界に浦原がやってきた。
聞けば一護の力を取り戻すために協力してほしいとの事だった。
迷う必要などなく刀に霊力を込める。それを一護に託す役目を私は仰せつかった。
現世時間でなら久しぶりに会った一護は一皮むけたような感じだな。
何やら敵の策略で親しいものたちをも奪われたようだが、私が来るのを待っていたかのようだった。
「久しぶりだなルキア。来てくれるのを待ってたぜ!」
「うん?一護よ。お前は私がここに来る事がわかっていたのか?」
「あぁ、焦るかもしれないが待てってアドバイスもらっててよ!待っていれば必ず仲間が力をくれるって
あんなに最初は焦ったり驚いたり忙しかった一護が成長したものだ…
これが人間の持つ成長の力というものか。つい物思いに耽ってしまった。
一護は力を取り戻し、初代死神代行の事件は幕を閉じた。
ほう?
まさしく一護のために考えられたかのような技だな。
というか、それ相手粉々にならないか?
後から聞いてみれば、知人からどうやらこうなる事がわかっていて、今は壁にぶち当たっているから乗り越えろって激励と一緒に教えられたらしい。
ふふ、良い知人を持っていて羨ましい限りだ。
だが、どうやらそんな良いアドバイスばかりでもないらしい。
曰く、次は総力を結集して挑まねば勝てない敵が現れるとの事。
まるでこれから起こると確信しているかのような様子だ。
直接その知人に話を聞きたいと頼んだ事があるのだが、一護は「あいつは俺に任せると、信じてると言ってた。だったらそれに応えて全部護ってやるだけだ」と、どうやら巻き込まないようにしているようだ。
ならば私も死神として守れるように腕を磨こうではないか。
始まりは突然だった。まさか滅却師が生き残っていて襲って来るとは…
最初こそ不覚を取ってしまい手傷を負ってしまったが、卍解が使えないのならば他の戦い方をすればよいというだけだ。
私の卍解は自身を絶対零度にし、周囲をもすべて凍らせることができる。
しかし一護から聞いたところによれば「本当に凍るとは、時すらも止めてしまうもの。そして凍った時の中で敵を砕くものこそ、真に凍らせる者」という事らしい。
私もまだまだ卍解程度で満足するわけにはいかない!
護廷十三隊も隊長含め入れ替わり等で人が変わったが無事乗り切れた。
最後の最後まで一護に頼ることになってしまったのが悔しいな。
しかし大したやつだ。最後の戦い、私は見送るしかできなかったが、共に戦っていた者たちには何か響くものがあったのだろう。
どんな夜にも必ず終わりは来る。闇が解け、朝が世界に満ちるもの。人それを…黎明という!
だから尸魂界で今こんな口上を述べてから剣を合わせるのが流行だなんて何かの間違いだと思いたい…
馬鹿者!誰だそんな事言ったやつは!え?一護がユーハバッハとの戦いの最後に言ってた?
本当に責任取れよあのたわけものめ!