厨二病だよ黒崎くん   作:きりたん

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新属性だよ黒崎くん

 

 

黒崎くんと出会ってからいろいろと彼の妄想に付き合ってきた俺だが、今まで予想だにしていなかった、そしてまさか現実で目の当たりにするとは思わなかった出来事に遭遇してしまった。

 

あれは黒崎くんと初めて話して、いろいろと設定のアドバイスをしてあげてから少し経ったくらいだったかな?

いつも通りに通学途中にいろんな人たちと話したりしながら登校してたんだけど、そこに今までに会ったことのない人がいたんだ。

 

なんていうのかな。和服というか、着物の上に羽織を着たような格好で刀まで持ってた。

アレはたぶん中身は模造刀か竹光とかなんだろうけど、よくあれで通報とかされないもんだ。

いや、考えてみたらここ日本だけど日本じゃないというか、NIPPONみたいなところだからアリっちゃアリなのかな?

 

「君が黒崎一護に色々と吹き込んでいる少年だね。…ふむ、見るからに脆弱な霊圧の人間で取るに足らない存在だが、君のおかげで黒崎一護が私の想定していた成長から逸脱してきている部分もあるようだ」

 

「えーと、初めましてですよね?俺に何かご用ですか?」

 

「いやなに、観察していた黒崎一護に想定外の変化が生まれているようなのでね。その原因たる君を見に来たと言った感じかな。最初は排除しようかとも思っていたんだが、これから先、彼がどのような変化と成長を見せてくれるか楽しみになってね。君にも私の目的の礎(王鍵の創造材料)となってもらうわけだし、今回は何もせず退くとしよう」

 

「黒崎くんの変化?俺が原因?目的?よくわからないです」

 

「君はそのままでいいさ。せいぜい私を退屈させないように楽しませてくれ」

 

 

その人は会話にならない会話っぽいものをしたと思ったら、勝手に満足して帰っていったんだ。

だが俺にはそれだけのヒントがあれば正解に辿り着くなんて造作もない。

今の人は俺をただの高校生だと思って理解できないと勝手に思い込んで答えを言わなかったんだろう。

 

 

 

だが!舐めてもらっちゃ困るぜ!こちとらおそらくあんたよりも合計人生時間は長いんだ。

 

 

 

そして人生経験とは蓄積された知識のことでもある!

 

 

黒崎くんと話すようになってから、俺も学校では黒崎くんの事を背景ではなく人物として見るようになった。

彼はよく色黒の男の子や茶髪の女の子と仲良くしているようだった。

あと眼鏡かけた子も嫌味っぽい感じの小言みたいな事を言ってるのを見たこともあったな。

 

そして今の人の言葉…そこまでヒントが散りばめられていれば答えは1つだ。

 

 

 

そう、黒崎くんは狙われていたんだ!

 

 

 

それならば今の人が明確な答えを言わないのも頷ける話だ。

 

つまり筋書きはこうだ。

 

黒崎くんは昔は大人しい物静かな少年だったんだろう。そして黒髪。

しかし大人しい子であったが故にいじめられる事になってしまったんだ。

そしてそこでいじめていた相手から守っていたのが色黒の子だったんだろうな。

大人しく控えめな黒崎くんを守っているうちに、色黒の子も段々と黒崎くんの事が気になっていったんだろう。

もしかしたら着物の人もその頃から黒崎くんと知り合いなのかもしれない。

そしてそんな黒崎くんを守っているうちに、庇護欲から段々と独占欲に変わっていったんだ。

だがきっと黒崎くんはそんな事に一切気づかずに彼らにだけ無垢な笑顔を振りまいていたに違いない。

そうやって日々を過ごしてきた黒崎くんだったが、鳴りを潜めたはずのいじめはまだ終わっていなかったんだろう。

色黒の子たちが気づかないところで傷つく黒崎くん。

そんな彼を救ったのは眼鏡の彼だったんだ。

きっと彼は、ただ守るだけじゃ黒崎くんのためにならないと、断腸の思いで涙をのんで黒崎くんにきつく当たりながらも彼の成長を促していったんだろうな。

そしてそれを知った色黒の子や着物の人もまた、ただ黒崎くんを守るだけではなく彼のためにいじめられない方法を教えたりしたのかもしれない。

その結果、黒崎くんは髪をオレンジ色に染めたことで周囲が見て不良になったと思われるようにしたんだ。

だが髪を染めたからと言って本質まで変わるわけじゃない。

だから彼らは黒崎くんの周囲でいつも一緒にいるようにしているのだろう。

クラスメートの2人はそれでいいかもしれないが、着物の人は違う。

彼はおそらく時代劇の役者か何かなのだろう。

いつも黒崎くんの近くにいられないからこそ、もしかしたら誰かに頼んで見守らせておき、黒崎くんが1人の時に問題が起こらないようにしていたのかもしれない。

そしてそんな警戒網の中で、黒崎くんが接触したのが俺だったわけだ。

今までまったく交流のなかった俺と黒崎くんだから、着物の人も慌てて確かめに来たのだろう。

もしかしたらみんなで結託して黒崎くんがそっちへと目覚めるように仕向けていたのかもしれないな。

そして着物の人が最後に言った「私を楽しませてくれ」ってのは、そんな揺れる黒崎くんを見るのも楽しいってことだ。

 

だが、心配は無用だ着物の人。誰もいないから聞こえないわけだがあえて言わせてもらおう。

 

 

俺は他人事なんであればボーイズ・ラブにも理解がある!自分ではごめんだが。

 

 

答えが出てしまえば簡単な事だ。

着物の人が言ってた排除しようとしていたというのは、俺がノーマルだから勝手にその倫理観を刷り込まれると困ると思って慌てて来たんだろうな。

想定していた成長からの逸脱や変化というのも、「男の子同士が好きになる事は普通の事だよ」って価値観を植え付けているところに「やっぱりこれおかしいんじゃ?」と思わせられると困るって事だ。ただ、それはそれで楽しみの1つにしてるっぽい感じでもあったが。

だが、着物の人の目的の礎になってもらうって言ってたから、おそらく俺も含めて外堀を埋めてしまおうとしているんだろうな。

 

考えてみれば色黒の子も着物の人も眼鏡の子もみんな「攻め」って感じがする。

対して黒崎くんはどうだ?髪の色を変えようが妄想癖があろうが根本は変わらない。

そして俺の前世での知識を披露したら、すぐさまそれに対するように死神とかなんとかを妄想して作り出し語って聞かせてきた。

おそらくは昔から1人で想像しながら過ごしてきた産物だろう。

その時点で彼が大人しい頃と変わっていない事は明らかだ。

ならばやはり黒崎くんは「受け」なのだろう。

 

 

 

…え?まさか黒崎くんが俺に話しかけてきたのって、まさか違うよね?

 

 

 

周りの誰にも言えなかった妄想を嬉々として話してるけど、俺にそっちの気はないよ?

てかちょっと知らない相手が近づいただけで飛んできたり、いつも一緒にいるような重い気持ちの人たちに気疲れして、たまには羽を広げて目一杯妄想話がしたかっただけだよね?

 

あぁ、そういうことか。そうやって黒崎くんが話してるのを、矢印を飛ばしてると勘違いしたのか。

そりゃ黒崎くんも疲れて妄想に浸りたくもなるよね。

茶髪の女の子がどういう立ち位置なのか知らないけど、もしかしたら黒崎くんはその女の子に癒やしを求めたりしてるのかな?

 

いや違う!たぶんだが茶髪の女の子はそんな黒崎くんを見て楽しんでいるのかもしれない!

勝手な推測だがたまに黒崎くんを見る目がキラキラしてる感じがしてたし、あれは色黒の子との絡みや、心配だけど素直に言えなくてついついきつく当たっちゃう眼鏡の子のツンデレ具合を想像してキラキラしてたんだ!

 

そう考えれば着物の人が飛んできたのも、黒崎くんが急に俺に話しかけてきたのも、黒崎くんの周りに色黒の子や茶髪の女の子がいるのも全部辻褄が合う!

 

 

 

どうしよう…なんかすっごく重い事実を知ってしまったようだ。

だからと言って黒崎くんがせっかく楽しめる俺との話(妄想トーク)を終わらせてしまうのは彼に申し訳ない。

偶然ながらもこんな重い事実を知ってしまった以上、俺にできることは今まで通り黒崎くんの話に付き合ってあげるだけだ。

だがすまない着物の人。俺からそっち系の話を黒崎くんにする気はない。

だから俺を使って外堀を埋められるとは思わないでくれ。

 

 

そして今更な事なんだが着物の人から言われて1つわかった事がある。

 

 

黒崎くんの名前が黒崎苺だったんだよ…

 

 

男の子にその名前はさ、そりゃ子供の頃からいじめられても仕方ないよ。

てか親御さんもうちょっと考えられなかったんですか…

マタニティハイでそのままのテンションで名前決めちゃったとかそんな感じだったんだろうなぁ。

父親のほうも止めなかったって事はお母さんのテンションに飲まれたか、同じ感性をしているのかどちらかだろう。

 

俺が言う事でもないけど、小さいうちは良くても大人になった時にその名前で呼ばれるって事もちゃんと考えてあげないとダメだよね。

だってもうお店で苺が売ってたら「おい、お前()が売ってるぞ」ってバカにされるの目に見えてるじゃん…

 

てことは黒崎くんの性格はなるべくしてなったって事か。

妄想も死神設定とかだし、もしかしたら結構な闇を抱えているのかもしれないな。

てか彼もしかして生まれてからずっと不憫な人生送ってないか?

 

黒崎くんはただの厨二病患者だと思ってたけど、もうちょっと優しくしてあげたほうがいいのかもしれない。

 

 

「おい、こんなところで何してんだよ?」

 

「やぁおはよう黒崎くん。何、改めて(黒崎くんに関する)衝撃の事実を知ってしまった事にね。少しばかり動揺してしまってたみたいだ」

 

「あー、(実はお前が話してたのはほとんど幽霊だったって事が)衝撃だったのは仕方ねぇよ。俺だっていきなり(実は幽霊だったなんて)言われたら衝撃だろうからなぁ。信じられねぇ気持ちはわかるぜ」

 

「まぁそうだよね。ってか黒崎くんも(矢印向けられる)当事者なのに結構普通に過ごしてるよね。そのあたり気になったりしないの?」

 

「そうは言われても(幽霊がいる事は)昔から知ってたからなぁ。今更って感じもするし。別に何かされるわけじゃないからいいんじゃないかと思ってるな。それに今はお前も話を聞いてくれてるからな」

 

「(昔から気づいていたのか…そして嫌悪している様子もない。黒崎くんまさか満更でもないのか!?)俺にできるのは話を聞くくらいなんだけどね。申し訳ないけど(修羅場に)関わるのはお断りするよ。(ボーイズ・ラブの中に飛び込んで)うまく立ち回れる自信がまったくなくてさ」

 

「(まぁこの霊圧じゃあ戦えねぇもんな)それは俺の役目だ。お前は何も心配する必要なんてねぇさ。ちゃんと(戦う)覚悟はできてる」

 

「そっか…そこまで(修羅場の)覚悟ができてるのなら俺はただ黒崎くんを応援するだけだね」

 

「あぁ、俺に任せとけ。何かあった(虚に襲われた)時はすぐに俺が駆けつけてやるよ」

 

「そうだね。何かあった(嫉妬で襲われた)時はよろしく頼むよ。ほんとにね」

 

 

 

ただ、2人で歩きながらも俺は思う。

 

まさか一緒に登校しただけで着物の人に嫉妬で嫌がらせとかされないよね?

 

後は色黒の子と眼鏡の子に見つかりませんように…

 

そして茶髪の女の子には勝手に脳内カップリングされませんように…

 

 

 

俺は黒崎くんと話しながらも、内心ではそんな事を考えながら、そして厨二病発症だけじゃなくボーイズ・ラブまで発生していた黒崎くんの人生の平穏を願い、一緒に通学路を歩いていった。

 

 

 

 

 

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