---大文字遥---
勇者召喚で、この世界に呼ばれた勇者である。召喚された城で戦術
などの指南を受けて、レベルを上げる為に、騎士や仲間達と修行の
旅に出たのだが…低レベルの魔物は倒せる。だけど、生きた人間を
殺すのに躊躇してしまう。それが仇となり、盗賊に捕まり、僧侶の
千春ともども慰み者にされてしまった。知らない男にヤラれ、心が
折れた私と千春…目が醒め、正気に戻ると公国の医療機関にいた。
「王国から迎えが来たら、退院だ」
担当医がそう告げてきた。
「全裸で運び込まれたので、君達の装備は何も残っていない」
聖剣などの勇者装備は盗賊に奪われたらしい。失態だ…
---マイン---
ユーナの鍛錬25日目。エリーゼのジョブが天使になっていた。種族
ハイエルフで天使?天使の魂の器にされた弊害だろうか?そして、
ルナは剣聖から剣神にジョブチェンジしていた。神に達した為、レ
ベル表記から解放れた。我が家の家族は益々、人族から離れていく。
村娘の先には何が待っているのだろうか?俺の場合は村人から大賢
者だったけど…
翌ユーナの鍛錬26日目。久しぶりにギルドへ向かった。
「何か、クエストはあるか?」
受付嬢に訊いてみた。
「採取系ですね。Cランク以上でしたら、護衛系があるんですけど
…」
「昇格はしない。採取系でお願いします」
亜空間収納から目的の物を出し、即完了にしておく。さて、帰る
かな。
「待て!ジョナサン、頼みがある」
グランドマスターが奥の部屋から飛び出して来た。
「家庭教師はイヤです」
「娘は我が家で躾け中だよ。じゃなくて、隣国の公爵令嬢なんだが
…」
「愚王関係者はお断り」
「いや、そっちで無い隣国だ」
「ユートハイム王国?」
「そうだ。そこのノヴァ公爵家の令嬢なんだが、家庭教師を頼めな
いか?」
「座学か?」
「座学と護身術だ。どうだ?あぁ、大丈夫だ。おトイレは一人で問
題無いそうだよ」
お前の娘以外、普通は大丈夫なはずだぞ。
「通いか?」
「逆に住み込みは可能か?」
「住み込みは難しい。家に妻が待っているし、娘達の教育中だし
な」
外泊はなるべくしないようにしている。
「じゃ、お前の家での住み込みならば?」
「条件面が整えばだな」
---アイリス・ノヴァ---
家庭教師の先生のお宅に住み込みで教わることになった。我がユー
トハイム王国は農業主体の国家で、戦力などはあまりなく、隣国で
あるグランデ公国と不可侵条約、軍事同盟を締結しているそうだ。
今回、グランデ公国の計らいで、座学、護身術などの家庭教師の先
生を斡旋してくれたのだが…お屋敷が大きい。敷地が広い…お屋敷
の周囲は平原で、畑と牧場が広がっていた。遠くに山々が見える
が、ここはどこなんだろうか?ここまで、目隠しのまま連れて来ら
れたのだけど。
「ここは、どこの大陸ですか?」
「知らない方が幸せなこともあるんだよ、世の中にはね」
知ると生きて帰れない気がする言い方だ。本当にここはどこなんだ
ろうか?世界地図を思い浮かべても、ここに合致する地形は思い浮
かばない。遠くに見える山々が周囲を囲っているように見えるし。
いや、一箇所だけ思い浮かぶ場所がある。禁足地と呼ばれる、謎の
大陸であるが、勇者パーティーしか足を踏み入れる事が出来ないと
習ったエリアである。まさかなぁ…
ここには先生の家族と使用人しか住んでいないそうだ。先生の奥様
のナナさんは穏やかそうな人である。家事を教えくれるそうだ。
だけど、先生の娘さん達が怪しい雰囲気を持っている。いや、見た
目も怪しいのだ。
長女のエリーゼさんは、治癒術の先生。見た目はハイエルフで天使
の様に頭に輪が浮かんでいる。いや、これ、天使ですよね?
次女のルシアさんは見た目幼子だけど、魔法を教えてくれるそう
だ。纏うオーラは禍々しさと神々しさを兼ね備えている。ちらっと
みえたのだが、おへそが無い。人間では無いですよね?
三女のルナさんは剣術を教えてくれるそうで、見た目はクールビュ
ティー系のお姉様であるが、剣を持った姿は鬼である。見た目、一
番怖い…
四女のユーナさんはまだ修行中で教えることが出来ないという。
「ここでの生活に慣れるまで、メイド見習いとして過ごして貰う。
家族内の上下関係をまず見極めてみろ」
と、先生からの通達である。どうなるんだ、ここでの生活は。