村娘の師匠   作:もっち~!

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ゼノビアの真実

---マイン----

 

グランデ公爵から、食事を売ってくれと言われた。ノヴァ公爵の態度から、売れる、儲けられると思ったのだろう。

 

グランデ公国の公都に食事処をオープンさせ、そこに併設する形で食材の店をオープンさせたいらしい。場所は冒険者ギルド本部の隣と言う、治安の良い一等地らしい。

 

自宅のある大陸には土地は有り余る程あるので、熟成蔵や醸造蔵を増設することは可能だ。あぁ、燻製小屋もいるな。人手は、悪魔と天使を召喚すれば良いか。一般人の立ち入りの出来ない禁足地である。人手の問題で大量生産をしていなかった。

 

取り敢えず、地球でカップラーメンを大量に仕入れ、それを出してみた。1000食分仕入れて、即日完売って…地球の食事の旨さを甘くみていた。いや、この世界の食事の味気なさか。

 

 

 

---アイリス・ノヴァ---

 

先生のオープンした食事処『ジョナサン』で、ウェイトレスの仕事をすることにした。お店の3階に住まわせて貰え、賄いという食事が1日3食も食べられ、給金+勉強も出来るという高待遇であった。お爺様の反対に遭ったが、迷わず、就職をしてしまった。

 

現在、カップラーメンと言う食事しか提供出来ないが、飛ぶように売れている。1人前大銅貨1枚という安さである。真面な食事を食べるには銀貨を出さないとダメだったのに、銀貨1枚で二人分も食せるのだ。お得感もあり、美味しいし。

 

翌週はうどん、そばになった。これは先生の家で何度も食している。鰹節の香り、旨みに、昆布の旨みが加わり…う~ん、うっとりする優しい味わいである。

 

ただ、麺類は食べ方が難しい。音を立てて食べるのだ。『啜る』という食べ方で香りと味を両方味わう食べ方だという。私も先生の家で練習しました。音を立てるのはマナー違反だった食事マナーに新風が吹き込まれたでしょう。

 

営業は不定期である。料理は簡単であるが、食材の準備に時間が掛かるのだ。この辺りでは食材は狩った日に食べていたが、肉は熟成すると美味しいのだと言う。

 

一番簡単な料理はカレーであるそうだが、食材の準備に時間が掛かるのだ。野菜、肉、そしてライスの実を集めないとダメで、ライスの実は遠い場所で売っているそうだ。

 

 

 

---マイン----

 

ユーナの鍛錬44日目。臭覚を覚えたようだ。これは臭いで、見えない存在までも見分けるスキルである。食い物の臭いを嗅ぐだけで、毒物か、腐っているのかすらも判別出来、野宿には必須スキルである。

 

ぬか床を作り、ぬか漬けを始めた。食堂でテスト販売してのだが、好評であった。野菜類を美味しく食べる文化の無い世界、ぬか漬けは世界の常識を壊したかも知れない。まるのままのきゅうり、なす。それにかぶりつく客達。畑も広くするか。朝どれ野菜を漬け込み、浅漬けとして出すのも良い。

 

我が家の朝食からパンが消えた。ご飯に、味噌汁に焼き魚にぬか漬けである。俺にとってはソウルフードであり、心の安定剤とも言える。

 

食堂で仕込み作業をしていると、グランドマスターに呼び出された。面倒事の予感である。いや、面倒事に違い無い。

 

「頼みがある。『村人からの成り上がり』に護衛して貰いたいんだが…」

 

「Fランクは護衛任務は引き受けられない、じゃないのか?」

 

「依頼主はゼノビアだよ。あの村に供養に行きたいと」

 

ゼノビア…あの日、率先して村人達を斬殺していた龍騎士か。

 

「断る」

 

「だが、あの村の場所を把握出来るのはジョナサン、お前だけだろ?」

 

「断る。アイツは、俺の大切な友人を楽しげに殺し回っていたんだ」

 

「なんだと!アイツが?」

 

「あぁ、そうだ。あの時、俺に力があれば、アイツは真っ先に殺して、斬殺を止めたかった」

 

「わかった。確認してみる」

 

 

 

 

----ゼノビア---

 

あの時の逃げ惑う村人達を殺して回った感触が消えない。酒に逃げたが、悪夢が強くなっていくだけだった。あの村であの少女に魅入られて…俺が保護してあげないとダメなんだと思う。あんな村人達には任せられない。きっと、あの村にいるはずだ、まだ…

 

 

 

---マイン---

 

ユーナの鍛錬45日目。調合から派生した温度調節スキルを覚えたようだ。きっとぬか漬けとの触れ合いで、発酵温度を肌で感じた結果だろうか?俺にも未だ読み取れていない理があるのだった。

 

「ゼノビアの事は探ってみたが、アイツには懺悔をするって気はなさそうだ。もしかすると、あの村を知る者を消す役目を担っているのかもしれないな。アイツは元々龍騎士である。それは聖王国サイドの人間であるってことだ。そして、あの当時は冒険者で、あの村での捜索活動での苦労をいたわる為に王都の冒険者ギルドのマスターに就任を約束された上で、王国の騎士団長になったのだ。できすぎなストーリーである。愚王な聖王のかんがえそうなことだ。死んでも信奉者達への指令が生きているのだろう」

 

「じゃ、ゼノビアの供述はウソってことか?」

 

俺は冒険者ジョナサンとして賢者マリンと公都の冒険者ギルド本部で会っていた。

 

「なんでマリンが騙されているんだか?あんた、元勇者パーティーの賢者だろ?」

 

「まぁ、賢者だよ、私は…」

 

「だって、アノスが聞き取った情報では、騎士団長を辞めて冒険者になったとあるが…アイツ、現騎士団長であるルナの前任者だぞ」

 

ルナを現騎士団長と表現しておく。

 

「あっ…そういえばそうだ。その当時、現騎士団長は…子供だな」

 

「記憶が混濁しているようだな。裏に何がいるのやら」

 

「なんだろうな」

 

「あと一点、魔王討伐の前年に勇者召喚が行われて、聖女が呼び出されたんだろ?おかしく無いか?凱旋パレードの時には二人目の子供と王国に来ていたって?そんな短周期でポンポンと子供って生まれるのか?」

 

魔王を討伐して半年掛けて戻り、王都で凱旋パレードが行われた。それって1年半で2回仕込み、2度とも生まれたってことだ。子供が出来ない俺には分からないことなので、一応、女性のマリンに訊いてみた。

 

「確かに…1年半ではむりだな。せめて2年半はいるだろうね」

 

あの当時は俺のお姉ちゃんだったマリンが、今では俺の歳下の小娘である。感慨深いものがあるが、年齢3倍の呪いなんてくそくらいだ。

 

「そなると、聖女誕生の裏にまだ隠された真実があるのか」

 

「後は、そちらで調べてくれ。俺は食堂の仕込みで忙しいから」

 

マリンは食堂『ジョナサン』の常連と化していた。飯テロおそるべき威力だった。

 

 

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