村娘の師匠   作:もっち~!

22 / 27
住み込みのかてきよ

 

---マイン--

 

ユーナの鍛錬65日目。一度上り始めた暗殺者のレベルが止まらない。このままでは暗殺者がメインジョブになりかねない。マズいなぁ。学校に通わせるのを止めて、ナナと一緒に家事を任せることにした。

 

久しぶりに冒険者ギルド本部に向かうと、指名依頼が入っていた。

 

「何度も言うが俺はランクFだぞ」

 

「だから、何だ?国を落とせる位のランクだろ?親父がヒィコラ言って、後処理をしていたんだ。だが、助かったよ。真面に戦争したら、両国土とも火の海になっていただろう。国王だけ消して、王族一族が雲隠れして、本当に良かったよ」

 

もしかして、あの王族一族がどうなったのか、知っているのでは。動揺しないように、話に耳を傾けるだけに徹する。

 

「で、依頼内容は?」

 

「となりの大陸の大国、クラリッサ魔法国のクラリス公爵の孫娘の家庭教師だ。魔法が使えないらしいので、使えるようにして欲しいってことだ」

 

クラリッサ魔法国か…あそこの女王はダメなんだが…義兄は俺と彼女の関係を知らないのであろう。

 

「隣の大国だと、住み込みか?」

 

「家族で住んでも良いように、公爵邸の隣に大きな家を建設中だそうだ」

 

囲い込む気が満々なのか?う~ん…

 

「拒否は?」

 

「女王から、これをお前にって…」

 

豪勢な箱を渡された。中には『暫定四女 ルナ』とだけ書かれていた。アイツ、忘れていないのか…

 

 

ユーナの鍛錬66日目。家事だけをさせているので、暗殺者のレベル上昇が止まってくれた。なんか違うセカンドジョブを生えるか、チャレンジだな。クラリッサ魔法国には取り敢えず、ユーナだけを連れて行くことにした。コイツ、目を離すと暗殺者の鍛錬に行きそうだし。

 

二人で、クラリス公爵邸に向けて転移をした。

 

「よく来て下さいました」

 

公爵に声を掛けられた。公爵の隣には気弱そうな少女が一人いた。

 

「この子はエルです」

 

「幼名ですか?」

 

この国では貴族として紹介が出来るまで幼名を遣う風習があるのだ。きっと、魔法が使えない為、貴族と見なされていないのかもしれない。

 

「えぇ、魔法がまるで使えないのです。どうにか、この子に魔法を授けて下さい」

 

って、俺は神様では無いんだが…まず、彼女の最大MPを鑑定すると、10と低い値だった。この国の貴族魔法は最低50からだけ?魔法国というだけあって、この国の貴族子女の平均最大MPは100越えである。無駄な術式を難なくこなせて貴族って見識なのだ。

 

「術式はこだわらないですよね?」

 

「それは、教本が間違っているってことですか?」

 

「はい、無駄にMPを消費する無駄な術式が加えられていますよ」

 

事実を言うと、公爵が震えている。怒らせたかな?

 

「それは、前王族の仕業ですか?」

 

「はい」

 

現女王が王位に就けないように、無駄な術式で魔法を教えていたのだ。アイツも最大MPが低かったから。

 

「俺を紹介したのって、女王ですか?」

 

「えぇ、そうです。現王女の魔法の師匠様ですよね?」

 

それで指名依頼が来たのか。ユーナに初級の魔法の鍛錬を任せた。指導者ジョブが生えるの期待して…

 

 

 

---ユーナ---

 

師匠に任された。エルに初級魔法を教えていく。一番楽に覚えたのは、ライトボールである。懐中電灯代わりの魔法である。

 

「小さな光を生み出すようにイメージしてください」

 

エルの周囲を闇のカーテンで囲んであげた。

 

「小さな光?」

 

「こういうのだよ」

 

と、師匠は蛍をエルに渡した。

 

「いいか?指先をその蛍のように光らせるんだ」

 

そうか。イメージ出来ない子にはイメージ出来る物を渡すのか。師匠の教え方が為になるな。

 

「ユーナ、エルは村娘ではないから、生活術は生えないし、デバフされている。お前とは違う切り口で教えていくんだぞ」

 

「はい」

 

 

その後もエルの指先が光ることは無かった。

 

「方法を変えよう。ユーナ、闇のカーテンを解除して」

 

「はい」

 

カーテンを解除した。

 

「この術式で発動してみて」

 

師匠が、エルに紙キレを渡した。すると、彼女の指が灯った。

 

「出来た」

 

渡された紙キレを見ても意味が分からない。

 

「ユーナには理解出来ないだろ」

 

「はい、師匠。これは?」

 

「この国の術式文字で書き込んだ、簡易術式だ。省略詠唱という方法で、言葉にすることで、イメージを膨らませるんだよ。ユーナ、エルに教える前にエルのステイタスを鑑定していないだろ?」

 

「あっ、はい、そうです」

 

しまった。鑑定していない。

 

「鑑定しないと、生えているスキルは確定しない。スキルは鑑定し、見つけて初めて確定されるんだ」

 

そうなんだ。そう言われれば、師匠は毎朝、私達を鑑定していた。そういうことだったんだ。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。