村娘の師匠   作:もっち~!

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俺の仕事

救い出したルナは震えていた。家に戻り、お風呂場へ直行して、ルナの身体を暖め、筋肉のこわばりをほぐしていく。

 

「お父さん…怖かったよぉ~。人間の悪意って、怖いね」

 

「あぁ、怖い。暴走する悪意は破壊力抜群だよ」

 

えん罪…だけど、俺を罪人扱いした人々。俺が何をしたって言うんだ。今日は思いっきりやったけど。ルナを泣かした罪は重い。本当は苦しめ抜いての方が良いのだが、瞬時に離脱するには、瞬間殲滅しかなかった。これであの国の膿は出し切った。王位継承者第一位である皇太子のアノスに期待するか。

 

アノスとは、俺が9歳で加入した勇者パーティーでの仲間であった。6年間、苦楽を共に過ごした。ヒールの使える聖騎士。ヒーラーのいないパーティーで護りの要になってくれた男だ。

 

「お父さん…ありがとう」

 

「娘を助けるは、俺の仕事だよ」

 

まだ、少し強ばっているルナ。騎士団長を召喚勇者に差し出すって、愚王だろうに。あの国はこれで、戦力がガタ落ちだろう。後、残っているのLV6の女勇者、LV5の僧侶だっけ。ルナの抜けた穴は埋まらないだろうな。LV50の剣聖なんだし。勇者リュートが出張ってきても、あいつはLV30だしな。いざとなれば、うちには破壊に特化した魔王と俺がいるし。どうにかなるかな?天使も悪魔も俺の仲間だし。

 

 

ユーナの鍛錬3日目。ルナは騎士団長を辞めた。雇い主からのセクハラが理由であるが、国のトップの愚行故、自主退職に付き、慰労金は貰えないだろう。そもそも、貰いに行く気が無い。えん罪を被せられそうな予感がするし。暇になったルナには、ユーナの剣術の基礎練習をしてもらうことにした。

 

ルナの稼ぎはデカかった。何よりも現金支給って魅力的だったし。これからの稼ぎはどうするかな?喰うには困らないと思うけど。活動する幅が狭まるのは、ボケの原因になりそうだよな。

 

ナナは家事を率先してやってくれている。炊事、洗濯などだ。ルシアは牧場業務が主体で、俺は管理業務が主体である。この世界の異変を察知して、滅亡しないように、介入するのが仕事である。戦争が起きれば、原因を究明し、戦争を休止するように、流れを変えていく。大罪人扱い故、直接の介入が出来ないのが難点で、回りくどいヤリ方しか出来ない。

 

久しぶりに、ジョナサンとして、冒険者ギルド本部を訪ねた。冒険者ギルド本部は、グランデ公国にある。本来大国の王都若しくは帝都などにあるべきなのだが、セントラル王国の王、聖王国の王も愚王なので、割と真面なグランデ公爵が治めるグランデ公国に置かれている。冒険者ギルドは基本、国の配下ではなく独立機関なのだが、セントラル王国も聖王国も、国の直轄機関として扱おうとしていたのだ。特に『村人マインの首を持って来い』と頻繁に王令を出している。因みに村人マインとは俺のことである。

 

「何か、仕事はあるか?」

 

ギルド本部の受付嬢に訊いてみた。

 

「ジョナサン、ギルマスがお話があるそうですよ」

 

と、ギルマスの部屋に連行される。

 

「よく来たなぁ、ジョナサン。セントラル王国で大事件が発生してな」

 

それ、俺が犯人でしょう。

 

「どんな大事件ですか?って、冒険者ギルドは事件に関わるのはどうかと思いますよ」

 

冒険者には捜査権限はない。

 

「詳しいことは漏れて来ないんだが、勇者パーティーを瞬殺した魔導師がいて、その魔導師の情報が欲しいというのだよ」

 

それ、俺だな。きっと…

 

「俺の聞いた話では、召喚勇者のパーティーだったらしいぞ。それは問題じゃないのか?」

 

勇者召喚は禁忌である。それは異世界人のこの世界への拉致、監禁になるからだ。

 

「それは問題にならない。一般人がやったら大罪だが、王が主導した場合は問題が無い」

 

この世界の正義の基準は王族の匙加減一つである。王族は禁忌の意味を分かっていないのだろう。

 

「じゃ、その召喚の儀を行った魔導師じゃないの?」

 

「実は俺もそう思っているんだよ。ただ犯人の首をすげ替えたいんだろうな」

 

ギルマスが割りと正解を言っている。俺を見つけて、召喚の儀の責任を押しつけそうだ。

 

「ソレよりも、討伐依頼は無いの?『村人からの成り上がり』が干上がっちゃうよ」

 

「だって、S級モンスターじゃないと、オーバーキルするでしょ?」

 

オーバーキルすると地形が変わる。攻撃が魔物を貫通して、地形を抉るのだ。山が削れて崩壊したこともあったっけ。

 

「そうそう、S級モンスターは出ない」

 

だよな。出ないよなぁ。

 

「じゃ、採取系を受けるわ」

 

「あぁ、そうしてくれ」

 

受付に戻り、採取系をクリアしていく。収納庫に入っている分で、本部の採取系クエストは完パケした。

 

「本当にジョナサンは無茶苦茶ですね」

 

ついでに毛皮、角、魔石の類いも売りサバいていく。

 

「キングボアの牙…こいつSS級でしたよね?」

 

「いや、ボタン鍋が食べたくて…アイツの肉旨いんだよ」

 

ついでにキングボアの肉も売る。

 

「ジョナサンの持ち込み分は、総てオークション行きですよ。ギルド本部の金庫をカラにする気ですか?」

 

オークション行きになると即現金にならないが、売値が天井知らずになる時がある。

 

「ドラゴン系の素材はないんですか?」

 

「無い。じゃ、狩ってくるよ。どのドラゴンがいいの?」

 

「え…マジですか?一体、『村人からの成り上がり』の戦力って、どんな感じですか?」

 

「みんなランク更新していないからFランクだけど…」

 

ランク更新すると、マズいのだ。ステイタスを見極める水晶が、オーバーフローで割れると言うか。測定不能になる。あの水晶は貴重品であるので、弁償すると大赤字になる。

 

「Fランクパーティーがキングボアを倒すってあり得ないんですけどぉ~」

 

「そう言われてもなぁ」

 

パーティーの戦力が剣聖、現魔王、大賢者なんて言えない。逆に討伐対象に指名されそうだ。もっと言うと、そこに熾天使と悪魔公爵が加わるし。世も末の戦力と言えよう。

 

「じゃ、ドラゴンを見つけたら、狩るわ」

 

俺は冒険者ギルドから出た。

 

 




ボチボチ更新していきます。
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