「暇だ…」
仮面ライダーエデン/エスが引き起こした事件から数ヶ月。街には以前と同じような日常がすっかり戻っていた。しかし、街には今も誰かの助けを必要としてる人たちがいる。そういった人たちを助けるのがこの俺、仮面ライダーバルカンこと不破諫だ。…しかしここ最近は特に事件もなく暇だ。仮面ライダーとして動くことは減り、たまに或人の所に遊びに行ったり刃の愚痴を聞いたり天津の野郎に呼ばれる(大抵はくだらない話やサウザー課への勧誘)程度でやることが無い。何か趣味でも見つけたら変わるかなと色々試してみたが、どれもしっくり来なかった。今も公園のベンチに腰掛けていたところだ。この後も何かすることはないし、夕飯の買い物をしながら帰って観葉植物に水をやるかとベンチから立ち上がり帰路につこうとした時、突如爆発音と悲鳴が響いた。
振り返って辺りを見回すと、トリロバイトマギアの集団がこちらに向かって来ていた。周辺への被害は大きくないため破壊活動が目的ではないようだし、逃げ惑う人々を襲う様子もない。どうやら狙いは俺のようだ。
「誰の指示だか知らねえが、全員まとめてぶっ潰す!」
「ショットライザー!」
ショットライザーを腰に巻き付け、いつものようにキーをこじ開け、ショットライザーに装填する。
「バレット!」
「オーソライズ!Kamen Rider…Kamen Rider…」
「変身!」
「ショットライズ!シューティングウルフ!
The elevation increases as a bullet is fired.」
マギアたちに向かって走りながらショットライザーから銃弾を発射し数体のマギアを吹っ飛ばす。
「ふっ!はっ!」
一番前のマギアに飛び膝蹴りを浴びせ、周りのマギアに連続で回し蹴りを叩き込み、拳を打ちつける。機能停止になり動かなくなっても続々と新しいマギアたちが現れる。
「ったく、しつこい奴らだ!」
俺はそう言いながらショットライザーをバックルに装填し、キーのボタンを押した。
「バレット!」
徐々に右足に狼状のエネルギーが収束していき、ショットライザーの引き金を引く。
「シューティングブラスト!フィーバー!!」
「はっ!」
右足を思いっきり踏み込むと同時に狼状のエネルギーがマギアたちを拘束し、空中へ飛び上がり巨大化した狼状のエネルギーと共にライダーキックを放ち、辺りのマギアたちを一斉に撃破した。
「ふぅ、これで終わりか…?」
そう思った時、後ろからとある声がした。
「さすがは不破諫。この程度では楽勝か。」
そう言いながら黒フードの男が近づいてきた。どこかで聞いたことのあるような声をしているが、どうも思い出せない。
「あ?誰だお前は?」
「…この俺を覚えてないのか。残念だよ、『隊長』。いや、今は元隊長と呼んだ方がいいのかな。」
「何?俺がAIMSの隊長だったことをなぜ知っていやがる?!」
「そりゃそうさ。俺も元AIMSだからね。」
そう言うとフードに手をかけその正体を露わにした。
「なっ?!お前は…。」
「そう、元AIMS副隊長の翡翠 蓮だよ…!」
翡翠 蓮。かつてAIMSに所属しどんどん実力を見せ副隊長まで登り詰めた男。しかし俺が仮面ライダーになってすぐに突然AIMSを辞め消息を絶った。その男がなぜ今になって…。
「既にAIMSを抜けたお前が今更何をしに来た!」
「そんなの決まってる。全てのヒューマギアを滅ぼす。それが俺の変わらぬ願いだ。」
そう言うとショットライザーを腰に巻き付け、見たこともないキーを取り出した。
「何でショットライザーを持ってやがる?!それにそのキーは何だ!」
「ああ、これ?親切な悪魔がくれたんだよ!」
「アークバルカン!」
キーが自動展開し、禍々しい威圧感を放った。
「《アーク》…だと?!」
「オーソライズ…!Kamen Rider…Kamen Rider…」
「…変身!」
「ショットライズ!アーク…!アークバルカン!When the ark wolf barks,ark story is rapidly coming to the end.」
「どう?様になってるだろ?仮面ライダーアークバルカン。」
そう言った奴の姿はアサルトウルフにそっくりだったが、色は違うし所々のアーマーの形状も違っていた。特に顔の左半分だ。アークワンや滅のように最初のアークの同じものになっていた。
「さあ…、行くぞ!」
そう言うとアークバルカンは走り出しこちらに向かってきた。俺は両手を前に構え防御の姿勢をとったが拳一発で簡単に崩され大きく後ずさりした。
「何てパワーだ…!こいつは、本気でやらなきゃまずいな…!」
「ランペイジバレット!」
殴られ距離ができた隙にキーをこじ開けショットライザーに装填する。
「オールライズ!フルショットライズ!Gathering Round!ランペイジガトリング!マンモス!チーター!ホーネット!タイガー!ポーラーベアー!スコーピオン!シャーク!コング!ファルコン!ウルフ!」
アーマーを纏いながらアークバルカンに向かって走り出し、思いっきり左のストレートをくれてやった。が、予想通りビクともしない。ならば、とそのまま連続で拳を叩きつけ、ドロップキックを放ち距離を離してショットライザーをバックルから取り外し、牽制のために数発弾丸を放ちながらランペイジガトリングキーのセレクターマガジンを二回転させた。
「スピード!ランペイジ!ランペイジスピードブラスト!!」
「はぁっ!」
ショットライザーからハチの針を模したエネルギー弾を数発放ち、それと同時にチーターの脚力で思いっきり走りアークバルカンの右肩を掴み連続キックを叩き込み、最後にファルコンの翼で空中から背中めがけてライダーキックを放った。
「はあぁぁぁぁぁ!!!」
アークバルカンを吹っ飛ばし、爆発を起こした。爆風と煙でどうなったか見えないが、果たして…。
「流石にこれなら、少しは…」
アークの名を冠するライダーだ。この程度では倒しきれないだろうが、少しでも突破口を見出さなければ…。
「いいよ、凄くいい。流石隊長だよ。心は腐ってもその実力は衰えるどころかさらに磨きがかかってる。」
「やっぱりか…。」煙から現れたヤツの声からは余裕が感じられた。
「心が腐ったとはどういうことだ?!お前はヒューマギアを滅ぼすことが目的なんだろ!ならなぜ俺から狙う?!」
「…かつてのアンタは俺と同じで、ヒューマギアを憎み、滅ぼそうとする同志であり先輩であり憧れだった。だが今のアンタはヒューマギアにほだされちまった。そんなアンタに用はない。だからせめて俺がヒューマギアを滅ぼすための第一歩として、アンタを越えようという訳だ!」
「お前の過去に一体何があった?!」
「…それは今話すことじゃない。さて、そろそろお話は終わりにしてこちらのターンとさせてもらおう!」
アークバルカンは腕の装甲から機関銃を連射した。威力は大したことないが、視界が遮られてしまった。どこから来る…。
「残念、真正面だよ!」
その言葉を聞いたと同時にアークバルカンは姿を現し強烈な蹴りを放った。防御の姿勢をとっていてもこの威力だ…。さっきまでは全然本気じゃなかったってことになる。
「痛っ…」
なんて呟く暇もなく連続で拳を叩き込んできた。どうにか一発だけ遮れたが、他は直撃してしまい俺の体は壁まで吹き飛ばされ立ち上がることも出来なくなった。
「あれあれ?こんなもんかよ。やっと慣れてきたのにさぁ!」
あっちはまだまだ余裕なのに対して、こっちはもう限界ギリギリだ。一か八か、至近距離でランペイジオールブラストを放てば…。最後の力を振り絞りなんとか体勢を変え誘うようにあえて胴をガラ空きにした。
「ん?何?もう限界?それとも何か狙ってる?まいいや、乗ってあげるよ!」
そう言いながらゆっくり近づいてくるアークバルカン。
「舐めやがって…!」
口ではこう言いつつこっそりショットライザーに手を近づけバックルから取りだし、その時に備える。
アークバルカンは俺の目の前で止まって、「こんな程度なのかよ、隊長。残念だったよ。じゃあね!」
拳を思いっきり振り上げ最後の一撃を放とうとしたその一瞬の隙に、
「今だ!!」
とガラ空きになった胴にショットライザーを押し付け、勢いよくセレクターマガジンを回転させた。
「パワー!スピード!エレメント!オール!ランペイジ!!」
「喰らえ!!」
「ランペイジオールブラスト!!!」
10種類のライダモデルの力を集結させた弾丸を放ち、アークバルカンを大きく後方へ吹っ飛ばし大爆発を引き起こした。もちろん近くにいた俺もタダでは済まず、力尽きて倒れ込み変身解除してしまった。
「…どうなった?」
今だ煙の中からアークバルカンが現れる気配はない。上手くいったのだろうか…。
「今のは大分効いたよ…。だが残念だったな。これでお前の手札は全てだろうが、俺はまだ全力を見せてない。」
「マジかよ…。」
こっちにはもう戦う力が残ってない。立ち上がることすら出来ない。万事休すか…。
「さよなら、隊長。楽しかったよ!」
そう言ってショットライザーをこちらに向け、トリガーをー
「そうはさせん!」
その声と同時に、ショットライザーが蹴り飛ばされた。
「お前は…刃!」
その場に現れたのは仮面ライダーバルキリー、ラッシングチーター。AIMS隊長の刃唯阿だった。
「お前たちは民間人の避難と不破の護衛を!」
遅れて現れたAIMSの隊員たちが刃の命令を聞いて即座に行動を起こし、俺の周りをAIMS隊員たちが囲んだ。
「ちっ、寄りによってAIMSか、めんどくせぇな…。」翡翠はそう零したが、
「ま、アンタともやり合ってみたかったんだ、刃唯阿。丁度いいか。」と楽しげに言った。
「誰だ?お前。」
刃は率直に言った。
「翡翠 蓮。元AIMS副隊長だ…。」
俺は少しだけ体を上げ、そう刃に告げた。
「何?あの男が?…それより不破、無理に動くな。その体で無理をするのは危険だ。」
「…ああ、後は休ませてもらう。」
「お前が素直に話を聞くとは…、どうした?何か変なものでも食べたか?」
「…冗談言ってる場合じゃないぞ。あいつは…半端なく強い。」
「なるほどな…。不破がここまで追い詰められるとは。こいつは相当強いらしい。」
「そろそろ喋っていいかい?蚊帳の外は辛いんだけど〜。」
こちらの話が終わった頃に翡翠は余裕たっぷりに話した。
「悪かったな。これからたっぷり相手してやる!」
刃はアークバルカンめがけて滑りこみ後ろから足元へ蹴りを放ったが、アークバルカンはジャンプして距離をとりながらショットライザーを拾い、刃にめがけて放った。刃はすぐさま体勢を変えてアークバルカンの周りを走りながら銃弾を避けつつショットライザーを放ち隙をうかがっていた。対するアークバルカンは一発一発を的確に防御し、刃の足元を狙い銃弾を放つ。ヤツの狙い通り、地面がボロボロになり走りづらい地形になった。
「くっ!こいつはかなりできるな!」
刃はアークバルカンに近づき肉弾戦をしかけた。蹴りは腕で止められ、拳は一発目は避けられ二発目は腕を掴まれた。
「くっ!」右足の蹴りは左足で止められアークバルカンの膝打ちが決まった。
思わず刃もよろめき後ずさりした。
「こいつ…、何て戦闘能力だ…!」
「あれあれ?AIMS隊長サマがこの程度ってどうなの?んじゃ次は…?!」
突如、アークバルカンが動きをとめ、後方を見た。
「やれやれ…。今かよ。ったくいい所で呼び出しくれちゃってさ。」
「今だ!」刃はラッシングチーターキーのボタンを押しトリガーを引いた。
「ラッシングブラスト!フィーバー!!」
「んなっ!?」
一瞬反応が遅れた翡翠は防御の姿勢が間に合わずライダーキックが直撃し大爆発を引き起こした。
「ぐはっ!…今のはヤバかったな…。まいい、そろそろ去るか…。」
煙の中からその言葉が聞こえた後、翡翠は姿を消した。
「あいつは一体…。」
刃がそう零した。
「あいつは…アークバルカンと名乗った…。」
その言葉を最後に俺は地に倒れ気を失った。
「な?!不破!すぐに病院に搬送しろ!」
私は隊員たちにそう言い、遅れて到着した専用車両に乗っていた亡に、「今回の敵もどうやらアークのようだ。」
と言いながらチーターのキーを渡し、
「さっきの戦闘データが入ってる。そこからヤツの解析を頼みたい。」と伝えた。
「分かりました。しかし、そうなってくるとやはり…。」
「ああ、今開発中の新型キーの製造を早めなければ。」
そう言いながら、私と亡はパソコンに映っている開発途中のキーのデータを眺めていた。
はい、どうでしたでしょうか?展開が早いとか色々言いたいことはあるでしょうが、先に言っときますと、この作品は言わば「慣らし」みたいなものです。本当に書きたいな〜って思う作品は別にあって(その作品も仮面ライダーゼロワンに関係する作品)、その為に色々試したいなって思ってこの作品を作りました。まあまだ第一章なのですがね笑。
まあ気に入ってくれたら幸いです。ちなみに翡翠については全部終わったら解説します。