第二章 夢を追う狼の決意
「…ん、ここは…?」
目が覚めたら白い天井が見えた。こんなことが前にもあったような…。
「病院だよ、不破さん。」
声のする方へ体を向けると、或人が見舞いに来ていた。どうやら倒れた後病院へ運び込まれたようだ。
「来てたのか…。いいのか?仕事ほったらかして。」
「そっちはイズや福添さんたちがやってくれてる。それよりも…」
「アークの件か。」遮るようにいいながら体を起こした。
「ええ。大丈夫ですか?あんまり無茶は…」
「こっちの方が楽だ。それで、あの後あいつは?」
「AIMSが追跡したらしいけど、手がかりはなし。」
「そうか…。あいつは誰かに呼び出されたようだった。裏で動いてるヤツがいるはずだ…。」
「アークが関わってるとなると、一筋縄では行かない。不破さんや刃さんも苦戦したって聞いたし。とにかく、今は安静にしてて。」そう言って俺に布団を被せてきた。
「ああ、悪いが今はそうさせてもらう。」
俺はそのまま目を瞑り、深い眠りの中へ落ちていった。
ー数日後ー
あの後すぐに退院した俺は、刃と共に飛電の社長室にあるラボに呼ばれていた。
「で?用って何だ或人。」
「あれから数日経つけどあいつに動きはない。だから今のうちに対策を立てたくて。それに…翡翠さん?の過去についても知りたくて。そっちはイズに調べてもらった。イズ、頼む。」
「はい。」と、或人の後ろにいたイズが前に出て話し始めた。
「翡翠 蓮。1990年10月18日生まれの29歳。身長175cm。血液型はB型。
イズはまず翡翠のプロフィールから話し、
「〜の時期にAIMSを脱退、その後の行動については不明です。」と簡単にこれまでの経歴を語った。
「次に、彼の家族構成について。父と母と本人の三人家族ですが、両親は12年前、17歳の頃に既に死亡しています。」
「12年前って…、まさか」俺はそう零した。12年前に起きた出来事と言えば…。
「はい、皆様のご想像通り、デイブレイクによるものです。しかし母親の方はデイブレイクで起きた爆発事故の影響で死亡したのに対し、父親は病院へ搬送された後三日後に死亡しました。」
「…そうか。」ここに来て、またデイブレイクが大きな影を落としていたとは…。
「そして、父親の死亡理由についてですが、アークのハッキングにより暴走したヒューマギアに襲われた時に負った傷が原因だということです。」
「何だと?!」俺はたまらず声を荒げた。ヒューマギアに襲われた…。俺は過去の記憶がー天津に植え付けられた偽の記憶が蘇った。
翡翠本人が体験した訳では無いにせよ、そんな体験をした人が身内にいて、しかもそのせいで死んだとなれば、ヒューマギアを憎むことにも納得がいく。
「あいつは俺が止める。」強い決心と共にそう言った。
「お言葉ですが、彼はアークの力を持っています。アークの力に対抗できるのはゼロツーのみです。ここは或人社長に任せるのがよいかと。」イズは冷静にそう答えた。が、
「そういう問題じゃねえ!」と、言い表しがたい感情をぶつけるかのようにラボの壁に拳を叩きつけた。
「あいつと俺は同じだ。ヒューマギアによって人生を大きく変えられた。だが違う点は本当に起きてるか否かだがな。でもあいつは、自分の目で、心で、ヒューマギアを見れてねえ。あいつに教えてやる必要がある。憎しみも恨みも過去も関係なく、ヒューマギアを見ることを。そしてそれができるのはただ一人、俺だ。」
「不破さん…」「不破…」或人も刃も俺の覚悟を感じてか何も言えなかったが、
「分かった。なら俺たちが全力でサポートする。」と答えてくれた。
「なら、そのためにも話したいことがある。」と続いて刃が話した。
「話したいこと?何だ。」
「アークバルカンの仕組みと新しいキーの話だ。」
「アークバルカンの仕組み?どういうことだ?」
「お前が寝てる間に、お前のキーとショットライザーに記録されてる戦闘データを見せてもらった。」
「いつの間に…。で、何が分かったんだ?」
「あいつのアーマー内には特殊な流体金属が含まれていて、攻撃を受けた際にダイラタンシーを利用して防御力を大幅に上昇する仕組みになっている。」
「ダイラタンシー?なんだそれ。」
「ダイラタンシーとは、ある種の混合物が示す、遅いせん断刺激には液体のように振る舞い、より速いせん断刺激に対してはあたかも固体のような抵抗力を発揮する性質のことを言います。簡単に言えば、普段は液体ですが、圧力を受けると固体になる、ということです。」
「なるほどな、つまりアークバルカンは攻撃を受ける時は普段より防御力が上がるってことか。」
「ああ、大雑把に言えばそういうことだ。だが全ての攻撃を防ぐ訳でもない。お前の捨て身の攻撃や私の一撃でもダメージを受けてる様子だったしな。」
「つまり、あいつの防御力を上回る力を出して倒すかってことか。」
「そうだ、そしてその他にも防御力に関係なくダメージを与えることが出来ればいい。その為にも新型のキーが必要になってくる。」
そう言って刃は開発中のキーのデータを投影した。
「今作ってるのは二つ。一つ目は『オーバーラッシュチーター』。私のラッシングチータープログライズキーを強化発展したものだ。こっちは前々から開発を進めてたこともあって既に80%完成してる。もう一つは不破、お前用だ。」
「俺用?」
「前回の戦いでお前はアークバルカンに手も足も出なかった。そこでお前用に新たなキーを作ることにした。しかし私も亡もオーバーラッシュチーターの方で手一杯だ。そこでだ、或人社長。このキーのデータを託す。あなた達にこのキーを完成させてもらいたい。頼めるか?」
「分かった。そういうことなら俺たちに任せてくれ。不破さん、刃さん。」
強い決意の元、俺たちは動き出した。
〜都内某所 ビルの屋上〜
「ねえ聞いた?またアークが動き出したって、滅。」
「ああ、既に聞いている。」
「ねえねえ、僕達はどうする?手助けする?」
「いや、俺は別で動く。」
「別?何すんの?」
「おそらく背後にはアズがいる。あいつを追う。」
「分かった。僕も付き合うよ!」
「フッ。勝手にしろ。」
滅は微笑みながらそう言ったが、すぐに真剣な眼差しでデイブレイクタウンを見つめていた。
「…それだけで済めばいいが……。」
不穏なつぶやきと共に。
〜デイブレイクタウン 廃墟ビル屋上〜
「おい。来てやったぞ。」
「遅い〜。呼び出してから時間経ちすぎ〜。」
「うるさい。確か…アズだったか?力をくれたことには感謝してるが、お前『達』がヒューマギアであることに変わりはない。後回しにしてるだけでお前達もいつかは…。」
「はいはい。その時はどーぞやっちゃってね。」
「それで?用は?」
「トリロバイト使いすぎ〜。あれだけの量を作るのは時間かかるんだよ〜?」
「知らん。それよりあれの三倍は貰うぞ。」
「そんなに〜?それくらいの量だと『彼』でも大体一週間はかかるよ?それでもいい?」
「構わん。」
「もー、そんなに怒らないでよ〜。」
そんな私の小馬鹿にしたような言葉を聞かずに、翡翠 蓮は『彼』をずっと睨んでいた。
そんな『彼」は翡翠 蓮を気にせず月を眺めて、「アークの物語は、もうすぐ終わる…。」と呟いた。
面白いことになりそ〜と、私は彼らをずっと見つめていた。彼らの後ろにいるはずのないアーク様を感じながら…。
どうでしたか?後半思いっきり匂わせしましたが『彼』についてはそのうちということで、本編としては新たなキーを作り出しアークバルカンに対抗する不破さん一行と、騒動の裏に潜むアズを探す滅と迅、そして怪しく動く翡翠とアズと彼という、準備期間みたいなイメージで書いてみました。特に不破さんが或人の決めゼリフを使ったところとか自分的には好きです。さて、次回で一応最終回。どんな終わりを見せるのかちょこっとご期待ください。
さて、ここでオリキャラの解説をしたいと思います。
翡翠 蓮(ひすい れん)/仮面ライダーアークバルカン
年齢や血液型などのプロフィールは本編に記載した通りなので、ここでは本編では語られておらず、かつ不破さん達も知らない部分のある彼の過去と力を手に入れた経緯をざっくり話していきます。
両親を失った後、ヒューマギアへの憎しみから反ヒューマギア活動を起こすも成功せず、サイバーテロ対策部隊であるAIMSであれば、ヒューマギアを滅ぼせるのではと思い入隊。実力を見せ副隊長まで就任する(この時既に不破は隊長に就任していた他、副隊長の座は空白だった)。不破との関わりの中で彼にも自分と似た過去を持っていること、同じヒューマギアを憎む者だと知り深い信頼と憧れを持つようになる。しかし、不破とは違い自由に動けないことに苛立つ中で仮面ライダーになった不破との差を感じここにいては不破を越せない、ヒューマギアを滅ぼせないと思いAIMSを脱退(時期としては第四話と第五話の間)。その後は滅亡迅雷.netの騒ぎに紛れて数体のヒューマギアを処分したりしていた。ZAIAがヒューマギアをリコールした後はAIMSへ戻ることも考えたが、天津の私兵状態であることを知り結局AIMSに復活することはなかった。飛電或人と滅が互いにアークを乗り越え、人とヒューマギアが共に生きる世の中になってからは世界そのものへの憎しみを持ちシンクネットの一員となりアバドンへ変身し楽園騒動に加担するも、仮面ライダー達に邪魔されて結果的に敗北することになった。が、この事件で自分の原点=ヒューマギアへの憎しみを再確認し、その悪意をキャッチしたアズが接触したことでアークバルカンの力を手に入れた。という流れです。性格としては元々陽気だったものの、ヒューマギアへの憎しみが相手を挑発するかのような性格に大きく変えてしまったのです。
次はアークバルカンについて
仮面ライダーアークバルカン
ショットライザーとアークバルカンプログライズキーを用いて変身する仮面ライダーであり、アークの力を持つライダーでもある。
スペックは
身長200.4cm
体重120kg
パンチ力55.8t
キック力109.6t
ジャンプ力89.5m(ひと飛び)
走力0.6秒(100m)
アークワンの数値を参考にランペイジバルカンを全て上回るように設定してみました。まあ数値なんてそこまで関係ないですが折角なので考えてみました。
アークバルカン特有の能力としては、スーツ内に封入されている特別な流体金属を利用したダイラタンシーによる防御力の大幅な向上。やってることや原理は仮面ライダーローグと同じです。ただし、人間が使用するデバイスであるショットライザーと、人間を使い捨てにすること前提のアークの力を用いて変身している都合上、システム同士がぶつかり合い結果的に中途半端なものになってしまっています。それと自分でアタッシュウェポンを作り出したりは出来ません。そもそもショットライザーにそんな機能ないので。オリジナルのライダーを考える時に、ゼロツーが出てすぐ終わり、ってのはつまらないなと思いゼロツーでも苦戦するような能力を考えたところ、今回のような能力が思いつきました。まあゼロツーなら初戦では勝てなくても二戦目で倒せそうだけどって後で思いました。