最強の犯罪者は転生しても生き方を変えないようです   作:掲示板特化型マスター

2 / 3
超々超絶お久しぶりです。
…おそらく誰も存じ上げてないと思いますが、タイトルと設定で止まっている
未完の大器的作品()でございます。
一年ぶりにハーメルンに復帰いたしましたトンデモクソ野郎こと
作者です。
まぁ何はともあれ今後ともふと思い出した時に検索いただけると幸いです。


怪物の産声

 □2xxx年某月某日

 

「知らない天井ですね」

 

 そんな、シュウがいれば思わずツッコんでしまいたくなるような天然発言と共に目を覚ますと、私の視界にはガラス越しにコンクリート製の無機質な天井が映った。

 というか何故ガラス越しなんだ? 私は確かに先ほどインフィニットデンドログラムからログアウトした。であれば私は私室の椅子に座っているはずだ。おかしい……体の感覚もいつもと違う。というかむしろ慣れ親しんだ感覚ではあるのだが、リアルではありえないことだ。恐る恐る自分の姿を確認してみる。

 

「……は?」

 

 なんと瓶に入ったスライムがいるではないか! 流石のゼクスも驚愕の色を隠せず1分ほど膠着してしまった。何とか平常心を取り戻し状況を把握しようと試みる。

 

 ──なぜこのような場所に? 移動させるなら私に知らせない理由がない。誘拐の線もありえない。そのようなことを一家が防げぬはずない。……それになんだこの体は! エンブリオの反応がない以上私の体だが、小さい。体積はまるで赤子の様だ。──

 

 とりあえず、ここから脱出して状況を把握しなければならない。瓶の隙間から速やかに脱出すると部屋の全貌が見えた。

 

「まるで、日本の納骨堂のようですね」

 

 棚にはゼクスが入れられていたものと同じ瓶がきれいに整頓されていた。そして瓶の下には身分について簡素に書かれていた。文字は日本語だったのでやはりここは日本のようだ。ゼクスは感覚的に自身の体が【ヌン】に極めて近いものだと感じたので、いくつかの瓶から同じスライムを吸収し、自身の体に取り込んだ。

 

 その後の脱出は拍子抜けするほど簡単だった。どうやら地下室だったようで、換気扇があったのだ。スライムの体ならば余裕で通れる。外に出ると、月夜に照らされた和風建築の家の庭だった。急いで庭の隅にあった物置小屋に隠れると、自分の状態を確認した。

 

 ──やはりジョブ由来のスキルは一切使えませんね。アイテムも皆無。リアルですから当然と言えば当然ですが、それではこの体の説明がつかない。【ヌン】のスキルは《シェイプシフト》(正確には【変形】の個性)と《液状生命体》の一部は使えるようですね。おや? 習得した覚えのないものがいくつか使えますね。思考強化系はありがたいですし、()()()()()()()()()。追々確認しましょう。──

 

 ひとまず情報を集めるために外に出なくては。この家の者に発見されても面倒ですし。ゼクスは迅速に塀を越えて外に出ると、本来のアバターに姿を変えた。周囲には似たような和風建築が並んでいる。

 一瞬タイムスリップしたかと錯覚するような景色。

 

「ほう……なんとも雅な所ですね」

 

 そこは西の都「京都」だった。

 

「そういえば天地はまだ行ったことがないので、なんとも新鮮ですね。散策しつつ、情報を集めましょうか。たしかシュウも日本在住でしたね。もしかしたら会えるかもしれません」

 

 夜の京都を歩くその姿はまるで平安の化生か、はたまた現代最悪最凶の犯罪者か。

 ゼクスは微笑む。彼が選んだ選択と、その身に刻まれた血の因縁が引き寄せる

大いなる動乱の気配を感じて。

 

 

 

 

 




やっとゼクス登場です。
結構分かりやすい伏線がそこそこ張ってありますが、そこは割とすぐにわかります。

補足としては、ゼクスがあの体に適応できた理由は、
①元々体の使い方がわかっていたこと
②別世界でのアバターからの転生なので、超級職を抱えられるほどの器を既に所持していたこと
などが挙げられます。

筆者とて思うところはあります。再起を図っているので、どうぞよろしくお願い致します。
それでは。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。