一人旅より二人旅   作:一撃で瀕死になる人

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今回は原作や漫画版だと最初、アニメだと二話の内容である魔法使いの国です。
カイ視点ではサヤ関連の話を全て書くことはできないので半分オリジナルですね。

いつかは国や登場人物を全てオリジナルで書きたいですけど難しさを感じさせられました。


魔法使いの国と小さな炎(前編)

 旅に出て二年は経っていた。

 殺伐とした山岳地帯を、俺たちは飛んでいた。

 俺の場合は飛んでいたというよりも跳んでいただが。

 前へ跳んだら途中で空中に足場を作り、もう一度跳ぶことの繰り返しをしていた。

 当然魔力を使うので普通の道が続いているからしないのだが今回は地形の関係上仕方なかった。

 

「……もうすぐですね。ちゃんとほうきの練習はしましたか?」

「大丈夫大丈夫、昔乗ったことあるんだから乗れるって」

「昨日の内に確認するようお願いした筈ですが?」

「いやー、昨日は新しい魔道具を完成させたくて……」

「…………」

 

 何やってるんですか……と言いたそうな瑠璃色の瞳がこちらを見てくるが気にしない気にしない。

 ほうきにはヴィクトリカさんの所で教わっていた時に乗れてたしこれから訪れる国の入国審査は問題ないはず。

 

「素敵なところだと良いな、魔法使いの国」

「そうですね。魔女である私はちやほやされること間違いなしです」

「偉大なる灰の魔女様、どうかこの店のパンを全部持って行ってくださいーとか言われるかもな」

「それは良いですね。そしたら少し分けてあげますよ」

「ははは、ありがとうございます魔女様」

 

 魔法使いの国。

 そこは魔法使いでないと入れない国らしく、入国するためには魔法使いであることを証明しないといけないらしい。

 父さんと母さんも訪れたことがあるらしいが魔法を使えない父さんは中に入ることができず、門の前で野宿したらしい。

 母さんは国を満喫したとか。父さん……。

 そんなことを思い出している内に目的の国が見えてきた。

 高い壁がまず目に入り、その下に見つけた門に俺たちは向かった。

 

「ようこそ、魔法使いの国へ。どうぞ中へお入りください、魔女様」

「魔法使いかどうかの審査はしないんですか?」

「あなたが飛んでくるのを見ていましたから。それにそのブローチは紛うことなく魔女のもの。どうぞお入りください」

 

 なるほど、魔法使いの最高峰である魔女の証であるブローチを付けているイレイナは審査するまでもなく優秀な魔法使いだとわかるな。

 門をくぐるイレイナに俺も続いて行こうとしたところ門兵に止められた。

 

「あっ、あなたは別ですよ」

「俺も彼女と一緒に来てたのが見えてたと思いますけど」

「確かに見てましたがどうやらほうきを使っていなかったようでしたのであなたには審査を受けていただきます」

「魔女と一緒に旅をしているのが証明とかになったりは……?」

「しません」

「ですよねー」

 

 まぁそりゃそうだ。魔女と一緒にいるからと言ってその人も魔法を使えるとは限らないわけだから。

 分かっていながらこんな会話をするのは単純に俺が会話を楽しみたいからだ。

 少し時間がかかるだろうから俺はイレイナに声を掛けた。

 

「イレイナ、先に行ってくれ。後で合流しよう」

「分かりました。宿は私の方で探しておきます」

 

 そう言ってイレイナは国の中に入っていった。

 彼女のことだから、「魔女である私は高いホテルに泊まるのは当然のことです。ふふん」とか言って立派なホテルを取るのだろう。

 そんなことを考えながら門兵に向き直った。

 

「では入国審査をお願いします」

「はい、ではまず……」

 

 俺は門兵の質問に答えたり、簡単な魔法を見せた。

 

「ありがとうございます。では最後にほうきで空を飛んでみてください」

「了解です」

 

 俺はほうきを取り出した。

 俺のほうきはイレイナのと比べると人が乗るための木の部分が太めに作られている。

 このほうきを作ったのは師匠に弟子入りした後だったと思うけど理由は思い出せない。

 今は審査を通過することの方が重要なため、ほうきに跨り、飛ぶように魔力を込めた。

 

「ん?うぉっ!?」

 

 少しだけ上に浮くつもりがすごい勢いで上に飛んでいき、高度を下げようとしたところ、これまたすごい勢いで落ちていき俺は地面と激突した。

 

「…………これでは我が国に入国することはできませんね」

「ちょっとだけ待ってください!久しぶりに乗ったから感覚が思い出せてないだけでちゃんと乗れますので」

「はぁ……わかりました。ではしっかり乗れるようになったらまた来てください。一応ここから見ておきますけど」

「ありがとうございます」

 

 父さんと同じで野宿はしたくなかった俺はほうきの練習をすることにした。

 しかし、数時間練習したところで動きが改善されることはなかった。

 既に夕方になったいた。

 

「どうしてだ……どうして上手くできないんだ」

 

 俺は頭を抱えていた。

 魔法使いにとってほうきで空を飛ぶのは基礎だと言える。イレイナ程魔力を持っているわけではないが、それでもほうきに乗れないほど魔力がないわけでもない。

 

「もうすぐ日が落ちてしまいますよ。しかしあなたのほうきは少し太いですね。まるで跨いだり座ったりするのを考えてないような作りです」

 

 俺たち以外の入国者がいないため、ずっと見ていてくれた門兵がそう言ってきた。

 その言葉に俺はハッとした。

 

「そうだ、その通りですよ!これは座ったり跨いだりするためのものじゃなかったんです」

 

 俺は門兵にそう言ってこのほうきの正しい使い方を見せる。

 

「ほうきの上に立つ……ですか。初めて見ましたよ」

 

 そう。このほうきは空中で戦う場合を想定して作られたもので、手足を自由に使えるようにと少し太めとすることでほうきの上に立てるようになっている。

 今度こそ自由にほうきを乗りこなして見せる俺に門兵は満足そうに頷いた。

 

「ほうきでの飛行を確認しました。どうぞ中へお入りください」

「ありがとうございます」

 

 笑顔で門兵が迎えてくれ、俺も少し嬉しくなって手を振って進んでいった。

 

 門を越えたところで目の前に二つの看板が並んでいた。

 この意味はほうきの練習をしている最中に門兵が教えてくれたので意味は分かっていた。

 空を飛ぶことを推奨するということらしいが、俺は歩くことにした。

 もうすぐ夜になってしまうので俺は急いで宝石屋に入った。

 俺は店主に宝石を渡していくらになるか見てもらった。

 

「これはここいらでは珍しい宝石だねぇ。そうだね、金貨五枚でどうだい?」

「もう一つあるので合わせて十五枚でどうです?」

「お兄さんなかなか強欲だねぇ。十三枚でどうだい?」

「ならそれで手を打ちましょう」

 

 この宝石は以前訪れた国で原石の状態で買ったものを俺が加工したものだ。

 この交渉も俺が旅人として見つけた娯楽の一つである。お金を稼げるし楽しめる。一石二鳥だ。

 店主からお金を受け取った後、店を出ると既に真っ暗だった。

 思っていたよりも時間を掛けすぎていたようだ。

 とりあえずイレイナに合流しようと右手の中指につけてある銀色の指輪に魔力を込める。

 この指輪は俺が作ったもので、魔力を込めれば同じ指輪をした人の位置が分かるというものだ。

 旅を始めた頃、待ち合わせ場所をせずに別行動をしていたらお互い会えないまま深夜になっていたことがある。

 それを解決するために作ったのがこの指輪だ。

 この指輪を渡した時イレイナがよく分からない反応をしていたが、理由を説明すると、「そういうことでしたか……」と言って受け取って俺と同じく右手の中指につけていた。

 

 

 指輪を頼りに進んでいくとイレイナの姿が見えた。

 彼女もこっちの方に向かおうとしていたらしかったが、何やら元気がない。

 

「どうしたイレイナ?何かあったか?」

「はい……実はブローチを失くしてしまいまして」

 

 イレイナが語ってくれたのは国に入った後の話。

 ほうきで空を飛んでいたら魔導士と衝突したこと、立派な宿屋には門前払いされたこと、安宿でその魔導士と再会したこと、その時にブローチがないことに気付いたことについてだった。

 

「そしてこの時間まで探していたんですけど……」

「見つからなかったってわけね。怪我はしなかったか?」

「私の方は大丈夫でしたし相手の方の怪我は治しておきました」

「まぁそれなら大丈夫か……?あんまり好ましくないけど。んでブローチを探すのは俺に任せてくれ。丁度いい機会だ」

「何をするんですか?」

「ふふん、これよ」

 

 俺が鞄から取り出したのは二本の途中で曲がっている金属の棒である。

 

「これは俺が昨日完成させた魔道具でな。この棒を平行に持って歩いていると探し物が近いときに反応して外側に開くんだ」

「ほうきの練習せずに作成してたやつですね。ではお願いします」

「おうよ」

 

 そうして俺は魔道具を持ってイレイナが通った道を歩き出した。

 

 

 少ししてある建物の前に来た時に魔道具が反応した。

 

「おっと。どうやらこの建物にあるらしいぞ」

「…………ここは今日泊まる予定の宿ですけど。私の荷物に反応してません?」

「あれおかしいな……ちゃんと作れたと思ったんだけど……」

「はぁ……今日はここまでにして休みましょう」

「……そうだな」

 

 ショックを受けているイレイナを助けれなくて悔しい思いをしながら俺たちは安宿に入った。

 

「いらっしゃま___ってイレイナさんでしたか。遅かったじゃないですか心配しましたよって隣の方は?」

 

 カウンターにいたのは黒髪の少女。歳は俺たちより下って感じかな。

 

「私と一緒に旅をしているカイですよ、サヤさん」

「どうも。君がイレイナとぶつかったサヤちゃんだね。怪我は大丈夫かい?」

「イレイナさんに治してもらったので平気です!」

「大丈夫そうだね。んじゃ俺の部屋を案内してくれないかな」

「はい、こちらです」

 

 俺は彼女に連れられて宿泊する部屋にたどり着いた。イレイナが二人分受付していてくれたので彼女の隣の部屋だった。

 荷物を部屋に置いて浴衣に着替えた俺は大浴場を使用することにした。

 部屋を出たら丁度イレイナも大浴場に行くみたいだったから一緒に行くことにした。

 男女別に分けられている入口の前で別れて俺は誰もいない大浴場を満喫した。

 ……流石に混浴だったり分けられているか分からない大浴場には行かないぞ?

 

 

 少し風呂に浸かりすぎたかと思ったが、まだイレイナは出てきてないみたいだった。

 なので俺はカウンターにいた店主に頼んで水を二杯用意してもらい、大浴場の前でイレイナを待った。

 

 ようやく出てきたイレイナに水を渡した。

 

「ありがとうございます」

 

 まだ少し元気がないな。何とかして元気付けられないだろうか。

 何か面白い話題でも出すか?何かあげるか?何か笑わえるようなことをするか?

 その答えが出ないまま俺たちは自分の部屋の前に戻った。

 

「あーイレイナ、元気出してな。俺も手伝うからさ」

「ありがとうございます。それではおやすみなさい」

「おやすみ」

 

 そう言って俺は自分の部屋のドアを開けて中に入ろうとしたが、自分の部屋のドアを開けたイレイナが何故か中に入らないでドアを閉めていた。

 

「どうした?」

「いえ……幻覚かもしれません。代わりにドアを開けてもらってもいいですか」

 

 意味が分からなかったが俺は彼女の部屋のドアを開けた。

 

「あ、どもー。カイさんの部屋はこちらではなく隣ですよー」

「あっはい」

 

 部屋の中にはサヤちゃんの姿。

 鍵は掛かっていたはずだし、ここはイレイナ一人だけの部屋だった筈だが。

 

「もしかして彼女と相部屋だった?」

「違います」

「僕はこの部屋で働いているんですよ?予備の鍵くらい持ってて当然です」

「…………」

 イレイナは黙ったまま、鍵束をこちらに見せつけていたサヤちゃんの頬をつまんで弄りまわしていた。

 彼女が将来犯罪者にならないか不安だ。

 

 端的にまとめると、サヤちゃんは妹と一緒にこの国に来ていたが妹は先に魔女見習いになっていなくなり、焦りからか魔女である(自称)イレイナ(魔女のブローチなし)に魔女見習いになるための極意を教えてほしいということらしい。

 この時サヤちゃんは土下座をして頼み込んでいたが、それを見るイレイナの目が少し怪しかった。

 俺も昔イレイナにやったことがあるけどもしかしてこんな目で見られてたのか……?

 少し怖い。

 

 結果的にイレイナは彼女の頼みを聞くことにした。

 当然そうなると魔女のブローチを探す時間が減るのである。イレイナはそのことを少し気にしていた。

 

「俺もブローチ探すの手伝うからイレイナは気兼ねなくサヤちゃんに魔法を教えてあげてくれ」

「良いんですか?それだとあなたの時間を奪うことになりますけど」

「この国の観光や情報収集のついでに行うだけだから心配無用。その代わりと言っては何だけどたまにそっちの様子を見に行かせてもらうかな」

「それくらいは構いませんけど。ではそれでよろしくお願いします」

 

 

 

 それからイレイナによる魔法の特訓が始まった。

 俺は魔法について教えることはないので国を見て回ることにした。

 特に考えもなく道を歩いている最中、路地裏の方から声が聞こえた。

 気になった俺はその場所に向かった。

 そこには四人の十歳くらいの子どもたちがいたが、蹲る赤い髪をした少年をほうきに乗った少年三人が囲んでいる状況だった。

 この国特有の遊びなのかと思ったが、そういった雰囲気ではなさそうだ。

 

「どうした~魔導士見習い。何かやり返してみろよ。できるもんならな~」

「お前みたいなやつじゃ俺たちに何年かかっても勝てっこないんだからな」

「だからお前は魔導士見習いなんだよ!」

「…………」

 

 どうやらいじめだ。

 魔法使いは上から魔女、魔女見習い、魔道士と分類される。

 だが彼らが言う魔道士見習いというものは初めて聞いたが恐らくは蔑称だろう。

 見た以上無視することはできない俺は彼らの前に立った。

 

「君たち、そこで何をやっている?」

「ゲ、大人だ逃げろ!」

 

 一人がそう言った後三人はほうきで空に逃げていった。

 俺は残された一人の傍によってからしゃがんで声をかけた。

 

「君、大丈夫かい?」

「…………」

「もしかしてどこか怪我してるのかい?」

「…………」

 

 特に怪我もなさそうだが、彼からの反応はない。

 

「魔導士見習いって何か教えてくれないかい?お兄さんはこの国に来たばかりでね。分からないことが多いんだ」

「…………お兄さんも、僕のこと魔導士見習いって言うんだ」

「いやいやそうじゃない。さっきの子たちの話を聞いててね。意味が分からなかったから知りたいだけなんだよ」

「魔導士見習いってのは僕のように魔法を上手に扱えない魔法使いのことを言うんだよ。魔導士よりも下だから魔導士見習い」

「なるほど、ね。ところで君はどこまで魔法を使えるんだい?」

「ほうきは乗れる。魔法もいくつか使える。けれど同年代の子たちに比べたらほうきの速度は遅いし使える魔法の数も少ない」

 

 そう言って彼はほうきに乗って空を飛び、目の前でいくつかの魔法を実践して見せた。

 確かに同年代の子と比べたら彼の魔法は貧弱なのかもしれない。

 

「君の実力はおおよそ分かった。だけどね、別に魔法だけが全てってわけじゃないのさ。お兄さんだって昨日までほうきの乗り方が分からなくなってこの国に入るのに苦労したんだよ?」

「え、本当?」

「本当の本当さ。なんなら俺が君くらいの年齢だった頃なんて扱える魔法の種類なんて君より少なかったくらいさ」

 

 これは師匠から練習する魔法を決められていた結果、その時は使える魔法が少なかったというだけで、今は人並みにはいろんな魔法が使えるのだが。

 それを言うのは酷というものなので黙っているのが吉。この子も時間を掛ければいろんな魔法が使えるだろうしな。

 

「当時、小さい俺と一緒に魔法を教わってた子がいるんだけど、その子は俺よりも格段に優秀でね。俺はその子と並び立つことができるように魔法以外の修行をしたものだよ」

「お兄さんって強いの?」

「強いよ強い。魔女と近い距離で戦ったら大体勝てるくらいには強いよ」

「遠い距離だと?」

「その魔女次第かなー。魔女の中でも戦闘に長けた魔女や薬を作るのに長けた魔女など様々だからね」

 

 ちなみに離れた距離からイレイナと戦ったら俺は負けるのだ。遠距離だけだと俺は決め手に欠けるからな。

 

「僕もお兄さんみたいに強くなれるかな……?」

「それは君の努力次第だね。俺だって数日で強くなれたわけじゃないからね」

 

 俺が思い出すのは修業の日々。

 突然師匠が思いついたことを取り入れたりして大変なことも多かったが、今振り返ると良い思い出だ。

 

「お兄さん、僕を強くしてください」

「顔を上げなさい」

 

 彼は俺に頭を下げて頼み込んできた。

 顔を上げた彼の眼には先ほどまで蹲っていた少年と同一人物だとは思えない程意志の強さを感じさせた。

 

「まず君に言っておくことがある。俺は旅人でいつこの国を離れるか分からない。そして俺はたくさんの魔法を教えることができない」

「はい」

「だから君に教えれることは簡単な体の使い方と特訓方法だけ。それでも良いかい?」

「はい!」

「それでは今から特訓を始めよう。君の名前は?」

「エイデンです」

「俺はカイ。よろしく、エイデン」

「これからよろしくお願いします、先生!」

 

 イレイナに続き俺まで誰かに教えることになるとはな。

 だが先生と言われるのは悪い気分じゃない。

 

 俺たちは誰もいない広場に行き、エイデンと向かい合った。

 

「ではエイデン、君にとって力とはなんだい?」

「えーっと、敵を倒すことができるものですかね」

「まぁ外れてはいないな。けど正解でもない」

「なら何ですか?」

「正直言ってしまうとこの問題には正解がないんだ。だけどこれが重要なんだ」

「重要……ですか?」

「その人が力をどういったものと捉えているかによって、力の振るわれ方というものが変わってくるんだ。例えば力とは他者から欲しいものを奪うためのものだと考えている人の場合、力は何の罪もない人々に向けられ、多くの悲しみを生むだろう。君の考えている敵を倒すものだという考えも、敵という対象の定義によってはこれと同じ結果を生むことになるかもしれない」

「そんな……」

 

 絶望したような顔をするエイデン。

 

「もちろん君がそんなことをする人間だとは思ってないよ。そうなってしまうという可能性の話さ」

「では、どうすれば良いんですか?」

「さっきも言った通り正解はない。一国の王の場合、例えの考え方でも必ず間違いだとは言い切れない。暴君という存在もいるしね。けど俺たちは王じゃない。できることは限られるし何かをしなくてはいけない義務もない。だから俺たちは自分の手が届く範囲の大切な人たちを守るためのものという考え方で良いんだよ」

「なるほど」

「君には大切な人がいるかな?今はまだいなくても良い。けれど大切な人ができた時、その人たちを守れるだけの力がないと後悔することになる。これだけは間違いない。分かってくれたかな?」

「はい!」

 

 良い返事をする彼の顔は最初に会った時よりも良いものとなっていく。

 

「よし、それじゃあまずは俺が強くなった方法を教えよう。過重力という魔法があってね。それを一日中自分に掛け続けて生活するんだ」

「えっ」

 

 

 

 その日は夜になるまでエイデンに過重力を使えるように指導した。

 最後の最後で使えるようになった辺り、俺より才能があるのかもしれない。

 明日の待ち合わせ場所と時間を決めてから俺たちは別れた。

 俺も負けられないな。なんて考えながら宿に戻った。

 

「私のブローチ探してくれましたか?」

 

 あっ。

 

 




指輪はつける位置によって意味が変わるようですね。
私はこの話を書くまでは薬指の意味しか知りませんでした。

一応捕捉しますと、カイは自分より年下には少し優しい言葉を使い、年上には丁寧語を使います。素で話すのはイレイナくらいです。そのせいで口調が不安定な感じになってる気がします。
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