月の鏡   作:P.M.FF

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3話

 

極東行きを告げられて2日が過ぎた

 

ルナは呼び出しやらミーティングやら

色々とやるべきことがあって忙しくしているが

ボクの方は特に何も変わらなかった

 

ルナ経由で紹介された家庭教師に

今まで教わってきた内容の見直しと

これから訪れる極東について簡単な予習をして貰いながら

引っ越しの為の荷造りを進めるだけだ

 

リョウ「今日もありがとうございました」

 

本日の勉強も終わり玄関先で家庭教師を見送る

 

今日の予定は打ち合わせに出ているルナが戻ったら

買い物に出かけることになっている

 

下着じゃないよ?

アレだけお説教したにも関わらず

あの変態(ルナ)はまだなんか言っていたが

引っ越すにあたりいくつか必要な物もあったのでそれらの買い出し

 

これから()()()なるのだし

一応、GOD EATERとして現場に出る日も来る…かも知れない

 

女の子としては多少お洒落に興味が無いわけじゃないけど

派手な物を身に付けるよりは

必要最低限に絞り機能性を意識した方が良いと思う

 

決して小さいから似合わないとかは思ってない

ホントだよ?

 

なんて誰に言う訳でもない考え事をしていると

来客を知らせる呼び鈴が鳴った

 

先生が忘れ物でもしたのかと扉を開けると

高級そうなスーツを着たダンディなおじ様が居た

 

?「やぁ、突然すまないね

君がルナ嬢の妹君、加賀美 リョウさん…かな?」

 

明らかにエリートというか高貴そうな方だけど

気さくな感じで話しかけられた

 

リョウ「はい、そうですが…姉に御用ですか?

今、彼女は不在でして…えと」

 

?「ああ、ルナ嬢から聞いているよ

直に戻るから先に部屋へ向かっていてくれ…とね」

 

明らかに目上の人を留守の自宅で待たせるって…

礼儀的にどうなの?

 

我が姉ながら呆れそうになるが

こちらのおじ様は気にした様子も無く

「上がらせて貰っても構わないかね?」

とか、笑顔で聞いてくる

 

慌てて招き入れてひとまずリビングに案内する

 

お金持ちそうな方をこんなマンションの1室に通すのに

なんか申し訳なさを感じながらひとまず紅茶を淹れる

 

おじ様は気にした様子も無く

「お構いなく」とか言ってるけど

お客様だし、招き主は不在だし

頑張っておもてなししなくては

 

リョウ「安物で、申し訳ありませんが…」

 

出来る限り失礼のないように心掛けてカップを差し出すと

 

?「いい香りだね、それに手際も良い

まだ若いだろうにしっかりしているんだね」

 

と、これまた穏やかな笑顔で褒めて貰えた

 

凄い良い人だと思い感心半分

ルナとはどういう関係なんだろうかとふと気になった

 

素敵なおじ様だし、部屋に招くほどなのだから

余程、親しい関係なのだろうか

 

恋人、或いは婚約者か?なんて思いかけたが

すぐに有り得ないと分かる

 

何故ならルナ(レズ)だからだ

 

あの女の性癖はよく知っている

一応、彼女の名誉の為に言っておくが決して男嫌いとかではない

仕事の関係でも親しい男性は居るし

何人かは紹介もされた事がある

見た目()良いし、彼女の友人達からは

周りからモテていると聞いた覚えもある

という事はおじ様からの片想いか?

仮にこのおじ様からアプローチを受けたとすれば

大変なことになりうるぞ…と思わず身震いしながら

よく見るとおじ様の左薬指には指輪が嵌っていたことに

思わず安心してしまった

 

?「どうかしたかね?」

 

おっと顔に出ていたらしい

 

リョウ「いえ、なんでもありません…えっと」

 

そう言えば名前を聞いてなかったことに気付いた

 

リョウ「失礼ですが、お名前を伺ってもよろしいですか?」

 

礼儀作法も色々な人に教わってきたが

目上の、しかもお金持ちそうな方相手だとやはり緊張する

 

?「おっと、すまない…失念していた」

 

おじ様はそう言いながら

スーツの胸ポケットから名刺を取り出しながら

 

「私はエルンスト、エルンスト・デア・フォーゲルバイデ

挨拶が遅れてしまって申し訳ない」

 

フォーゲルバイデ?どこかで聞いたことあるような…

 

ルナ「ただいまー、エルンストさん来てるー?」

 

なんか絶妙なのか微妙なのかと分からないタイミングで

ルナが帰ってきました

 

エル「ルナ嬢、お疲れ様」

 

ルナ「お久しぶりです、お待たせしまい申し訳ありません」

 

にこやかに出迎えるエルンストさんと

丁寧な所作で頭を下げるルナ

 

エル「いや、こちらこそ急な訪問ですまないね」

 

ルナ「それこそ、お気になさらず

フォーゲルバイデ財閥の社長ともなれば

スケジュールも詰まってますでしょう」

 

ルナの応答を聞いて思い出した

今や旧国家群に代わる統治機構と言えるフェンリルだが

前身は一企業ということもあって

その活動を支える資金の中には財閥や貴族といった

有志の寄付などが結構な割合になると言う

 

フォーゲルバイデ財閥は中でも

有数の株主のような立場にあると

以前、教えて貰ったのを思い出しながら

ルナも帰って来たしボクは下がるべきかと考えていると

 

ルナ「それと、遅ればせながら

今回のことはお悔やみ申し上げます…」

 

彼女にしては珍しい、沈痛な面持ちで

深く頭を下げるルナに慌てて倣うように頭を下げる

 

エル「あぁ…ありがとう

そう言えばルナ嬢はあのバカ息子と共に…」

 

ルナ「はい、極東支部への所属期間は短かったですが

彼とは同期の間柄で、肩を並べて戦った仲でした…」

 

そっか…曖昧な記憶になるがボクを引き取った直後

あまり間を置かずにルナは本部所属になったんだったっけ

 

ルナと過ごすようになって4年になるが

ボクは彼女に引き取られる前後の記憶が非常に曖昧だ

でも、記憶を失った訳じゃない

朧気でも、両親や友人を失った時の光景は覚えているし

何より物心が付いてから暮らしていた

居場所・思い出を忘れたことはない

 

あ、やばい泣く…と慌てて部屋に戻ろうとした

ボクの手を掴んだのはルナだった

 

気付いた時にはその胸に顔を埋めるような形で抱き締められ

優しく頭を撫でられる感触

小さくとも確かに聞こえる彼女の鼓動

 

ボクはエルンストさんが居るのも忘れて

ルナに縋り付き泣いていた

 

 




思ったより長くなりそうなので一旦区切ります

エルンストさんについてはこの後
そんなに出番はない(と思う)ので
キャラ紹介は省こうと思います

そしてこのページを書いてる内に
前ページで間違っている箇所に気付いたので
すぐに訂正しようと思いました

校正って大事だと学びました
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