それでも俺は進み続ける。   作:甘味の皇帝

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the final season Part2

戦争終結から数日が経ち、戦士隊を乗せた列車がレベリオ収容区に向かって走っていた。

 

コルト「お前らは見たか!?エルディアの女神ガビの雄姿を!!」

 

その中のひとつの車両で、酒を飲んで酔っ払ったコルトは叫び始める。

 

コルト「ガビは800の同志に代わ一人で…結束手榴弾のみで果敢にも装甲列車に挑んだんだぞ!?」

 

ガビ「ちょっとコルト…酒くさい…」

 

ガビは酔っ払うコルトをジト目で見るが、そんなのお構いなしにコルトはガビに抱きついた。

 

コルト「なぜそんなばかなことをした!?」

 

ガビ「ぐあぁああ」

 

コルト「バカタレぇええ!!同志諸君よ!君はにはわかるか!?このバカタレが誰のために命を張ったか!?俺にはわかるぞ!!それは!!君達エルディア人戦士隊のために他ならない!!」

 

『うぉおおおぉお!!!』

 

 

〜隣の車両〜

 

「隊長…奴らを黙らせましょう」

 

マガト「今宵だけだ。目をつぶろう」

 

〜〜〜

 

『ガービ!!ガービ!!ガービ!!』

 

ガビ「ありがとおおぉぉお!!」

 

いつの間にかガビはコルトに担がれ、歓喜の涙を流していた。

 

ライナー「また見事に担がれたな」

 

ファルコ「兄に酒を飲ませるのが悪いんです…ガビの奴もすぐ調子に乗るから…」

 

ライナー「しかし…実際に鎧の継承権を獲得するのはガビになりそうだ」

 

ファルコ「…そうですね。あなたの"任期"はあと2年ですから。あなたを慕う少女がこのまま順調に鎧を継承すれば、ガビの寿命は27才…艦砲射撃の的にならなければですが」

 

ライナー「…」

 

ファルコ「あなたは…それでいいんですか?」

 

ライナー「…今、お前…何って言った?九つの巨人を継承する名誉を冒涜したのか?」

 

ファルコ「っ!」

 

ライナー「これは直ちに隊に報告しなければならない」

 

ファルコ「え…!」

 

ライナー「俺じゃなくても誰かが聞いていれば即密告だ」

 

そうなれば…コルトは獣の継承権を剥奪されるどころか、お前は親族と共に巨人兵器に加えられるだろう。

 

ライナー「次に飛行船から投下されるのはお前ら謀反人のグライス家一行だ」

 

ファルコ「ま…待ってください!」バッ

 

そう言ってファルコは右手を上げる。

 

ファルコ「発言を訂正させてください!戦士候補生ファルコ・グライスは己の一族を悪しきユミルの血から解放するべくこの血を生涯マーレに捧げます!」

 

ライナー「では、九つの巨人を継承する栄誉を何と心得る」

 

ファルコ「名誉マーレ人として栄誉と誇りを授かり祖国マーレへの忠誠を存分に示す権利が得られることと存じます」

 

ライナー「お前は……鎧の巨人を継承したいのか?」

 

ファルコは担がれるガビを見て、何かを決意したのかライナーに向き直った。

 

 

ファルコ「鎧の巨人を継承するのは俺です!」

 

ライナー「そうだ。お前が救い出すんだ。この真っ暗な俺達の未来から」

 

ファルコ「え…?」

 

〜〜〜

 

マガト「さて…そろそろ始めるか」ガタッ

 

??「えー…」

 

行使の巨人を操っていた男の前に、マガトは席を移した。

 

マガト「貴様…自分がどういう立場なのかわかっているのか?」

 

つい先日我々の前に現れて、九つの巨人とは別の新しい巨人化能力を有しているから戦士隊に入りたいと言い出した。

 

そして、中東連合との最後の戦いで初めてその巨人の力を見せたわけだ。

 

マガト「我々からすれば、貴様のその力は

『女型の巨人』だと考えている」

 

急遽だから殆ど何も聞かずに使ったが…終わったからには話してもらう…全てを。

 

??「はぁ…まあ、いいですけど」

 

マガト「…歳はいくつだ?」

 

??「19ですね」

 

マガト「なら…貴様はその力を『行使の巨人』と言っていたが…誰から受け継いだものだ?」

 

マガトの尋問を受ける男、そしてその周りの席に座る戦士達は耳だけをこっちに向けていた。

 

??「……生まれた時からですけど」

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

マガト「(あり得ない……巨人の力を受け継いだものは13年で寿命を迎える…こいつの歳が19歳なら最低でも6歳の時に誰かを食っているはずだ…だが…)」

 

"嘘をついているようには見えない"

 

マガト「(取り敢えず聞くことを全て聞くか…)」

 

マガト「どこから来た?」

 

??「生まれてこの方まともな場所に住んだことなんてないですよ…基本的には難民キャンプを転々としてましたね」

 

マガト「…ならなぜ突然戦士隊に入りたいなどと言い出した?」

 

??「…それ…言わなきゃいけないんですかね?」

 

マガト「エルディア人にプライバシーは不要だ」

 

??「はぁ……まあ、いいですけど。戦士隊に入りたかったのは…パラディ島にいる悪魔共を皆殺しにするためですが」

 

マガト「口だけなら何とでも言える。レベリオに帰ったらお前の巨人は戦士候補生の誰かに移されるだろうな」

 

??「…いいんですか?」

 

マガト「あ?」

 

??「巨人の継承は"九つの巨人"だからできるかもしれないんですよ?寿命が13年じゃなかったんだから俺の巨人が継承できるかもわからないですよね?」

 

マガト「…」

 

ジーク「そいつの言う通りですよマガト隊長。安易にこいつを殺してしまって、もし継承できず別の赤子に移り、それが大陸側でなかったなら…」

 

マガト「なら、こいつの要望通り戦士としてこいつを迎え入れるのが最善だとお前は言うのか?」

 

ジーク「はい。女型と超大型の穴埋めとしてこれ以上ない人材です」

 

マガト「もしこいつの巨人が女型だった場合は?」

 

ピーク「それはあり得ませんよマガト隊長。もしそうなら、この人はパラディ島から来たことになりますけど…海を渡る手段がありませんから」

 

ポルコ「おいピーク。マーレから送った調査船が32隻もあの島に消えたんだぞ?海を渡る手段がないとは言い切れねぇだろ」

 

ライナー「ポルコの言う通りです。こいつの話に乗るよりは、巨人の力を移せるか賭けに出るのが最善かと」

 

マガト「(ライナーとポルコの言うことは最もだが……ここで島の悪魔共に戦力を与えるのはリスクが大きすぎる…なら…)」

 

マガト「わかった。お前を戦士隊に入れることを認める」

 

ポルコ「なッ!?マガト隊長…!?」

 

ライナー「ッ…!」

 

マガト「だが、条件を付ける」

 

??「条件…?」

 

マガト「ピーク。こいつの監視をしろ」

 

ピーク「…ライナーとかポルコじゃダメなんですか?」

 

??「(待ってその反応傷つくんだが…ていうかさっきから貴様とかお前とかこいつとかこの人とか…尋問するならまず名前聞けよ…)」

 

マガト「二人はこいつを殺すことを望んでいる。いざと言う時を考えればピークに任せるのがいいだろう」

 

ピーク「わかりましたよ…マガト隊長……」

 

マガト「(ピークには監視の意味が伝わっただろう…)」

 

??「(俺を監視する内に適当に仲良くなって有力な情報を聞き出せ、ってことか。上手く誤魔化したつもりだろうけど、俺には意味なかったな)」

 

 

〜レベリオ収容区〜

 

ガビ「生きて帰ってきたぞお!!我らの愛しき故郷!!レベリオ!!ただいまぁああ!!」

 

レベリオに帰ると、戦争から生きて帰った戦士達をその家族が出迎えた。

 

涙を流し、再会を喜ぶ者もいれば…反対に涙を流し、別れを悲しむ者もいる。

 

「ほら、こっちだ。…たく、真っ直ぐ歩けよ」

 

だが、中にはそれすら叶わぬ者も────。

 

ファルコ「コスロさん。負傷兵ですか?」

 

コスロ「あ?邪魔すんなよデコガキ。心的外傷を負っちまったエルディア人だ。それも身寄りのねぇ連中だとよ。ここの病院で治療することになる」

 

ファルコ「こっちの国でも!?」

 

コスロ「長いこと前線で塹壕掘らせてたらこうなっちまうらしい。弾とか爆弾が降ってくるからな。ヒュゥゥゥ…ドカーン!!って」

 

『わぁああ!!』

 

並んで歩いていた負傷兵たちは、その声に悲鳴をあげて、頭を抱えて怯え始めた。

 

ファルコ「大丈夫ですか?」

 

「ひぃぃ…」

 

ファルコ「落ち着いてください。…あなたは腕章が逆だ」

 

ファルコはひとりの負傷兵の腕章を直し始めた。その負傷兵は怯える様子はなく、ただ座り込んでいた。

 

ファルコ「…大丈夫です。きっと良くなりますよ。もうあなたは…戦わなくていいんですから…」

 

〜〜〜

 

レベリオに帰還してから二日後、ジーク戦士長の下に戦士達が集められた。

 

俺は朝から晩までピーク・フィンガーに監視されて、自由な時といえば寝てる時だけだ。

…果たしてそれは自由なのだろうか?

 

ーガチャッ

 

俺、ピーク、ポルコが扉を開けると既に残りのメンバーは全員揃っていた。

 

コルト「おはようございます」

 

ジーク「全員揃ったな」

 

ポルコ「珍しいですね。戦士長の部屋に集合なんて。マーレ軍の人は?」

 

ジーク「この部屋にはいない」

 

この部屋には…か。

 

ジーク「お茶してもたまにはいいだろ」

 

お茶を配ると、ジーク戦士長は椅子に座る。

 

ジーク「早速だが、マズイ状況だ」

 

この数年でマーレは資源争奪戦の時代を勝ち抜き、反発する国々を俺たちの巨人で黙らせてきた。それによって世界のエルディア人に対する憎悪は…今や帝国時代を彷彿とさせるほどに膨らんでいる。

 

ジーク「俺達は歴史への反省を示すべくマーレに尽くした。それは間違ってない。だが…世界からは一層エルディア人の根絶を願う声が高まった」

 

それに加え、先の戦いで通常兵器が巨人兵器を上回る未来がより明確に知れ渡った。

つまり、エルディア人は近い将来に必ず戦術的価値を失う。

 

ジーク「そうなれば、マーレは今の国力を維持できなくなる」

 

マーレが弱ればエルディアと世界を隔てる壁はなくなり、エルディア人はより生存権を脅かされる立場になるだろう。

 

ジーク「世界は、もうエルディア人を人権の定義に当てはめる必要は無いと言っている…これは、民族存亡の危機だ」

 

コルト「…何か解決策は無いんですか?」

 

ジーク「唯一の解決策はこれまで通り、早急に『始祖の巨人』とパラディ島の資源をマーレに治め、マーレの国力を安定させると同時に世界を脅かすパラディ島の脅威を我々の手で解決することだ」

 

ピーク「しかし…今となっては始祖奪還計画が成功してもエルディア人に対する世界の歴史感情を清算するには至らないほど悪化してると思いますが……」

 

ジーク「さすがピークちゃん。その通りだよ。大事なのは物語(ストーリー)だ。始祖奪還までの筋書きを用意するんだ」

 

まずは改めてあの島がいかに世界にとって脅威であるかを強く世界に知らしめなければならない。

 

ジーク「物語には語り手が必要だ。それをタイバー家が引き受けてくれるそうだ。

『戦鎚の巨人』を管理するタイバー家の一族がね」

 

コルト「…タイバー家が?」

 

ジーク「そうだ。100年前の巨人大戦でフリッツ王に反旗を掲げた最初の貴族家であるタイバー家だ」

 

彼らは名誉マーレ人として政治にも戦争にも不干渉の立場だったが、このマーレとエルディアの未来を案じて立ち上がってくれたんだ。

 

ピーク「確かにタイバー家は一度も巨人の力を敵国に向けたことがない」

 

何より巨人大戦でフリッツ王を退けた一族として諸外国に顔が利く。

 

ピーク「タイバー家を通せば世界は耳を傾けざるを得ないでしょう」

 

ジーク「さすがピークちゃんだ。まったくその通りだよ」

 

ポルコ「しかし……」

 

タイバー家は今まで戦鎚の巨人を持っていながら国を守る務めを果たさず他のエルディア人が収容区で暮らす中、広い土地の広い屋敷で優雅に暮らしてきた。

 

ポルコ「それが…今さら表に出てきて英雄を気取るなんて少し…虫が良すぎる話じゃありませんか?」

 

??「(まぁ…それもそうだよな…)」

 

ジーク「…気持ちはわかるが、タイバー家も祖国マーレを憂いているんだ」

 

ポルコ「しかし…俺達は────」

 

ライナー「これで祖国マーレが救われるならありがたいことです」

 

ポルコ「…!」

 

ライナー「俺達戦士隊もタイバー家と共に協力して、英雄国マーレ復活の礎となりましょう」

 

ジーク「…そうだ。近く、このレベリオで祭事が行われる」

 

ライナー「祭事…?」

 

ジーク「諸外国の要人や記者を招いてタイバー家は宣言を行う。一年以内に"パラディ島を制圧すると"」

 

??「ッ…!」

 

ジーク「エルディア人とマーレの運命はこの作戦にかかっている。もう…失敗は許されない」

 

〜〜〜

 

『エルディア人と祖国マーレの未来のために今一度皆の心を一つにしよう』

 

「ガリアードは多少不満があるようだがまぁ…任務となれば徹底する奴だ」

 

「密室でこの会話内容なら問題ないだろう」

 

マガト「ジークの余計な一言が無ければな」

 

「ん?」

 

〜〜〜

 

ジーク「この作戦にはお前も…っていつまでもそう呼んででるわけにはいかないよな。名前は?」

 

??「それ今更聞くんですね…」

 

ジーク「そう言うなって。こっちはお前の持つ巨人の力に興味津々で名前なんて気にしてなかったんだよ」

 

それ人としてどうなんだ?

 

ジーク「それで、なんて言うんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハチマン・ヒキガヤです」

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