それでも俺は進み続ける。   作:甘味の皇帝

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the final season Part4

祭りの前日。本部では各国の大使たちを招いたパーティが行われていた。

 

ウド「すごいな…」

 

ファルコ「新聞で見た人だ…」

 

ガビ「余計な話しない」

 

私達は訓練通りに給仕をこなす。ほら、空いたグラスが出てきた。

 

ガビ「かかれ」

 

四人は空いたグラスにワインを注ぎ、皿を運んだりと、着々と給仕をこなしていった。

しかし、ウドがワインのグラスと皿を持った瞬間────

 

「何だ?穢れた血が皿を運んでいるぞ」

 

「道理で飯が臭うわけだな」

 

ウド「ッ…」

 

ーパシャッ

 

その言葉に反応したウドは、後ろにいた女性にぶつかり、その着物にワインを溢した。

 

ウド「も…申し訳ございませんッ」

 

「しっ…騒がないで」

 

ウド「し…しかし、立派な御召し物が…」

 

「ご夫人。いかがなされましたか?」

 

すると、女性はウドからワイングラスを取り上げてこう言った。

 

「お恥ずかしい。ワインを着物に溢してしまいまして。この子の手を借りていましたの」

 

「それは大変です。どうぞこちらへ」

 

「ありがとう」

 

「どうして…」

 

「あなたがどんな目に遭うかわからないでしょう」

 

女性はウドにそう言うと、パーティ会場を後にした。

 

ファルコ「ウド…大丈夫なのか?」

 

ウド「あぁ…助けてもらった…俺を…エルディア人と知ってて…」

 

ガビ「あの人は…たぶん…東洋から来たヒィズル国の人だ」

 

 

 

ー翌日ー

 

ーピッピキポオォオオドムドムドムッ‼︎

 

ガビ「何!?何だ────!?」

 

突然の爆音にガビは飛び起き、家を出た。

 

 

ガビ「何だ…?」

 

ガビは今までに見たことがない光景に困惑し、立ち尽くすが、それと同時にファルコたちがやってきた。

 

ファルコ「ガビ!やっと起きたか!」

 

ガビ「この状況は何?」

 

ファルコ「祭りだよ!外の人達が収容国いっぱい入ってきて色んな出店を開いてんだよ!」

 

そう言ってファルコは持っていた白い塊(あいす)をガビの口に押し付ける。

 

ガビ「ンゴ!?」

 

ファルコ「食え!」

 

ガビ「これが祭りかぁああ!!」

 

ファルコ「行くぞ!!」

 

〜〜〜

 

「「「「…」」」」ジー

 

ライナー「…」

 

「「「「…」」」」ジー

 

ライナー「はぁ…」

 

ライナーは渋々財布を出すと、出店に四人分の料金を支払った。

 

ライナー「(まあ、これくらいいいか…)」

 

 

 

 

 

 

ガビ「…苦しいよぉ……」

 

ライナー「お前が欲張るからだろ」

 

ライナーの財布が絞られきった頃、祭りは終盤を迎えた。5人はタイバー家が主催する舞台に向かいだし、ガビはライナーに引き摺られていた。

 

ガビ「…毎日お祭りすればいいのにね」

 

ライナー「…そうだな」

 

ガビ「何だかね…最近初めてのことばっかり起きるの」

 

ライナー「そうだな」

 

ガビ「何だか…何かが変わりそうな気がする」

 

ライナー「…あぁ…そうだな」

 

〜〜〜

 

ピーク「あ、来た」

 

コルト「あれ?ファルコは?」

 

ウド「さっき知り合いを見つけたって言ってどっか行きました」

 

ポルコ「大丈夫か?時間通りに席に着けって一応命令だろ」

 

ピーク「あれ?いるよ」

 

ファルコは走ってこっちに来ると、ライナーの前に立った。

 

ガビ「あんたどこ行ってたの?」

 

ファルコ「ブラウン副長、ちょっといいですか?」

 

ライナー「今からか?」

 

ジーク「いんじゃない?まだ開幕まで時間あるよ?」

 

〜〜〜

 

ファルコ「こっちです」

 

ライナー「いったいどうしたんだよ」

 

ファルコ「行けばわかりますよ!」

 

ライナー「まったく…」

 

舞台の裏まで来たファルコは、地下に続く階段までライナーを連れてきた。

 

ファルコ「こちらです」

 

ライナー「……あぁ…」

 

その下にある扉を開け、ライナーを中に案内。そして、その中にいたのは─────

 

ファルコ「連れてきましたよ!」

 

 

 

 

 

エレン「…よう。4年振りだな、ライナー」

 

ライナー「…」

 

ファルコ「え〜と……お二人は古い友人だと聞いたんですが…ですよね?クルーガーさん」

 

エレン「あぁ…お互い積もる話が多くてな。何から話せばいいか…わからないんだ」

 

ライナー「…ありえない……エレン」

 

〜〜〜

 

「タイバー公。そろそろ、お時間です」

 

ヴィリー「あぁ」

 

鏡の中に映る自分を見ていたヴィリーだが、少し視線を外すとそこには、ヒィズル国のアズマビト家がいた。

そしてそこには昨日、ウドを助けた女性アズマビト家の当主キヨミ・アズマビトも来ていた。

 

キヨミ「あらまぁ…」

 

ヴィリー「これはこれは、アズマビト家の皆さま。わざわざ、激励に?」

 

キヨミ「お邪魔だったかしらねぇ。少し顔を見に来ただけなの」

 

ヴィリー「無様な顔でしょう?

すっかり…アガってしまいました」

 

キヨミ「いいえ。あなた方は勇敢です。我々の一族はよく知ってますもの。健闘祈りますよ」

 

ヴィリー「痛み入ります、キヨミ様」

 

そう言って二人は握手を交わした。

 

〜〜〜

 

エレン「座れよ…ライナー。ここはいい席だろ。ステージの喧騒がよく聞こえる」

 

ライナー「…」

 

エレン「この上の建物は普通の住居だ。ステージの裏側だが、多くの住民が幕が上がるのを楽しみにして待ってる」

 

ライナー「ハァ…ハ…ッ…」

 

エレンが上を指差すと、ライナーの視界にはその手から流れる血が映った。

 

ファルコ「あれ?クルーガーさん…手を怪我しているんですか?」

 

エレン「あぁ…擦り傷だ。ライナー…座れよ」

 

ライナー「…」

 

ライナーは意を決すると、エレンの対面に位置する椅子に座った。

 

ファルコ「では…僕は先に戻ってますね」

 

エレン「いいや、ファルコ。お前もここで話を聞くんだ」

 

ファルコ「え…?」

 

ライナー「ファルコ。言う通りにするんだ」

 

ファルコ「………はい」

 

〜〜〜

 

ガビ「すごい…カルビィ元帥まで来てるよ」

 

ウド「マーレ軍の中枢が収容区に揃うなんて…それに各国の大使やタイバー家と親交の深い名家の数々。

 

ポルコ「あとは全世界の主要な新聞社か全部ってところか」

 

ピーク「世界の中心にいる気分だね〜」

 

コルト「すごいですね、タイバー家の力って」

 

ポルコ「同じエルディア人なのにな」

 

 

すると突然、会場に音楽が鳴り響いた。

 

ガビ「始まった…」

 

ウド「ファルコとブラウンさんはまだかな?」

 

 

「マーレの戦士よ。マガト隊長がお呼びだ」

 

〜〜〜

 

ファルコ「…」

 

ライナー「…」

 

エレン「…」

 

ライナー「……エレン…どうやって…何しにここに来た?」

 

エレン「……お前と同じだよ」

 

ライナー「…な………な……」

 

エレン「何で?ってか?わからないか?お前と同じだよ。"仕方なかった"ってやつだ」

 

その頃会場では、大量のカメラがシャッター音を鳴り響かせながらヴィリー・タイバーを撮っていた。

 

エレン「幕が上がったようだ…聞こうぜ」

 

〜〜〜

 

ヴィリー「昔話をしましょう。今からおよそ100年前、エルディア帝国は巨人の力で世界を支配していました」

 

始祖ユミルの出現から今日に至るまで、現世の人類が三度絶滅しても足りないほどの命が巨人に奪われたとされています。

 

ヴィリー「巨人によって途方も無い数の民族や文化…その歴史が奪われてきたのです」

 

その殺戮こそが人類史であり、エルディア帝国の歩んだ歴史でした。

そして、敵のいなくなったエルディア帝国は同族同士で殺し合いを始めました。

 

ヴィリー「"巨人大戦"の始まりです。八つの巨人を持つ家が血を流し合ったのです」

 

そして、この状況に勝機を見出したマーレ人がいました。彼こそが"英雄ヘーロス"。

 

彼の巧みな情報操作によりエルディア帝国は次々と同士討ちに倒れてゆきました。

 

ヴィリー「そして彼は、タイバー家と手を組み勝つことは不可能とされたフリッツ王さえも島に退かせることに成功したのです」

 

会場は盛大な拍手に包まれ、観客には笑顔が灯った。だが、その笑顔は次のヴィリーの言葉によってかき消された。

 

ヴィリー「しかし、パラディ島に退いた王は未だに力を持ったまま、世界を踏み潰せるだけの幾千万もの巨人が、あの島に控えています」

 

今現在、我々の世界が踏み潰されずに存在しているのは、偶然である。巨人学会はそうとしか説明できません。

 

我が祖国マーレは、その脅威を排除するべく四体の巨人を島に送り込みましたが、返り討ちに終わり、戻ってこられたのは鎧の巨人のみ。

 

ヴィリー「つまり、暗黒の人類史たるエルディア帝国は、未だ健在なのです」

 

〜〜〜

 

エレン「聞いたか?あれが壁を破壊した理由だろ。お前たちは世界を救おうとした。そうなんだろ?」

 

ライナー「…」

 

〜〜〜

 

マガト「何か異常は?」

 

「今のところ、何も報告はありません」

 

マガト「どんな些細なことでもいい。全て知らせるように伝えろ」

 

「了解です」

 

〜〜〜

 

ファルコ「(なんなんだ…これは…?なんでブラウン副長があんなに怯えて…クルーガーさんは古い友人じゃ無いのか?)」

 

ファルコ「ハッ…」

 

古い?古いって…何年まえの?四年以前なら…知り合ったのはパラディ島。いや…そんなわけが…だって…そんなこと…

 

───・・・・・・ありえない…

 

ファルコ「(まさか…)」

 

〜〜〜

 

ヴィリー「さて、ここまで語った話は誰もが知る事実。ですが、真実とは少々異なります」

 

ここからは、我々タイバー家が戦鎚の巨人と共に受け継いできた記憶、その本当の真実を今回初めて公表させていただきます。

 

ヴィリー「今からおよそ100年前、巨人大戦を終わらせたのはヘーロスでもタイバー家でもありませんでした」

 

あの戦争を終結させ、世界を救ったのは───

 

ヴィリー「フリッツ王なのです。彼はエルディア帝国の残虐な歴史を嘆き、同族同士の争いに疲れ果て、何より虐げられ続けたマーレに心を痛めておられたのです」

 

彼は「始祖の巨人」を継承すると同時にタイバー家と画策し、一人のマーレ人を英雄として活躍させました。

 

ヴィリー「名はヘーロス。そして、できる限りのエルディア国民を島に移し、壁の門を閉ざしました」

 

その際、安息を脅かせば幾千の巨人で報復すると言い残しましたが、これは真意ではありません。

 

フリッツ王は自らの思想を引き継がせるため、

不戦の契りを生み出しました。

 

ヴィリー「これにより、カール・フリッツの思想は代々受け継がれ、今日まで島から巨人が攻めてくることは無かったのです」

 

つまり、世界を守っていたのは我々が忌むべき壁の王だと思っていたカール・フリッツの平和を願う心なのです。

 

ヴィリー「…彼の目的は、平和です。後にマーレが力をつけ、王家の命や始祖の巨人を奪おうとするなら、それを受け入れる」

 

それほどまでに、エルディア人の犯した罪は重く、決して償うことはできない。

 

ただし、いずれ報復を受けるまでの間、壁の中の世界に争いのない束の間の楽園を享受したい。

 

 

ヴィリー「どうかそれだけは許してほしい。

王は最後にそう言い残しました」

 

 

 

ガビ「え…?」

 

「どういうことだ?」

「これが事実なら…」

 

「マーレやタイバー家が世界を救ったってのは全てフリッツ王のお膳立てだったってことか…?」

 

「本当に"壁の王"が世界を侵略することが無いのなら…」

 

「パラディ島脅威論とは何だったのか…」

 

〜〜〜

 

「隊長!」

 

マガト「ん?」

 

「戦士たちが、呼びに行った兵士共々姿を消しました」

 

マガト「!…予備隊を動員し、捜索しろ」

 

「了解!」

 

マガト「始まったか…」

 

〜〜〜

 

 

ヴィリー「カール・フリッツは始祖の巨人の力で三重の壁を築きました。この壁は凡そ幾千万の超大型巨人で作られており、盾と矛として平和を守ってきました」

 

しかし、近年。パラディ島内で反乱が起きました。

 

フリッツ王の平和思想は淘汰され、始祖の巨人はある者に奪われました。

 

世界に再び、危機が迫っています。

 

ヴィリー「平和への反逆者。その名は

──────エレン・イェーガー」

 

〜〜〜

 

ファルコ「だま…した……尊敬…してたのに…ずっと…騙してた…」

 

ファルコは、クルーガーの足が蒸気を発して再生しているのを見て、その正体がエレンであることに気づいた。

 

エレン「悪いな…ファルコ。お前には助けられた」

 

ファルコ「ぇ…ッ!…あの手紙…俺に届けさせた…あの手紙は…」

 

ライナー「!?」

 

エレン「家族宛の手紙じゃ無かったが…仲間には届いた」

 

ライナー「仲間…だと……」

 

〜〜〜

 

ヴィリー「パラディ島の脅威とは、この超大型巨人軍による襲撃『地鳴らし』です」

 

先ほど説明した通り、王家の血筋は不戦の契りにより始祖の巨人を行使することはない。

 

しかし、現在始祖の巨人を身に宿すエレン・イェーガーは地鳴らしを発動させる可能性を秘めています。

 

ヴィリー「一度地鳴らしが発動されてしまえば我々にできることはもうありません。人類はただ終末の足音に震え、逃げ惑うのみ」

 

あらゆる都市や文明は踏み潰され、文字通り全ては平らな地表と化すのです。

 

〜〜〜

 

エレン「その通りだ。ヴィリー・タイバーの言う通り、俺は悪者だ。世界を滅ぼしちまうかもしれない。

だが俺にも────お前たちが悪者に見えた」

 

ライナー「…」

 

エレン「あの日…壁が破られ、俺の故郷は巨人に蹂躙され、目の前で母親が食われた」

 

ファルコ「ッ!」

 

エレン「俺にはわからなかった。何故だライナー?何で母さんはあの日…巨人に食われた?」

 

ライナー「それは…俺たちがあの日…壁を破壊したからだ」

 

エレン「なぜ壁を破壊した?」

 

ライナー「混乱に乗じて壁内に侵入し…壁の王の出方を伺う為に」

 

エレン「その任務とは?」

 

ライナー「始祖を奪還し、世界を救うことだ」

 

エレン「そうか…世界を救う為だったら…それは仕方ないよな」

 

ライナー「…あの時言ってたよな?お前らが出来るだけ苦しんで死ぬように努力するって……そのために来たんだろ…?」

 

エレン「あぁ…言ったっけ…そんなこと…」

 

ライナー「ぇ…?」

 

エレン「忘れてくれ。確かに俺は…海の向こう側にあるもの全てが敵に見えた。そして今…海を渡って…敵と同じ屋根の下で…敵と同じ飯を食った」

 

"ライナー…お前と同じだよ"。

 

エレン「もちろんムカつくやつもいるし…いいやつもいる」

 

そう言ってエレンはファルコを見た。

 

ファルコ「えっ…!」

 

エレン「海の外も…壁の中も…同じなんだ。

だがお前たちは…壁の中にいるやつらは悪魔だと教えられた。まだ何も知らない子供が、そう叩き込まれた」

 

一体何ができたよ?子供だったお前に…

 

エレン「なぁ…ライナー…お前…ずっと苦しかったろ?」

 

ーガタッ

 

ライナー「違う…違うんだエレン…!」

 

ライナーは突然椅子から降りて、膝をついた。

 

ライナー「俺はあの日…マルセルが食われて…アニとベルトルトは作戦を中止して…引き返そうとしたのに…俺は…二人を無理やり説得して作戦を続行させたんだ…」

 

俺は英雄になりたかった!誰かに尊敬されたかった…

 

ライナー「俺が悪いんだよ…お前の母親巨人に食われたのは俺のせいだ!!」

 

ヴィリー『私は…この血を恨みました。他の誰よりも…エルディア人の根絶を願いました』

 

ライナー「もう嫌なんだ…自分が…俺を殺してくれ…」

 

ヴィリー『ですが、私は死にたくありません。それは…私がこの世に生まれてきてしまったからです』

 

我々は、国も人種も異なるもの同士です。しかし、強大な敵を前にした今こそ、一つになる時なのです!

 

ヴィリー『だが今、死にたく無いものは力を貸してほしい!どうか、一緒に未来を生きてほしい!』

 

皆で力を合わせれば、どんな困難も乗り越えていけるはずです!

 

 

 

 

エレン「やっぱり俺は…お前と同じだ」

 

ライナー「ぇ…」

 

ライナーが顔を上げると、そこにはエレンが手を差し出していた。

 

ヴィリー『どうか私と共に!パラディ島の悪魔と────戦ってほしい!!』

 

エレン「多分…生まれた時からこうなんだ」

 

ライナーは手を握って立ち上がった。

 

ヴィリー『私!ヴィリー・タイバーはマーレ政府特使として!今ここに宣言します!!』

 

エレン「俺は進み続ける…」

 

ライナー「ぇ…?」

 

エレン「敵を駆逐するまで」

 

ーバチッ

 

ライナー「ッ!」

 

 

"パラディ島勢力へ────宣戦布告を!!"

 

ードオンッ!!

 

進撃「ウォオオオオッ!!」

 

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