ー1日前ー〜トロスト区〜
フレーゲル「ハァ…ハァ…」
「はぁ…馬鹿だね、まったく。こんな廃墟に逃げ込むなんて。でも助かったよ、フレーゲル・リーブス。今までどこにいやがった?」
フレーゲル「ハァ…チクショウ…ハァ…」
「まぁ…何にせよ本当によかったよ…お前をあの現場から逃しちまったと気づいた時…俺はもうおしまいかと…うぁあああんあぁん!!」ドサッ
「殺されるかと…思ったよぉ…へへ…じゃあなフレーゲル」カチャッ
三人の憲兵はフレーゲルに銃口を向けた。
フレーゲル「いッ!!あッ…!?し…質問!!どうして親父は殺されたんだ!?お前ら中央憲兵によって!!」
「は?そんなこと聞いてどうする?俺たちは
お前の死体に用があるだけなんだよ」
フレーゲル「し…死ぬ前に知りたいんだ!!親父は何をしてあんな目に遭ったのかを!!」
「ん?知らなかったのか?ヤツは俺らを裏切って調査兵団の側に付いたんだよ」
フレーゲル「う…裏切ったって…調査兵団から人を攫うよう中央憲兵が依頼したのか!?」
「俺たちとは別の隊だがな。なぁ〜んにも教えてもらえなかったんだな。ボンクラ息子にはな〜んにも…」
フレーゲル「その依頼…断っていたら?」
「そりゃあ、ある程度の情報を知っちまったことだし…命は無かっただろうな。馬鹿なやつだ。従業員やこの町に固執してなければなぁ」
フレーゲル「ぁ…あんたなんかにはわかんねぇよ」
「んん?」
フレーゲル「知った風な口聞きやがって…親父は俺に教えてくれたよ。商人は人を見る目が大事だってな。だから俺は人を選んだ。親父達の無念を晴らせる人たちを…俺は選んだ!!」
「どうしたんだフレーゲル!?最期は豚らしくピーピー鳴けよ!!」
フレーゲル「お前らはもう用済みだ!!上を見ろマヌケ!!」
ープシュウッ! ドカッ!
「!?」
上から立体機動で飛び降りて来たハンジとモブリットが、二人の憲兵を蹴り飛ばした。
「う、うわぁぁああ!!」
ーパンッ!
ハンジ「ッ!」ドカッ
ハンジは銃弾を首を傾けて避けると、憲兵の顔面にグーパンを入れた。
ハンジ「〜〜〜ッ!!いッ…てぇぇぇ!!」
モブリット「分隊長!ワイルドすぎます!!」
ハンジ「やったぞ!!聞いたからみんな!?」
「な…??調査…兵団…な…ぜ??…!?」
倒れている憲兵が見上げる先には、廃墟の各階で様子を見守るトロスト区の住人がいた。
「廃墟に見えたか?」
「あんたから見りゃそうだろうが、悪いな。
俺らトロスト区の住民はこうなっちまった所にもまだ住んでんだよ」
「全部聞いたぜ。中央憲兵が会長らを殺したこと。調査兵団がリーブス商会を守ろうとしたこと。ここにいる全員が証人だ」
「……そ、それが何になる!?何が事実かを決めるのは王政だ!!お前らこそ俺にこんなことをしてタダで済むと思うな___ぐっ!?」
騒いでいた憲兵の頭に何かが乗っかった。フレーゲルの尻である。
フレーゲル「みんな…安心してくれ。この街はリーブス商会が守る。今日フレーゲル・リーブス……俺が会長だ!…だから…その…よろしく…お願い…します…」
段々と声の小さくなるフレーゲルだが、周りからは温かい拍手が送られた。
「よろしく頼むぜ会長!」
「声小せぇぞ!」
ハンジ「就任おめでとう。じゃあ憲兵を頼んだよ」
フレーゲル「おう」
〜王都ミットラス〜
「エルヴィン。最期に言い残したいことはあるか?」
尋問を受けたのだろう。エルヴィンの身体には幾つもの痣ができていた。
エルヴィン「…調査兵団を失うということは…人類の矛を失うことを意味します。迫り来る敵から身を守るのは盾ではなく、脅威を排除する矛です」
たとえば今この瞬間ウォール・ローゼが破られたとします。ウォール・ローゼの住民を再びウォール・シーナ内へ避難させることになりますねが、先日の避難で消費した食糧は現在とこにもありません。瞬く間にウォール・ローゼ、シーナの住民は生存競争を強いられることになるでしょう。
つまり、今この瞬間ウォール・ローゼが破られるということは、
エルヴィン「ウォール・ローゼとシーナに、
二分した人類による内戦の開始を意味します」
「それで?その問題…調査兵団が健在ならば解決すると言いたいのか?」
エルヴィン「相手の懐に真っ先に飛び込むのは我々調査兵団の役目。引き下がるのみでは何の解決にもなりません。
それともこの状況を打破する何かしらの秘策があるのでしょうか?」
「オホンッ…エルヴィン。君はどうも理解していないようだが…」
今君がここにいるのは壁内の未来を話し合う為ではないし、殺人という単純な罪を犯したせいでもない。
「人類憲章第六条。個々の利益を優先し、人類の存続を脅かすべからず。これに対する重大違反だ」
「そう。再三に渡るエレン・イェーガーの引き渡し拒否。これは十分に人類憲章に抵触する」
エルヴィン「エレンはウォール・マリア奪還には必要な存在です!」
「それを決めるのは調査兵団ではない!」
「エレン・イェーガーは未知の力を秘めた巨人だ!壁の内側に置くことは、それ相応のリスクを伴う!それを一兵団の団長に管理させる方がおかしいだろう」
「だが、君は自分の考えに固執した。そして、誘拐を装いエレン・イェーガーを隠匿したのだ。関わったディモ・リーブスの口を封じてな。これは最早反逆だ」
「今や君こそが人類の脅威となっているのだよ」
「ピクシス司令」
ピクシス「む…」
「駐屯兵団と調査兵団は前線で命を張る者同士親密な関係を築いておったようだが?」
ピクシス「我々が調査兵団に同調すると思われるのなら心外ですな。人同士の殺し合いほど愚かな話はない」
この狭い人の世に一度火を放てば、燃え尽くすまでそう時間は掛らんでしょう。
ピクシス「先のトロスト区防衛線においては、そう兵士に言い聞かせ、大いに死んでもらったものです。調査兵団がその火種になるのなら、今のうちに消すべきでしょう」
ナイル「ッ…!」
ピクシス「何より…巨人が壁を破って来た際、人があまり残っとらんようじゃ、巨人に呆れられてしまいましょうぞ」
「ふはっ…失礼」
「よろしい。では協議に入る」
「陛下。よろしいですな」
:
:
「では、陛下の名の下判決を言い渡す。
エルヴィン・スミス。人類憲章第六条に違反ありと認め、死刑に処す。これは即時、執行それるものである。連れて行け」
憲兵の一人がエルヴィンの腕を掴んだ。
エルヴィン「(これでよかったのだろう…この人類を救うのが…我々であるとは限らないのだから…人事は尽くした)」
ナイル「(エルヴィン!お前…これで!?
このまま終わらせるつもりか!?)」
立ち上がるエルヴィンの口元に浮かぶ笑み──
そして、
ーバンッ!!
エルヴィン「…」
勢いよく扉が開いた。そこに立っているのは
ひとりの女兵士。
その場にいる全員が扉の方に顔を向けた。
「ウォール・ローゼが!突破されました!!」
ナイル「なッ…!」
「突如出現した超大型巨人、および鎧の巨人によってカラネス区の扉は二つとも破壊されました!!現在、東区より避難する住民が押し寄せて来ています!!」
ピクシス「…回避経路を確保せよ!!駐屯兵団前線部隊は全兵力を東区に集結させ、住民を、ウォール・シーナに誘導せよ!皆急げ!住民の避難が最優先じゃ!」
「「「「「ハッ!!」」」」
「ダメだ!!ウォール・シーナの扉を全て封鎖せよ!!避難民を何人たりとも入れてはならんぞ!!」
ナイル「は…?そ、それは…ウォール・ローゼの住民を…人類の半数を見殺しにするとのご判断でしょうか!?」
「先程その者が言った通り、内戦が始まるだけだ。中央政府が機能しなくなる恐れもある!そうなれば終わりだ!」
ナイル「し…しかし…!それはあくまで可能性の話では!?」
「その可能性があることが重大なのだ!!我々は最上位の意思決定機関であるぞ!!さっさと動かぬか!?」
すると、先程の女兵士が扉の外に駆け出していった。
「くそッ…まさかこのような時に壁が破られようとは…」
「しかし…不幸中の幸いであろう。力は見つかっているのだ。あとは器が受け止めるまで…ここで持ち堪えればいい」
「そうだ…今は目先の被害に右往左往するべきではない…ウォール・シーナさえ残れば、どうにでもなる」
「ああ…レイス卿さえ戻れば…!」
憲兵「…やるしない!扉を塞ぐんだ!!」
ナイル「待て!」
憲兵「待ってたら手遅れだ!!」
─────………選ぶのは誰だ?誰が選ぶ?
「何をしている!?早く動け!!王政への反逆罪となるぞ!!」
ナイル「…………できません…ッ!!」
「何ぃ!?」
憲兵「お、おい!」
ナイル「俺は…ウォール・ローゼの人間だ!!扉の封鎖は阻止させてもらう!!」
「貴様!!」
「私も加勢しよう」
ナイル「ッ…!」
ひとりのメガネをかけた男が、大量の兵士を連れて入ってきた。
「ダリス…ザックレー……」
ピクシス「彼らの判断は意外だったかの?
ザックレー総統よ」
ザックレー「いいや、ちっとも」
「ザックレー…これは一体…!?」
ザックレー「先程の報告は誤報です。ご安心下さい。今現在巨人の襲撃は確認されていません」
「貴様!!何のマネだ!?」
ピクシス「首謀者ならワシじゃ」
「ピクシス!?」
ピクシス「中央憲兵の大半はどこかへ出払っておるようじゃな。それを幸いと呼ぶべきか…」
─────………彼らに尋ねてみましょう。彼らは人類の手綱を握るのに相応しいのか
─────………決めるのは
「どういことだ!?」
ピクシス「先程…駐屯兵団は調査兵団に同調していないと申し上げましたが…一言言い忘れましたわい。あなた方にも同調していないと!」
儂は…このエルヴィンと同じ思いを持ちながらも…結局はあなた方政府に任せる方が人類の為になるのでは、という迷いがあった。
恐らく儂らよりずっと…壁や巨人に詳しいでしょうからな。
ピクシス「もしあなた方が、より多くの人類を救えるのであれば、エルヴィンを処刑台に送っても良いと思っておった」
当然、場合によってはワシらも首を差し出す覚悟もあった。
ピクシス「じゃが、今あなた方が答えをくれましたわい!たとえ巨人の力や成り立ちに関して無知であろうと、我々の方があなた方は多くの人の命を生かせましょう」
「ば…馬鹿なことを!ここを制圧したからなんだというのだ!?民衆が…従うと思っているのか!?民衆は王にかしずくのみだぞ!?地方の貴族も黙っておるまい!?」
ピクシス「どうやら理解しておられぬようですな。これはただの脅しではない。
クーデターじゃ」
女兵士「中央憲兵の制圧、完了致しました!」
「なッ…!?」
ザックレー「兵というのは…時には王より上官に従うものでな」
ピクシス「そもそも偽の王であるならば尚のこと。我々は真の王を立てるつもりです!」
「ま、まさか…そこまで…こんな…詐欺のような真似が罷り通るとでも!?」
エルヴィン「これが本当に非常時であったなら、あなた方の先ほどの判断こそ、人類憲章第六条違反。更に、偽りの王を立て、政治を私したことを加えれば、極刑に値するかと」
「くッ……くそッ!!!起きろこの老いぼれ!!」
フリッツ「ほッ…なんじゃ…??飯か?」
「この役立たずが!!」
そして、そのまま王を含む五人は全員拘束された。
ナイル「エルヴィン。お前の勝ちだな」
エルヴィン「…」
ナイル「嬉しくないのか?」
エルヴィン「ナイル。人類は…より険しい道を…歩まざる追えなくなったぞ…」
ー現在ー
──と、いうわけで…調査兵団の冤罪は晴れ、君達は正当防衛。王都も行政区もザックレー総統が仮押さえ中だ。
ハンジ「今のところ貴族達の反乱も起きてない。我々は……自由の身だ」
「「「「「うぉおおおおお!!!」」」」」
憲兵「そんな…バカな…」
ハルノ「一体…どんな手を使ったの?」
ハンジ「変えたのは私達じゃないよ。一人一人の選択が、この世界を変えたんだ」
ハルノ「ごめんね。あなたから預かった三人のうち、二人も死なせちゃった…」
ハンジ「でも、ウランは君が助けてくれたんだろ?それに、仇の鉄砲共は君たちが無力化してくれたみたいだし…」
リヴァイ「いや、全部じゃねぇ。その頭辺りとエレン、ヒストリアはまだ別の場所にいる。早いところ見つけ出さねぇとこの革命も頓挫しちまう」
ハルノ「エレンとヒストリアの居場所だけど…心当たりがあるよ。確証を持つまでには至らないけど、どうやらこれに賭けるしか無さそうだね」
ハルノはエルヴィンから受け取った本を見せながら言う。
ハルノ「この戦いは、そこで終わりにしよう」
エルヴィンの働きを経て現体制の崩壊が宣言された。それは王都・行政区を兵団組織が制圧した直後────彼のために用意された処刑台の上で行われた。
「フリッツ王政は人類の存亡を懸けた計画を妨害し、人類の大半を体制の保身の為に切り捨てる決断を下した。それがこのクーデターの動機で間違いないのでしょうか?」
ナイル「その通りです。そして、先ほど行われたザックレー総統による宣言通り我々の目的は兵団組織によるこの壁の統治ではありません。
フリッツ家に代わる真の王家から新しい王が立ち、民を導く役割を担うことになるでしょう」
「それはわかりますが…そう簡単に民衆が新しい王を受け入れるかどうか」
「不安に思っている者が多いのは事実です。
一体何を信じればいいのか…」
〜〜〜
馬車に並んで座るザックレーとエルヴィン。
エルヴィン「人類を思えば…あのまま王政に託すべきでした。ピクシス司令の言う通り、今日まで人類を巨人から生き永らえさせた術があります。たとえ人類の半数を見殺しにするようであっても…人類が絶滅するよりかはいい」
ザックレー「…」
エルヴィン「エレンを手放し、仲間の命も、自分の命も責任と共に放棄し、王政に託すべきだったのでしょう。人よりも人類が尊いのなら」
ザックレー「…君の使命は相変わらず辛いな。死んだ方が遥かに楽に見える。しかし、だったらなぜそうしなかった?」
エルヴィン「それは…」
ザックレー「私の理由を言おうか?昔っから
エルヴィン「…………………は?」
ザックレー「ムカつくのだよ。偉そうなやつと偉くないのに偉いやつが!いいや、もうむしろ好きだなぁ。思えばずっとこの日を夢見ていたのだ。つまり、君らがやらなくても私がくたばる前にいっちょかましてやるつもりだったのだ。このクーデターが人類にとって良いか悪いかなどには興味がない。大した悪党だろう?」
エルヴィン「…」
ザックレー「しかしそれは君も同じだろう。君は死にたくなかったのだよ。私と同様人類の命運よりも個人を優先させるほど」
エルヴィン「自分は…飛んだ思い上がりをしていたようです」
ザックレー「君の理由はなんだ?次は君が答ええる番だぞ?」
エルヴィン「私には…夢があります。子供の頃からの夢です」
〜〜〜
ミカサ「ハルノさん。二人の居場所の手掛かりって?」
ハルノ「うん。これから話すよ。エルヴィン団長から渡されたレイス卿領地の調査報告書がこれ。中身は殆ど5年前。レイス家を襲ったある事件について」
ハチマン「5年前?」
ハルノ「そ、ウォール・マリアが破壊された日だよ。それで、最初から掻い摘んで話すとロッド・レイスは領地の主人としての評判は悪くなかった」
五人の子供を持ち、特に長女の"フリーダ"は飾らない性格で領民からも好かれていたらしいよ。だけど5年前の夜、世間の混乱に乗じた盗賊の襲撃によって村にある唯一の礼拝堂が焼け落ちた。悪いことにその夜はレイス一家が全員揃って祈りを捧げていたみたいで、一家の主人のロッド・レイス以外の全員が、盗賊に惨殺されてしまったんだって。
ハルノ「そしてそれは…ヒストリアの母親が中央憲兵に殺される数日前の出来事。つまりロッド・レイスは家族を失った直後にヒストリアに接触を図った。多分この辺りに連中がヒストリアを欲しがる理由があるんだよ」
リヴァイ「血縁関係か…その血にタネが仕掛けがあるってのか」
ハルノ「今はそこまではわからない…それより私が気になったのは礼拝堂が全焼したところ」
礼拝堂は石造りだよ?破壊するには相当な時間と労力が必要になるわけで、盗賊ならそんな面倒なことするわけないよね。
ハルノ「それに、その盗賊を見たのはロッド・レイスただ一人。その後、彼は自分の財産で礼拝堂を建て直してる。なんでだろう?もはやここに、巨人の存在がなかったという方が不自然な話だよね。もしもこれが私の早合点だったとしても、これだけ怪しければ十分私たちが向かう価値があるよ」
リヴァイ「…わかった。その礼拝堂を目指すぞ!」
「「「「「了解!」」」」」
〜〜〜
ピクシス「まずいのうエルヴィン…王政幹部は皆同じことを吐きおったぞ。お主と父君の仮説通りじゃ。レイス家は人類の記憶を…都合よく改竄できるというわけじゃ。しかも奴らを含む一部の血族はそれに影響されないといった口振りじゃったぞ」
エルヴィン「…!!そんなことが…」
ピクシス「レイスがエレンの持つ"叫び"さえ手にすれば民衆の反乱なんぞこともないというわけじゃ」
エルヴィン「なるほど…そんな重要な情報さえ我々はいずれ忘れると…」
「団長!総員準備が整いました!いつでも行けます!!」
エルヴィン「…総員整列!!これよりエレン及びヒストリア奪還作戦を開始する!!目標と思われるレイス領地礼拝堂を目指す!!」
〜〜〜
リヴァイ「───わかったか?切り裂きケニーだ。奴がいればそれが一番の障害になる。脅威の度合いで言えば…敵に俺がいると思え」
ハチマン「(えー…何それ最悪じゃん…)」
リヴァイ「いや、あの武器がある分俺よりも厄介だ。敵にハチマンがいると思え」
ハチマン「(え?何それ?俺そんなに厄介者扱いなんですかね?)」
サシャ「じゃあ…無理ですよ私達じゃ…」
コニー「兵団との合流を待つってのは…」
ミカサ「絶対ダメ」
ハチマン「まあ、戦ってみても弱点が無いわけじゃなかったぞ」
ジャン「本当かハチマン?」
ハチマン「ああ。訓練は積んでても実践経験は昨日が初ならなおさらな」
ハルノ「それにしても…一緒に暮らしててそれしか情報がないってどういうこと?」
リヴァイ「悪いな…奴のフルネームを知ったのも昨日が初めてだ。ケニー・『アッカーマン』って名前らしいが…お前の親戚だったりしてな」
ミカサ「……生前の両親の話では、父の姓・アッカーマン家は都市部で迫害を受けていたと聞きました」
リヴァイ「…!」
ミカサ「なぜアッカーマン家が迫害されていたのかは父にもわかりませんが…」
リヴァイ「お前…ある時突然力に目覚めたような感覚を経験したことがあるか」
ミカサ「……!…あります」
リヴァイ「ケニー・アッカーマンにもその瞬間があったそうだ。ある時…ある瞬間に突然バカみてぇな力が体中から湧いてきて…何をどうすればいいかわかるんだ…」
ミカサ「…」
リヴァイ「その瞬間が俺にもあった」
〜??〜
エレン「……っ…?」
エレンが目を開けると、周りには謎の空間が広がっていた。両手は鎖で繋がれ、身体には鎖が巻きつくように縛り付けられている。
エレン「(なんだ!?)」
口には猿轡が付けられ、完全に拘束された状態である。
〜〜〜
ハルノ「夜が明ける頃には、兵団がレイス領に送り込まれる。それまでレイスは待ってはくれないだろうから、私たちが急がないと…エレン君が食われるかもしれない」
ハチマン「(巨人になれる人間を巨人が食べることによってその能力が継承される……なら、エレンはいつどうやって巨人になって…誰を食べて能力を得たんだ…??)」
ハンジ「あった。隠し扉だ。エレンも敵もこの奥だろう。私が予想した通りの地形だといいんだが…」
リヴァイ「わざわざ寄り道して手土産用意した甲斐があればな…」
アルミン「よし。準備整いました」
ハルノ「うん。それで君たち…手を汚す覚悟の方はどうかな?────良さうだね」
ーバンッ!!
扉を蹴り開けると、俺たちはガス管を括り付けた樽を投げ入れる。
樽はガスの噴射によって階段を転げ落ちて行った。そして────
ハルノ「行くよ」
合図と共に一斉に中に入ると、サシャが火矢を放った。
ードオォンッ!!
油の入った袋を入れた樽は爆発四散し、大量の煙が充満し始める。
「これは…まずい…(この煙では敵の位置が…!)」
俺たちは立体機動に移り、刃を抜いた。
「突破されるぞ!!」
「撃ち落とせ!!」
ードシュウッ!
「は!?何だ!?」
「信煙弾!?」
立体機動で飛んでいる俺、兵長、ミカサを囲むように信煙弾が放たれる。
「なるほど…これでは、煙が邪魔で的が絞れない」
ハルノ「24…28……敵数30!!手前の柱に固まってる!作戦続行!!全ての敵をここで叩くよ!!」
「総員散開!!複数で一人ずつ囲め!!」
〜〜〜
アルミン「(ハンジさんが予想した通りだけど…とんでもない広さだ)」
ハンジ「(これも人が造ったもんじゃない…壁が光ってるし…どこまで続いているんだ?
だが、やはり対人制圧部隊が奥に引っ込んだのは立体機動を生かす空間がそこにあるから。
そしてそれは───)」
数で劣るこちらにとって好都合。
〜〜〜
ハチマン「(まず…対人立体機動装置の弱点の一つはアンカー射出機と銃口が同じ方向を向いてること…つまり、)」
移動中の背後は完全に射程外。
ーザシュッ!
「がッ…!」
俺は男の喉を斬り裂いた。
ハチマン「(そして、何よりの弱点は…)」
ーバンッ!!バンッ!!
ハチマン「(2発撃たせれば次の装填まで時間がかかること…)」ヒュッ
「なッ!?」グサッ
弾を避けつつ接近、胸を刺し貫いた。
「まずいねこれは…(煙の所為で距離を確保できない…ここまで接近されてしまったら…)」
「うぁあああ!!」
「何だこの男!?」
「(白刃戦の方が有利!!)」
「このバケモ───」
ハチマン「ッ!」ガンッ
俺は首を柱に蹴りつけ、叩き折った。
「奴を止めなけ────」
ハチマン「誰を止めるって?」シュッ
「ッ…!?」
女は俺の振り下ろした刃を、間一髪で避けると別方向に向かって行った。
ハチマン「(あっちには…ハンジさんがいるのか…それなら大丈───ッ!?)」
ハンジ「え!? 2発共大ハズレだが!?君も生き急ぐタイプかな!?」
だが、ハンジの向かう先には女がアンカー射出機を向けて待ち構えていた。
ハンジ「あ…」
ーパシュッ!
ハチマン「ハンジさん!!」
ハンジ「ハチマン!?」
ハチマン「くッ…!」
ギリギリのとこで割って入り、俺の肩にはアンカーが刺さった。うん。超痛い。
「クッ…ッあぁ!!」
俺にアンカーを刺したまま、女は俺を柱に叩きつけようと振り付けた。
ハチマン「ちッ…!!」
ーダンッ!
ハチマン「かッ…!」ドサッ
俺は投げられるがまま柱にぶつかり、地面に落ちた。
アニ「は…」
「「「「「ハチマン!!」」」」」
「今だ!!総員撤退!!この煙から離れろ!!守りを立て直す!!」
リヴァイ「ハンジ!!アルミン!!ハチマンを任せた!!残りで敵を────」
ープシュゥッ!!
リヴァイ「ッ…!?」
敵を追い始めたリヴァイ兵士長たちを追い抜き、対人制圧部隊の真上まで追いついた影がひとつ。
「ッ…!!な、なんで…」
ハチマン「ハァ…ハァ…」
そう。俺だ。
ハチマン「(危なかったな……投げられた後ガスの噴射を利用して衝撃を和らげて、落ちる時もうまく受身が取れた…奇跡じゃね?)」
「そ、そうい───」
ハチマン「じゃあな」ザシュッ グサッ
次々と首を斬り裂き、腹を貫き、殺しに殺しまくった。
そして、ケニー・アッカーマンを除いた対人制圧部隊は全滅。
ハチマン「(これだけの命を奪った…何十人と斬り裂いた……)」
覚悟はできてた。だから殺れた。だけど…この殺し合いに何の意味があったんだ…?エレンとヒストリアを取り返すためとはいえ…話し合えば解決したのか?
いや、話し合えるような相手でもなかったが…俺たちはそれを試みなかった。だから絶対に解決しなかったとは言い切れないのだろう。
でもせめて、殺したこいつらの命に意味があったことを…俺たちは示さないといけない。
ハチマン「兵長。進みましょう」
リヴァイ「……あぁ」
アニ「ハチマン…大丈夫だったの?」
この血を見て大丈夫だと思うか?まあ、この身体でもいつも通り動きましたが…おかげで悪化しました。
ハチマン「刺された方は超痛いが…まだ飛べるぞ」
ハンジ「ごめんハチマン。私が油断したせいでこんなことに…」
ハチマン「いや、ハンジさんのせいじゃありませんよ。こんな混戦じゃ仕方ありませんし…」
リヴァイ「…お前ら…喋ってる暇はないぞ。奥に進んでエレンとヒストリアを回収する」
だが、その言葉と共に洞窟の奥からは眩しい光が輝いた。
リヴァイ「クソッ…まさか…」
ジャン「巨人…」
ミカサ「エレン…!」
これが今日最初の巨人化…つまり、今からエレンが食われるってことか…?
ハルノ「すぐに向かうよ!」
「「「「「了解!」」」」」
〜〜〜
ヒストリア「ッ…!!」
エレンの拘束を解こうとしたヒストリアだが、巨人化の爆風に吹き飛ばされる。
ヒストリア「うっ…」
ハチマン「大丈夫か?」
壁にぶつかりそうになる直前、俺はヒストリアを守った。
ヒストリア「ハチマン!?」
リヴァイ「鍵をよこせ」
エレン「兵長!?みんな!!」
リヴァイ兵長とコニー、ジャンは俺から鍵を受け取るとエレンの鎖を外そうと試みる。
コニー「くっそーどの鍵だこれ!?」
リヴァイ「急げコニー」
ジャン「いいか半裸野郎!?巨人だけじゃねぇぞ!?鉄砲持った敵も飛んで来てんだ!!」
リヴァイ「イヤ…その前に、天井が崩落する」
この巨大な洞窟の天井以上にデカい巨人が形成されていき、天井が壊れ始めた。
ジャン「急げ!!」
ーガチャッ!!
エレンの拘束が外れると共に、天井が崩落してきた。
ジャン「ッ!よけろ!!」
ードォンッ!!
間一髪のところで四人は岩を避け、壁まで下がってきた。
ハルノ「ありゃ、何この状況…超大型巨人より大きいんじゃないかな?」
ジャン「まずい!!逃げ道がねぇぞ!?」
エレン「(なんで…俺を食うんじゃなかったのか…!?みんな死ぬ……!!巨人化するか?
いや…地面が落ちてくるんだ…巨人の体程度じゃ防げない…)」
エレン「…ごめん…みんな…オレは役立たずだったんだ。そもそもずっと…最初から…人類の希望なんかじゃなかった…」
と、へたり込んだエレンの視線の先にはひとつの瓶が映った。そこに書かれる文字は────
エレン「…ヨロイ?」
ジャン「何だ?悲劇の英雄気取りか?
テメェ一回だって自分の力一つで何とかできたことあったかよ?」
コニー「弱気だな。初めてってわけじゃねぇだろこんなの」
サシャ「別に慣れたかぁねぇんですけどね!」
ハチマン「お前が希望だって信じてこれまで戦ってきたんだ。今更お前が諦めてどうすんだ?海を見に行くんだろ」
リヴァイ「毎度お前にばかりすまなく思うが…エレン。好きな方を選べ」
エレン「ッ…うぁぁぁああああああッ!!!」
ごめんなさい…最後に一度だけ許して欲しい…
自分を信じることを!
そして、エレンは瓶を飲み込むと共に巨人化した。
こんにちは〜。アニメの最終期も始まり見ていますがやっはり面白いですねー。
自分の作品も一応は最終話までいく予定なので、できればアニメ完結に合わせてこっちの方も終わらせたいのですが……中々難しいです(^_^;)
何かあればコメント受け付けますのでお願いします!
批判でも感想でもなんでも大丈夫ですよ〜。