それでも俺は進み続ける。   作:甘味の皇帝

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season3 Part6

ハチマン「」

 

アニ「は、ハチマン……」

 

「ゲホッ…ゲホッ…」

 

アニ「!」

 

「やりやがったなぁ…ハチマン…アニちゃん…」

 

アニ「戦士長…」

 

ードドドッ! グワッ!

 

アニの後ろから現れたのは四足歩行型の巨人。

 

アニ「ッ!」

 

アニはハチマンを抱えて避けるが、代わりに獣の本体を連れ去られる。

 

アニ「ぁ…あぁ…ふざけるな…クソ野郎…!」

 

「ゲホッ…お前ら!!あいつらを殺せ!!」

 

その叫びと共に、左右を囲っていた巨人全員がアニの元に走り出す。

 

「痛ぇ…やりやがったなハチマン…痛ぇよぉ…だがあいつももう終わり…運が良ければ女型を奪える…」

 

〜〜〜

 

アニ「…」ビリッ

 

ードオォンッ!!

 

アニ「アァァアアッ!!」

 

アニは巨人化すると、目前に迫った巨人のうなじを上段蹴りで貫通させる。

 

アニ「(逃がさない…絶対に…!)」

 

女型の巨人の手の内にはハチマンがいる。

 

アニ「(戦士長…あんたは私が…必ず殺す…!)」

 

そして、アニは四足歩行型の巨人を追って走り出した。

 

その後ろを巨人の群れが追ってくるが、そんな事は全く気にも止めない。

 

 

巨人の全速力での疾走はすぐに壁まで辿り着いた。

 

リヴァイ「おい…あの巨人はアニか?」

 

エルヴィン「あぁ…女型の巨人と言うらしい」

 

リヴァイ「…は?…お前まさか…知っていたのか?なぜそれを先に言わない?」

 

エルヴィン「アニは元々ライナー達の仲間だった。アニの立場を考えて言わないようにと、ハチマンから頼まれている」

 

リヴァイ「…まぁ、いい…だが、あの様子だと失敗したようだ…ハチマンの姿もない…」

 

エルヴィン「…リヴァイ。お前は先にアニの後を追え」

 

リヴァイ「了解だ」

 

 

 

〜シガンシナ区〜

 

エレン「…こうなることは…わかってたはずなのに…でも…お前の力に頼るしかなくて…」

 

エレンの目の前には、超大型の熱風で黒く焼け焦げたアルミンがいた。

そして、その隣には────

 

エレン「こいつを捕らえることができたのも全部お前の手柄だよ…」

 

超大型巨人の本体ベルトルトがいた。

 

エレン「アルミン…お前はどうして、逃げないんだよ…」

 

ードォォォンッ

 

エレン「!」

 

壁付近の家に何かが落ち、煙が立つ。その中の何かは徐々に顔を出した。

 

エレン「…巨人!?」

 

四足歩行型の巨人だ。獣の巨人の本体を鞍に乗せてここまでやってきたのだ。

 

その巨人はエレンを認識すると、こっちに向かって走ってくる。

 

エレン「クソッ!それ以上近付いてみろ!!こいつを奪われるくらいなら殺すからよ!」

 

(こいつ…目の周りに巨人化の跡が…獣の巨人か!?)

 

「お前がエレン…イェーガーか?」

 

(ダメだ!こいつ(ベルトルト)だけでも)

 

ーブシャッ

 

エレンの刃がベルトルトの首に食い込む。

 

「全然親父と似てないな…」

 

エレン「……何…?」

 

「信じてほしい。俺はお前の理解者だ。俺たちはあの父親の被害者…お前は父親に洗脳されている」

 

エレン「父…さん!?」

 

だが、獣の本体は壁上にいる存在に気づいた。

 

「オイオイ……まさかここまで追ってきやがった……アニちゃんらしくないねぇ…」

 

エレン「(あ、あの巨人は!?こいつの言葉…まさか…アニ!?)」

 

 

ーガガガガガガッ‼︎

 

女型の巨人は壁から降り始める。

 

「あぁ…わかったよアニちゃん。痛み分けで手を打とう。ベルトルト…悪いが…お前はここまでらしい。エレン…いつかお前を救い出してやるからな」

 

そう言って四足歩行型の巨人と獣の本体は去って行った。

 

エレン「は…?逃げた…??」

 

ードォンッ!

 

アニは地面に着地すると、すぐさま走り出す。

だが────

 

ハチマン「ゼェ…ゼェ……」

 

アニ「(ハチマン!?)」

 

ハチマンが息を吹き返したのを見て動きを止めた。

 

アニ「ハチマン!!」

 

アニは巨人の体から出ると、ハチマンを抱えてエレンのいる屋根に降りた。

 

エレン「あ、アニ!?お前…なんで…」

 

アニ「そんなこと今どうでもいいでしょ…!それより……そこにいるのは…?」

 

エレン「…アルミンだ」

 

アニ「そんな……」

 

ープシュウッ! タンッ

 

リヴァイ「おい…お前ら…これは…どういう状況だ…?」

 

〜〜〜

 

ハルノ「ライナーくん。この左胸に入っていた鉄のケースは何かな?君が手足を切り落とされる前…最後の力で取り出そうとしたものだよ。自決用の薬?それとも爆弾か何か?」

 

ライナー「……てがみ…」

 

ハルノ「手紙?…何の手紙?」

 

ライナー「ユミルの…手紙…クリスタに…必ず…渡してほしい…」

 

ハルノ「中身を改めたらね。さてと、聞きたいことが山ほどあるんだけど…君の口も鎧のように固そうだね。君は私たちが知りたいことを教えてくれるかな?」

 

ライナー「……いいや」

 

ハルノ「覚悟ができているようで何よりだよ」

 

そう言ってハルノは、刃をライナーの喉に食い込ませる。

 

ライナー「グフッ…!」

 

ジャン「待って下さい!!」

 

ライナー「グッ…」

 

ジャン「いいんですか?その力…奪えるかもしれないのに…」

 

 

───・・・・・・

エルヴィン「この注射を打った人間は巨人になる」

 

そして、巨人になった者が"巨人化できる人間"を食らうことで、一旦は知性の無い巨人となった者も人間に戻り、我々の誇るエレンのように"巨人の力を操る人"となるのだ。

 

もし条件が揃い、それが可能であれば積極的に巨人の力を奪いたい。それが果たせれば巨人の力や情報を得られるばかりではなく、瀕死に至った人間をも蘇らせることができる。

 

つまり、注射を打たれる者は重傷者が優先される。もし巨人の力を持つ敵を捕らえ、四肢を切断した後、安全が確保されたならリヴァイ兵士長を呼び求めよ。

 

エルヴィン「この注射薬はリヴァイ兵士長に託してある。くれぐれも承知してほしい。注射薬はこの一本限りだ」

 

 

 

ハルノ「私は条件が揃ったとは思わないよ。まずここには死に至るほどの重傷者がいない上、恐らく獣の巨人はハチマンくんが捉えてる。

わざわざライナーくんを生かす必要、あるのかな?」

 

ジャン「ッ…」

 

ハルノ「むしろ、この子達の底力は計り知れない…首を刎ねてもまだ安心できないよ」

 

ライナー「ガッ…‼︎」

 

ジャン「で、でも…もしもハチマンが失敗してたら…」

 

ハルノ「ッ…」

 

ジャンの言葉にハルノは手を止めた。

 

ミカサ「ジャン…」

 

ハルノ「…まぁ…それもそうだね。ミカサちゃん」

 

ミカサ「はい?」

 

ハルノ「ガスはあとどれくらいある?」

 

ミカサ「もうほとんど残ってません……ですがエレンとアルミンの元への片道分はあります」

 

ハルノ「それなら、すぐにエレンくん達の状況を見てきて。そうしたらガスを補給してリヴァイくんから注射薬を。何らかの理由でそれが不可能な場合は信煙弾を。それを合図にライナーくんを絶つ」

 

ミカサ「了解です」

 

そう言ってミカサは飛び上がった。

 

ジャン「……ハルノさん…俺は…」

 

ハルノ「私の判断だよ。君のは判断材料」

 

ジャン「(俺は…何だ?まさかこの期に及んで…)」

 

ハンジ「しかしどうする?」

 

ジャン「はい?」

 

ハルノ「そうだね…巨人になるとしたら…」

 

ハンジ「命に別状はないが重傷を負ったサシャか…もっと…相応しい誰かか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレン「やった!!やったぞ!!アルミンが息を吹き返した!!」

 

アルミン「ヒュゥ……ヒュゥ…」

 

エレン「がんばれ!!もっと息吸え!!」

 

ミカサ「!?…アルミン…?」

 

ミカサがここに到着した頃、死んだと思われたアルミンは息を吹き返した。

だが、それはハチマンも同じ────。

 

ハチマン「ゼェ…ゼェ…」

 

ミカサ「ハチマン…!」

 

エレン「兵長!!注射を早く!!」

 

アニ「いや、ハチマンに注射を…」

 

エレン「アルミンを巨人にして…!!ベルトルトを食わせるんですよ!!」

 

アニ「生き返らせるのはハチマンだよ!!兵長早く注射を…!!」

 

リヴァイ「…あぁ……だが…」

 

ミカサ「ハッ…!」

 

ーパシュッ

 

ミカサは信煙弾を放ち、ハルノに状況を伝えた。

 

〜〜〜

 

だが、その場の誰も────それを確認することはなかった。

 

ジャン「ッ…ハルノさん!!ハンジさん!!」

 

二人の背後から迫ってきたのは、四足歩行型の巨人。二人を食おうと口を開いていた。

 

ハルノ「ッ!」

 

ープシュウッ‼︎ ガシャンッ!!

 

ハルノはハンジを抱えてそれを避ける。だが、立体機動装置に攻撃が掠り、破壊された。

 

ハルノ「(まずいッ…!)」

 

ハルノが次に見た時には、四足歩行型の巨人がライナーを咥えている。

 

コニー「ハルノさん!!ライナーを奪われました!!」

 

ハルノ「ッ!」

 

ジャン「あ…!!」

 

コニーはそれを追おうとするが────

 

ハンジ「コニー!!追わなくていい!!」

 

コニー「…!!」

 

ハンジ「もうガスはわずかしか無い…返り討ちにされるだけだ…残ってたハルノもガスごと立体機動装置を破壊されてる…」

 

ジャン「くそぉぉ!!俺のせいです…俺が…取り返しのつかないことを…」

 

ハルノ「…私の判断って言ったでしょ。エレンくん達と合流しよ」

 

〜〜〜

 

リヴァイ「二人ともまだ生きている……」

 

二人とも放っておけば死ぬ状態…そして、その二人共が調査兵団にとって大きな戦力。

 

リヴァイ「(どっちに打つべきだ…?)」

 

エルヴィン「リヴァイ」

 

エルヴィンは数名の護衛を付けてリヴァイの元までやってきた。

 

リヴァイ「エルヴィン……ハチマンとアルミンだ。…どっちに打てばいい?」

 

エルヴィン「ッ…!」

 

ハチマン・ヒキガヤは調査兵団最強の力を持っている……そして、アルミン・アルレルトは我々にはない発想ができる明晰な頭脳───。

 

二人の力のおかげでここまで辿り着けたと言っても過言では無い………どちらも優劣など付けられない存在だ────。

 

エルヴィン「(だが……このまま時間だけが経てば二人とも死んでしまう…それだけは避けなければ…)」

 

エレン「団長!!アルミンを────ッ!!」

 

アニ「…ハチマンがいなければ…あのまま調査兵団は壊滅していたはずです……それを防いだハチマンを…助けるべきじゃ…」

 

エレン「アルミンがいなかったら…ベルトルトを倒せなかった!!アルミンがいたから…これまでだって…!!」

 

エルヴィン「(そうだ…どちらも我々の危機を救ってきてくれた……実績だけを見れば決められない……なら、未来を考えればどうだ?)」

 

これから先…必要になるのは……武力か?だが世界の真相を知って…どう対応するか…頭脳も必要になる……いや、アルミンの発想こそ我々には────。

 

エルヴィン「この薬は───!」

 

 

エルヴィンが決断を下そうとしたその瞬間、ハルノたち一向が到着した。そして、この状況を目の当たりにする。

 

ハンジ「…何ってことだ……」

 

ジャン「おい…ウソだろ……こんなの…」

 

コニー「そんな…」

 

エルヴィン「この薬はアルミ────」

 

アニ「待って下さい!!」

 

エルヴィン「!」

 

アニ「私は…この世界がどうなっているか知ってます…その上で…私は…ハチマンが必要だと思います……力が必要なんです…」

 

エルヴィン「……それは…リヴァイやハルノではダメなものか?」

 

アニ「ッ……」

 

エルヴィン「リヴァイ。注射はアルミンに打て」

 

リヴァイ「…あぁ…了解だ。

全員ここから離れろ!!ここで確実にベルトルトをアルミンに食わせる!!」

 

 

 

ハンジ「…さぁ、行こう。アニ」

 

ハンジはアニを抱えると、屋根から離れた。

 

ジャン「クソ……クソ……」

 

コニー「ハチマン……またな…」

 

アニ「ぁ…あぁ……!」

 

104期生の全員の頬に涙が伝り、その場に残ったのはリヴァイだけとなった。

 

 

 

 

───・・・・・・もし…あいつに勝ったら…外の世界のこと教えてくれないか?

 

アニ「ハチマン……ッ…!」

 

 

 

───・・・・・・俺とアニで獣の巨人を殺します。

 

 

リヴァイ「…今までありがとうな、ハチマン。お前のおかげで救われた仲間はたくさんいる。本当にありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーバキッ! バキッ!

 

その物音に、ベルトルトは目を覚ます。

 

ベルトルト「……??…え??…」

 

ーガシッ

 

ベルトルト「ッ!!うぁあああぁあ!!」

 

ベルトルトは巨人に掴まれ、徐々に口に近づいていく。そんなベルトルトの目には104期のみんなが見えた。

 

ベルトルト「み、みんなああぁ!!助けてえぇええ!!」

 

だが、ベルトルトは気づいた。今更自分がそんなことを言える立場では無いと────。

 

ベルトルト「ぁあああああぁああ!!アニ!!ライナァア────ッ!!」

 

ーバキッ‼︎

 

そして、ベルトルトは巨人の喉へ消えていく。

 

〜〜〜

 

アニ「…」

 

リヴァイ「アニ…こいつを…許してやってくれないか?」

 

リヴァイはエルヴィンを指しながらそう言った。

 

リヴァイ「お前が外の世界の何を知ってるか俺は知らねぇが……あの状況じゃ選べるものは限られてた。あいつはアルミンを選択するしかなかった…」

 

アニ「…わかってます……頭では…」

 

ハンジ「そうだよね…わかるよ…。私にも…生き返らせたい人がいる。何百人も…調査兵団に入った時から別れの日々だ……でも…わかっているだろ?誰にだっていつかは別れる日が来るって…」

 

アニ「…」

 

ハンジ「とてもじゃないけど…受け入れられないよ。…それでも、前に進まなきゃいけない」

 

アニ「…はい……」

 

 

 

ーシュウゥ…

 

エレンたちは、ベルトルトを食べて倒れた巨人の元に来る。

そのうなじからは、アルミンが現れた。

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