【休載中】転生八幡。スライムになったよ!てへっ♪   作:甘味の皇帝

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今回は短めです。


37話:相互理解への一歩

難しい話はこれで終わりだ。ルミナスとの一応の手打ちは済み、神聖法皇国ルベリオスに俺たちを認めてもらう算段もついた。

 

賠償はそれで十分。あとは交流を通じて、仲良くなっていければいい。

 

百年って聞いたら長く感じたが、寿命のことも考えれば案外短いものなのだろう。限られた時間を使って相互理解を深める事が大事だな。

 

と、いうわけで聖騎士たちとも定期的に交流を行うことになった。

 

てな訳で最初に行ったのは技術交流である。

 

今回の戦闘で彼らの武器は傷んでいる。なのでそれらの修理を申し出てみた。

 

エイト「(まあ、それは建前なんだけどな)」

 

本当の狙いは聖騎士たちの武器の性能のチェックだ。

 

 

 

そこそこの収穫があった後、時刻は既に夕方となっていた。

 

用件も済んだし、聖騎士たちもさっさと帰還するだろうと思ったのだが、一応は社交辞令として食事に誘ってみたい。

あらやだ、俺ってば偉い!

 

エイト「なあ、ルミナス、それにヒナタ。もう今日は遅いし、出発は明日にしたらどうだ?」

 

なんてな。どうせルミナスは[空間転移]で帰るだろうし、ヒナタも元素魔法:拠点移動(ワープポータル)でルベリオスの何処かを登録しているだろう。

 

それは当然聖騎士達も同じだ。

 

だから、どうせヒナタが『悪いわね、用事も済んだしお暇するわ』とか何とか言ってさっさと引き上げると思っていた。そんな時期が俺にもありました。…あれ?これデジャブ?

てことは__

 

ヒナタ「悪いわね__」

 

お?意外と俺の予感に反して__

 

ヒナタ「そこまで言うのなら、今晩もお世話になろうかしら」

 

はい、ダメでしたー。

 

ルミナス「そうじゃな。あの温泉とやらは気に入った。それに何より、スシとやらは格別だったし、今晩も楽しみじゃ」

 

そんな二人の決断を見て、帰るつもりだった聖騎士たちまで泊まるつもりになってしまった。

 

ニッコリ笑顔で、晩飯について嬉しそうに、仲間同士で語り合っている。

それでいいのか聖騎士団(クルセイダーズ)!?

 

まあ、今更発言を無かったことになどできないので…今日も精一杯持て成すとしますか。

 

………

……

 

エイト「と、言うわけで、今日の宴はすき焼きだ」

 

「「「うぉおおおお!!」」」

 

エイト「…」

 

何だろうこの気持ち…昨日まで敵対していたというのに、今は俺たちの配下と聖騎士たちが、仲良く肉を見て喜んでいる。

 

喜ばしいことではあるのだが…これでいいのか?

 

まあ、そんな事はこの際どうでもいい。大事なのはすき焼きである。

 

てな訳で、最近飼育し始めた鶏鴨(ケガモ)牛鹿(ウジカ)を振る舞う事にした。

 

それに加えて採れたての野菜。

 

もはや鍋以外の選択肢はあり得ないご様子なのだが、それに加えて俺とシュナは更に工夫を加えた。

 

鶏鴨(ケガモ)の骨から出汁を取ってスープにして、身を刺身として提供する。

 

そしてメインが、牛鹿(ウジカ)の霜降り肉だ。それを豪快にすき焼きにする。

 

あとは鶏鴨(ケガモ)の卵を毒抜きして、

一人一人に配膳すれば準備万端である。

 

不味い訳がない。

 

リムル「それでは、今後の友好を祈願して、

乾杯!」

 

「「「乾杯__ッ!!」」」

 

今日も今日とてリムルの適当な挨拶で宴会が始まった。すき焼きだと大してやることがないので俺も一緒に食べる事にした。

 

昨日好評だったらしい"魔黒米"が今日も全員に配られている。色が黒い米……日本人としては受け入れ難いな。

魔素への耐性があるからこいつらは大丈夫なんだろうが、普通の人間が食べたら毒である。

 

なんせ"封印の洞窟"で育てた米だからな。

 

リムル「ほら、エイトも」

 

リムルは俺とヒナタに"白米"を渡してきた。

 

エイト「ありがとな」

 

ヒナタ「白米って……。貴方達、ちょっと好き放題し過ぎなんじゃないの?」

 

何が不満なんだよ…若干声も震えてるし。

悔しいのか?

 

リムル「文句があるなら白米は返してもらって…」

 

ヒナタ「そう言う話をしているんじゃないわよ」

 

リムルの言葉に、ヒナタは茶碗を死守するようように構えた。

 

エイト「(大人気ない…)」

 

ヒナタ「だけど、ここまで完璧にあっちの世界の食べ物を再現してあると、驚く以前に呆れたわね。まさかたった二年で、ここまで暮らしやすい環境を作るとはね…。

私たちが望んでも為し得なかった事を、貴方達は平然とやってのけたのね…」

 

リムル「まあね。もっと褒めてくれてもいいよ?」

 

ヒナタ「ふざけないで。ユウキなら話は聞いていたけれど…これは実際に目で見ないと信じられるものではないわね」

 

エイト「いや、まだまだだな。物流は遅いし、情報伝達も話にならない。魔法があるから住み心地と食糧事情はそれなりに改善できたけどな」

 

ヒナタ「それなりって…あなたね、私達が今までしてきた努力を嘲笑うような、こんな美味しいものを再現しておいてそれを言うの!?」

 

リムル「いや、食糧事情はかなり満足してるって。なあ?」

 

エイト「おう」

 

リムル「それよりも、最悪なのは文化だよ。

娯楽が少なすぎる。ヴェルドラが読んでいるような漫画とか、そういう娯楽を生み出せる下地を作りたいのさ」

 

ヒナタ「娯楽って、貴方…。こんな過酷な世界で、生きるのに必死な人々が大半なのに?」

 

リムル「ああ、そうだよ。魔物とかの脅威は俺達が取り除く。隠しても意味がないから言っちゃうけど__」

 

エイト「」

 

あれ?言っていいのかこの先?

 

リムル「ヨウムを王に樹立して、新王国を興し、そこを巻き込んで西側諸国でも影響力をを持てるようにするつもりさ」

 

ヒナタ「貴方は一体何を考えているの?詳しく聞きたいわね」

 

リムル「色々と考えているんだけど、先ずは

ね___」

 

と、言うわけでリムルは街道整備のことから、挙げ句の果てには情報伝達__通信の方法についても語り始めた。

 

魔法道具(マジックアイテム)__つまり通信水晶なのだが、これは魔法使いにしか使えない上に、盗まれる危険があるのだ。実際に何度か窃盗事件が起きている。

 

だから、誰にでもできる通信システムが欲しかったのだが…ここで着目したのが[粘鋼糸]と

"魔鋼"だ

 

[粘鋼糸]による思念伝達率は凄まじい。これは魔素が絡んでいるのが理由なのだが、魔鋼にも同様の性質がある。

 

なので、"魔鋼"を1センチ程度の線状に加工し、それを[影移動]で利用する空間を通して各都市と結ぶ。

 

これだけでは意味がないのだが、ベスター達が開発中の装置を取り付ける事で、思念波を音と映像に変換することが可能となる予定だった。

 

この装置は周囲の魔素を吸収して作動するから魔力を持たない者でも利用できる。

 

これに成功して、余裕ができたら各都市間だけでなく、村々を結ぶネットワークの構築も可能なのである。

 

と、そこまでリムルが話したところで…

 

リムル「どうだ、完成すると凄く便利になりそうだろ?」

 

辺りは全て静まり返っていた。

 

ヒナタ「あのね…普通、そういうのは国家機密扱いの情報なのだけど?特に通信関係なんて、他国の人間に話す内容じゃないわよ。まあ、いいけど…」

 

フリッツ「まあまあ、いいじゃないですかヒナタ様!それだけ俺たちを信じてくれているってことなんですからね!っとそれよりも。この肉要らないのなら貰いますね!」

 

エイト「あ」

 

フリッツが肉を口に入れた時、俺の隣の空間が歪んだ気がした。錯覚だな。

 

ヒナタ「フリッツ…貴方、死にたいのかしら?」

 

フリッツ「あ、あれ?ヒナタ様、目がマジ_」

 

フリッツが逃げようとしたが、時既に遅し。

 

ヒナタの手刀で顎を刈られ、脳震盪を起こしてその場に崩れ落ちる事となってしまった。

 

この馬鹿を教訓に、俺とリムルは食に対する

人の恨みには気をつれるべきだと、再確認したのだった。

 

〜〜〜

 

そして翌日。

 

ヒナタ「昨日の話だけど、余り派手にし過ぎると天使に攻撃を受けるわよ」

 

天の軍勢ってやつか…。

 

ヒナタが言うには、その天使とやらは一体一体がB+ランク相当で、百万体もの軍勢で攻めてくるらしい。

 

更に隊長クラスや指揮官クラスもいて、指揮系統も組織じみているとの事。将軍クラスも存在するようで、長い歴史を紐解くと魔王と戦う姿も確認されているらしい。

 

その戦闘能力は未知数だが、魔王に匹敵するという事は結構強いのだろう。

 

天使は魔物や文明の発達した都市を攻撃目標とする。西方聖教会としても、天使は人間の味方ではない、と見なしているらしい。

 

ルミナス神の正体が魔王ルミナスなのだからそれも当然である。

 

ルミナス「妾としても、あの羽虫共にはウンザリしておる。この手で始末してやりたいが、それをすると正体がバレるからのう…。

もっとも、そこのトカゲのせいで聖騎士共にはバレてしまったがな」

 

リムル「天使に関しては、俺も話を聞いて知っていた。こちらに手を出すというなら、迎撃する気だったよ」

 

ヒナタ「フフッ、貴方ならそう言うと思ったわ。その時は、私達と共闘する事になるかもね」

 

ルミナス「妾としても、二度と妾の”都“を壊させはせぬよ。羽虫共にも、そこのトカゲにもな。エイト、リムルよ、妾との敵対を避けたいならば、そこのトカゲを良く教育しておくのじゃな」

 

そういい残して、彼等は去って行った。

 

相互理解を深める意味でも、有意義な時間を過ごせた。

 

ヒナ夕達だけではなく、ルミナスとも今後は友好的な関係を築けそうである。

 

 

そしてその後___

 

神聖法皇国ルベリオスは突如として、今まで黙認していただけのドワーフ王国の存在を、友となり得る人類として認めると発表した。

 

それに続いて魔物の国であるジュラ・テンペスト連邦国と国交を樹立すると宣言。

期限を定めてのものではあったが、魔国連邦(テンペスト)との不可侵条約の締結を発表する。

 

亜人だけではなく魔物まで__

 

これにより人と魔の新たなる関係が模索されていく事になる。

 

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