呪術?念能力の間違いだろ、そんなことよりラーメン食おうぜ 作:nyasu
此方に来てから一年が経った。
どうやら俺は、井の中の蛙とやらだったらしい。
取り敢えず自分のいた世界の話を全巻読んでみたのだが……なんだよ暗黒大陸って!というかゴン強いな!あとやっぱゾルディックおっかねぇ、幻影旅団殺せるクラピカって奴何者だよ!まぁ、色々とツッコミどころもあった。
多分、暗黒大陸にでも飛んでなんやかんやで異世界に来たんじゃないかな、もしくはここが暗黒大陸とか。
何があっても可笑しくなさそうだろ暗黒大陸。
行ったことない場所も行ける能力になってしまってたのかもな。
グリードアイランド編は、今じゃ俺の修行のバイブルだ。
よく考えられた高度な修行、おそらく門下秘伝なのではないだろうか。
俺の念能力も恐ろしく上がっていく。
一年の間、不思議な奴らを見つけた。
呪術師と呪詛師と呼ばれる者達、こいつらはこの世界の念能力者だ。
呪術師がハンターで呪詛師が念を習得している犯罪者だ。
あと、この世界には何故か念獣が自然発生する。
人の負の感情から自然発生するとかなんとか言ってたが、どこかに呪霊を作ってる念能力者がいるはずだ。
もしくは死者の念とか、人の感情というが要するに念のことだろう。
何者かが生み出していると考えたほうが自然だ。
呪術師はそんな念獣を倒して金を得ているらしい、コイツらの中に念獣を生み出してマッチポンプしてる奴らがいるんじゃねぇんだろうか。
呪詛師は呪霊を用いたり、依頼を受けて念能力で犯罪を犯す奴らだ。
まぁ、やってることは前の世界と同じだな、どこにでもクズはいるって事だ。
因みに、俺は呪詛師って奴になる。
念の私的利用は全部呪詛師扱いで討伐対象らしい、おっ喧嘩か、買うしか無いよな。
「はぁ……今日は何するかな」
さて、一年も俺が何をしていたかというと基本遊んでいた。
どっかのハンターみたいにゴン達に抜かされたりせんように、日々修行をし、修行以外の時間はギャンブルだ。
金がなくなればそこら辺のマフィアや金貸しから金を借りて踏み倒している。
アイツらボコボコにしても、警察に駆け込まないから楽でいい。
たまに、呪詛師に依頼してくる奴もいるが最近は来なくなった。
どうも呪詛師界隈で割に合わないという噂が広まったらしい。
その頃から、金に困ってんならウチで仕事しないかと仕事をくれる奴が現れたので偶にそれで大金を稼いで過ごしていた。
「ほぉ、目押しか。凝!」
「兄ちゃん、いつもそのギョ!って言ってんけど意味あんのか」
「あんだよ、ジンクスってやつだ!ほら見ろ、百発百中だろ!」
「慣れだろがい、そんなん。また勝ちか、ラーメン奢れよ」
「お前、負けたのかよ。おごってやるよ、ほら換金しようぜ」
顔馴染みなった知らないおじさんとラーメンを食ったりして、まぁよろしくやっていた。
因みに寝床は女の家を転々としている。
意外と呪霊で困ってる女ってのは多くて、最初は不審がられるが払ってやったら此方のもんだ。
あの手この手で転がり込むのは簡単に行く。
その日はギャンブルで勝ってたのと、世間が珍しくイベントだと分かったので世話になってる女へのお礼がてらレストランなんざ予約していた。
朝、出勤する女に待ち合わせの約束をしてやったのだ。
女は大喜びで久しぶりに良いことをしたぜと気分が良かった。
酒呑んで、マリカして、そろそろかと珍しくスーツに着替えてレストランに向かった。
基本的に俺は金が好きだが、一番好きなのはそれを使う瞬間だ。
溜め込んで死んだマネーハンターはたくさん見てきた、俺はそいつらのような馬鹿とは違うので死ぬ前に浪費するのだ。
なので基本稼いではゼロになるまで浪費する。
今回は俺も美味いもんが食えるし女も喜ぶ、良い金の使い方だ。
しかし、それも意味不明な馬鹿に邪魔される。
レストランが爆発した。
「……はぁ?」
意味が分からないと思う、俺も分からない。
思わず吸っていたタバコが口から零れ落ちるくらいだ。
レストランの中にいた何人かが血塗れの肉塊になって、何人かが悲鳴を上げて逃げていく。
よく見れば見覚えのある服装の肉塊、まず間違いなく俺の女だ。
「リア……充……」
「……そういうことか」
店の奥から、ゆっくりとした足取りで二足歩行のカエルが出てきた。
呪霊、そう呼ばれてる念獣だ。
周囲を見れば至るところで爆発したかのような音が聞こえる。
そんな偶然あるか、ありえない。
つまりは、あれだ、呪霊を操ってる術士がいる。
「ヒトリ……ボッチ……」
「そうかそうか、俺が気に入った女と俺の金でリア充するのが嫌で爆発したと……」
ハンターになった時点で知り合いとの泣き別れなんざ珍しくない、珍しくないが情ってのが俺にもある。
だが一番は、俺の物を誰かが壊したり俺の邪魔をしたことだ。
練と凝を用いて、手足に念を集中する。
一歩目の踏み込みでカエルに近づく、カエルは此方に向けて口を開いた。
「馬鹿が!」
予備動作から予想される攻撃、それは舌!
舌が伸び、俺を叩こうとした瞬間掴み取る。
「オラァ!」
「グゲェ!?」
弛んだ舌は限界まで伸び、そのまま本体を引っ張り、そして俺の腕力任せの振り回しによって上空に身体が飛んでいく。
「久しぶり頭に来たぜ、よくも俺の素晴らしい浪費を邪魔してくれたな。爆ぜな!」
人差し指を向け、念弾を込める。
放出は苦手だが、これぐらい出来るくらいには特訓したのだ。
見ろ、テメェみたいな弱い念獣なら一撃で爆破だ。
飛び散るようにカエルが爆散して、死体が飛び散った。
そんな血飛沫と肉片が落ちる町中を、歩く人影がいる。
俺はそちらに振り向きながら、凝で視線を強化する。
縄と携帯を持ってるな、念が込もってやがる。
呪術師、呪詛師か。
「さて……君らが俺の計画を台無しにした奴らかな」
「何見てんだよ、ムカつくわぁ」
「吊るすよおじさん」
現れたのは女子高生二人組だ。
この念使えない奴がみたら爆破テロの起きているような街で、携帯で周囲を撮影しながら楽しそうに歩いてる二人組みだ。
間違いなく今回の何かを知っているだろう。
「おいおい吊るすってその縄でってことか。ところでその携帯、古くないか。ダサッ」
「ハァ、にわかが最新機種だっての意味分かんないわコイツ、やっぱ殺すか美々子」
「吊るしてやろうか菜々子」
ギャルの方は結構短気だ、性格診断からして放出系だろうか。
携帯は最新機種、操作系ではないかもしれない。
吊るす方は分かりやすいくらい縄を持ってあるいてるから操作系、それか見せかけて具現化系。
さっきからマイペースなのと同じ言動から操作か強化だが、多分操作だなありゃ。
「…………」
「黙って見てんじゃねぇよ!クソが」
ギャルの方の腕が動く。
馬鹿が、手に持ってる道具を警戒しない念能力者がどこにいる。
俺は強化した拳を地面に叩きつけた。
「チッ……こいつ天与呪縛か!」
「ヤバっ」
スマホを翳した。
対象を写すことを条件とする能力か、少し本気を出すとしよう。
「ッ……なにこのプレッシャー」
「マジヤバない、本気じゃなかったってこと」
「隠で弱くしてないと君等みたいなのはビビって出てこないでしょ。それに、相互協力型なら模倣できない、いらないから殺すわ。ちなみ、俺はまだ2割しか本気を出してない、この意味が分かるか?」
嘘である。
全力の練なので、十割本気である。
念能力者の戦いは、精神の戦い、心が折れた方が負ける。
俺は俺より強いやつが居ることを知っている。
「ウザッ……行くよ美々子」
「オッケー、菜々子」
来るか……俺はボクサーのように構えて動きを待つ。
「あっ」
しかし、奴らは踵を返して逃げ出した。
なるほど、俺のブラフがうまく行ったのか。
それか、他に強いやつが居るとかか。
「ったく、クソガキどもが」
その後は適当に街の呪霊共をぶち殺した。
アレか、操作系能力者が適当に集めたとかそういう発ってことか。
至るところが血塗れで呪霊が好き勝手暴れたのが分かった。
念獣つまり呪霊は人には見えないから、突然人が爆発したように見えただろうな。
「最悪だろ、血生臭いぜ」
俺はコンビニで血塗れの床を見ながら、そう思った。
おっと、そろそろ三分か。
蓋をあけると、湯気と共に仄かな醤油の香りが鼻孔を擽る。
カップに浮かぶ、卵はふわふわで、ダイス状の肉はジューシーな肉の脂を口に訴えかける。
ネギは程よくシャキシャキで、エビは出汁にもなってる。
肉と魚介の旨味、そしてコシは少ししか無い懐かしいようなチープな麺。
スープもシンプルで、どこか懐かしい。
「やっぱカップ麺はカップヌードルだもんな。カップでヌードルだもん、カップ麺界の元祖みたいなもんだよ。なんで偶に食いたくなるのかな」
何がすごいって、どこで食っても同じクオリティーということだ。
海だろうが山だろうが、どちらも死体が転がってても普通に上手い、すごいと思う。
「ラーメン屋までブチ壊しやがって、あのクソガキ共マジで殺す」
唯一の難点は量が少ないことか……。
「お湯が……ない……」
今日は厄日だぜ。