どちゃクソラッキースケベなハーレム生活を望んだ結果、最終的に幼馴染を好きになった転生者の話 作:送検
ユーリィちゃんはマジでこの人見習えって心底思った。そしたら原作にも書いてあった。
考えていることは同(ry
とある日、俺が泣きじゃくりながら家に帰るとそこにはシーラさんがいた。
どうやら今日が数ヶ月に1回起こる母さんとシーラさんの一時であったらしく、母さんがいなかったことも相まって、俺は先程から溜めに溜めていた心の叫びを目の前のシーラさんにぶつけ、泣きついたのであった。
「わーん!シーラさーん!!」
「おー、どしたオリバー」
「イレイナに磔にされたァ!!」
「お前ら何して遊んでんの?」
勿論、ツッコまれた。
まあ、そりゃそうですよね。シーラさん全く事情知らないもん。それにも関わらず家に帰った途端泣きついてきた子どもがいたらそりゃ困惑するわ。
それでも近寄った俺の頭を撫でてくれる辺り、シーラさんの姉御的な優しさが伝わってくるのは唯一の救いなのか。
「磔にされて‥‥‥こちょこちょされて‥‥‥あ、やべ。なんか癖になりそうなんで頭撫でんのやめてください」
「お前いつも頭撫でられてんだろ」
「俺もう12歳っすよ?」
「12歳。まだガキじゃねーか」
12歳はガキなのか。
いやまあ、確かにまだまだ子どもではあるがそろそろ大人にならなければいけないのではないのかな。イレイナ然り、ヴィクトリカさん然り、この人然り、まるで保護者みたいだな!
‥‥‥はい、分かります。俺が馬鹿なだけですよね、分かります。
「で、今日はどうして家に?また母さんと世間話ですか?」
頭の中で様々なことを考えている内に落ち着きを取り戻した俺は、改めてシーラさんを見上げて尋ねる。すると、シーラさんは「ああ、そうだった」と呟き、俺の頭から手を離した。
「それもそうなんだが、今日は別に用がな」
「用、ですか」
「おう。確かお前、一昨日誕生日だったろ」
「まあ、はい」
そうだ。
一昨日で12歳の誕生日を迎えた俺。あの日に何があったかというのは割愛させて頂くがその日に意趣返しという言葉の怖さを脳裏に刻みつけられたのは記憶に新しい、そんな1日であったと言える。
そんな俺の誕生日がどうしたのだろうか──と考えているとシーラさんがあっけからんとした表情で一言。
「プレゼント」
そう言って、どこからともなく召喚した宝箱のようなものを机に置く。
え、なんで宝箱なんすか。
「宝箱‥‥‥」
「おう、そっちの方がドキドキすんだろ」
「‥‥‥やっぱりシーラさん、俺を子ども扱いしてる節がありますよね」
「だからお前はガキだろ」
「そうですけど‥‥‥」
むしろそっちを求めているとこあるけど。
いやしかし、やはり精神年齢は大人になり始めているのだからいい加減子ども扱いからは脱したいところでもある。いちいち頭を撫でられる年頃でもないだろう。そろそろこの現状からは抜け出して、逆に俺が女の子の頭を愛でられるようになりたいものだ。
『どちゃクソラッキースケベ』の総本山、頭なでなでとやらを俺はしたいのだ!そういう年頃なんだ!!
「待ってろ。今開けてやる」
と、俺が内心で戯言を抜かしている間にもシーラさんは杖を1振り。すると宝箱の解錠を阻んでいた鎖やら鍵諸々が解かれていき、自然と宝箱が開く。
開いた宝箱に入っていたものは──見るからに値段の張りそうな本が3つほど。
新品同然のそれに、恐らくこの日のために購入してくれたのだろうということが容易に想像できた。
「うわ‥‥‥本じゃないですか。しかも、高そうな本‥‥‥これ、他国の学術書ですか?」
「前に本を渡した時は手持ちのものしか用意出来なかったからな。今日はお前の誕生日も兼ねて、お前に合いそうな本を買ってみた」
「‥‥‥素直に嬉しいです、ありがとうございます」
目の前の本を手に取り、改めて頭を下げる俺。恐らく頭が上がらないというのはこの事を言うのだろうな──なんてことを考えていると、からからと笑い声を上げたシーラさんが続ける。
「魔法使いになろうがなるまいが、本を読むことは大切な習慣になる。あたしが買ってきた魔法関連の本は勿論、学術書、哲学書、自伝、娯楽、図鑑、料理‥‥‥なんでもいい、好き嫌いはせずに色んなものを読めよ」
「はい」
「噂によると、好き嫌いが激しいとか」
「‥‥‥誰情報ですか」
「センセ」
「母さんッ!!!!」
最早何度目のリークなのか数えればキリがない母さんの内部告発にまたしても心の叫びを言葉に乗せる。
恥ずかしい過去や好き嫌いを内部告発されてしまうのはこの家に転生してしまった宿命なのか。幸せな気持ちを味わうことができる反面、なかなかにこの状況は心に来るぞ。大丈夫なのかオリバー。お前に明日はやってくるのか。このままで良いのか。
「‥‥‥けど、どうして俺にたくさん本をくれるんですか?」
「急にどうした?」
「いや、親切してくれているのは凄い嬉しいんですけど。それって何か理由があるのかなーって‥‥‥気分を悪くしたらすいません」
貰った本を抱きかかえてそう問いかける。
思えばシーラさんにはこの数年間でかなり世話になった記憶がある。この本の他にも貸してもらった本や、それ以外にも様々な話──例えば、旅している時に出会った面白おかしな話だったり、美味しいものだったり、とにかく色々なものを俺の心身にもたらしてくれていた。
本を与えるのみではない、たくさんの親切をしてくれている理由がいまいち分からなかったが故に尋ねた一言を、シーラさんは即答することはなかった。
その代わりに頭をかいて「あー」と言いながら1拍間を置いて、一言。
「‥‥‥まあ、色々だ」
「ふむ」
色々っすか。
正直に言うとイマイチピンと来ないのだが、それでもシーラさんには色々とあるらしい。
え、なんすかそれ。余計に気になるんですけど。
「え、もしかしてこれ言わなきゃいけない雰囲気?」
「ですねぇ」
「‥‥‥まさか良い子のお前が謀るとはな。随分と偉くなったじゃねえか、反抗期か?」
「サイレント反抗期です」
「なんだそりゃ」
父さんに言ってください。
なんか最近その呼び方が定着してるんです。おかしいと思ったのなら父さんに言って、あわよくば止めさせてください──と、内心で生みの親に対しても反抗しようとしている哀れな俺を、シーラさんは一瞥する。
そして、まるで微笑ましいものを見るかのような笑みを浮かべ、シーラさんは言葉を続けたのだ。
「純粋にお前が気に入ったんだよ」
「え」
「ほら、初めて会った日のこと覚えてるか?」
それは。
まあ、覚えているが確かシーラさんが目を背けるほどひどい対応をしてしまった覚えがあるのだが。
それとこれの何が関係していると言うのか。
「確かシーラさんが目を背ける位ひどい対応をしてしまったと」
「‥‥‥いや、ちょっと待て。あれはちゃんと弁明したよな」
「『眩しい』でしたよね。グリーンカーテン徹底できてなくてすいません」
「いや、違ぇよ‥‥‥」
何が違うというのか。
直視出来なくなるほど困ってしまったのだろう?
謝るのは至極当たり前だと思うのだが。
「あれは‥‥‥まあ良いや。とにかくお前が気に入ったんだ。初対面の時、お前はあたしにカッコイイって言ったよな」
「事実ですよね。俺を慮って禁煙してくれたシーラさんカッコ良かったですもん」
「そうだ。お前は確かにそう言った。んで、あたしも人間だ。子どもに褒められて何も思わないほど感情が死んでるわけじゃない」
「つーかお前失礼なこと一言も言ったことねえしな」と、シーラさんは俺を見遣る。
ええ、そりゃあマナーですし。それを度外視してもシーラさんはおねーさんと言っても過言ではないくらい綺麗な人ですから──と、事実を述べようとすると偶然にも言葉を遮られてしまうような形で、シーラさんが言葉を続けた。
「んで、カッコイイって言ってくれたお前に愛着のような何かを感じたんだ。まあ、弟分みたいなもんだよ」
「お、おお‥‥‥俺ってシーラさんにそう思われてたんですね。なんかちょっぴり意外です」
シーラさんという存在を知らないほど俺も魔女の旅々を見ていなかった訳では無いが、子どもに対してそんなことを思っていたのか。
あれだな、シーラさん地元のガキに優しくする姉貴分タイプですな、ぐっへっへ‥‥‥なんて頭の中で巫山戯たことを考えていると「変なこと想像してんじゃねーよ」と軽くチョップを食らう。
え、なに。バレてたの?
やだもう死にたい。
「後、お前読書好きだろ」
「それは、はい」
まあ、最初はイレイナに付随する形で本を読んできた訳だが元が読書好きのオタクなだけあって、興味を持ったものに関してはかなり読み進めることができている。そうでなくとも、知識を覚えればイレイナさんが褒めてくれるんだ。元々が読書好きで苦手な科目にもご褒美が待っているのなら、読書のモチベーションが下がるわけがなかろうて。
「まあ、付き合ってくれる友達がいますから。1人で読書してたらどうなってたのやら」
「ま、理由はどうであれその習慣は大切だろ。若いうちに知識を貯めとくってのは後々役に立つ。それが好きでやってることなら尚更な。んで、弟分に思ってる奴がそういう性格してんならその手伝いをしてやろうって思ったって訳だ。まあ、押し売りみたいなもんだよ」
「押し売りだなんて、そんな。俺、シーラさんに箒の乗り方教えて貰ったり、本を買ってもらったりして凄い感謝してるんです。この恩はちゃんと、何らかの形で返しますから」
それに関しては紛れもない事実だ。
シーラさんとの付き合いはイレイナとの時間には劣るが、それでも彼女に対しては数え切れない程の恩がある。かなり早い段階で箒に乗れたことや、本をくれたこと。それ以外にも会っては良くしてくれているシーラさんに対してはいつか恩を返したいと心底思っている。
しかし、そんな俺の言葉には苦笑いを浮かべて「いいよ」と固辞するシーラさん。
まさかガキにそんなことを言われるとは思っていなかったのだろう。『急にどうしたコイツ』的な困惑の表情を浮かべたシーラさんの表情は、かつてアニメで見た切り裂き魔さんを見るような表情で、ちょっとゾクゾクした。
「好きでやってる事だ。何かを返す必要なんてねえよ」
「‥‥‥けど」
「あー、分かったよ。なら命令だ、仮に何かを返したいって思ってんならそれを意気に感じて将来的に立派な奴になれ、分かったな」
そう言って、最後には「ガキがそんなこと気にすんなよな」と呆れた様子で俺の頭を『ポン』と掌で叩いたシーラさん。
彼女がどんな理由があって俺に優しくしてくれているのか。その本当のところは分からないが、こうして誕生日にプレゼントをくれるくらい優しくしてくれて、妥協案を提示してくれるシーラさんはここにいる。
そして、そんなシーラさんは俺にとっての姉貴分的な人であり──そんな人に恩を返したいというのも、これまたイレイナとの確約同様、果たしてみせたい決意であるのだ。
故に、俺は首肯する。シーラさんの優しさで心が穏やかになった流れで、恐らく笑っているであろう表情のままに。
「‥‥‥はい、分かりました」
「おう」
「そんで、美味いもんご馳走しますね」
「おいおい、勝手にプラスアルファ付けんなよ」
「給料の範囲内でお願いしますよホント」
「発展させんじゃねぇ」
そして、シーラさんに怒られた!
やっぱり激おこぷんぷん丸のシーラさんは怖いですよね‥‥‥なんて思いつつも、心の片隅では『むしろもっと怒ってくれ』だなんて馬鹿げたことを考えている俺ではあるのだが、流石にそんなことを口にしたらシーラさんの印象悪くなっちゃうからここは自重し、話題を転換する。
「あ、シーラさん」
「ん?」
「出来ればまた、あのお話を聴きたいんですけど‥‥‥良いですか?」
そして、俺が代わりに提示したのは先程も話したシーラさんの旅のお話。
シーラさん独自の視点から語られるその話は笑いあり涙ありで非常に面白く、これまた癖になる。
誕生日度外視で、可能なら毎日聞きたい話でもあった。
来てくれた日に、母さんが不在で暇をしている時は必ず行ってくれるその話題提供を子供ながらにねだってみると、シーラさんが「やっぱガキじゃねーか」と呆れたような笑みでこちらを見る。
その生暖かい笑みやめて。
俺はガキじゃないですよ。好奇心の塊なんですよ。
「仕方ねえな‥‥‥何処まで話したっけ?」
「シーラ先生が言ってたお姉さんとフィッシュオアビーフで喧嘩したところまでです」
「っしゃ、そんじゃそこから話すか‥‥‥なあ、やっぱりディナーは魚より肉だよな」
「俺はどっちも食らいつきます」
と、まあそんなほのぼのとした流れで。
どういう訳だかは知らないが、偶に母さんに会いに来る金髪ポニーテールの凄い人であるシーラのおねーさんは、今日も今日とて明朗快活な笑みを浮かべ、俺に昔話をしてくれた。
1章終了後の閑話(短編)
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オリバーとイレイナさんの話
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意表を突いてシーラ先生
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ヴィクトリカさんとオリバーくん
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つべこべ言わず全部書け
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早く2章やれ