どちゃクソラッキースケベなハーレム生活を望んだ結果、最終的に幼馴染を好きになった転生者の話 作:送検
強くて(元魔女)優しくて(娘想い)綺麗(周知の事実)な理想のマッマ。
「さて、これからゆうど‥‥‥いくつか質問をしたいと思います」
「‥‥‥え?」
それは、唐突に起こった出来事であった。
散々拒否していた家へのご招待も1度来てしまえば後は抵抗もなく、イレイナさん宅で勉強。そして、ヴィクトリカさんが作ってくれた甘々スイーツをご馳走になるという行為がルーティンワークとなってしまった俺。
そんな俺が今日に限っては勉強をせず、ヴィクトリカさんにお呼ばれされ、差し出された甘々スイーツの新作とやらをありがたくご馳走になっていると不意にヴィクトリカさんが俺にそう尋ねてきたのだ。
因みにイレイナさんは今日、高熱を出しているためこの空間にはいない。
まさに計画通りと言ったところか。ちくせう、ヴィクトリカさんはいつだって溺れない策士だ。
「か、母さん‥‥‥何をしているんだい?」
「オリバー君にいくつか聞きたいことがあるの。だからこうして呼んでいるんじゃない」
座っている俺の後ろにいたイレイナのお父さんが俺の困惑ぶりを案じたのかヴィクトリカさんにそう尋ねるものの、即答されて後ずさる。「お、おう‥‥‥」と仰け反ったイレイナパパの額には冷や汗がたらりと流れていた。
そんな光景を眺めつつ、この家で本当に強いのはヴィクトリカさんであり将来的にもその血を引くイレイナさんが家庭を持ったら実権を握るのだろうということを考えていると、今までの焦りが嘘のように引いてくる。
いや、アムネシアさん。何が「受け身に回りそう」だよ。今までイレイナさんと関わってきたけど受けっぽいところ全然見てないよ。むしろイレイナさんはSだよ。バリッバリの攻めタイプだよ。
「あら、今オリバーくん何か考えてた?」
「属性の事ですかね」
「それ、誰から教えてもらったの?」
「人それぞれに攻めやら受けやらの属性があるって、母さんが」
「後でお母さん呼んできてもらえる?」
うぇい。
「それはそうと、質問ですか」
「ええ、具体的に言うと今のキミの気持ちを知りたいの」
「気持ち‥‥‥」
「ふふ、難しく考えなくて良いのよ。昔、私がオリバー君に魔法が楽しいか聞いたのと同じ。今の君のことを知りたいってだけだから」
知りたい、か。
大体そういう時に限ってヴィクトリカさんは物事の核心を突くようなことを言ったりするので、俺にとっては難しく考えなければならないことなのだが。
いやしかし、何も歓迎していないとは言っていない。笑顔で俺を見るヴィクトリカさんには笑顔で応え、会話の続きを促す。
「‥‥‥分かりました。で、それはどんな質問ですか?」
まあ、ヴィクトリカさんの質問ならスイーツのお礼もあるし可能な限りで何でも答えようという決意から、そう言う。
今までにも質問されたことは幾つかあったのだ。今更緊張するようなこともない。
それこそ今の心身共に以前とは打って変わって成長した俺なら鋼の精神で回答を──
「昨日のことなのだけど──」
「お、俺のせいっす!!いやほんと、マジですいませんでしたァッ!!!!」
「本当に何があったの?」
ごめん、俺の精神は鋼じゃなくてメッキだったよ。しかも、そのメッキ一瞬で剥がれちゃった。
ほら、良くあるじゃん。強いキャラだと思ったら実はどちゃクソ弱かったってやつ。
まさに俺がそうなんだ。能力詐欺なんて愚行をしでかした、とんでもない奴だったんだ‥‥‥!
「オリバー君の誕生日にイレイナがプレゼントを用意したのは知っているの。そして、それを遊びに出た時に渡したということも」
「‥‥‥罪深いことをしてしまったんです。俺はっ‥‥‥イレイナさんが大好きなこの世界の全ての人に謝らなくちゃいけないんです‥‥‥ッ!!」
「道理でイレイナが顔を赤くして帰って直ぐに自室に引きこもった訳ね」
「因みに今は?」
「熱で寝込んでいるわ。『誕生日プレゼント怖い』って寝言が良く聞こえるのよ」
俺はひょっとしたら後にイレイナさんにボコボコにされるのかもしれない。彼女にトラウマを植え付けてしまうほどの出来事を犯してしまったのだ。むしろボコボコにされるのは必然であると言えるだろう。
いやまあ、イレイナさんに報復プレイをされるのもそれはそれで一興ではあるのだが‥‥‥痛いのはなぁ。特にイレイナの魔力の塊とか何処の罰ゲームだよってくらい痛いし。
「まあ、そんな理由もあって私としてはあの日に何があったのか、オリバー君に聞いてみたいのだけど」
「はい」
「もし良ければ話を聞かせてもらえる?」
「‥‥‥ウス」
まあ、何はともあれ。
ヴィクトリカさんからそう言われた俺は、彼女の言葉に頷き、『あの日』に何が起こったのかということを赤裸々に語った。
あの日というのは、昨日。
俺の誕生日のとある一時。
その出来事によって起こった嬉しいことや悲しいこと、泣きたくなるくらい嬉しかった出来事全てをヴィクトリカさんに打ち明けた。
「‥‥‥だから俺はできることならイレイナに謝りたい。そして、あわよくばもう一度お礼を言いたいんです」
「成程ね」
事の全貌を全て話した後、俺は当然の如く怒られると思っていた。娘に対して愛情のある人だ。殴られはせずとも『私の愛娘に何してくれてるの?』と軽くドヤされる位のことは想定していたのだ。
しかし、その予想に反してヴィクトリカさんの表情は笑みに染まっており、先程から笑い声を堪えんばかりに口元を抑えている。
そして、ついに我慢の防波堤が決壊して可愛らしく笑い声を上げるヴィクトリカさんを見た俺は、その姿に思わず拍子抜けしてしまったのだ。
いや、なにわろてんねん。
「‥‥‥なんで笑っているんすか」
「いや、それは‥‥‥ええ。オリバー君ったら随分と大胆なのね」
「はうっ‥‥‥!?」
発せられたその言葉に俺の心は矢でも刺さったかのようにズキリと痛み、動揺する。
まさに核心を突かれたかのような感覚だ。そんな彼女の言葉に自称剥がれたメッキの心を持っている俺は胸の内に秘めていた本性を自分でも意図しない内に吐き出してしまう。
「し、仕方ないでしょ!まさかあんなことをされるとか思ってませんでしたもん!!文句があるなら事の全貌を全て理解した上で聞こうじゃありませんか!!」
「だから話を聞いたのよ。オリバー君が即断即決で謝って、且つイレイナが熱で寝込むくらいのことだもの。聞かない訳にはいかないじゃない」
う、うむ‥‥‥確かにそれもそうだよな。
というか俺自身が了解したのにも拘わらず何勝手にブチ切れ白状しとんねん。
いくら温厚で温和なヴィクトリカさんに対してもやっていい事と悪いことがある。ここは今一度冷静になって謝罪するためにヴィクトリカさんが用意してくれた紅茶を飲み込む。
うわ、美味しい!心落ち着いた!よし、謝ろう!!
「‥‥‥すいません。ちょっと興奮してしまって」
「ふふっ、そういうところあなたのお母さんにそっくりね」
「あ、あはは‥‥‥」
そっくりというか前世の俺の性格がそのままに成長した姿が俺の本性なんですが、それは。
とはいえ、今更それを否定することはない。
というか、母さんと似ているところがあるというのはよく言われていることで、事実そうだと思う節もあるため否定する必要がないのだ。
わざわざ事を荒立てる必要もないしな。
「私、オリバー君のそういうところは全然嫌いじゃないのよ。特に想いが直ぐに口や行動に現れてしまうところとかは最大の長所にもなるし起爆剤にもなり得るから」
「‥‥‥褒めてんすかそれ」
褒めているのか、ちょっぴり馬鹿にしているのかよく分からん言葉であったのだが、「勿論」と言うヴィクトリカさんの表情を見れば、そんな考えすらも一瞬で霧散してしまう。
ちょっとばかし感情が表に出やすいヴィクトリカさんは拗ねたりした時にそっぽを向いて口を尖らせたり、誤魔化す時に目を逸らしたりといったことを良く行う。けれど、今回の彼女の表情は憎いくらいに良い笑顔。誤魔化しなんぞ微塵も感じない、そんな様に俺の疑念は一気に晴れた。
「だからこれからどんな道を進んだとしても、そのオリバー君らしさは忘れないでいてね。それが貴方の核となるものだから」
「‥‥‥それは、はい。ありがとうございます」
だから。
そんなヴィクトリカさんの言葉に照れて、思わずそっぽを向きながらお礼を言ってしまった俺ではあるのだが、仕方ないと思う。
だって、この人綺麗だもの。そして魔女としても活躍していた原作最強と言っても過言ではない人だもの。そんな人に自身の性格褒められるの想像してみろ、普通に照れるし舞い上がるだろいい加減にしろ!!
くっ、やはりこの人にはかなわない。可愛くて、大人で、カッコイイとか反則だ。ちくしょう──なんて思いながら残りのお茶を啜ると、不意にヴィクトリカさんの表情が変化する。
「色々あったものね」
「はい。イレイナのおかげです」
「そして、キミのおかげでもある‥‥‥肝心なところでオリバー君は鈍感ね。そういうところもあなたのお母さんにそっくり」
「‥‥‥え」
そして、そんなことを言いながら笑ってみせた彼女の笑みは悪戯っぽさを感じる不敵な笑みであり、その笑みに俺が悪寒を感じた直後、「まあ、それは置いといて」と言ったヴィクトリカさんは俺に対して言葉を続ける。
「取り敢えず今回の話はリア──あなたのお母さんと私の夫にも事細かに話すとして‥‥‥」
「──ふぁっ!?」
「あなたのお母さん、オリバー君のことずっと心配していたのよ?『いつになったらオリバーは女の子を好きになるのかなー、いつかなー』って」
「ちょ、何言ってるんですか!!ほんと、やめてくださいよそういうの!!」
お茶飲んで落ち着いた意味ないじゃん!!
内心でそんな事を思いながら目の前のヴィクトリカさんを睨むと、そんな睨みすらも玩具として見た彼女はまたしてもクスクスと笑みを零す。その表情は先程とは打って変わって人をおちょくる時に見せる笑みであり、その笑い声と共に俺の焦燥感は急激に上昇していく。
そして、俺はそんなヴィクトリカさんの笑みと同時にとある1人の男の気配を後ろから感じた。
そのオーラは、後方から。
とてつもなく黒く、威厳に満ち溢れた──恐らく父親でもやってなきゃ出すことの出来ない恐怖のオーラの正体を、何となくではあるが察したのだ。
「お、オリバー君に‥‥‥」
「‥‥‥ひっ」
そう、どんなラブストーリーだってそう。
女の子とハッピーエンドに向かって歩む際、1番の壁となるのはライバル、もしくは父親。
それは俺にとっても例外ではなく。振り向けばプルプルと震えていたイレイナパパが怒りの形相で俺という娘の周りを飛び回る蝿を睨みつけていた。
あ、イレイナパパの名前は覚えてないの。聞いたこともない上にお話した回数すら指で数える程度だから、許して──
「オリバー君に娘をやるなど10年はやぁぁぁぁぁぁぁい!!!!!!!!」
「ひぃぃぃぃぃ!!!!!」
イレイナさんのママに弄ばれ、イレイナさんのパパに誤解され、怒られる。
それでもイレイナさんのことを大切にしているということが嫌でも伝わってくるこの家の人達は本当に強くて、愛に溢れた家族なんだなと心底思った。
けどさ、誤解を作るのは本当にやめてください!
俺の目標はあなた達の愛娘を誑かすことじゃないの!
女の子達と仲良くお喋りして、あくまでその子に好きな人ができたら純粋に友達として応援する健全なハーレム生活なの!!
だから俺は決して、あわよくばイレイナさんとお付き合いしたいだなんて全く、これっぽっちも考えてないんだからね!あくまで俺は友人として、イレイナさんのことが好きなんだからね!!勘違いしないで──
「イレイナのこと、好き?」
「どちゃクソ好きっす!」
「貴様ァァァァァ!!!!」
「うわぁぁぁぁぁ!?!?」
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!
最大の壁は、何時だってお父さん。
1章終了後の閑話(短編)
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オリバーとイレイナさんの話
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意表を突いてシーラ先生
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ヴィクトリカさんとオリバーくん
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つべこべ言わず全部書け
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早く2章やれ