どちゃクソラッキースケベなハーレム生活を望んだ結果、最終的に幼馴染を好きになった転生者の話 作:送検
その後は6話ほどで2章を終わらせる予定です。
お昼時の平和国ロベッタは、一言で現すと優雅だ。
静かな世界に、小鳥のさえずり。平和国と銘打っているだけあって、争いごとなんてものは滅多にない。私も立場上色んな人に会って、色んな街で過ごしてきたけど、やはりこの国の平和っぷりは異常。
ま、孤児院がしっかり機能しているって時点で平和国か否かってのは分かるもんだけど。
そんな国の雰囲気が優雅でないわけなく、私自身この優しくて美しい世界を心底気に入っている。
どれくらい気に入っているのかって?そりゃあもう、私がこの国で子どもを育ててる時点で察してちょ。
まあ、そんな平和的な雰囲気にどっぷりと浸かってしまったぼ──あいや、私ことセシリアさんは今日は親友を家に招き入れてティータイムと洒落こんでいた。
優雅な国で、優雅なティータイム。そして目の前には美味しいお菓子に、綺麗で美しい女友達!
私は女で家族持ちの一般主婦だけど、こんな優雅なティータイムに向き合えば、気持ちも昂る。
まあ、有り体に言ってしまえば「はぁはぁ」してた。
いやほんと、この時間すきぃ‥‥‥
「ねえ」
「ぱくぱく」
「ちょっと」
「うーん、やっぱりお菓子はクッキーしか勝たないなぁ。それも市販のクッキーではなく、ヴィッキーのクッキー‥‥‥ぷーくすくす!ヴィ
「会話する気を失くすからやめて」
「というより、話を聞きなさいな」と。そう最後に一言を添えた彼女は、ここまでの会話の流れからお茶菓子関連で洒落を言った私をどうにも許せないらしい。
ニッコリ笑顔で私を見る人妻仲間のヴィクトリカ。
いつまで見ても美しいと思えるその笑みは、確実に私を糾弾する類の笑みであり、圧もマシマシ。
表情を言語化するなら「私との会話中に何別の考え事してるの?死ぬの?」という言葉が正しいとすら思えてしまう彼女の笑みはぶっちゃけて言わせてもらうと、まじで怖かった。
失禁しそうだったぜ。
「う、うんうん。聞いてんよー。確か昨今の子育て理論の展望について話してたんだよね」
「え、そんなこと話してない」
「話してたじゃないか。最近は子どもに厳しくするだけじゃダメだって。俗に言う『自主性』と『わからせ』のバランス配分が必要だって」
「誰があなたに『わからせ』を推奨したというのか」
そんな瞳を向けられたら、話を聞いていなくても聞いていたと言わざるを得なくなる。
ウソはいけないことだと分かっていても、まるでウソを誘導するかのようにプレッシャーかけられてるんだから仕方ない。私はヴィクトリカの笑みに打ち勝てるほどの強心臓、とっくのとうに捨てちゃったのだから。
それ故に発した一言に、ヴィクトリカはため息で応えた。そのお詫びと言っちゃなんだが、「ボクの推理は完璧だぜ」とドヤ顔でヴィクトリカに言った。
ヴィクトリカの眉間がピクリと動いた。
あ、やばい。これ死ぬやつだ。
「やっぱり何も聞いてなかったのね」
「ごめんね、多分お菓子作りの話からロベッタの平和的な空気に殺られててさ。まるで話聞いてなかった」
「平和ボケも考えものね。ちょっと表出なさいな」
「絶対に嫌だ」
もうじき5歳になる愛娘がいるのにこの母親は遠慮もくそもなく、私のことをぶん殴ろうと表に誘導する。いやしかし、これしきのことで私が殴られてたまるか、しかも親友であるところのこの私が!と考えつつ腕を掴まんと伸びてくるヴィクトリカの右手をひらひらとかわしていると、やがて諦めたかのように彼女が大きくため息を吐く。
おやおや、諦めたのかな?
このへなちょこ!
「こんな調子でオリバー君が変な影響を受けないか心配ね」
「あいや、変な影響受けてもキミは好きでいてくれるでしょ?」
「それはまあ、その時になってみなきゃ分からないけど」
「とか言って?本当はデレデレなんじゃないの?」
「自分のことを棚に上げて人を弄ぶのはさぞ愉快なのでしょうね」
そして、そんなへなちょこヴィクトリカにけちょんけちょんに自身の悪癖を晒される私はもっとへなちょこであるということも自覚している。
往々にして自身の愛娘とオリバーに甘々な彼女だけど、それ即ち子どもにとても優しいということ。
そんなヴィクトリカが私のような母親よりへなちょこなわけがないだろう。むしろ彼女はそこら辺にいるおかーさんよりおかーさんしてるわ。
ヴィクトリカマッマのそういうところを私は憧れており、見習うべき存在であるとも自覚している。母親とて、パーペキではない。日々新たチャレンジ、毎日スタディ。これを合わせて良き母となっていく。逆に言ってしまうと、私はまだまだダメダメなオカーさんということであり──
「まあ、仮にあなたの性格が良くても私のあなたに対する評価はまるで変わらないのだけど」
「ほう、因みに私の評価はどれくらいのものなのか。具体的に聞かせてもらっても──」
「
「赤点じゃあないかっ!!」
スーパーママへの道は、険しいのだ。
お茶菓子は底を尽き、ティータイムのお開きも近くなってくると、私の頭の中は今日の晩御飯のことで頭がいっぱいになる。
それはヴィクトリカにとっても同じことだったらしく、私程ではないにしても人差し指を口に添え、上を見ることで何かを思案しているということが分かる。あれは‥‥‥うん、多分明日あたりに自分の子供に新しい何かを体験させてあげようとしている顔だ、間違いない。
因みにその子、今日はお父さんと一緒に本のショッピングに行っているらしい。
月に数度あるかないかの娘サービスだと、イレイナちゃんのおとーさんは意気込んでた。因みに私の夫も、今日は息子サービス。
いやはや、考えることは一緒ってか。何その以心伝心、私もヴィクトリカと一緒にやってみたい。
「で、結局のところ何を言いたいのさ」
「本題?」
「うん。まあ、あーだこーだ色々言ったんだろうけど。結局のところキミの言いたいことはいつもひとつだろ?」
「あーだこーだは言ってない」
「じゃあごちゃごちゃ?」
「潰されたいのならそう言えば良いのに」
それこそ言ってないだろ。
というかそうはならんでしょ。
まあ、それはともかく。
「言いたいことがあるなら、はっきり言えってことさ。遠回しに何かを伝えようとしたら飽きちゃうってことくらいキミほどの人間なら分かっているだろ?」
「ええ、本当に。少しはオリバー君の集中力を見習って欲しいくらいね」
「おいおいやめろよー!てれるだろー!?」
「‥‥‥」
「無視かよー!」
こう見えて私とヴィクトリカは長い付き合いである。故にこの子が何か言いたいことがあるってんのならそれを察することができるし、模範解答までは分からずとも何を言えば良いのかも大体分かる。
え、その割にはセシリアさんヴィクトリカを怒らせてるって?
ほら、あれよ。普段怒らない子が怒るとギャップで可愛くなるじゃん。ドMさんの本能擽るじゃん。純粋に楽しいじゃん。
だから決して間違えてるわけじゃない。あえて間違えて遊んでるんだ。
本当だよ。あいや、マジだから。
「まあ、あなたの阿呆みたいな言葉遣いに見当違いも甚だしいデレはともかく。そこまで言うのならお望み通り‥‥‥ねえ、
「なんだい。なんでも言ってみたまえよ、私のデレを見当違いとか抜かしやがったへっぽこ
まあ、何はともあれ。
生涯に1人、そう言っても過言ではない存在であるところのヴィクトリカが私のことを本来なら罰金ものであるところのあだ名でそう呼ぶと、ニコリと笑みを見せる。その笑顔は、傍から見れば美しいだけの笑みだけど、ヴィクトリカという女を知ってる私にとっては恐怖そのもの。
端的に換言すると「がくがくぶるぶるはぁはぁ」といったところか。まあ、そんな面持ちで私はヴィクトリカに対抗するかの如く──彼女をあだ名で呼んだんだけど。
「オリバー君とイレイナ、会わせてみない?」
「は?」
そんな私の対抗心は、目の前の灰髪の女のせいで全てぱっぱらぱーになった。
あいや、ナンデ?
オリバーとイレイナちゃん、顔合わせ、ナンデ?
「‥‥‥今なんて?」
うむ。
まあ、あれよ。
私の耳が突発性難聴的な何かに陥って、本来なら聴こえるはずもなかった一言が幻聴として聞こえてしまった可能性も無きにしも非ずだからね。
故にここはもう一度聞いてみようと考えた私は、目の前の灰髪をじとりと睨む。すると、彼女はクスリと微笑んで「リアがその顔をするのも久しく見てなかったわね」とか言ってきやがった。
いや、なにわろてんねん。
「聞こえなかった?」
「うん、寸分たりとも聞こえなかった」
「それはちょっとおかしいと思う」
「うるせぇ!都合の悪いものは右から左に聞き流すセシリアさんだぞ!?聞こえるわけなかろう!!」
「あなたほんとうにくそやろうね」
おっとそれ以上はいけないぞヴィクトリカ。
お願いだからその右手で振り上げた物騒なマグカップしまって。まだ私は生きてたい。せめてオリバーが独り立ちするまで、私がおかーさんとしての役目を終えるまでは死ぬ訳にはいかないのはキミだって分かっているだろう。
「だから、ね?ほら、その物騒なのしま──痛ぁ!なんで叩かれた!?」
「あら、何処かの本で斜め45°に叩けば治るって情報が記されていたような気がするのだけど‥‥‥」
「それは壊れた
結局、死ぬことは回避したのだがヴィクトリカにマグカップを持っていない方の左手で頭を叩かれ、悶絶。「このくそやろうどうしてくれようか」と内心で呪詛を吐きつつも数分前の原因を作ってしまった私自身の
「オリバー君とイレイナ、会わせてみない?」
んで、相変わらずの笑みでこの突拍子もない一言である。正直なところ、こんな思考に陥ったヴィクトリカの頭の中を調べてみたいというのが本音ではあるのだけど、まあそれ昔から変わらないし──なんて考えてしまっている私も、大概なのだろう。
昔からこの子は変わらない。
何も考えていないようで、実は考えていたり。
策士だと思ってたら、内心では原稿用紙1枚分のペラッペラの思考してたり。
どうにも読めないし分からない。けど、ちゃんと人の心も持ってる──そんな子だ。
そんな側面もあってか、私はこの子に対して「こいつ本当に私と同い年か?」と考えることも多い。だって、この子前みたいに聡明そうな態度を取ったり、オリバーに対しておかーさんしてる姿を見せる時もあれば今みたいなぱっぱらぱーな発言もするんだから。
「なに急に突拍子もないこと言ってんの。つーかキミ実の娘になにお見合いみたいなことさせようとしてんのさ」
故に私は、目の前の親友に向かって呆れ混じりの質問を行う。だってしょうがないじゃない。いくら親友の子とはいえ、いきなり私の息子とその子を会わせようだなんて言われたんだから。
これで驚きよりも喜びの感情が溢れる奴がいるんだとしたら、そいつは余程の変人だと思う。突拍子もない出来事や一言で喜べるのは明らかに変態さんだからね。
それこそ変態さんっつーならオリバーのように会ったこともない女の人の胸の中でエヘエヘ言ってる子のことを言うんじゃないかな。
知らんけど。
「ねえ、リア。あなたはそう言うけれども、小さな子どうしの邂逅に対してお見合いなんて大袈裟だと思わない?」
「‥‥‥そりゃ、まあ。色々驚いて、動揺しちゃっただけだし‥‥‥ねぇ?」
「2人とも同年代の友達と遊びたがらないじゃない?」
「いや、むしろ我が息子は魔力の塊に恋している節が‥‥‥あいや、まあ確かに」
まあ、突拍子もない一言云々は置いといて確かにヴィクトリカの言うことは最もだ。
今現在は健やかな成長と発展をしているであろうオリバーに、イレイナちゃん。けれども、更なる成長を期すためには友人の存在は必要不可欠。
人間が1人でできる成長や、発展には限界がある。いずれはオリバーだって、イレイナちゃんだって、人との関わりを以てして大人になり、成長していくんだ。
だからこそ、「切磋琢磨しあえる友人を作ってもらう」という意味でもヴィクトリカの言っていることは娘想いの発言だし、一理あるなぁとも思う。
そう、思うんだけどさ。
「なら、会わせてみない?」
「話が一足飛びしてんだよなぁ‥‥‥なに、キミそんなにオリバー気に入ったの?」
「まあ、それも確かにあるにはある」
「認めちゃったよこの子」
堂々と他人の息子気に入った、だから娘と会わせちゃいましょ?って即断即決で言えるヴィクトリカめちゃこわ。
どんまい、オリバー。あの子に目をつけられたからには弄ばれまくることを覚悟することだね。
何せあの子20歳以前の私のこと──むげっほげっほ!!まあ、とにかくどんまい。私にはどうすることもできないから、まあ‥‥‥テキトーに頑張ってね。
私も一応、頑張ってみるからさ。
「と、まあ。ヴィッキーがオリバーを気に入ってくれているのはともかく、私にもそろそろイレイナちゃんとわちゃわちゃする権利を‥‥‥」
「だめです」
「えー」
「イレイナが貴女と遊ぶには対象年齢が低すぎます。せめて‥‥‥そうね、あの子が10歳位になってからなら会っても良いけれど」
「んだそれ、まあいっか。イレイナちゃんの顔は知ってるし。あの子が10歳くらいになったら盛大にパーティでもして距離をグッと狭めればいいよね」
「何それ‥‥‥とにかく、今はダメだから。イレイナが変な趣味に目覚めたら困るもの」
「キミは何を言ってんの?」
うん。
まあ、取り敢えず。
おかーさんはふざけたこと抜かしてるヴィクトリカに対抗することに頑張ってみようと思うよ。
2章終了後の3章は……?
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