どちゃクソラッキースケベなハーレム生活を望んだ結果、最終的に幼馴染を好きになった転生者の話   作:送検

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27話「お祭り休暇の国」1

 

 

 

灰髪に、魔女帽。

その姿を見た瞬間、身体が反射的に杖を握っていた。

休暇指令を頂いた俺の、最後の依頼。お祭り騒ぎが得意なその国で発生した奇特な事件、仮面ダンサー、ダンス大会にてテロ行為。

その事件を解決もとい鎮圧するためにこの国に降り立ち、俺は彼女を見つけたのだ。

 

「依頼が来てる。覚悟しろ──って言葉はさ、俺の決めゼリフなワケよ。シーラさん曰く、決めゼリフってのは自分の気持ちを何十倍にも増幅させる勇気の一言なんだって」

「はあ、まあ……そういうものなんでしょうか」

「そういうものなんじゃね?シーラさんもそう言ってるよ」

「オリバーのシーラさんに対する盲信具合は異常だと思うのですがそれは」

 

遂に、やっと、ようやく。

そんな言葉を羅列してもし足りない程の期間をかけて見つけ、抱き締めたイレイナさんの姿は──ああ、成程。サヤちゃんやアムネシアさんが惚れる訳だ。

何処をどういう風に見ても可愛いし、綺麗だし、見とれてしまう。

お人形さんのような──とは良く言ったもので、今の彼女からは誰がどう見ても彼女を賞賛してしまうような凄みがある。

 

「それを言うなら俺のイレイナさんへの気持ちの方が異常だな。今だってこうやって身体を密着させていると興奮してくる。体温は高くなるし、心臓だってバックバク。下手すりゃ間違い起こしちゃう」

「……初耳なんですけど、そうなんですか?」

「あぁん友愛で俺の身体壊れちゃーう!!」

「ちっ」

「今舌打ちしたー?」

 

それを考えてみると、今の俺って超ラッキー。

え、何でって?

そりゃあ皆さん、世界で1番可愛いと確信できる女の子をお姫様抱っこで辱めて、身体に触れて、あることないこと抜かして蹴り入れられて、それでも解放はせず。

数十年前に抱いた『どちゃクソラッキースケベなハーレム生活』のどちゃクソラッキースケベの願望を達成出来ているんですぜ?

こんなん超ラッキー以外の何者でもないじゃん!

ついでにスケベじゃん!

つまり俺ってばハッピーじゃん!!

 

「話を戻すぞ。言葉ってのは、気持ちを昂らせるものだ。んでもって、気持ちは言葉に繋がっていくもの。言葉と気持ちは密に繋がっていて、切っても切り離せない関係だ」

「……大体何が言いたいのか分かりました。ええ、今なら許してあげますからその頭を即刻膝から離して──」

「つまり何が言いたいのかってさ」

 

当然、イレイナから頂いたご褒美(膝枕)のチャンスを見逃す程俺は馬鹿じゃない。

魔法を以て敵を制してきた4年間の集大成を発揮すべく振るったその一撃は、両腕にすっぽりと収まった彼女も見慣れているであろう魔力の弾丸。

それら全てを敵さんに打ち据えて、勝負を終えた後に改めてイレイナさんの顔を見る。

 

言わなければならない言葉があった。

手紙で伝えるだけでは済ますことの出来ない思いがあった。

だからこそ、俺はイレイナさんの顔を見る。

俺の腕にすっぽりと収まったイレイナさんの表情は──語るに語れない、なんとも言えないいじらしさがあって。

その表情と、心地よい体温。懐かしく、慣れ親しんだ花の良い香りが、俺の次のセリフを決めさせた。

 

そう。

たった一言、俺が。あなたに伝えたかった、『逢いたかった』の一言を──!!

 

『そう、私です』ってさ、自分を奮い立たせるためにやってんの?そういうプレイなの?」

「やめてください何処で嗅ぎつけてきたんですかシーラさんですかフラン先生ですかブッ転がしますよ本当に」

 

イレイナさんの赤面たまらねぇ。

 

 

 

 

 

 

『コミュニケーションは美味いメシとジョークで決まる』

『お、おおっ……おおおおお!!!!』

 

円滑なコミュニケーションに必要なものは何たるか。

その本質を長年追い求めてきた俺は、今のこの状況下で何が必要なのかということを理解していた。

曰く、それは美味しいご飯。

同じ釜の飯を共に食らい、コミュニケーションを取ることで人と人との信頼関係はより強固なものとなる。

そして、ジョーク。

堅苦しい内容のものだけでなく、冗談で笑い合えるような環境を作ることが出来たのならば、後はもう自然に身を任せてしまえ。

俺の師匠が──いつだって自然体で、料理が美味くて、ジョークの上手い、そんな師匠がそう教えてくれたのだ。

 

「さて。ご褒美を頂いた所で、話をしようか」

「話、ですか」

「ああ、割と大切な話だ」

「具体的には?」

「俺達のこれからの話」

 

故に、膝枕を要求したこと。そして、それを実際に経験してしまったことにより発生したむず痒いような無言を吹き飛ばすために俺はジョークを放ってみたりしたのだが、どうやらイレイナさん的にはポップでもキュートでもなかったらしい。

引き攣った笑みを浮かべながら、依然として膝に甘えている俺の頬を両手で引っ張るイレイナさん。

うわぁ、懐かし──いってぇ。

 

「誤解を招く発言をしないでください。公衆の面前ですよ、頭オリバーですか」

「そうですよ!頭オリバーさんですか!?」

「サヤさんは黙っててください」

「いいえ黙りませんっ!」

 

それにしたって、俺という誤解野郎の情けなさよ。

つくづく俺という人間は誤解されるような言い回ししか出来ず、イレイナさんにもサヤちゃんにもあらぬ誤解を撒き散らす変態クソ転生者らしい。

そこら辺もう少し何とかしたいと思うには思うのだが、注意して治るものならとっくのとうに治っている。それができないから、俺は今も昔のままなのだ。

 

勿論、このまま誤解をした、してしまったイレイナさん達の収まりがつくはずもない。

先程まで俺のこと『頭オリバー』とか抜かしやがったサヤちゃんはイレイナさんのパーソナルスペースにズカズカと入り込み、あろうことか目と鼻の先にまで急接近しやがった!

そして、その光景をイレイナさんの膝から見上げる俺。

え、何この光景神ですか?

 

「いいですかイレイナさん!ぼくとオリバーさんは先輩と後輩の関係であり、1番のズッ友でもあるんです!つまりオリバーさんのことにツッコミを入れるのは最早ぼくの使命でもあって、権利でもあるんです!!」

「親友の定義が崩壊していませんか。それから言っておきますけど1番の親友は私です。2番目はすっこんでください」

「あ、ごめんなさい無理です!」

 

うん、やっぱ神シーン確定なんだわ。

争ってる相手がアレなんだが、1番を争っているイレイナとサヤちゃんは……半端ないっす。

無論、本人達は本気で争っているのだろう。真下から見る表情を見れば分かる。

しかし、第三者の視点で見ればそれはもう紛うことなき百合でしかなく。

いっその事、ここにまだ見ぬアムネシアさんでも来てくれりゃあなぁ、なんて思うのは俺の勝手な邪念だ。

馬鹿野郎め、起こり得る未来以上に現在の百合を愛でろ。

この百合の瞬間を見れるのは、第2の人生で一度きりだぞクソオリバー。

 

「いくらイレイナさんと言えどもオリバーさんの親友ポジはゆずれませんッ!!」

「年数と積み重ねてきたものが違うと思いませんか?」

「友情の大きさと繋がりの強固さも大事だと思いますがー!?」

「えぇ……」

 

サヤちゃんの身振り手振りで表現する友情と信頼関係の話。

それを聞いたイレイナさんは若干引き気味で『この数年間で何があったんですか』と独りごちる。

とはいえ、本質的にサヤちゃんは何も変化していないので俺から言えることは特にない。

変わったことといえば、せいぜい俺という百合のタイミングを逃さない自称百合ハンターのクソ上司が爆誕してしまったことと、同期のクソ強魔女が大親友になったくらいだ。

それ以外は変わらない。いつものイレイナさん大好きクラブ所属のガチ百合サヤちゃんだ。

 

そんなサヤちゃんだからこそ、俺は待っている。

サヤちゃんとアムネシアさんの絡みを。その絡みにイレイナさんも交じった──白黒灰同盟締結の瞬間を。

そして何より。

 

「……イレイナさんとの百合もいいが、モニカちゃんとの百合も俺は待ってるんだぜ」

「……あの、何してるんですかオリバー」

「はーまったく、意味分からないことをイレイナさんの膝の上で言うのやめてくれます?というかいつまでイレイナさんの膝枕を堪能して──

感触をたしかめようとするなぁぁぁぁ!!!*1

 

声でっか。

別にええやん。わざと触ったわけちゃうで。

ちょっと、こう……寝返りを打とうとしたらバランス崩して……は無理があるけれど、ちょっと首がかゆくなって、かこうと思ったら間違えてイレイナさんの太ももに触ってしもうたんや。

……いや、よくよく考えたら犯罪だな。

ごめんイレイナさん。傍から見たら犯罪ものの触れ合いをしてしまっているのに、俺は今のこの状況を幸せに思ってしまっています。

 

「……そこまで許すとは何一つ言ってないのですが」

「ごめん。いやほんと、ごめん」

「まあ軽く見積もって懲役5年くらいでしょうか。1年くらいなら待ってあげるので刑期を終えて早く帰ってきてください変態さん」

「ごめんってばぁ!」

 

とはいえ、そんな想いイレイナさんには知ったこっちゃねぇ。

ニコリと擬音が付いても可笑しくはない笑みで俺の犯罪行為を切り捨てたイレイナさんはエージェントであり、魔法のお巡りさんでもある俺に対して懲役5年を求刑してきやがった!

まあそれも仕方ない。何せ触ってしまったのは国宝級の可愛さと美しさをその身に内在させたイレイナさんの太もも。例えるならば国宝に傷を付けたも同然なのである。

これにはとあるケチャドバ料理長に『魔法統括協会の女たらし』と呼ばれているオリバーさんも笑えません。

後戻りも弁解もイレイナさんの膝枕のせいで、なんかもうどうでも良くなってきたこの状況。

オリバーさんよ、どーすんの?

 

「……折角だから!俺はムショに入る前にイレイナさんの太ももを堪能することにするぜ!!」

「開き直らないでください。というかうつ伏せになるのやめてください本当に何考えてやがるんですかぶっ飛ばしますよ」

「もうこの先輩許せませんッ!!

 イレイナさん、この人撃っていいですか!!打ち据えてもいいですか!?刑務所にぶち込んでいいですかッ!!?

 

答えは簡単。

俺は開き直ってイレイナさんの膝枕を少しでも長く堪能し──ぎゃあああ!痛い!痛い!イレイナさん、耳をつねらないでぇぇぇぇ!!

 

 

 

*1
クソデカボイス

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