どちゃクソラッキースケベなハーレム生活を望んだ結果、最終的に幼馴染を好きになった転生者の話   作:送検

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30話「旅の計画と、しおり」

 

 

 

「一応聞きたいことがあって」

 

宴も酣、という言葉がこの空間にあるとするのならば、その言葉に『ではありますが』という言葉を付け加える場面は『今』なのでしょう。

あれからフィッシュorビーフで死ぬまで喧嘩せんかの勢いで言い争いを敢行してた私とオリバーは折衷案ということで、パンの美味しいお店にて食事を取ることにしました。

何処が折衷なんだと言う人は言うのかもしれませんが、私にとっては立派な折衷案です。

何せ私もオリバーもパンが大好きですからね。

センス溢れる私の折衷案に、少しはオリバーも感謝して欲しいものです。

 

そんなこんなで、そのお店にて数時間ぶりのご飯を食べた私のお腹は満たされ、オリバーは『イレイナさんとの食事ッ……!金貨なんて比べ物にならない……価値ッ……!!』とかわけのわかんねーことを抜かしやがりまして。

思い出話や、旅での出来事。オリバーの話や、出会った人々。黒衣の死神さんが色んなところで女性を虜にしているという噂などなど。

今まで手紙では書けなかった、聞けなかった出来事を聞き終え、私達は久方ぶりの共食を終えたのでした。

 

「なんですか、改まって」

「いやまあ、とっても情けない話ではあるのだが……」

 

飲み過ぎるなと釘を刺されたお酒を1杯。

それぞれがお酒を飲める年齢になったことで可能となったお酒の席は、私達が既に『大人の人間』であることを証明する席でもあります。

その中で口を開いたのは親友である山吹の魔導士さん。

やけにしおらしい態度が、先程のくそざこ煽り厨さんとは真逆で笑えてくるのですが、ここは笑いを堪えて彼の話に耳を傾けます。

 

「これから、どうしよっか」

「どう──といいますと?」

「あいや、俺ってシーラさんに依頼マシーンとか言われるくらい仕事に没頭してたらしくてさ……」

「おやおや、人の百合を見ることには随分と傾倒していたみたいですが」

「いや本当にな!あそこは百合の宝物庫だよ、イレイナ。師弟関係から同僚、果ては禁断の関係!男の俺が言うのもなんだけど、アレは止まらないね」

 

早速前言撤回してんじゃねーですか。

なんすか百合の宝物庫って。そんな宝物庫があってたまるものですか。

宝物庫というものはお宝の光沢でとても輝いて見えるものです。そして何より、宝石、宝剣等を筆頭とした持ち主の価値ある宝が山のように置いてあるのです。

それをなんですか、宝物庫とは。宝物庫舐めてんですか、えぇ?

人間が光を放って輝きますか?女性同士の濃厚な絡みが、実際に光り輝いているように見えるんですか?

ちょっと何言ってるか分からないので眼科か精神科行ってきてください。

 

「はいはい。で、その依頼マシーンさんが何を聞きたいのでしょうか」

「心得てないんだ、旅のやり方」

 

まあ、山吹さんの妄言は置いておいて。

4年という月日を跨ぎ、一廉の人間として逢いに来てくれたエージェントさん。

久しく目すら合わせた事のない幼馴染は、跨いだ月日の過程で外見も内面も相応の『らしさ』を得て、多くの()が認める魔導士となりました。

 

「旅のやり方なんてないと思うのですが、頭故障しているのでしょうか……」

「あのさぁ……旅の栞位作っとくべきでしょ?そんなだからとある国で金欠になって占い師の真似なんて危険な橋を渡ることに──」

「ええなんの話でしょうか、全く記憶にございません」

「ヒェッ……遂に政治家の真似事まで……」

 

その一方で、そんな彼にも弱点はあり。

それがまた愛嬌のある弱点だったということもあり、思わず私は笑みを零してしまいます。

嘲笑の類ではありません。そんなことをするはずもありません。

ただただ予想に反しただけです。4年の時を経ても尚、そういう変に素直なところは変わらないのですね──と。

そして、変わらない所が()()()()()()()()()()()()だということに何処か微笑ましさすら感じてしまい、笑ってしまったのです。

とはいえ、いつまでも笑みを零すのみではいられません。

折角頼ってくれた彼に対しての答えが笑みだけでは少々味気ないでしょう?

なので、私は言葉を紡ぎます。

 

「そう構える必要も無いと思いますよ」

「そうか?」

「逆に構えてたら楽しめません。旅ってそういうものです」

 

旅というものは自由の象徴のようなものであると、私は長い旅の最中に感じました。

瞳に映る景色は1秒ごとに移り変わり、街や国に入れば千差万別の街並みに、話題を提供する人々。

そのような街並みや人々を自らの瞳で捉え、違いを楽しみ、それぞれで起こる喜怒哀楽の出来事を綴る事のできる旅は紛れもなく自由そのもの。

それこそ、当初はあまりに自由過ぎて目が回ってしまう程だったと思います。景色には心奪われ、人と話せば新たな発見に胸を弾ませ、食を行えば新たな味覚に声を上げそうになり。

1つ1つの行為に派手なアクションを強要してくる自由に対して、忙しなく五感を働かせていたのが3年前の私です。

 

「かつてお人形さんのような可愛らしい魔法使いが私に囁いたのです。『旅とは楽しみ、慈しみ、第三者の視点で嘲笑うものである』と……」

「お前じゃん」

「……意地の悪いオリバーにはおかわりのワインを注いでもらいます」

「おい、2杯目」

「注いでくれないんですか?全く、ケチなオリバーですね」

「前科3犯。泥酔、魔力行使、雑魚寝、二日酔い……ああ、4犯か。え、前科4犯さんが何か言いましたか──痛ッてぇ!!」

 

そのような自由を構えた心で迎え打てば、自然と心は喧嘩し、自由に景色を楽しむことは難しくなってしまうでしょう。

街並みや人々に戸惑うことなく、違いを楽しめる程の気楽さで旅を行うことが、旅のコツとなり得るのです。

 

「旅は義務でも、使命でもありません。むしろそういった堅苦しいものとは対極にあるものでしょう」

「あ、足が……シーラさん監修のスパルタ教育で逞しく育った俺の健脚が……!」

「なら、今まで義務と使命に身を投じてきたあなたがこれからどのように振る舞えば良いのか──分かりますね?」

 

最後に一言、そう問いかけた私に対して首を捻りながらもオリバーは応えました。

 

「……自由に。自分のやりたいことをやる、か」

「そういうことです。とはいえ、あまり度が過ぎた奇行凶行を行われると保護者の私が困るのですが……」

「ちょい待ち。いつからイレイナは俺の保護者になったんだ。むしろ保護者は俺の方じゃないのか?」

「4年間放ったらかしの保護者がいますか」

「いねぇ」

 

「ごめんなさい」と言ったオリバーの頭がテーブルにぶつかります。

いえいえ、そんなに謝らなくても良いのです。

別に私は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()気にしていないのですから。

但し、依頼の片手間で百合の快楽に身を委ねた事実。そして未成年の後輩さんを故郷から連れ去り、魔法統括協会の美人調理師さんと色々お楽しみに興じ、旅先で美少女さんたちの心の尽くを奪っていったという協会での数年間。あなたたちはだめです、許しません。

あなたはどれだけ人の心に自分の存在刻み付けてんですか。ちょっと反省して、しばらくは自制しやがってください。

というわけで、私は彼に甘い言葉を囁かず毅然とした態度を貫きます。

 

……まあ毅然としたところでこの人多分変わりませんけどね。

こんなことで変わってるのなら今頃オリバーの面白さや馬鹿さなんて概念は物の見事に吹き飛んでいるでしょうし。

それを決定づけるかのように「厳しいイレイナもそれはそれとしていいんだ!甘い言葉を囁かず、もっと熱く……Sになれよ!!」とか言ってます。

嗜好と性癖をTPOでコロコロ変えないでください。

 

「話を戻しましょう。兎にも角にも私から言えることは、構えないでください、気楽に行きましょうということです」

「!」

「肩肘張らず、気ままに。そうですね、明日は隣の国にでも行きましょうか。少し背伸びして、廃墟を探索するのも悪くは無いでしょう。

それとも、国とも街とも呼べないどこかの平原で優雅に昼寝と洒落こみます?それもそれで、まあ悪くは無いでしょう」

 

それも、あなたとなら間違いなく。

そんな浮ついたような台詞は言ってやりません。言ったら更に調子に乗ること間違いなしでしょうし、正しく火に油を注ぐだけです。

但し、それはそれとしてオリバーはもう少し単純明快に物事を考えて欲しいものです。

旅の仕方や栞なんて難しいこと、考える必要無いでしょう。

あなたが1番やりたかったことはなんですか?あなたが目の前の親友と確約したことは一体なんですか?

今、あなたの目の前には誰がいるのですか?

その透き通った海のような色をした目でしっかり見やがって欲しいものです、本当に。

 

「……確かに。そんなこと難しく考えなくても、俺にとってのやりたい事はイレイナと旅をすることだ」

「そうでしょう、そうでしょう。何せ私、あなたの自慢の──美しくて仕方ない幼馴染なんですから」

「ああ、そして俺は……明日からイレイナで満たされる毎日を送れる。だから、何処に行ってもそれは俺のやりたいことで──!」

「答えが出ましたね。では、この話はお開きということにしましょう」

 

2度、両手を叩いて音を鳴らすことでこの話と空気を1度終わらせます。このままでは無限に旅の仕方やらなにやらの議論を繰り広げてしまいそうでしたし、何より締めのワインも飲みきってしまいました。

オリバーの方を見ても、彼は既に食事を完食しており。それこそ巫山戯てテーブルに頭をくっつける位の余裕があるみたいですので、そろそろここでの話も終わりにしたいと思った上での判断でした。

しかし、タダでは転ばないのが山吹の髪の魔導士さんです。先程の私の言葉に興奮したのか、感動したのかは知りませんが打ち震えた後にやられた私が引くくらいの素早さで両手を握りしめてきたのです。

当然、唐突に手を握られた私はたまったものではありませ──暑苦しいので離しやがってください。

 

「イレイナさん!あんた……天才だよ!!」

「それはちょっと褒めすぎで引きます」

「温度差えっぐ」

「私のオリバーに対する好感度が100減りました」

「……上限100とか言わないよな?」

「10です」

「マイナスからのリスタートじゃねえか!!」

 

いや、そもそもリスタートもクソもないんですけどね。

なんなんですかあなた、頭ぱっぱらぱーなんですかこのやろう。

 

「とにかく、まずは休みましょう。

それから旅の話を。目的地は……明日、旅をしながらゆっくりと。それでいいですね?」

「それでいい!それがいい!

 それはそれとして、取り敢えず今日は夜更かし確定な。明日の予定の可能性について語り尽くそうではないかっ!」

「は?なんで夜更かしするんですか。オリバーは良い子なんですから夜が更ける前には寝てください」

「保護者の下りまだ終わってなかったのかよ……」

 

「俺は既に酒の飲める年齢だっ!誰がなんと言おうとそうなんだい!」と言いながら優しく微笑んで見せ──ドヤ顔も少々混じった笑みをしてみせるのは、彼の十八番とも言えるものなのでしょうか。

尤も、そんな顔をされても私のあなたに対する評価は変わりませんが。

ドヤるなら、せめて18らしい態度と行動を取って欲しいものです。

 

「イレイナさん。……いや、イレイナママ!明日からもよろしく頼むぜ!!」

 

こっち見ないでください。

 

 

 

 

 

 

 




10/17が近付いてきましたね。
この日を境にもっと可愛いイレイナさんが書けるように、私自身もっと原作とイレイナさんを楽しみたいと思います。
それはそうと、2期まだぁ?
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