どちゃクソラッキースケベなハーレム生活を望んだ結果、最終的に幼馴染を好きになった転生者の話   作:送検

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あなたの夢はなんですか?
私の夢は魔女旅2期アニメ化です。


「バレンタインと贈り物乞食の国」中

 

 

 

「そういえば、もうすぐバレンタインデーですね」

 

道行く人々が贈り物を欲する異様な風景が目立つ「贈り物乞食の国」。

その国特有の空気に慣れつつあった旅の魔女、レナは隣を歩くノルに尋ねる。先程までは独特の空気感故に今日がどのような日だったのかということを完全に忘れていたのだが、先程のノルの一言により漸く彼女は今日がバレンタインということを思い出したのである。

尤も、夜景云々は断固拒否の姿勢を貫いているわけなのだが。

 

「だから言ったろー?夜景見に行くかって」

「いつまでその話引き摺るんですか」

「キミが『ふぇー!夜景見たいのですー!』って言うまでかな」

「何処の妹さんですか、私はそんなこと言いません」

 

何処かで盛大なくしゃみをした白髪の美少女がこの話を聞けば、「私だってそんなばかみたいなこと言わないのです!」と目の前の男に牙を剥くであろう。そんなことを思ったレナであったが、当然こんな場所に彼女はいない。

むしろ2人きりの空間に入り込んだら文字通り抓るという確固たる意志を持ち、続ける。

 

「ノルは最近、贈り物の類を貰ったことはありますか?」

「いきなりどうしたのさ、レナさん。言っておくが俺が女の子にプレゼントを貰うのは今のところ合法だぞ?だから貰ったって言った瞬間にぶん殴るのはやめてよね。俺は男女関係緩々な浮気野郎じゃないからね?」

「どの口が言うんですか、えぇ?」

「だから杖でグリグリするのもやめてってばぁ!」

 

悲しいことに、ノルは依然として女性を知らない。

というのも、旅の魔女を以てして2枚目と評されるルックスと、類稀な魔法のセンスを用いた依頼達成率から職場ではデキる魔導士&講師として非常に多くの魔導士や魔女見習い、はたまた魔女からの人気を誇るのだが、この男は致命的な程に百合を愛してしまっている。

職場では彼と同じく活躍する2人の姉妹のあれこれに悶え、旅先では白髪の姉妹に悶え、挙げ句の果てには後に名コンビと謳われる紫髪の後輩に百合カプを要求する始末。

その執念は後世に語り継がれるレベルで悲惨であり、それがノルの恋愛未経験の直接的な決め手となっている。

 

まあ、これらはあくまで噂であり。

実の所は既に心に決めている人がいるのでは?とか言われたり、とある騎士団に所属していた美少女が実は……だったりと、真相の所は以前として不明となっている。

 

とはいえ、彼女いない歴=年齢を地で行く魔導士であるということは紛れもない事実であり、そんな彼が多くの女性からプレゼントを貰うことは『今のところ』合法である。

微々ながら嫉妬の念を抱き、杖で頬をぐりぐりしたレナも彼のプライベートを何から何まで独占しようとするほど鬼ではない。

己が今、彼にとってどのような立場であるのかということはレナ自身が1番理解している。とはいえ、やはり親友のプレゼント事情は気になるもので──いやしかし、それを表に出すのは子どもっぽいのでは?等とめんどくさい感情を抱いた結果が今の状況であった。

ノルの頬が、一部分だけ赤くなった。

何故か、レナの頬も少し赤みがかったような──そんな気がした。

 

「弟子の2人*1から誕生日に贈り物を貰ったよ……実用性のある魔道具だ」

 

そんなノルであるが、魔導士という立場上本来なら弟子を作るといったことは人望や称号授与の関係上なかなか難しいのだが、多くの人の推薦や、個人で作り上げた実績により魔導士から魔女見習いになるまでの過程に至る子達を育てる師としての役割を担うことが可能となっていた。

その第1号2号である少女達からは特にその腕を信頼されており、今年も例に漏れずプレゼントを貰っていた。

なお、今現在弟子1号は休暇により空いてしまった仕事を黒煙のような女性と一緒に片付けている。

コーヒー飲んでゲロ吐いて、書類をダメにした結果黒煙の先輩にドヤされたのはまた別の話である。

 

「魔道具、ですか」

「レナも弟子を持つと良い。弟子は可愛いぞぅ。後輩とは違った喜びがある……主に、喫茶店でゲロ処理*2した時とかな……」

「あ、はい……あなたもあなたでご愁傷さまです」

 

可愛いと言っている割に顔が引き攣ってますよ、と言いたかったレナであったもののノルの会話がまだ続きそうだったので受け答えに徹し、苦笑する。

 

「でさでさ、その子に結婚式に招待しろと言われたんだが……」

「コーヒーをまともに飲めてから要求しろと言っておいてください」

「えーっ?ちなみにそれはぁ、誰と誰のー?」

「はぁ?今更何を──やっぱなんでもないです」

「ははっ、恥ずかしがんなよ。サヤちゃんかアムネシアだろ?」

「さあ、どうでしょうね……」

 

そして、相変わらずの鈍感ぶりである。

まあ、ノルの鈍感ぶりに関しては正直いつもの事なのでこのままで良いのだが、それにかこつけて百合に巻き込むのは本当にやめて欲しいとレナはため息を吐く。事実、レナはその美貌や巡り合わせの関係から女性に惚れられることが多いが、それはあくまで他人から向けられる矢印であり当の本人は全くといっていいほど、その矢印を向けていない。

今も昔も、彼女が意識の有無含めて矢印を向けているのはたった1人である。

つまり、彼女はノーマルなのだ。それなのにも関わらず百合カプを仄めかす発言をされればキレ散らかしたくもなる。

「さあ、どうでしょうね……」程度で終わった、終わらせてくれたことをノルはもう少し感謝すべきである。

 

「誰から贈られた物であれ、貰ったものは大切にしてくださいね」

「当たり前だ。俺を誰だと心得る」

「そうですね……見かけによらず情に厚い人、ということでしょうか」

「なにゆえ」

 

予想外の評価に歩みを止め、固まるノル。

その動きに気付いたレナは、後ろを振り向き1歩2歩と歩き、ノルの目の前まで近寄る。

「え、なんすか」とこれまた予想外の動きに思考停止するノル。そんな1人の魔導士を得意気な表情で見上げたレナは──

 

「そういうところ、好きですよ」

「え、それは……こ」

「まあ、流石に私が贈った数年分の誕生日プレゼントを全て覚えているのには普通に引きましたけど」

「……レナさん?」

 

賞賛と、毒を吐いた。

 

「あの時の一言はある意味忘れられません……あ、うぇいね」

「何故目を逸らしながら出来もしない陽キャの真似を……」

「よりにもよってあなたがそれを言いますか。もういいです、拗ねました。しばらくこっち見ないでください」

「ノールックハグでOK?」

「はいはい、ノルなだけにですね。お上手ですよ、上手すぎて私、嘲笑が止まりません」

「狙ってねえ!」

 

普段温厚なウェイ系魔導士が叫び、己が言葉を発した時点でもう耐えきれずに目を逸らした旅の魔女はそのまま耳を塞いでそっぽを向いた。具体的には「そういうところ」の時点で、である。好きという前に目を逸らすとか何それとか思うかもしれないが、これでもあってないような勇気を振り絞って発した一言なのである。

そして、例に漏れず都合が悪くなった時に発動する悪魔擬きの気の抜けた返事を行う。なお、とある事情で退魔師との出来事を知っているノルは彼女がどうしてこのような奇っ怪な行動と言動をするようになったのか、そのきっかけを知っている。

「なんだこの幼馴染可愛いかよ」とノルは本気で思った。

その一方で、一言物申したかったノルは耳を塞ぎそっぽを向いたレナに喧嘩をふっかける。

 

「大体なぁ!キミはもう少し自分の可愛さを……いや!もっと自覚するべきだ!」

「あー、うー」

「キミみたいな可愛い子がそういうことを言うことで俺がどれだけチョロインと化すか!また、どれだけの美少女を文字通り堕とすことができるのか!俺が数えただけでも既に何人もの女の子が──」

「うーあー、うー」

「聞いちゃいねえ!」

 

しかしレナは耳を塞ぎ、更には魔女としての資質を活かした無音の魔法でノルの叫び声を文字通り霧散させる──が、ノルとて一端の魔導士である。防音魔法を使われたということにいち早く気付き、防音魔法を解除した後に続ける。

 

「防音魔法を使うな!都合の悪いことは防音魔法でシャットアウトってか!?はー、これだからキミは……俺をどれだけ悶えさせれば気が済むんですか!?そういうところが勘違いを生むんだ!危うく俺ァ惚れてまう──って防音魔法を使うなーッ!」

「え、なんですか?」

「耳も塞ぐな難聴系ヒロイン!なんだお前!頭ぱっぱらぱーか!?」

 

と、ここで痴話喧嘩をしていた2人が不意に見つけた張り紙の文字を見て、喧嘩を止める。そこに書かれていたのはまさに『贈り物乞食の国』らしさの残る依頼であり、何より旅の魔女が大好きなお金が報酬として含まれていた。

故に、喧嘩が止まる。

先程の喧騒が、ぱたりと止まったのであった。

 

「……求む、贈り物の貰い方」

「目から鱗のアドバイス、金貨5枚ぃ……?」

「……金貨、5枚ですか」

 

そして、その文字を見た旅の魔女(レナ)の行動は早かった。口より先に身体が動くとはよく言ったもので、金貨5枚という報酬を知った途端に貼り紙の横に座る少年に向かって優雅に驀進。

やや早歩きのレナに付いていった山吹の魔導士の「……まーたレナの悪い癖が出たよー」という声が響き渡る。呆れたような視線が旅の魔女に突き刺さるが、それを鋭い睨みで撫で切り、レナは続ける。

 

「受けましょう、ノル」

「彼女いないくせにできるアドバイスが何処にあるというのか。テキトーはやめて2人で仲直りのバイトデートしようぜ。そっちの方が一石二鳥だろ?」

「女心の話ができますね。少なくともそれをちっとも理解できない鈍感さんよりかはマシだと思います。後、バイトデートとか巫山戯てんですか?」

「男心が分からない美人幼馴染が何か言ってて草。それから言っておく、バイトデートはガチだ」

 

しかし、どうやら旅の魔導士的には彼女がアドバイスでお金を得るのはNGなようで、より真っ当な方法でお金を稼ごうということを提案し、笑顔を見せる。大勢の人が爽やかな笑顔だと言うであろうその笑み。しかし、その笑みの裏に隠れるノルの思惑に、レナは気付いていた。

故に、魔導士の言葉に無視を決め込む。「なんでい!無視か!?」とか「レナさーん!都合の悪いことを聞き流すのは良くないと思いまーっす!」とか言われても、とにかく無視を決め込む。

長年の付き合いで、彼にペースを握らせたらろくなことにならないということを、彼女は心得ていたのだ。

 

「あ、あのぅ……」

 

やがて、痺れを切らした茶髪の少年が2人に問いかける。すると、先程まで魔女を煽りに煽っていたノルがスイッチでも切り替えたかのように少年を笑顔で見遣る。

 

「ああ、悪いな。こんなところで喧嘩してしまって」

「いえ、それはいいんですけど……もしかしてアドバイスを頂けるのですか?」

「まあ、そのつもり。恋愛の「れ」の字がてんで分からない魔女さんが相手だがよろしく頼むよ痛゛ッ゛!!

 

旅の魔女の踵が旅の魔導士の足の甲に突き刺さり苦悶の表情を浮かべる。およそ体験したものにしか分からない激痛に悶え、言葉を失っている間に会話のペースを握った旅の魔女は、目の前の少年に天使のような笑みを見せる。

少年の頬が赤くなった。

隣の魔道士は、以前と続く激痛に顔を歪めていた。

 

「旅の魔導士さんと一緒に考えていきたいと思います……して、金貨ですが」

「え、もうお金の話……」

「後払いでいいですが、それ『のみ』だと些か不公平ではないでしょうか。こちらは時間を使うことで貴方に策を授けるのにも関わらず、納得いかなければタダというのではあまりにも私達に不利益です」

「……と、いいますと?」

「win-winの関係でいきましょう。なに、金貨5枚を払えという訳ではありません。前金を払って頂ければそれで良いのです」

「ま、前金……?」

「そうですね、先ずは金貨1枚を前金として頂きましょう。そして、アドバイスに納得頂けたら更に前金として金貨1枚をプラス。更にそのアドバイスでプレゼントを貰うことが出来たら金貨3枚……合わせて5枚です」

 

思っていたのとは違う契約方法に少年が表情を青ざめる。

少年は、優しそうな笑顔を見せる2人に『優しそう』という第一印象を持っていた。しかし、その後に魔女から発せられたのはまさかのお金に関しての交渉。

まさか自分の有り金根こそぎ搾り取るつもりじゃ……という少年の心配を他所に、魔女は続ける。

 

「心優しい旅の魔女に教えを施される機会なんて滅多にありませんよ?」

「騙されるな!ちょっと顔が良くて性格も良くて、腹黒さの裏に確かな可愛さを秘めている女の子の甘言だ!!前金制度の闇に気付け!気付かないと俺が困る!バイトデートができなくなる!」

「旅の魔導士さんはすっこんでてください」

メイド喫茶で働く旅の魔女さんが見たいんだよォッ!!*3

 

そして、先程まで痛みで悶えていた山吹のド変態が遂に本性を現した!

何を隠そう、この男!旅の魔女と旅々する前に出逢っていた白髪の女性の妹にえげつないお姉ちゃんマウントと旅の魔女マウントを取られていたのである!

諸々の事情によりメイド喫茶で何やら色々していたということは知っているものの、知るより何より目に焼きつけることを至上の喜びと感じているド変態は、レナのメイド姿を決して諦めないし、何なら常に虎視眈々とその機会を狙っている迄ある。

つまるところ、ノルはレナのメイド服、ワンチャン猫耳付きのメイド姿を見たいのである。そして、その策略を知っていたからこそのレナの無視&バイトデート拒否なのであった。

 

「今も夢の中に出てくるんだよ!瓦の街で2人に会った時に優越感に浸っていたアヴィたんのドヤ顔と、煽り口調を!」

「会ってたんですか。元気でしたか?」

「すっごい元気だった!ついでにアムネシアに『んふー、ノルくんモグリねー』って言われた!めっちゃ……めっちゃ可愛かった!!」

「ノルはどうしようもないモグリですね」

「クッソ可愛いいいいいい!!!!」

 

まあ、何はともあれ。

先程まで金銭の心配をしていた少年は、一抹の不安を胸に抱きつつも自分そっちのけでイチャコラしている魔女と魔導士を見据える。その瞳には決意の色が見て取れ、何としてでも贈り物を貰いたい、その為には猫の手も借りたいという思いが垣間見えた。

そして、その瞳を見た旅の魔女は勝ちを確信し。

同じくその瞳を見た旅の魔導士は「あ、死んだ」と負けを確信した。

 

「前金払います!」

「良いんですか?」

「はい!旅の魔女様に教えてもらうことなんて滅多にないでしょうし、何より彼女からの贈り物がどうしても欲しいからです!」

 

何より、少年にはこの2人の手を借りなければならない理由があった。それは、彼女からの贈り物が欲しいという執念的な問題でも、レナが魔女だからという理由でもない、もっと根本的なもの。少年にとっては切実な問題。

 

「それに……」

「それに?」

「実の所、旅の魔女さんが来てくれるまで誰も相談に乗ってくれませんでしたから」

「料金設定が高すぎたらそうなりますよね」

 

そもそもの話、料金設定を高くしてしまったせいで少年の周りには閑古鳥が鳴いていたのだから。

 

*1
なお、ノルは魔女ではないため本編での師匠の立場のように魔女の資格を与えることは不可

*2
その後、2人仲良くカフェ出禁になりました。やったね!

*3
「へっ、〇レ〇ナさんのメイド姿見てないとか彼女の愛好家として終わってるのです」Byアヴィたん




ノル
対旅の魔女において無類の鈍感さと変態っぷりを誇る旅の魔導士A。魔法のお巡りさんを自称しており、悪いことをする人を魔法で締め上げる。とある大志を抱いており、その目的の為ならば法律ギリギリの範囲で何でもする。なお、その度に師匠にぶっ飛ばされる。
現在は定職に休暇届を提出し、魔女と新こ……アバ……旅をしている。その過程で溜まった仕事が自然と黒煙みたいな女の子に降りかかるため、復職早々ボコボコにされることが悲しいことに確定してしまっている。

レナ
魔女名不詳の灰髪美女。『立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花』を名実共に体現しており、その美貌に男たちはコロッと騙されてしまう。なお、女性にも適用され、各国に現地妻を量産しているやべー魔女でもある。本人がそれを自覚してしまっているのが彼女のやべー度をさらに増幅させている。
最近は滅多にすることがなくなったが、魔法で敵をボコす腕は超一流。魔女なりたての頃よりも経験値が向上し、予想外の出来事にも動じない精神を獲得。その一方でとあるド変態魔導士の笑顔には未だに動じてしまうとか、なにそれかわいいかよ。

アヴィたん
ノルが敬愛してやまない女の子の妹。
パンツ放置少女と呼ばれたことと、危うく姉を奪われそうになったことを根に持っている。

アムネシア
アヴィたんの姉。
またの呼称をアムたそ、アムリエル。
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