どちゃクソラッキースケベなハーレム生活を望んだ結果、最終的に幼馴染を好きになった転生者の話   作:送検

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番外編我慢できなくなったので投稿します。
次回2章終わりと書いたのにこの有様。
許して。


とある母と娘の話

 

 

 

 

「そして魔女は言ったのです……『慈善活動のついでに金貨5枚も貰えるなんて……最高にチョロくて美味しいお仕事ですよ、本当に……』と」

「……うーん」

「──あら?」

 

とある国の、とある一軒家で、とある家族の母と子が本を読んでいた。

冬の寒さが身を凍えさせる時候であったが故に、暖炉の近くに置かれたソファーに身を落としつつ、その上で娘である少女は真後ろで自身を守るように抱きすくめ、読み聞かせをしてくれている容姿端麗な母の膝に甘えている。

暖炉が発する熱と母の体温故か、とろんとした眼、長く艶のある髪は母と同じ色。

そして、その外見から織り成すお人形さんのような美少女っぷりは正しく仙姿玉質と言えるであろう。

見るもの全てを魅了してしまうかのような美少女は、この世に生を受けた時、父と母から1つの名前を付けられた。

大切な2人娘の1人1人に想いを乗せ、付けられた大切な名前である。

 

「もしかしてもう寝てる?」

「すぴー」

「……」

 

そんな娘が寝たふりをしていること位、母には丸分かりであった。

端的に換言すると『狸寝入りの際の寝顔が自分にそっくり』なのである。本人は自然に眠ったフリをしている筈なのにも関わらず、知らない内に口は真一文字に閉じられ、眉間にも力が入ってしまう。

かくいう本人もその悪癖は未だに治っておらず、自身の夫に何千何万回と看破され、その度に優しく微笑まれてきた過去を持つ。

そんな経験もあり、母は娘の狸寝入りに何処か微笑ましく、また寛容であった。

普段のドSであんちくしょうなおかーさんとは打って変わった慈愛の笑みを浮かべていた。

 

「あらあら、次はあなたの大好きな()()()の話をしようと思ったのだけれど……」

「……!」

「ぱぱが帰ってくるまでおやすみもしないって、言っていたような気もするのだけれど」

「……!?」

 

やっぱ母はドSなあんちくしょうだった。

先程の慈愛の籠った目などどこ吹く風、娘の弱点を針でちくちくどころかブスリと射抜き、徹底的に弱みにつけ込む表情はまさに悪魔。

目を細め、悪戯っぽく不敵に微笑んで魅せたドSママは、最後に娘の頭を撫でると一言。

 

「そういえば昨日、ぱぱに内緒でおやつ食べ……」

「ぎゃー!それは言わないおやくそくでしょう!?」

 

愛娘を暴露話で目覚めさせやがった。

先程まで狸寝入りの境地に辿り着かんと努めていた娘は衝撃的な暴露話に飛び起き、母の抱っこから脱出した上で破天荒ぶりを発揮する。

そう、この母親と瓜二つの美少女。お人形さんのような外見をしている美少女でありながら、内面は随分とお転婆な女の子なのである。

天性の魔法の素質、両親のメリハリのついた教育方針の甲斐あり伸びた学力。そして、外見。

ここまでは母と同じなのに、何故か内面だけ何処かの誰かさんに似てしまった破天荒天才美少女。

彼女の名前を、イヴェールという。

周囲から『イヴ』と呼ばれ、親しまれている元気一杯の女の子である。

 

「おかーさんのドS!あんぽんたん!!おてつだい券のあくま!!!そうやって家族をもてあそぶのがそんなに楽しいのかしら!!!」

「そういえば一昨日床におねしょの跡が……」

「あーあーあー!!!」

 

そんな一人娘が耳を塞ぎながら怒り狂う様子に、ドSでありあんぽんたんでもあり、更にはおてつだい券のあくまでもある母は余裕のある笑みを浮かべる。

本のページをぱらぱらと捲り、「こんなこともありましたね」と内心で思いつつも娘のことを気にかけ、暖炉に近づきすぎないようにと手招きするそれは正しく母の姿。

二児の母としての貫禄を示した、娘のあしらい方であった。

 

「むー……だいたいおかーさん、その話は私のおねだりしたものとちがう!」

「そうだったかしら……」

「とぼけてもだめー!ずるよずる!!白のおねーさまや黒のおねーさまの方がもっと私に優しかったわ!!私の聴きたい話、たくさんしてくれたもん!!」

 

そもそも何故このような状況に陥っているのか。それは、数時間前に遡る。

とある平和国にて、とあるお仕事をしているぱぱが週に一回休みを取る定休日。その日に一緒にお買い物に行くと決めていたイヴェールは、一日中ぱぱにべったりだった。

母の幼き日に瓜二つの美少女のでれでれっぷりは遺伝子レベルとさえ言われるレベルであり、その遺伝子を十二分に発揮した彼女は一緒に家のお手伝いをして、朝ご飯も隣で食べて、勉強もして、抱っこしてもらって、おまけにぱぱの膝下で()()()()()()も読んでもらって。

 

『すぴー、すぴー』

『おかーさん、イヴ寝ちゃったぞ』

『あらあら、じゃあお買い物はリアと一緒に行ってもらおうかしら』

『いいよ。ぱぱといっしょに、あっしー』

 

ぱぱのお膝で、すーすーと寝息を立てた。

そこからはもうトントン拍子に話が進む。起きてから状況を理解し、ボロ泣き。

おかーさんに慰められ、じゃあそのまま二度寝……しようと思ったらこちょこちょで意識を覚醒させられ、本来もう1人の娘の当番であった洗い物のお手伝い、お掃除のお手伝いを母と一緒に行い、ヘトヘトになったところでトドメの『おてつだい券』。

発狂しかけたイヴの気持ちを窘めるように、母はイヴに終わったらなんでも一つお願いを叶えてあげると言い、娘の持つお手伝い券に『お願いをなんでもかなえてくれる』魔法をかけた。

その券を手に取り、「わーい!」と喜んだイヴはお手伝い券が持つ魔法の力を使い、交換条件としてぱぱのお話をたくさんしてほしいと所望し、その結果あほみたいなバレンタインの話をされた。

娘は涙を通り越して憤慨した。もし、自身の大好きなおかーさん相手じゃなかったら持って生まれた圧倒的な魔法の才によりブッ転がしている所であった。

 

「私はさっきも言ったとーり!ぱぱのかっくいー話をしょもーするわ!!してくれなかったらおてつだい券破るわよ!?けーやくはきよ、はき!!」

「契約破棄なんて言葉どこで覚えたのかしら……」

「おねーさま」

「どっちの?」

「白の」

「後で白のおねーさま呼んできてくれる?」

 

そして母も白のおねーさまをブッ転がすと決意した。

親と子は似る。本当にそっくりである。

先程は内面が何処かの誰かさんにそっくりだと回顧した母ではあったが、仮にこの様を見た不完全燃焼により発生する煤の如く想いを伝えきれない女が見れば何と言うであろうか。

少なくとも「どっちもどっち」だとこめかみを抑える様は容易に想像できるであろうこの光景に終止符を打つ者はいない。

ぱぱと呼ばれ、家族に無償の愛を注ぎ、逆に注がれまくっているぱっぱらぱーな父は、もう1人の娘と共に買い物に向かっている。普段から2人の緩衝材となっているぱぱ不在で、このどんちゃん騒ぎが静まるはずもない。

本をテーブルの上に置き、危ないからこっちに来なさいと優しく膝を叩くおかーさん。

椅子を盾にし、狂犬の如く「ぐるるる……!」と威嚇して見せるチワワな5歳児。

ぱぱが見れば尊死必至なこの状況で、機先を制したのはおかーさんだった。

 

「お話してあげるから。暖炉の近くで遊んでないでこっちに来なさい」

「……きゅん、きゅん」

「それとも、まだ怒っているの?ぱぱと一緒におでかけできなかったこと」

「きゃいーん!!!」

 

おかーさんの一言が琴線に触れ、イヴは再度威嚇を始める。

そもそもの話はおかーさんがぱぱの話をするとか言っておきながらバレンタインでのしょーもない資金繰りをはなしたからでしょうがぎゃいぎゃい以下略!的な想いを威嚇の声に乗せ、目の前に聳え立つラスボスに立ち向かったのだ。

その勇気たるや素晴らしい。白のおねーさまが見れば涙腺崩壊必至なその様は誰がどう見ても反抗期のそれであり、イヴの成長を雄弁に表していた。

 

「全く、聞き分けのない子なんだから……ぱぱに似たのね」

「ひぃっ……!?」

 

おかーさんがのそりと立ち上がり、娘の元へ歩み寄った。

「ぱぱ助けて……!」とイヴは萎縮した。

 

「仕方ないでしょう。行く直前にぱぱのお膝で本なんか読んでもらうから眠くなっちゃって外出れなかったんだから」

「起こしてくれればよかったじゃない。よりにもよって、リアがぱぱのぼでぃーがーど役の代わりを積極的につとめあげるなんて……さくしね、リア」

「リアはめんどうくさがってたわよ」

「めんどう!?」

「イヴのせいで仕事が増えたって言ってたけど」

「さかうらみ!?」

 

イヴはまだ小さい。

5年前、彼女の母がお腹を痛めて産んだ宝物はすくすくと育ち、冬と魔法と花、それから大冒険が似合う活発な碧眼の5歳児になった。

一時は体調を崩すことも多かったが、両親、両親の友人、先生を含めたたくさんの人達の愛情に触れ、すくすくと育っていくと自然に身体も強くなり、同時に天才的で暴力的な程の魔法の才が発覚した。

イヴェールは紛れもない天才である。

父と母と天才的な魔法の素質と、母のお人形さんのように可愛らしい外見と、ぱぱそっくりの優しい笑みを引き継いだ、ぱーふぇくとがーるなのだ。

 

それでも、まだ5歳児だ。

魔力がどれだけあっても、子どもであり身長も低く、力も弱い。

そんな少女に上から何かを押し付けたところで上手くいくはずがないということを、なんとなく母はわかっていた。

故に歩み寄った母は、びくびくしながらも「かかってくるといいわ!おぉん!?」とおもちゃの名剣『なまくら』*1を片手に持ったイヴの身長に合わせてしゃがみこみ、頭を撫でる。

 

「後でたくさんお手伝いして、ぱぱとべったりすれば良い話でしょう?」

「むむむ」

「ぱぱを取り合うのは別に良いけど、ぱぱはイヴだけのものじゃないの。リアのものでもあるし、イヴのものでもあるし、おかーさんのものでもあるわ」

「むむむむむ……」

「何が言いたいか、分かる?」

 

同じ身長で、語りかけるように、優しく何度でも、根気強く。

かつて自身の母に夢を語った際、そうされたように。

頭を撫で、自分の夢を嗤わずに『勿論よ』と言ってくれた憧れの母のように、華麗に、優しく。

自身と、愛しい人との間にできた大切な愛娘に手を──

 

「おかーさんもぱぱのことだいすきってわけだね!ひゅーひゅー!つんでれー!らぶらぶー!!」

「こっち来なさい」

「やだー!ぜったいにつかまら……にゃあああ!くすぐったいよおかーさーん!!」

 

差し伸べてこちょこちょを始めた。

当然、非力な5歳児がおかーさんの本気に敵うはずもなく。

あっという間に捕まり、抱っこされたイヴはおかーさんの手により色んなところをこちょこちょされ、笑い悶え、苦しむ。

 

そもそも娘が母に勝てるとでも?

答えは否、である。

「成長度合いも経験も歩幅も何もかもが上を行く母に勝てるはずがないでしょうに」と笑うのは愛娘であるイヴがピーマンより嫌いと称し、それでも本当は大好きで大好きで仕方ない、灰色の長い髪を携えた、お人形さんのように美しい顔をした美人のおかーさん。

 

そんなドSであんちくしょうで、お手伝い券の悪魔であるおかーさんは。

 

「言ってくれたわね、このこのっ」

「にゃああああ!!ぱぱー!!助け、にゃはは、たすけてー!!」

 

もう何年も前から住んでいる大きな一軒家で、今はまだ非力で幼くて、調子乗りだけど、いずれ()()()()()()()として新たな物語を紡ぐかもしれない──そんな少女を辱めるように、娘とのスキンシップを敢行するのであった。

 

 

 

 

 

「かわいいね」

「……えぇ」

 

帰ってきたぱぱは、その光景を眺めて悶えていた。

ぱぱの隣にいた山吹の髪色の美少女は、いつものことだとため息を吐いた。

 

 

 

 

*1
白のおねーさまから貰った誕生日プレゼント。防犯ブザー、ライト、その他もろもろ完備の名剣。




将来生まれるであろうイレイナさんの娘の名前は自分と、母と、おまけでふと思い立った1人の女の人の名前の一部を使った名前だろと邪推した馬鹿は私ですごめんなさい。
ちなみにニケの名前の由来とされているサモトラケのニケはフランスのルーブル美術館が所蔵しています。
イヴェールはフランス語で冬を意味する言葉であり、そういう繋がりも込めたり、込めなかったり。
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