どちゃクソラッキースケベなハーレム生活を望んだ結果、最終的に幼馴染を好きになった転生者の話 作:送検
「ぱぱ、待って」
それはとある次女の一言だった。
暖かな空気が漂い、小鳥達の囀りが上空から聞こえ、人々の世間話やらが聞こえる今日の平和国。
その街の中心部にある商店街を、とある家族の父と娘が手を繋ぎ仲睦まじい様子で歩いていた。
2人が家族だと分かる証明は、火を見るより明らかな山吹色の髪。
凱風により靡く山吹の髪は見る者を虜にし、今日も今日とて父と共に衆目の目を引き、通りがかった人々を振り向かせ、ほっこりさせる。
美麗さと仲睦まじさが混在した異質さは目立ち、視線に晒された当人達は本来ならその目に気分を害し、すたこらさっさとその場を立ち去るだろう。
しかし、本人達はそんなこと思わない。ゆったりとしたペースで、娘の狭い歩調に合わせながら歩き、会話をして、帰路を楽しむ。
何故かって?
(うちの娘どちゃくそかわいい。加えてアホ毛とか属性のハッピーセットかな?)
(みんなぱぱの方ばかり見てる。うわきしないように見張らなきゃ)
周囲のことなんて気にならない位、お互いがお互いの方に矢印を向けているからである。
ぱぱが娘を好きなことは確固として揺るがない事実であるが、その愛情を一心に受け続けた姉妹はファザコンを拗らせた。
幼年期の淡い憧れと言えばそれまでかもしれないが、どれだけ姉妹の母親が窘めても尚治らないその癖はもう治療不可能かと思う程に強固。
最近は魔法を覚え始めたこともあって喧嘩の質がヤバイことになっており、大抵その喧嘩の原因はぱぱの取り合い。
『やー!!!ぱぱは今日私のー!!私のものなのー!!』
『……イヴ、昨日もぱぱの特等席取った。今日は、……私がぱぱで優勝する』
『だってさ、ママ。ごめんな、モテモテなおとーさんで』
『……*1』
しょーもないと言いたくなるが、本人達が至って真面目なので止める方策はなかなか見つからず、最近は白のおねーさま方が「合法ね!」やら「合法なのです!」とか言い出す始末。
この姉妹は、ぱぱのことが大好きで仕方ないファザコンに両足突っ込んだ5歳児達なのである。
そして父も、勿論なんだかんだあってもおかーさんと呼ばれ慕われている母も、2人のことが大好きな仲の良い最高の家族なのだ。
故に2人はその目を気にしない。
気づいてしまったとしても、その視線を悪いように捉えないのだ。
(……ぱぱはやさしいから、すぐ女の人のところに行くっておかーさん言ってた。ここはふーふえんまんの為に、わたしがやるわ)
(おやぁ……?リアの様子が……あっ、手の力が強くなった!成長したなぁ……かわいいね!)
そして、舞台は冒頭に回帰し、少女は父を呼ぶ。
娘のことを考えながら、将来この子に夫が出来たらどうしよう……!なんて考え勝手にブルーになっていたぱぱの手を両手で掴み、引き止める。
そして、少女は自らの本心をさらけ出すように上目遣いでぱぱを見る。
幾ら大人びていても、本来人の心は年齢相応だ。子どもなら自分の好きなことで遊びたいと思うし、両親にかまって欲しいとも思うし、良い子では居られない時だってある。
そして、その心情を理解しているからこその優しいパパとママだということを、娘たちは幼いながら理解していた。
「
「……えと」
山吹の髪の男にリアと呼ばれた少女も、今は甘え盛りの年頃だ。
ぱぱが大好きな気持ちなら双子の姉にだって負けるつもりはないし、おかーさんのことだって大好きだ。
それでも、普段はクールっぷりが先行してどうしても上手く甘えられない。
何より目の前でギャン泣きしたりご丁寧に「ぎゅーっ」の擬音語まで言葉にしてぱぱにハグをする姉を見ていると『すん……』と冷静になってしまう。
そして、なにより、性分のせいもあって甘えるのが恥ずかしい。
『……じゃあ私がぱぱのお買い物手伝う』
『あら、本当に?』
『うん、ぱぱと一緒にしょっぴんぐ』
けど、今日は。
今日こそは甘えたいと思ったのだ。
何より今日は、肝心な場面でポンコツ属性を発揮して眠りこけた双子の姉の代わりに父の買い物を手伝った。
わがまま言って約束を取り付け、本まで読んでもらった癖にぐーすかぴーしてしまったワガママお姉ちゃんのフォローを頑張ったのだ。
極めつけには、周囲から感じられる視線。*2この視線から生まれる可能性のある『うわき』の可能性を少しでも摘む為に羞恥心を捨てて上目遣いでぱぱを見た。
「?……どーした、リア。欲しい本とかあったりしたか?」
「……ぅ」
「ぱぱ、お手伝いたくさんしてくれたリアの頼みならなんでも聞いちゃうぞ。お願いしたいことあるなら、言ってみ?」
ぱぱの浮気を止めるために。
何より、ご褒美だと。
その言葉をただひたすら自分に言い聞かせ、リアは一言。
「だ……だっこ」
「……」
「家が見えるまで、だっこ。……だめ?」
瞬間、周囲を尊さで吹き飛ばした。
鼻血を出し、打ちひしがれる者。ひっくり返り、悶え苦しむ者。その多くは山吹の髪の少女の魅力によって生じた犠牲者であり、言うなれば可愛さのバイオテロ。
その事実を少女は知らない。
ただ1人、漸く周囲の状況に気付いた父が「魅力で人を捩じ伏せるのはおかーさん似かなぁ?」なんてボケたことを言いながら、笑顔を見せる。
果てしなく安心感を与える、何処までも優しい笑み。
その笑みをしたぱぱに、悪意の類など何一つないということを山吹の髪の少女は知っていた。
「うん、分かった。ぱぱに任せとけ」
「……ほんと?」
「そのおねがいを聞かないぱぱが何処にいるんだよ」
ゆっくりと、優しく、少女を抱き寄せた父はその身を軽く持ち上げ、大切に抱きかかえて運ぶ。
その時に靡いた山吹の短髪から香った花のような香りは自らが
その香りをくんかくんかしたいという衝動を必死に抑え、娘は平静を保った。
「すん……」
「すん?」
「くーるになった音よ」
「え、パパのだっこに何か問題が……?」
「……ぐつ、ぐつ」
「煮えたぎってるじゃあないか」
平静を、保った。
「全く、人たらしなぱぱね」と内心では呆れながらも蓋を開けてみれば最愛のぱぱの香りにデレッデレな少女がここには存在している。
クールとデレを二重展開する様は最早少女の真骨頂でもあり、その様は俗に言うクーデレ。
「うちの娘はクーデレなのか……」と男が独りごちると「……でれ?」と少女が上目遣いで答える。
ぱぱはその上目遣いに殺られた。
リアは「ほっさ?」と心配そうに父を見やった。
「ッ……リアの可愛さは時に俺の脳を破壊する……!」
「!……そうなの?」
「ああ!だからリアは俺を!今度はその可愛さで癒してくれ!」
「……つまり?」
「何時でも甘えてこいホラ!って話だな!!」
「ちょっとそれはおかしいと思う」
時にリアの父親は情緒が不安定になるきらいがある。
それは、娘の可愛さや奥さんの美しさに脳を焼き尽くされた時。
または、娘の成長を肌で感じ取った時。
そういった時に必ずと言っても過言では無い比率で父は頬を赤らめ、身悶える。
愛妻家や家族想いの側面がある愛情に満ち溢れた人と言えば良いのか、もしくはただの変態か。
実際は少し変態寄りなのかもしれない。そうじゃなきゃいちいち悶えない。
「……はかいってわるいことなんでしょ?おかーさん、言ってたもの。そういうことしちゃだめなんだって」
「何言ってんだ。昔はおかーさんも自分の可愛さでよく色々な人の脳を破壊してたんだぞ?」
「え゛」
「おかーさんが散々やっといてリアがダメなんてこたぁないだろ。良いんだよ、やっちまえよ……リア」
「……そ。……そういうこと、なら?」
「おう!お前ならできるはずだ!」
それでも、リアという娘は父のそういったところが大好きで。
もちろん他人にもそういった側面の片鱗は見せるけど、家族にだけしか見せない、でれっでれになったとことか、身悶えるところとか、成長をちゃんと喜んでくれることとか、あたたかいところとか、優しく微笑んでくれることとか、とにかくかっこいいところとか。
自らの父の良いところを口に出そうと思えば無限に言えてしまうほどに、本当に大好きで。
「……ぱぱ」
「ん?」
「……んふー」
「おわっ」
そういうこともあって。
リアは本能のままに、父の暖かさに甘えた。
建前なんてない、本心から織り成す想いで。
「なんだなんだ、急に『ぎゅー』ってするなんて。リアもそういう年頃か?」
「……すん」
「なんでそこでテンション下がんの。いやまあ、可愛いけど」
「ぐつぐつ」
「あ、また上がった」
母と瓜二つの顔つきに、それでいて姉とは違って思いをストレートにぶつけることはなく、それこそリアの言葉を借りるなら「くーる」を信条に、「ぐつぐつ」と思いを煮えたぎらせる山吹の髪の女の子。
将来はきっと母のような美少女っぷりを見せびらかしながら、それでも本人は無自覚で魔法を振るったり、仕事をしたりする──そんな未知なる可能性を秘めた、天才山吹。
「あら、おかえりなさい。リア、あなた」
「あ、おかーさん。……ただいま」
「相変わらず2人きりだとぱぱにべったりね」
「……うん。ひとりじめ、さいこー」
そんな少女の名を、ケーリアと言う。
今日は、それだけの話。
長女も次女も母にそっくりです!
炭のやべーやつは昇天しちゃう!