どちゃクソラッキースケベなハーレム生活を望んだ結果、最終的に幼馴染を好きになった転生者の話 作:送検
簡単に説明すると、モニカが故郷の魔法統括協会で働いていたのか、働いていなかったのかって話で、結論としましては当二次創作内では故郷の魔法統括協会では働いていません。というか、なる前にオリ主がスカウトしました。
オリ主は当時せいぜい14歳そこらの女の子を自分の住む国に連れていったことになります。
つまり、どういうことでしょう。
そう、誘拐です。
共食……家族や仲間が食卓を囲んでコミュニケーションをとりながら食事をすること。
「美味しいものってさ、結構大事なんだぞ?」
「はい」
「美味しいものを食べることで、人は元気になる。共通の美味しいものを人と一緒に食べれば、その人も元気になる。
──明るい会話には美味しいものが不可欠なんだ」
オリバーさんに連れられて来た魔法統括協会支部。
私にとっては何もかもが真新しいその街で、私が最初に行ったのは『団欒』のような、そうでないような何か。
連れられるがままに魔法統括協会支部内にある食堂へと向かうと、そこで行われていたのは教育を名目にした一種の洗脳のような何か。
「調理は凶器!!料理は鈍器!!ルーキー君、意味わかるかな!?」
「へあっ!?あ……すー、……わかんねっす!」
「あはははは!!!処刑ィィィィ!!!!!」
「ぬ゙ごじゃ゙ッ゙!゙」
あまりに常識外れの後輩教育。
あれはなんだとオリバーさんに聞く前に、ため息を吐いた彼は目の前の
「学生食堂の調理師さんです」
「……先程から言っていることが快楽○人犯のそれなのですが」
「何故かこの世界線では○ってないんだよなぁ……」
私には「完成……!一丁目血の池拉麺鮮血地獄……!!!」とかいうメニューを笑いながら詠唱している危ない人間しか見えないし、聞こえない。
やはり当初の見立て通り、この場所にはオリバーさんと同じくらい、もしくはそれ以上の異常性癖を持つ人間が跋扈しているらしい。
もういい加減にして欲しい。
「でも、ガチのマジで料理は上手いんだぞ?」
「冗談でしょう」
「いやいや、本当に」
仮に冗談じゃないとしても関係ない。
先ず後輩教育にトマトとケチャップを物理的に使っているこの現状を見てオリバーさんにはおかしいと思って欲しい。何より、発言のそれが最早学生食堂の調理師の発言ではないのだ。
どこの世界にトマトとナイフの組み合わせで恍惚の表情を浮かべる調理師がいるというのか。
繰り返すようになるが、いい加減にして欲しい。
「あっ、オリバーくん!!」
「おう、料理長!……またトマトで後輩教育してんの?」
「ちっちっち、甘いねオリバーくん。
──これは賄いの準備だよ!!」
「ルーキーの腹をトマトまみれにすんのやめろってシーラさんに言われたばっかだろ!!!」
しかし、オリバーさんにとっては調理師の奇行はごくごく当たり前のことらしく。
気さくに手を振り挨拶をすると、山吹の髪色に気付いた調理師が私とオリバーさんの元へと歩み寄り、先程の奇行が嘘のような明るい笑みで挨拶を返し──オリバーさんの手に、自分の右手を重ねた。
所謂ハイタッチだ。それほどまでに親密な仲なのか、類は友を呼ぶとはこのことを言うのか。
「で、そこの子は……あぁ、分かっちゃった!」
「誤解だと思うよ?口に出すのはやめようね」
「オリバーくん、旅先で女の子引っ掛けてきたんだ!うわー、流石魔法統括協会の女たらし!やることがもう常人のそれじゃないなぁ……」
「引っ掛けてない!これはれっきとしたスカウトだ!勧誘だ!未来の幹部候補生を連れてきたと考えてくれればありがたいッ!!」
「怪しいスカウトかな?」
「……料理長?そろそろ怒るぞー?」
「あはは!冗談だってば!」
頬に赤いものを付着させたまま、『全く、オリバーくんは冗談が効かないなぁ』と肩をてしてし叩く調理師の心に、闇や陰の類は見られない。
彼女は2面性のある人間だということはこの瞬間に理解したが、それのどれもが本性であり、その本性を人によって使い分けているのであろう。
その答えを象徴するかのように、談笑している調理師の笑顔が燦然と輝く。
経験から分かる。この笑顔は、『現在』を謳歌する人間のみが出来る光のように眩いものだ。
そして、料理に対する狂気的な1面も──先程は異常だと結論を出したけど。その1面も、少なくとも
私とはまるで積み重ねてきたものと行っている事象の高尚さが違う、オリバーさん同様に、この人も2面性こそあれど純真で、真っ直ぐな人なのだろう。
そう思いながら、私はオリバーさんと調理師の会話を眺めていた。
「そう、オリバー君が紹介してくれたように私がこの協会の料理長です。よろしくね!えっと……」
「モニカです。お世話になります」
「よろしく、モニカちゃん!私の名前は……」
そして、私の方へ改めて視線を送った彼女はオリバーさんとは種類の違う美麗な笑みを浮かべて挨拶をしてくる。
私と同じくらいの年に見える外見のあどけなさに反して、折り目正しくするべき場面での立ち居振る舞いや所作の類は完全に成熟した淑女のそれ。
好印象を得ることの出来るツボを心得ているかのような彼女の笑顔に、私は反射的に差し出された手を取り──
「そうだ!取り敢えず、私達の味を……学生食堂を堪能してもらおうかな?」
「意味がわかりません。名前だけで十分です」
「料理人は味で語るってね!まあひとまず、私の得意料理のケチャップライスシチュー……食べてみてよ!」
「戻ってください、正気に」
学生食堂の快楽調理師は、突飛な発言で場をかき乱すだけかき乱し、その一時間後、料理のフルコースを1人で作り上げてしまったのだった。
「おっ、今日は閻魔様のやっとこカレーかぁ!見た目からして料理長の好きな色してんねぇ!それじゃあいただきま
ぶぉあぁぁ゙ぁぁぁ゙ぁ!!゙!!」
「!……これ、美味し──」
これ以上話が長くなるのは蛇足でしかないので、その後の出来事を簡潔に説明すると学生食堂の快楽調理師の気まぐれランチセットを食べた結果、オリバーさんが口から火を吹いた。そして、それを尻目に私は1番安全そうなケーキに口を付け。
そこから先の記憶は、私にはない。
思い出したくもない。
⚫︎
オリバーさんの言っていた事は、そのまま共食という言葉に該当すると後に悟った。
仲間や友人、先輩と食事をすることでコミュニケーションを取る。そして、食事の席以外でも会話が円滑に進むように交友を深める。
それは、オリバーさんが宿題として課した『よく食べ、学び、遊ぶこと』というものに通ずる、私にとってはやらなければいけないという義務感に駆られるものに該当し。
私は図らずも、友人と食事を共にすることが多くなった。
「モニカさんモニカさん!イレイナさんの無限大の可愛さについて語り尽くしましょう!!」
「耳が腐敗するからやめて」
魔法統括協会支部。
ここでは多くのエージェントや、エージェントの卵が己の成すべきことを果たすために様々な場所を行き来する。
その中で、依頼を達成することが仕事の同期と、デスクワークと講師となった先輩の手伝いを中心として仕事をする私は、奇跡的に合致したスケジュールのせいで向かい合って昼食を摂る運びとなった。
タイミングは本当に偶然だった。食堂の人にいつも食べる昼食を頼むタイミングが同じで、偶然その相手が同期で、なし崩し的に向かい合って昼食を摂っている──それだけの関係。
その同期の名をサヤという。
子犬のように人懐っこい、私の友人だ。
「大体、私はそのイレイナという人をオリバーさん経由でしか知らない。見たこともない人の魅力を語られても反応に困る」
「……ッ、また先輩ですか!モニカさんにもイレイナさんにも、ミナにも!どーしてぼくに関係する大切な人達の影に先輩が当たり前のように潜んでいるんですか!?」
「あなたもその1人だと思うけど」
「違いますー!ぼくはオリバーさんのことなんてなんにも知りませんし影響も受けてませんー!」
教えを乞う師匠が同じであり、免許皆伝を受けた魔導士を共に慕う間柄。
私とサヤ、そしてサヤの妹であるミナは、そのような共通点を持つ同期であり、友人であり、競争相手である。
故に、話の内容は自然と魔法と先輩──オリバーさんの話になり、たまに場所を問わずサヤが会話の脱線事故を起こしてイレイナという人間の素晴らしさを語る会に話が移行する。
因みにサヤは、イレイナという人間を心底慕っているらしい。というか愛しているらしい。
純愛も程々にして欲しい。耳が腐る。
「そうは言うけれど、サヤは炎魔法の上達を先輩に手伝ってもらったでしょう」
「ぐ、ぬ」
「それどころか試験の勉強、食事、果てはイレイナさん談義の充実。
──あなたはこの異国の地で、十二分にオリバーさんの恩恵を受けているはず」
「ぐぬぬ……」
「あなたが何を言おうが勝手だけれど、心の底に感謝の念は持つべき。
聞き分けの出来るあなたなら容易でしょう、サヤ」
「わ……分かってますー!モニカさんに言われなくても先輩がぼくにすごい世話焼いてくれていることくらい、ミナより分かってますー!」
頬を膨らませて、お気に入りのランチメニューを平らげるサヤ。
和食で統一された一汁三菜の料理は、一般的なお昼の学生食堂が出すようなメニューではなく、これがサヤのルーティンワークになりつつある。
自分の好きなことで人を夢中にさせられる能力は誰しもが持っている才覚ではない。
ケチャラー&トマトジャンキーな脳内真っ赤な思考と性癖は忌避されるものであるが、料理という名の才覚において学生食堂の料理長は一目置くどころか尊敬の念を置かれる実力を保有し、それを遺憾無く発揮していた。
改めて凄い人だ。素直にそう思う。
「……それはそうと。モニカさんはオリバーさんに手厚く指導を受けているみたいですけど、実際のところどうなんですか?」
「どう?別に普通だと思うけど」
サヤとの会話は内容が次々と流転し、様々な方向へ話の舵が切られる。
それは今日の会話も例外ではなく、イレイナさんの話からオリバーさんへ。そして、今度は私の話へ。
まるであちらこちらの遊具に手を出す5歳児のような話題転換に思うところがないと言えば嘘になるが、絶えず話題を提供してくれるのは紛れもない彼女の利点だ。
故に、私は文句を言うこともなく平静を装う。貴女の会話は受け入れられるものであると、態度で示した。
「普通、ですか。ぼくはその普通が3日と持たなかったので、やっぱモニカさんは魔導士として1枚も2枚も上手ですね、間違いない!」
「間違いだらけ。私はあなたを強い魔女見習いだと思っているし、尊敬している。足下にも及ばないと自覚もしている」
「そうなんですか!?え、えへへー……優等生で秀才なモニカさんに言われると照れますねぇ……!」
頬を赤らめ、身体をくねくねさせるサヤ。
それも束の間、「ってそうじゃなくって!!」と私にツッコミを入れた。
何がそうじゃないのかは私の知るところでは無いが、サヤの話には続きがあるらしいので、私は料理長オススメのメニューである『特製ケチャップライスシチュー─真白の海を赤に染めて─』とやらを食しながら、耳を傾ける。
「どうしてぼくが3日と持たなかったくそスパルタ近距離魔法戦鍛錬メニューを平然と3日!1ヶ月!半年と!ラジオ体操でスタンプ押してもらう感覚で継続しちゃってるんですか!!」
「うるさい。もう少し声のボリュームを落として」
「あっ、すいません……」
咳払いし、水を1杯飲み干したサヤが続ける。
「あのメニュー、地獄なんですよ……!師匠*1が開発したみたいなんで、『それならぼくもやってやろう!』って気軽に始めたら……!!」
「始めたら、なに」
「ウォーミングアップで5km走らされました……!!」
「序盤の序盤でしょう。そこで音を上げるなんて、らしくない」
「モニカさんの言う『ぼくらしさ』ってなんなんですか!?」
目標に対する執念と、敬意を表するべき不断の努力。
魔女と魔法統括協会エージェント。その2つを追い求めながら勉学に励む姿を私は尊敬しているし、その努力の本質がサヤらしさだとも思う。
しかし、そのような自分勝手な感想を自分勝手に述べれば、自己と他人が持つ『
彼女に限ってそんなことはないと思うけれど、人に抱かれる期待というものは存外、自己の重荷となり得る。
不用意な言葉で、私は
「……いいえ、何も無い。ごめんなさい、サヤ」
「べ、別に謝らなくていいですよ!ぼくも大声出してごめんなさい……」
「けど、覚えておいて欲しい。私はサヤを良い人だと思うし、悪いように思っていない。
こうして私と食事をしてくれていることや、明るく話題を提唱してくれること。全部感謝している」
けれども。
言いたいことを飲み込んだ結果としてサヤの心を曇らせるのも違うと思い、口を突いて出たのは自分でも驚く程に陳腐で在り来りな感謝の言葉。
自分でも驚く程に頬が熱い。その熱さから逃げるように目を背けられたら、どれだけ楽なのだろうか。
が、目は逸らせない。否、逸らさない。
今のこの瞬間から目を背けたら、今の言葉が嘘になってしまいそうだったから。
だから私は言葉を続けた。
ありのままの自分の気持ちを、できるだけ早く、生きている内に。
そうしないと、きっと伝えられないまま終わってしまうから。
「あなたのおかげで、ご飯が美味しい。
──ありがとう、サヤ」
「も、モニカさん……!」
「……料理が冷める。早く食べて勉強しましょう」
「うえぇ……もう文字見たくないです……」
見た目より全く辛くなく、むしろ濃厚なシチューの味とケチャップライスのアクセントが絶妙に均衡を保ち、美味しさで舌が悲鳴を上げる。
それはサヤも同じようで──白米をもぐもぐと咀嚼しては飲み込み、詰まらせて麦茶を飲み干した。
その光景に今まで感じることのなかった『何か』を感じながら、私は目の前でもがき苦しむ親友に、お茶のおかわりを用意するのであった。
「じゃあ、私は戻るから。それ飲んで早く戻ってきて」
「えー!?なんでですかモニカさん!!時間いっぱいまで一緒にいましょうよ!!もうぼくモニカさんがいないとダメなんです!!モニカさんなしじゃ耐えられないんです!!」
「馬鹿なの?もう行くから、……
「あーっ!あーっ!!待ってください!ひとりにしないで!ぼくをひとりにしないでくださーい!!」
ほ、ほほほ……本編もちゃんと書きます。