わぁ、鳥!   作:ゆーり

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本当に照屋ちゃんがそこまで押せ押せかは分からないけど、わたしの脳内ではそうなっています。


第十一話「柿」

「ざーきーさん、あーそびーましょ」

 

「誰かと思ったら清志か。どうしたんだ? いきなり来るなんて珍しいな」

 

 ボーダーの頼れる隊員ランキングを作ったら優勝争いに絡むこと間違いなしの人格者であるザキさん。この人なら俺の悩みに答えを出してくれるはずだ。脳筋共は役に立たないし、他の頼れる人たちよりも適任のはず。

 

「実は相談したいことがあって来たんです。悩んでることがあるんですけど、どうしたらいいか分からなくて」

 

「……力にはなってやりたいが、俺で役に立てるのか? 少なくとも強さではお前に遠く及ばないし、負けてばかりだ」

 

 ザキさんこういうとこあるよなー。敵を倒せるかなんて、強さという指標のそのまた更に小さい区分けでしかない。人型も黒トリガーも俺が狩ればいいのである。大切なことは他にたくさんある。今の俺でもそれくらいのことは分かる。

 

「ザキさんじゃないとダメなんです。いきなりの頼みで本当に申し訳ないですけど、俺に力を貸してください」

 

「そ、そこまでのことなのか。だが、俺じゃないとダメって一体なんなんだ? そんな唯一性、俺にはないぞ?」

 

「いや、ありますよ。自分の部隊に女囲ってるのなんてザキさん位のはずです」

 

 オペレーターとか女性の隊員は他の部隊にもいるけど、自分のファン女性を手元に置くなんて大胆なことは誰もしていない。恐らくザキさんは勇者メンタルの持ち主だ。

 

「囲ってねーよ! 人聞きが悪すぎるだろうが! 大体誰のこと言ってるんだ」

 

「え? 文香ちゃんですけど。あれ? 本人に聞いてもそんなようなこと言ってたんだけどなぁ」

 

 支えたいとか、傍にいたいとか、私が一番よく見ているとかなんとか。『もしかして柿崎隊に入るつもりですか。許しませんよ』ってなんか威嚇もされたけど。別にザキさんのこと盗ったりしないのにね。俺の戦闘スタイルじゃザキさんに迷惑掛けるし、負担になるだけだろう。

 

「そんな事実はない。文香は俺にとって頼れるチームの一員てだけだ」

 

 ……よし、録音完了。ザキさんにこういう相談したいんだけどって文香ちゃんに言ったら、『代わりに私のことどう思ってるか聞いてきてください』って頼まれたんだよね。交渉する際の窓口に立たれてる時点で色々と大丈夫なのかと心配になる。

 

「で、女を囲ってない俺になにを相談したいんだ? やっぱり他のやつに聞いた方がいいんじゃないか」

 

「いえ、文香ちゃんの件が誤解でも友子ちゃんと堂々とバスケできるザキさんはやっぱり別格です。その女を落とす手管、尊敬してます」

 

「過去一で嫌な尊敬のされ方だよ! 誰も落としたことねーからな!」

 

 うっそだぁ。表だって主張してないだけでボーダー内にもまだまだ居ると思いますよ? 男女両方からの人気投票なら嵐山さん超えられるんじゃない?……ん?そうなるとこの人、もしかして俺の最大の敵か?

 

「ザキさん、今すぐ俺と摸擬戦してください。ボコボコにしてやる」

 

「なんでそうなるんだよ! 怖いからいきなり目の前でトリオン体に換装するな!」

 

 むぅ、ザキさんがハーレムを作ろうとすれば文香ちゃんが抑えるから大丈夫か?いやでもあの娘、普通に受け入れそうな度量の大きさを感じるんだよな。新人王を争っただけのことはある。

 

「はぁ。あのなぁ、全然本題に入れないじゃないか。なにか困ってたんじゃないのか?」

 

 おお、そうだった。ザキさんは敵ではない。俺に天啓を授けてくれる神なのだ。たぶんゼウスとかその辺りだろう。

 

「話が逸れてすみません。女の子が好むプレゼントと、お出掛けに誘う場所ってどこがいいか教えてほしいんです」

 

「……いや、そんなこと俺に聞かれても、正直たいした見識なんてないんだが」

 

 あ、そういう嘘はもういいんで。早く女の子の機嫌がベイルアウトの軌道並に上昇するアイテムとスポット教えてください。

 

「だから知らねぇって。そもそもなんでそんなこと……ああ、三上か」

 

 あれ、なんで分かるんです?

 

「お前が誰かの機嫌を取るだけならともかく、その案を他人に聞いてくるなんてそれしかないだろ。他のやつとの問題なら自力でなんとかしようとしたはずだ」

 

 ……そうなんだろうか。綾辻にも似たようなこと言われた気がするけど、いまいち実感がない。

 

「それにしてもプレゼントとデートスポットか。迅、嵐山、弓場、生駒、うーん全員得意分野じゃないんだよなぁ」

 

 デートじゃないですけどね。というか、その面子が得意じゃないってヤバない?モテる敷居が高すぎる。まぁ俺はモテるけど。

 

「モテるんならその辺は詳しいもんじゃないのか? ベタだけどスイーツを食べに行くとかどうだ。三上の好物にもよるが」

 

「食べ物ならとんこつラーメンと大福ですね。それにしようかな」

 

 中に入って大福を食べられるような店舗はないかもしれないけど、お持ち帰りで公園とかで食べればいっか。

 

「いや、とんこつラーメンはやめておけ。主に三上のために」

 

 え、好物なのにダメなの?美味しいよねラーメン。

 

「俺も詳しくないが、それがダメ寄りの選択だってのは分かる。いや、お前となら別にいいのかも知れないが俺には判断つかん」

 

 うーん難しい。でも百戦錬磨のザキさんが言うのならそれが正解のはずだ。

 

「百戦もしてねーよ。プレゼントは……お前が自分で選んだなら大抵はOKだろ。雑貨とかが無難だとは思うけどな」

 

 なるほど、これがモテ男の経験。これに俺のビジュアルが合わされば無敵では?勝ったなトリガーOFFしてくる。

 

「そういえばトリオン体に換装したままだったな。なんにしても力になれてよかったよ。上手く行くことを祈ってるから頑張れよ!」

 

 ほんまええ人やで。これは絶対に失敗することはできないな。俺も全力を尽くさないと。まずは何食べるか決めるのと和菓子屋のチェック。それからルートの確認、公園も見繕って任務のスケジュールも調整しないとな。

 

「ザキさん、本当にありがとうございます! 俺、本番で失敗しないようにこれから他の娘と試してきますね!」

 

「おう! 思いっきりやってこ……ん? 待て! いくな! 絶対やめろ!」

 

 うーん誰がいいかな。綾辻に通用すれば間違いないか? 木虎とかも評価厳しそうだから有りかもな。

 

「歌歩にも、ちゃんとザキさんに教えてもらったって伝えますからねー!」

 

「お前、本当は俺のこと陥れようとしてるだろ! 頼む戻って来てくれ! 俺はまだ死にたくねぇ!」




デート回とかは特にないです。
ザキさんの享年は既に判明しているので、なまはげが襲来しても世界の修正力によって生き延びるので大丈夫です。
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