わぁ、鳥!   作:ゆーり

15 / 29
生駒隊という圧倒的会話のしやすさと、関西弁という圧倒的文章の起こしにくさを両立した部隊。


第十五話「水」

「では『なぜ、俺たちはモテないのか対策会議』の開始をわたくし、清志が宣言いたします」

 

 はい、ぱちぱちどんどんぱふぱふ~。

 

「会議開始、了解」

 

 うむうむ。副会長のイコさんもやる気満々だ。これは今日の会議も有意義なものになりそうだ。

 

「ところで佐鳥は? あとなんで水上がおるん?」

 

 賢は溜まってる仕事があるらしくて、どうしても参加できないって言ってました。

 

「俺は急に清志に連れてこられたんですよ。イコさんこそ、時々二人と会うてたのはこの会議のためやったんですか」

 

水上さんはボーダーでも類まれな戦術眼の持ち主なので、賢の穴埋めとして来てもらいました。

 

「せやな。モテるための現状分析と市場調査して、対策とか考えてるんや」

 

 まぁ、まだ結果は出てないけど、それでも俺たちは着実にモテ道を歩んでいるはず。

 

「とりあえず、前回の会議のおさらいからにしましょう。生駒副会長、どうぞ」

 

「前回は絶対にやってはいけないNG行動の洗い出しやったな。人前でオナラをしない。汗を掻いたら着替える。セクハラはしないの三つや」

 

 うんうん。最初のは当然として、訓練すると汗を掻きがちだけど、ちゃんと清潔を心掛けないとね。セクハラは……なんで迅さんは許されるんだ?S級の特権か?ちくしょうめ。

 

「……君らは小学校の男子なの? モテるとかどうとか以前の問題やんそれ」

 

 水上特別会員、発言の際は挙手をしなさい。それに随分と隔意のある意見のようですが。

 

「ほんまやで水上。俺らが七回も会議してきた結果を小学生男児扱いやなんて、失礼やろ」

 

「七回もやってこんなレベルなん!? そっちこそ幼稚園から出直してこいや! 小学生男児に失礼やろ!」

 

 むぅ、ここまで言われると俺たちのプライドも傷付くというものだ。

 

「そこまで言うなら水上さんの案を聞いてみたいものですね。棋士を目指していたというその先読み力で俺たちの最善手を教えてください」

 

「……はぁ、アホくさいけどうちの隊長と遊んでくれてるんやもんな。ちょっと考えるから待っとき」

 

 別に遊んであげているわけではなくて、真剣に考えてるんですけどね。

 

「なぁ清志。俺ナスカレーが好きなんやけど、お前カレーのトッピングやったらなにがええと思う?」

 

「イカリング」

 

 それも一口サイズを薄い衣でカリッカリに揚げたやつがいいな。

 

「お~、ええなぁそれ。なんや俺、腹減ってきたわ。さっさと終わらせて食堂いこか」

 

 ですね。水上さんまだ時間掛りそう?

 

「君らねぇ。人に考えさせといてその言いぐさはどうなの?」

 

 すんませんした。ぜひ、俺たちに妙案をください。

 

「答え出たんやろ。勿体ぶらんと教えてや」

 

「あー、それなんですけどね。二人揃って頓死してましたわ。役に立たんで申し訳ない」

 

 頓死!?俺もイコさんもまだ高校生だぞ、詰むには早すぎんだろーが!ちゃんと考えたのか!

 

「こういうのは今までの積み重ねやからな。もう挽回不可能や」

 

「ちょっとイコさん。おたくの隊員、ア――ステ……ロイドッ!!とかクソの役にも立たない技を練習するより他にやることあるんじゃないですか?」

 

「役に立たんのはお前のサイドエフェクトがあるからやろが!! 他の相手には割と有効やからな!」

 

 近界民狩るのにも微妙だから俺的評価はあんまり高くないんだよなー。

 

「そもそも、さっきみたいな次元の低い話ならともかく、イコさんと清志じゃ全然タイプ違うやん。有効な策も違ってくるやろ」

 

 え?そうなの?俺もイコさんも賢も同じ属性だと思ってたのに。

 

「そんなことないやろ水上。俺も清志も嵐山とおんなじ爽やか男性アイドル型やん」

 

 ですよね?嵐山さんの後任と言えば俺かイコさんかってレベルですよね?

 

「どんだけ高く見とんねん! 烏滸がましいにも程があるわ! 分析以前に前提が間違っとるやろが!」

 

 うわ、水上さんめっちゃキレてる。そんなに違うかな……。

 

「ほいたら俺らはどんなタイプやねん。教えてや水上」

 

「イコさんは外見が硬派な漢タイプで中身がおもんない関西人。清志は口閉じて動かんかったら、エプロンとか読書が似合う優男やん」

 

 俺たちの中身どんだけ低く見積もられてんの!? あと、イコさんはちゃんと面白いだろ!

 

「水上、お前あとで旋空の試し切りな。でも、それやったらタイプは違ってもビジュアルは割といけてるって考えてええの?」

 

「試し切りは堪忍してください。まぁ、平均は超えとるんちゃいますか。相手の好みの問題もありますけど」

 

 なるほどー。確かに嵐山さんや京介ですら女性全員からラブコールされてるわけではない。でもそれだと……。

 

「あの、水上さん。じゃあハーレムってどうやって作ればいいんですか?」

 

「……清志。現実を見るんや。お前はやれば出来る子や。夢想を追いかけるんやなくて、一歩一歩、現実を歩いていこうな?」

 

 ガチで説得し始めるのやめてよ!ちょっとは夢見たっていいじゃないか、男の憧れだろ!

 

「現実……。顔良し、頭良し、戦闘良し、金普通、家なし、家族……なし。うっ、ぐすん」

 

「水上なに泣かしてんの!? お前言っていいことと悪いことがあるやろ!」

 

 うぅ、皆なんで俺を置いて逝っちゃったんだよぉ。もっと一緒にいたかったよぉ……。

 

「これ俺がアカンやつですか!? すまん清志、大丈夫や! お前なら女の十や二十、楽勝やって!」

 

 ……いけない。どうにも家族のことを思い出すと泣いてしまう。

 

「ぐすん、そうですよね……俺はこの物語の主人公ですもんね。楽勝ですよね」

 

 誰もが自分の物語の主人公って考え方、好きなんだよね。昔の少女漫画の受け売りだけど。

 

「……君、やっぱり根が図太いよね。なかなか自分を主人公って言えんで?」

 

「そのくらいの気持ちで生きてたほうが人生よくなるってことですよ。あー、泣いたらほんとにお腹空いてきちゃいました。食堂行きましょうか」

 

 完全にカレー食べるお腹になってるよ。

 

「別に構わんけど、このぐだぐだした会議はどうやって締めるんや」

 

「俺と清志のタイプが違うことが分かったから、それぞれのタイプのモテ男に技を伝授してもらうとかどうや?」

 

 おおー、ナイスアイディア。じゃあ、聞きに行く相手は……。

 

「「ニノさんか」」

 

「……こら、先は長そうやな」

 




竹尾 清志PROFILE9
儚さを感じさせる優しく穏やかな風貌。
言動がアレなので会って秒でイメージが崩れる。

入隊時期は東さん達と同じ新ボーダー最古参。
根付さんに『こいつも広報部隊いけるな』と思われていたが、城戸司令と目力勝負できるヤバい奴状態だったので断念した。
中学卒業~高校入学頃にはバーサクも解けていたのでザキさんの後任として嵐山隊に入れる案も浮上したが、バーサーカーの中身がバカだったのでご破算になった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。