わぁ、鳥!   作:ゆーり

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射手の王とタイマンだと200文字もたなかったので頼れる隊員たちに来てもらいました。


第十六話「ニノ」

「たのもー!!」

 

「きゃあ! ノックもせずにいきなり大声で入ってくるんじゃないわよ! あんた今、うちの隊室に出禁でしょ!」

 

 うるせー!!今日はひゃみちゃんに用はない!ニノさんを出せ!

 

「あ、清志くんじゃん。からしショック以来だね、いらっしゃい」

 

 どうも澄さん!お邪魔します。

 

「だすわけないでしょ! 隊室のからしの臭いが取れるのに時間かかったんだからね! また歌歩ちゃんに言いつけるわよ!」

 

 くそっ!すぐにチクりやがって!A級部隊として恥ずかしくないのか!

 

「完全に粗相をしたペットを連れ戻す飼い主だったもんねー。いやー笑わせてもらったよ」

 

 なんも面白くないですよ。あの状態の歌歩、本当に目が怖いんですからね。

 

「首根っこ掴まれて本部を引き摺り回されてるのに、なぜ周りは生温い目で見てるだけなのか。助けてよ」

 

「あはは、誰も馬に蹴られたくないからね。動物園のショーとして見るのがちょうどいいんだよ」

 

 ショー!?虐待の間違いでしょ!

 

「躾がなってないから仕方ないでしょ。嫌ならもう少し大人しくすることね」

 

「京介に氷見は冷たいS女だって伝えとこ」

 

「やめなさいって言ってるでしょ! ぶん殴るわよ!」

 

 おー、こわいこわい。京介が変な女に引っかからないか心配だよ。ボーダーは面倒見の良い人ばっかりだからその点は安心だな。

 

「お前達、さっきからやかましいぞ……清志か、何の用だ」

 

 お、やっと悪の総大将のお出ましである。

 

「まったく悪びれた様子がないですね。俺が一日で正露〇と親友になる非常事態に陥れた癖に」

 

「お前の運がなかっただけだろう。リスクを考えて引く手もあった。進んだのはお前の意思だ」

 

 リスクあるって教えなかっただろうが!

 

「……はぁ。それで何の用なんだ」

 

 そうだった。今日ここに来た目的はニノさんへの復讐ではない。

 

「ニノさん、どうすればモテるようになるか教えて」

 

 京介もだけど、そんなに口数が多いわけじゃないし、年齢や所属を考えると付き合いが深い人も限られるだろうにモテる。なんとなく、どこがモテてるのか予想は付くが本人に確認を取るのも大事だ。

 

「バカ話なんてせずに寡黙に行動で示す。何かあっても涼しげな顔でクールな態度を崩さない。どれもあんたには無理でしょ」

 

「あー、清志くん、任務中はまんまそれだけど、俺はアレ好きじゃないから常時そうなってはほしくないかなー」

 

 相変わらず氷見は俺のこと好き勝手言いやがる。澄さん、有難いですが俺の青春がかかってるんですよ。それにしても……。

 

「はぁ、ひゃみちゃんはニノさんのことなんもわかってねーな。よくそれで二宮隊のオペレーター名乗れるよね」

 

 困ったもんである。表面を見てるだけじゃいかんよ君。

 

「はぁっ!? あたしが何をわかってないっていうのよ!」

 

「ニノさんのカッコいいところをだよ! まだ大学生なのに、スリーピーススーツにポケインして走りながらおしゃれロイドをぶちかます。これが一番のポイントだろぉ!」

 

「…………」

 

 クールかどうかなんて二の次なんだよ!ニノさんだけに!なぁ、君もそう思うだろ、さっきから気配消してる辻ちゃん!

 

「清志、巻き込み事故はやめてって前に言ったよね? ノーコメントで」

 

 そこは自分のとこの隊長の良さを熱弁するところだろ! そういうとこだぞ二宮隊!

 

「しょうがない。二宮隊長のカッコいいところ談義は後で鳩原さんが帰って来てからにしよう」

 

「やめろ。……清志、どうすればモテるかだったな。いいだろう、そこに座れ」

 

 おお!マジかよ。興味ないとか言って逃げるかと思ったのに教えてくれるの?

 

「なんか、面白いことになってきたねー。飲み物用意しよっと」

 

「俺がコーヒー淹れてきますよ」

 

 おいおい、なに見学モードになってんだよ。俺がここまで漕ぎ着けたんだぞ。君たちからも受講料取るよ?

 

「清志、モテると言っても二つのパターンがある。ありのままの自分が好かれている場合と、アイドル的なイメージが先行している憧れの意味合いが強い場合だ。嵐山や烏丸、俺も方向性は違えどモテているとすれば後者になる」

 

 ……な、なるほど。あれ、これかなりガチな話か。

 

「お前も事情が複雑だが、周りからは後者に見られている。つまり、ガワが評価されていて、必ずしも本質が見られているわけではないということだ。俺たちと同じ分類をされているのになぜモテないのか。それは、お前が押しつけがましいからだ」

 

 …………!!

 

「あの、ひゃみさん、これって……」

 

「ええ、モテ講座に見せかけた説教ね。ざまぁないわ」

 

「嘘や取り繕いをしないお前を好ましく思う者も多いだろうが、お前の告白には相手への興味しかない。相手からどう思われるか、あるいは自分を好いてほしいという視点が欠落している」

 

 ………………………………はい。

 

「モテたいと思うのは構わんが、まずは周りにしっかりと目を向けることだ。こうは言ったが、今の時点でもお前のことを好いている者はいる。まずはそれを自覚しろ」

 

 今の俺を好いてくれている人。それってまさか……。

 

「ひゃみちゃん?」

 

「んなわけないでしょ。目、節穴なの?」

 

 おい!もうちょっと言葉を選べ!そこは嘘でも悪くないくらい言って俺を慰めろよ!

 

「どうせ私は冷たいS女ですので」

 

 ……ぐっ。俺が言いすぎた、ごめんよ。

 

「いやー、気にすることないよ清志くん。ひゃみちゃん、何気に自分には告白してきたことがないの気にして当たりが強いだけだから」

 

 え?そうなの?

 

「ちょっ、なに言ってるんですか犬飼先輩!」

 

 ふぅ、ごめんよ氷見。まさかそんなことを気にしているなんて、思ってもみなかったんだ。ちょっと今から時間、いいかな?

 

「うっさい! 近づいてくるな! さっきの説教で全然反省してないじゃない!」

 

「二宮さん、先輩。コーヒーのお代わりいります?」

 

「たのむ」

 

 いや反省したよ?相手がどう思ってるか考えるんでしょ。氷見は自分が告白されてなくて、他の娘より自分に魅力がないんじゃないかと考えてるはずだ。だから俺がちゃんと告白して、そんなことはないって証明しないとね。告白の成否は問題ではない。

 

「ふっ、少しは分かってきたようだな」

 

「……え? 二宮さん、あの解釈で合ってるんですか?」

 

「ちょっと嘘でしょ。こんな流れで告白されても全然嬉しくないから!」

 

 ふむ、シチュエーションというやつだな。綾辻によると放課後の教室はかなり有りらしいが、そうなると任務終わりの帰り道、家に送りながらとかどうだろうか?

 

「たのもぉー!!」

 

 あ、イコさん。

 

「ニノさん、俺にモテる方法おしえて」

 

「え? なにこれ、流行ってるの?」

 

「…………はぁー。いいだろう。生駒、そこに座れ」

 

 ごめんイコさん。今はちょっとタイミングが悪かったかも……。




宇佐美でも攻略できてない辻ちゃんを落としていることから、ひゃみさんは慈愛の女神だと考えられる。
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