ちょうど書きかけがあったからそのついでなんです……。
「遂に、この戦いに終止符を打つ時がきた」
「次で五回目だったか? 最近は綾辻もなんだか楽しんでいるし、いい気分転換になってるようで良かったよ。けど、任務には支障のないようにな?」
嵐山さんて、その辺り割と融通効きますよね。それにしても綾辻は何を楽しんでいるんだろうか。告白されるのなんて慣れてるだろうに。告白にバリエーション持たせてるからかな。俺も成長したものだ。
「成長なのかは微妙に疑問ですね。公園で懸垂しながら告白されて、さすがにどんな顔をすればいいのか分からなかったって言ってましたよ」
昔のラブコメを参考にしたんだけどなー。あっちでは大成功だったのに。
「真顔で余裕の高速懸垂だったそうじゃないですか。その辺りはやっぱりまだバカなんですね」
……ん?いまの聞き間違いだよね?充にバカって言われるの、男だと京介の次くらいに辛いんだけど。
「ええ、気のせいですよ。あまり素直に応援はできませんが、頑張ってくださいね」
だよな、聞き間違いでよかった。それにしても素直に応援できないって、まさか充も綾辻のことが……?
「……そうだったのか。気付かなくてすまない。俺は身を引くから、二人で幸せにな?」
「それはただの勘違いなので僕に気を遣う必要はありませんよ」
そうなの?あ、でも充というか嵐山隊の好きな女性のタイプって気になるなー。ちょっとカメラの前では言えないこと赤裸々に語ってもらえるかな?
「綾辻さんへの告白の内容を考えるという話だったのでは?」
そうなんだけど、仲間のことを知るのも大切だろ?さぁ、隠し事はなしでな。どっちから行こうか。
「とりあえず隊長の嵐山さん。どぎつい性癖曝け出してもいいですよ? ずっとヒーローやってるのも疲れるでしょ」
「いや、そんな特殊性癖の持ち合わせはないぞ……。やっぱり元気で家庭的で性格の良い娘、かなぁ」
ふぅむ、ヒーローというのは好みのタイプまでヒーローっぽいのか?巷では尻とタッパのデカい女が流行ってるらしいですよ?
「全く聞かない流行ですね。どこの巷ですか?」
さぁ、俺もよく知らんけど。ボーダーだと誰だろうな。熊谷か藤丸さんか?そりゃあ流行るでしょうね。
「取りあえず性格的な要素は一旦置いてさ。充はどんな見た目の女性が好き?」
「そうですね。僕も家庭的な娘が良いと思ってます。性格は……元気な人も、大人しい人も好ましいですが」
見た目の好みを語れって言ったよね?なにナチュラルにスルーしてんの?充みたいな良識派に舐め腐られてるとかショックなんだけど。
「ははは、充や木虎もだが冗談を言う相手なんてほとんどいないぞ! それだけ清志と打ち解けてるってことだ。俺も隊長として隊員との親密度では負けてられないな!」
嵐山さんが本気で好感度稼いで落しに掛かったら、無双ゲーの拠点みたいなあっさり具合になるので座っててください。
「完全にただのお喋りなってますね。……もしかして告白の内容は既に決まってたりします?」
「さすがはボーダーでも指折りの気遣いマンだな。ふふ、実は策はあるのさ。後は綾辻のことを良く知っている嵐山隊に評価してもらって改良すれば勝利は確実だろう」
「へぇ、ちなみにどんなのを考えてるんだ?」
「ええ、告白にはシチュエーションが大事らしいんです。ポイントは非日常的、周りが静か、落ち着ける場所だと言うことです」
昼の食堂、放課後の教室、体育館裏、下校中と色々試したが、煩くて周りに人が多い場所はあんまり良くないみたいだ。
「聞いている限りおかしなことはないな。俺も誰かに告白するならそういう条件で選ぶと思う」
「ええ、学校の食堂で料理の匂いブーストさせるのも悪くはなかったんですが、昼休みだと少し煩かったですね」
「学生の選ぶ告白のシチュエーションとしては相当特殊だと思いますよ。それ」
らしいね。特別感もあって良さそうな気もしてるんだけど、女性陣からの受けは非常に悪いというか論外だそうだ。
「それで、今回も場所を考えているんだろう? どこにしたんだ」
「はい。非日常的で落ち着けて人がおらず静かな場所……夜に俺の部屋に呼びます」
全ての条件を満たした完璧な回答だろう。
「絶対にやめてくださいね。成否に関係なく多数の被害が出ますので」
え!?そんな速攻でダメだしされるの。ちゃんとお菓子とお茶も用意するよ?
「まるで子供のお泊り会だな。いや、お泊り会されると上層部も含めてシャレにならないからNGだけどな」
そ、そんな。いったい何がダメだっていうんですか。ちゃんと理由を教えてください!
「木虎との一件で公序良俗を学んだんじゃなかったんですか? それと同じですよ」
いや、夜間に長時間の拘束はしないぞ? もちろん安全のために返事がどっちでもちゃんと家まで送っていく。
「なるほど、そっちがダメだったと判断したのか。清志は性癖の概念は知ってても性欲はいまいちよく理解してないからなぁ……」
「小さい男児が女性に興味持ったり、下ネタで喜んでるようなレベルですからね。これも特段深い意味はないんでしょうけど」
きみたち、人の目の前で内緒話しちゃいけないって習わなかった?
「清志、なぜダメなのかは城戸司令か忍田さんから伝えてもらうようにしよう。だが、流石に綾辻を夜部屋に誘っても来てくれないだろうから、別の方法を考えたほうがいい」
そうなんだ。一緒に下校するのは普通にOKしてくれたから二人で居るのは別に大丈夫そうだったけど。綾辻は綺麗好きだし、男の一人暮らしの部屋なんて汚いと思われているからだろうか。
「まさか前提条件から崩れるなんて……。その後のプランもあったのに」
飲食物以外にもいろいろと用意してたんだけどな。
「念のため最後まで聞いておこうか。他にもマズい点があるかもしれないし、事前に止めたほうがいいだろう。その後はどうする予定だったんだ?」
「はい、部屋の照明を落としてムードのある映画を一緒に見ながら告白しようかと」
何本かレンタルしたんだけど無駄になっちゃうな。
「かなり危ない橋を渡ろうとしていますね。いや、初手の時点で大幅にアウトなんですけど。どんな映画にしたんです?」
「平成の特撮怪獣ものとか、スーパー五歳児が活躍する映画とか……」
昔、家族でよく見ていたが大盛り上がりだった。ムードもあげあげだろう。
「……男の子のテンションが上がる作品をムードが良いとは表現しないと思いますよ。というかそれは本当に子供のお泊り会では?」
うぅ、やっぱりダメなんだな。ちょっと一から練り直してくるよ。
「それがいいと思います。あと、実行する前に必ず誰かに相談してくださいね? かなり心配になってきました」
手の掛かる先輩でごめんよ充。
「お気になさらず。心配なのは本当ですが、この時間自体は僕も楽しんでますので」
「しかし、折角用意したものを無駄にしてしまうのは勿体ないな。うん、今度の土日はスケジュール的にも問題なさそうだ。いいよな充?」
なんかまた二人で話し始めた。あ、お菓子いるなら持ってきますよ。仕事中のおやつにでもしてください。
「いや、それは清志の部屋で食べよう。賢も誘って、土曜の夜は男四人で映画観賞会だ!」
めっちゃ盛り上がったし、楽しかったです。
清志の後見人は城戸司令。ダメな理由をなんて説明したんでしょうね。