真面目モードの清志を描写しようかと思ったけど、本作はコメディなので自重。
相方が小南という状況に混乱してるということでご理解ください。
「小南、次はどこだ?」
『右上、距離四百。数は十七よ。さっさと潰してきなさい』
……右上?飛行型トリオン兵がいるの?
「右上ってなんだよ! 空見ても何もいねーぞ。ちゃんとオペレートしろよ!」
『あーっ、もう! 右上は右上よ! 北を向いてから四十五度くらい体を右に向けるの! こんなことも分からないなんてバカなの?』
……オペレーターの有難さをここまで実感できる日が来るとは思わなかった。今度、皆に菓子折り持って行こう。
「だいたい急にどうしたんだよ。小南がオペレーターなんて戦力の無駄使いじゃん。本気で転向するつもりがあるわけでもないだろ?」
防衛任務の予定見たら俺と小南のツーマンセルじゃなくてオペレーターなんだもん。沢村さんに問い合わせちゃったよ。
『バレそうなの』
「ん? すまん、よく聞こえなかった。あ、十七体撃破確認。次の門が開くまで待機する」
『学校の子たちに、あたしが戦闘員で攻撃手だってバレそうになってるの! ごまかすために、少しはオペレーターらしいことをできるようにする必要があるのよ!』
くだらねー理由だなぁ。体育の授業で異常な運動神経でも見せつけちゃったのか?
「別にバレたっていいだろ。敵と戦って街の平和と人の生活を守ってんだ、立派なことだろ。胸張って堂々としてろよ」
『ダメよ! あたし、学校ではお嬢様なの。お淑やかで清楚で可憐で儚い感じなの! 斧で怪物を叩き斬る蛮族じゃないのよ!』
誰も蛮族とは思ってねーだろ。戦闘中は儚さなんて欠片もないワイルドな男前だとは思うけど。
「そもそも学校ってあれだろ。玲ちゃんとかも通ってるとこ。"ボーダー"で通ってるのほぼ武闘派じゃん。お前だけ清楚とか逆に浮くだろ」
俺はあそこアマゾネス養成学校だと思ってたんだけど、お嬢様として振る舞う必要あるのか。
『あんたは女ってものを何も分かってないわ。登校することが稀な玲ちゃんはともかく、他の娘たちは全員化けるわよ。それはもう別人みたいにね。"ボーダー"とはまた違った戦いがあそこにはあるのよ』
……こわぁ。周りの女の子たちのことも信じられなくなりそうだからやめてよ。
『公衆の面前で告白したり、大声で喧嘩したり、そういうバカさを学校で出せるのが羨ましくなることもあるわね。門の反応検知。左のほうに二百。数は八よ。一分で片付けなさい』
三十秒あればじゅうぶん……、いやごめん。『左のほう』ってなに? 二百メートルなら門を視認できるからいいけどさ。
『そうよ、最短最速でやりなさい。それがあたしのオペレート評価に直結するんだから。手抜いたら双月食らわすからね』
前は口が悪くても手は出ない娘だったのに、最近はすぐ斧を連結させるようになっちゃって。仲良くなれた半面、あの優しい小南はもういないのかと思うと悲しいね。
「八体撃破確認。次の門が開くまで待機する。……ところで、何で俺なのよ。京介は一人じゃ出撃できないけど、玉狛にはパーフェクト筋肉と予知予知歩きがいるだろ。そっちに頼めよ」
『レイジさんは面の制圧力は最強レベルだけど、機動力はそこそこよ。複数箇所に同時出現されたとき、オペがへっぽこのあたしだと対応が遅れる可能性があるわ。迅は未来視でオペより先に動き出すから練習にならないし、論外よ』
へっぽこオペの自覚あるなら諦めろよ。広報部とか事務員設定にしとけば良かったのに。
『うっさいわねぇ。その点、あんたは機動力があってバイパーも使えるから方角と距離を伝えればいいだけだもの。楽勝ね』
「いや、距離はともかく方角は全然伝えられてないからね? お前は頭悪くないんだし、地図が読めないわけじゃないだろ。ちゃんと伝えろよ」
『モニター見ながら情報処理しつつ喋れとか言われても頭の中がワチャるのよ。あたし、現場で暴れるのが仕事だから』
オペレーターたちの優秀さが実感できるな。これなら俺がオペレートして小南が狩ったほうがいくらか形にはなりそうだ。
『ていうか色々と考えながら喋ると舌噛むわね。トリオン体になっておいて正解だったわ』
あの緑色状態でオペレートしてるのか。……それキーボードちゃんと打てるのか?
『雰囲気でカタカタやってるだけよ。エンターキーを勢いよく押すのが楽しいわね。これがオペレーターの醍醐味なのかしら』
ッターン!するのが楽しいのは否定しないが、そんなこと思ってオペしてるのは一人もいないと思うぞ。
「玉狛の二人がダメなのは分かったけど、他のA級部隊でもよかったじゃん。太刀川隊とか」
『太刀川に借りは作りたくないし、他の部隊だと迷惑掛けちゃうでしょ。あんたなら気兼ねもいらないし、今までの借りを返してもらう意味で迷惑掛け放題よ』
俺しってる。これツンデレってやつで本当は俺に構ってほしいんでしょ。やっぱ小南は俺のことが好きなんだなぁ。
『はぁ!? べ、別にあんたのことなんて好きじゃないから! 勘違いしないでよね!』
すげぇ。前に笹森から借りた漫画のツンデレと全く同じセリフだ。
「小南はツンデレ、了解」
『誰がツンデレよ! あたしは常に余裕な態度を崩さない大人の女よ!……門の反応検知。距離は下に六百。数は五』
はいはい、南方向ね。
「そういえば今日って本来は誰にオペ頼んでたんだっけ。歌歩じゃないのは覚えてるけど、後で謝っておかないとな」
どのタイミングで小南がねじ込んだのか知らないが、任務の予定入れさせた本人が連絡しないのもね。
『歌歩ちゃんから臨時オペを横取りする勇気はないわよ。予定ではオサノだったけど、気にしなくていいわ。ちょっと前にあげたものが対価の代わりでいいって言ってもらえたから』
ふーん、ということは割と高価な物だったのかな?
「役に立たないオペレートで迷惑掛けてる俺にはくれないのか? 今日は数も頻度も少ないから問題になってないけど、かなりダメダメだからな? 五体撃破確認。次の門が開くまで待機する」
『オペについてはまぁまぁ悪いと思ってるわ。けど、アレをあんたに渡しても意味ないし……。今度、あたし特性のチキンカレーをご馳走してあげるから玉狛に来なさい。それでチャラよ』
小南の手料理か、それは楽しみだな。ところで小佐野には何を渡したの?
『しつこいわね。飴よ。なんの効果もないただの美味しい飴だったわ』
飴に美味しい以外の効能を求めるやつっているの? のど飴とか塩飴だったのか?
『……ちょっと美容というか、体にいい影響があるって触れ込みの飴だったのよ。嘘っぱちだったから忘れなさい』
小佐野で飴で美容……?もしかして。
「胸が大きくなるってやつか? 飴玉にそんな効果があるなんてすごいよな。ノーベル賞ものの発明品じゃないか?」
『なんで知ってんのよ!? それに効果はなかったって言ってるでしょ!』
小佐野が最近よく棒を咥えてるから、なんなのか聞いたら『もらった飴舐めてたら胸大きくなったわ、いえーい』って言ってたけど。
『嘘でしょ。だってあたしには、一切なんの効果も……』
……あれって誰にでも効果あるわけじゃないんだ。歌歩にプレゼントしなくて正解だったな。
「気にすんなって。胸なんて関係なく小南は可愛いよ。それに、あっても戦闘には邪魔なだけじゃん」
『……ありがと。たしかにそうなんだけどね。うぅ、欲しいものは欲しいのよ!』
あんまり視線誘導されっぱなしで下向いてると首が痛いから、控えめな女の子も居てくれていいのに。
『あんた、今すごい数の女性と歌歩ちゃんに喧嘩売ったからね、後で叩き潰すから覚悟しておきなさい』
……前は大きいほうが夢詰め込めるって言ったらキレられたんだけど、この話題ってどう答えるのが正解なんだろう。またニノさんに相談にいこうかな。
話が山も谷も落ちもない、やや寸胴体型になってるのをなんとかしたい今日この頃。
こなせん(小南):
最近まで清志と仲が良くなかったガールだが、特性『鵜呑み』が発動したので一気に距離が近くなった。なまはげの警戒度は一気に跳ね上がった。一話時点だと、清志の玉狛入りを絶対NGと断る程度に嫌いだったが、今話時点だと『しょうがないわね、私は最古参の先輩だし面倒見てあげるわ!』ってOKだす。チョロカワ。声の影響でツンデレなのか判断に迷っているが、メガネ君への態度はツンデレに含めてもいいのだろうか?
ちなみに清志の臨時オペは割と人気がある。理由は稼ぎがいいから(歩合報酬4(清志):6(オペ)で分配)。本人的には自分は固定給あるし、オペに迷惑料払ってるつもり。オペ側としては戦闘中はバカなことしないし、出現地点さえ伝えれば速攻で狩るので楽な仕事で済む(SEの処理に手を出さなければ)