わぁ、鳥!   作:ゆーり

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迅さんの誕生日(4月9日)に間に合わなかったのは社会が悪い。
バカと迅さんがこんな会話をできる関係になるのは終話以降だけど、記念投稿なのでヨシッ!


第二十六話「悠」

「清志、今日は部屋から出るんじゃないぞ。たまには大人しくして、ゆっくり体を休めるんだ。いいな?」

 

 迅さん、朝早くから部屋に来たと思ったらなに言ってるんですか。まだ六時なのに、わざわざ玉狛支部から来たの?

 

「今日の行動如何によって、お前に危険が迫る未来が見えた。悪いことは言わないから部屋にいろ」

 

 俺に危険って、まさか"近界民"の侵攻?だとしたら、じっとしてるわけにはいかないですよ。

 

「いや"近界民"は関係ない。街も人も平和だ。最悪の未来以外は危険なのお前だけ」

 

 なにそれ。俺にピンポイントで隕石でも落ちてくるの?もう少しはっきり言ってくれませんかね。

 

「言えたら苦労しねぇよ! たまには素直に俺の言うことも聞け!」

 

 うーん、今日はムカつく感じの後ろめたい目をしてないから聞いてあげてもいいんだけど、既に予定が入ってるんだよなぁ。

 

「その予定、俺に全部言ってみろ……!」

 

 えーっと、午前中は那須隊のみんな(志岐除く)とバスケするからついでに三人に告白して、午後は京介に会いに玉狛に行くからゆりさんに告白。夕方からの防衛任務は臨時オペを柚宇さんに頼んでるから、任務終了後に一緒にご飯を食べてから告白ですね。

 

「どうしてそんな自殺行為な予定を立てたんだ! ちゃんと誰かに相談したのか!」

 

 なんで怒ってんの。一日にこんな回数告白するのは初めてだけど、凝った内容にはせずシンプルにいくから大丈夫ですよ。

 

「そういう問題じゃないんだよ。もし誰かからOKでたらどうするんだ。まぁ、そんな未来は欠片も見えないし、あっても阻止するけどな!」

 

 は?なに勝手に未来視て決めつけてんだよ。俺はそれ越えていくからね?

 

「いいか清志、この後のスケジュールは全て三上ちゃんに筒抜けだ。なんなら最近の予定が全部筒抜けだ。ただでさえ女の子をとっかえひっかえするようなスケジュールに三上ちゃんの機嫌が地の底を這っている。しかも会う全員に告白するなんて、機嫌がマントルに到達して爆発してしまうんだ」

 

 歌歩の機嫌は採掘用ドリルでも付いてるんですか。前から不思議だったんですけど、なんで機嫌悪くなるんですかね。

 

「お前まだそんなことも分かってなかったの!?」

 

 直接聞いてみたけど、教えてくれなかったんだもん。

 

「この鈍チン野郎がッ!」

 

 聞き捨てならんな。上位の万能手である俺の五感は鋭いし、各種神経も良好ですよ。

 

「……例えばの話だ。三上がお前以外の男に告白したり、誰かと男女交際してると嫌な気分になるだろう?」

 

 別にいけないことじゃないし、俺がどうこう口を挟む問題じゃ…………なんか、想像すると胸がもやもやしますね。

 

「そうだろう。それこそ京介に盗られたりしたら、以降の付き合い方にも悩むだろ」

 

 あ、京介ならなんの問題もないですね。あいつなら間違いなく歌歩を幸せにしてくれるし、お似合いだと思います。

 

「ちくしょう、大事なとこで選択肢読み間違えた! ……あー、ほら唯我とか」

 

 実家が太いのは悪いことじゃないと思いますけどね。人格面も歌歩なら一週間もあれば矯正するでしょ。

 

「えぇ……アイツもOKラインなのか? 判定緩いなぁ。じゃあ、俺がもらってもいい?」

 

 調子に乗るなよ迅、潰すぞ。

 

「俺はダメなのかよ! 唯我以下はちょっとショックなんだけど」

 

 唯我は怒らない相手を選んで尻触ったりしないと思いますよ?

 

「それを言われると弱いな。あ、俺も最近はあんまり触らないぞ。なんでか反撃が未来視で読めなくて、ベイルアウトさせられるんだよなぁ」

 

 わかるわかる。俺のサイドエフェクトも反応が薄いし、攻撃も早すぎて避けられないんだよね。感知できたのに直撃余裕でした。

 

「まぁそんなわけだから、今日は部屋にいること。分かってくれたな?」

 

 いや全く分かりませんけど。歌歩の機嫌を悪くしたいわけじゃないけど、"ボーダー"の仲間と遊ぶのをダメと言われてもなぁ。

 

「うん、全然未来が変わってないから気付いてたけどな。はぁ……、いいだろう。どうしても行くというのなら、俺を倒してからいけ」

 

 なんでやねん。……おい、いきなり人の部屋で風刃を起動するなよ。

 

「俺を潰すんだろ。やってみろ」

 

 なにそれっぽくカッコいいこと言ってんだよ。狭い部屋で入口を塞いだ位置からの風刃は卑怯だろ。こんなことに師匠の形見を使うなんて怒られるぞ。

 

「最上さんはこのくらいじゃ怒らないよ。むしろ、これで"ボーダー"同士のケンカが収まるなら喜んでくれるさ」

 

 迅さんの師匠もたいぶ判定緩いな。というか、俺の今日の予定で"ボーダー"同士のケンカになるのか?おかしくない?

 

「一番最悪の未来では、本部による玉狛壊滅作戦が始動するからな」

 

 俺が女の子と遊んで告白するのが、どうして支部の壊滅作戦に繋がるんだよ。さすがに城戸さんが命令しても隊員が着いてこないだろ。

 

「お前をダシにあることないこと吹き込んで玉狛を悪者扱いすれば、動くやつもいるんだよ。うちは思想的に弁解が難しいところもある」

 

 えぇ……そんなやつ居ないだろ。いや、俺はモテるから女の子たちが立ち上がってくれるかも。

 

「振られた回数のレコード保持者がなに言ってんだか」

 

 い、一度でも成功すればそれでチャラだから……。

 

「成功されると、こっちはシャレにならないんだよ」

 

 俺の人間関係と迅さんになんの関係があるのやら。しょうがないな、この特売してた大容量ぼんち揚げをプレゼントしますから、これで帰ってください。

 

「生憎と実力派エリートなもんでね。箱詰めされたのをダース単位で買い置きしてるからいらない。それに、俺はぼんち揚げは貰うより与える派だ」

 

 めんどくさいなぁ。なにが悪いのかよく分からないし。……もしかして歌歩は仲間はずれにされていると感じてるのか?それなら、歌歩も誘って行くようにしますよ。邪魔者扱いするような人はいないから飛び入りでも大丈夫でしょ。

 

「んん? おお、これは有りだな。そのプランでいこう。バスケだけじゃなくて、玉狛にも一緒に来いよ。ぼんち揚げをお土産に持たせてやるからな」

 

 いや、俺もこの特売ぼんち揚げがあるからいらないんですけど。まぁ、出掛けられるならなんでもいいや。これで要件は終わりですよね。歌歩の家にも寄らなきゃいけなくなったんで、そろそろ出掛ける準備始めたいんですけど。

 

「ああ、俺は退散することにするよ。どうしようか悩んで徹夜してたから、眠くてな」

 

 こんなことのために徹夜したのかよ。さっさと帰ってゆっくり休んでください。

 

「あ、そうだ。この話とは全然関係ないんだけど、一つだけいいか?」

 

 手短に済ませてくださいね。

 

 

 

 

 

「お前さ、俺の代わりに風刃持つ気ない?」




迅さん:
バカへの対応が激甘4号。バカは思考回路がお子様のため、平気で確率の低い未来を選ぶので日々暗躍(フォロー)している。二年くらい前、風刃の使い手を決める際は清志と激戦を繰り広げた。バカをダシにあることないこと吹き込まれると、ノンポリ派が微妙に城戸派に寄る程度の影響力はある。

みかみか:
この後『なんでいつも誘ってくるのが唐突なんだろう、しっかり準備したいから前もって言ってよ』と、にやにやしながら着ていく服を選びだした。
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