名前の呼び方と一年前の部隊編成・ランク戦順位についてはBBF②の発売が待たれる。
作中は土曜日の朝です。時間ができたのは木虎が足腰立たなくなったから。
「あ、竹尾せんぱ~い! おはようございます!」
思いがけず時間ができてしまったので久しぶりに個人ランク戦でもしようかと本部を歩いていると、とても元気のよい挨拶が聞こえてきた。
「おう、おはようドゥワワリエル。今日も元気そうでなによりだ」
「ドゥワワリエルって私のことですか!?」
日浦が何だそれ!?って顔でどぅわわってる。なんかこういう反応されるの逆に新鮮だなぁ。最近はどいつもこいつも呆れたような顔するか、般若みたいな顔でベイルアウトさせてくることが増えた。俺はそういうのイカンと思います。きっと荒んだ労働環境が人を暴力的にしてしまっているのだろう。隊員たちが心の潤いを保てるような策が必要だと上層部に掛けあう必要があるかもしれない。
「ドゥワワリエルはな、三門市に降臨してきた天使の名前だ。帽子集めが趣味で二つに括った髪型が愛らしいんだ。きっとキューピッド的な役割の天使だったんだろうな。下界に降りてきてからは狙撃手をやってるよ」
「て、天使? えへへ、そんな風に言われると照れちゃいますね」
はい可愛い。日浦がいれば心の潤い問題も解決だな。那須隊で占有せず共有財産にすべきだろ。俺とはキュートな愛されキャラという点で類ともなので今後も仲良くしていきたい。……木虎に言ったら鼻で笑われたが。なぜ同い年でこうも可愛げに差が出るのか。まぁ、俺は平和的平等主義者なので木虎もしっかりと可愛がってあげている。次の連休もスコーピオンで俺から一本取るまで家には帰らせない予定だ。木虎は弟子でもないのにこんなに構いっきりで他の娘たちが嫉妬したらどうしよう。
「それにしても茜ちゃんが一人でいるの珍しいね。これから訓練?」
「はい! 最近は師匠にも『だいぶマシになってきたな』って褒めてもらえたのでやる気満タンです! あっ、竹尾先輩は一人でいることが多いですよね!」
おっと、いきなり俺の心にアイビスをぶち込んできたな。ちょっとサイドエフェクト君?なんの危険信号も出てなかったよ、しっかりしてくれない?あまりの威力に心のトリオン体が砕けそうなんだが。奈良坂は精神攻撃の技術も仕込んでんの?
「お、俺はほら、孤高の存在だから。防衛任務に一人で出るのOKされてる数少ない隊員のうちの一人だから……」
「師匠も『あいつは狙撃も腕だけは確かだ』って言ってました! 独自の精神を集中させる方法があるんですよね? 私もそれ知りたいです!」
『だけ』は余計だよ奈良坂くん。まぁ好感度は上がってるみたいなので許すが。……それにしても精神集中かぁ。語弊があるようなないような。
「あー、茜ちゃん。あれはちょっと茜ちゃんには合わないんじゃないかなー。まかり間違って会得されると俺も周りから怒られそうというか」
「こんど熊先輩からバスケしようって誘われてるんですけど、竹尾先輩も一緒にどうですか?」
「わかった。俺の持つ全ての技術を君に授けよう」
まるで俺が女の子を出汁にすれば簡単に操れると思われてそうだ。でも仕方ないよね!熊谷とバスケだぜ、バスケ!たまんねぇなぁ!いや、疚しい気持ちとかないよ?たまのOFFにスポーツで汗を流す。実に健全じゃありませんか。これぞ理想の高校生活というものだ。途中で雨とか降ってくると言うことなしなんだが。
「わぁ、ほんとにお願い聞いてくれた。古寺先輩の言ったとおりです!」
なんで古寺が?俺を陥れようとしてんのか?いやでもこれアシストだよな。もしかして俺と宇佐美が付き合ってると勘違いして離間工作でもしたかったのか?あいつ、メガネかけてやったのにその後の反応めっちゃ薄かったぞ。きっとメガネ人口が増えるという結果さえ残ればあとはどうでもいい刹那主義の悪女に違いない。
「那須隊の皆からは、一人で居るときは竹尾先輩に近づいちゃダメって言われてたんですけど、先輩優しくて面白いし全然危なくないですよね」
ふぅー、……………………もうこれ相思相愛だよね?結婚しよ。
「どうかその優しい心をこれからも忘れないでおくれ。木虎と双葉ちゃんはボーダーに染まってしまったよ」
ボーダーにおいて山育ちとお嬢様は二大危険属性なのだ。ほとんどの場合、戦闘民族のDNAを有している。次に危険なのが頭の悪い野郎共だ。ほとんどの場合、脳がバトルに侵されている。こいつらにはほんと俺を見習って知的な言動を心掛けてほしい。だがそう考えると、このまま那須隊に日浦を置いてしまって大丈夫だろうか。あそこにいるのは深窓の令嬢の殻を破った衛生軌道シューティングアマゾネスに姉御肌のふりした純情乙女。男性恐怖症による半引きこもりである。万が一にも悪い影響を受けて日浦が堕天してしまったら……堕天使日浦か、……有りだな。
「茜ちゃん。隊の先輩たちをよく見て良いところを一杯学ぶんだよ? 」
「はい! ランク戦でもっと順位を上げられるよう頑張ります! ……竹尾先輩って元A級ですよね? もうチームは組まないんですか?」
おっとアイビス二発目かな?もうトリオン体が持たないんですけど。いや、これは純粋に疑問で聞いてきてるのか。
「そうだねぇ。新しく入ってきた子と組むことはあるかもしれないけど、既にB級にいる連中とはないかなぁ。あ、日浦隊作るなら入るよ? 全部隊ぶち抜いてA級一位なっちゃう?」
「随分やる気のある誘い文句だね。私、A級一位になろうなんて言われたことあったかなぁ」
――――――――いやぁ、一回くらいは言ったんじゃないかなぁ。たぶん。
「三上先輩! おはようございます!」
「茜ちゃん、そろそろ訓練が始まっちゃうよ。急がないと」
「あ、本当だ。私これで失礼しますね。竹尾先輩、予定が決まったら連絡しますから、いろいろ教えてくださいねー! 約束ですよ!」
…………さて、どう乗り切るか。
「へぇー、藍ちゃんの次は茜ちゃんなんだ。二人とも十四歳だね? 何か弁明はある?」
偶然だよ!別に年齢でなにか判断してるわけじゃないよ!?
「そうなんだ。ところで、遥ちゃんにまた告白したんだって?」
うん、つまり十四歳じゃなくても全然おっk――
『トリオン供給機関破損 緊急脱出』
竹尾 清志PROFILE6
嫌いなもの:紅色、夜の雨
・栞ちゃんはメガネをかけた清志にだいぶ嬉しがってましたが、空気を読んでノーリアクションで通しました。悪女ではなく、できるいい女です。
・木虎は気遣いのできる優しい女ですが、清志に切り刻まれすぎて精神疲労で足元がおぼつかない状態になり、朝方二人で訓練室から出てきたところをなまはげに見られたため大変なことになりました。清志は木虎を置いて逃げました。
・黒江は入隊してない気もしますがスルーしてください。