わぁ、鳥!   作:ゆーり

8 / 29
サブタイトルの読み方は「みわ」です。
この話、思い浮かんでしまったので書いたのですが、読みづらかったらごめんね(生駒旋空)。


第八話「③」

「なぁ秀次。顔(トリオン伝達系)と胸(トリオン供給機関)と足(機動力)ならどれ(狙うの)が重要だと思う?」

 

「胸(トリオン供給機関)」

 

 ほーん、意外だな。鉛弾使ってるから機動力を削ぐこと重要視してると思ってたわ。

 

「顔狙いは露骨すぎる。足も悪くないがそれだけじゃな」

 

 A級の銃手や射手は足なくなっても結構粘るからなぁ。……さっきから月見さんがすんごい表情でこっち見てるけど、どうかしたんだろうか。

 

「おいおい、清志はともかく秀次がそんな話に乗るなんて珍しいな。俺も混ぜろよ」

 

「どういう意味だ槍バカ。俺がこの手の話を誰かとすることなんてほぼねーぞ。むしろ東隊だったニノさんとか秀次の方がよく話題には出すだろ」

 

 ……月見さんが『嘘でしょ。私そんなの知らない』って顔で呆然としてるが大丈夫だろうか。具合悪いなら先に上がってもらった方がいいんじゃ。

 

「あっちこっちで告白してるやつが何言ってんだか。いや、そういやお前の好みってあんま聞いたことないな。回数多すぎて逆に絞れん」

 

 告白と戦闘時に狙う部位にどういう関係があるんだ。米屋との摸擬戦回数が多いのは事実だけど。こいつも割と独特の感性してるからなぁ。

 

「おい陽介。無駄口を叩いてないで宿題をさっさと終わらせろ。A級部隊のメンバーに赤点がいるなんて恥さらしだぞ」

 

「その理屈でいくと攻撃手は絶賛恥を晒している最中だな」

 

 奈良坂がプリントに回答を書き込みながら呟いた。一位がアレだもんね。俺オールラウンダーでよかった。……狙撃手もアウトでは?

 

「固いこと言うなよ秀次。清志の好み、お前も聞いてみたいだろ?」

 

「……ちっ、話すのは構わんが並行して宿題も進めろよ。終わらなかったら置いて帰るぞ」

 

「わかったわかった。で、清志はどこを一番重要視してんだ?」

 

 随分楽しそうだな米屋のやつ。やっぱ攻撃手は花よりも団子よりも剣なのだろうか。

 

「俺も胸(トリオン供給機関)だな。他に比べて(的が大きいから)外れが少ない。顔は割と(動きが激しくて狙いが)ブレるからな」

 

「ああ、(化粧があるから)確かに思ってたのと違うってことあるよな」

 

 月見さんが胸に手を当てて見下ろしている。もしかして動悸でもしてるのか?医療班に連絡入れる準備はしとくか。

 

「足(運び)を見れば大体どういうタイプか判断が着く。俺は足(運び)を見ながら距離を詰めて胸(トリオン供給機関)に狙いを定めることが多い」

 

 秀次は足元から予測立てるタイプか。表情からも読み取れる情報は多いけど、そっちはブラフも巧妙なのがいたりするからなぁ。それに移動の歩幅とか構えの取り方で大雑把な攻撃の軌道は予想できるから、距離があるときに確認しておくのは有効だな。

 

「あー、スポーツ系とか文系とかか?確かに(女の子はスカートも多いから)ある程度は判別付くかもな」

 

 米屋すげーな。戦ったボーダー隊員の文系理系とか部活やってるかとか分かんの?もうそれサイドエフェクトじゃね?

 

「あの、三輪くん。ちょっといいかしら。もしかして街で何度かそういうこと(ナンパ)をしたことがあるの?」

 

 月見さんが悪夢でも見てるかのように顔を青ざめさせている。おいおい、ほんとに具合悪いんじゃねーか。ん、なんだ奈良坂。『気にしなくていい』って、ほんとか?

 

「はい、街(市街地マップ)はホームグラウンドですからね。月見さんもよく知ってますよね?」

 

「知らないわよ!!」

 

 うぉ、びっくりした。月見さんが大声出してるとこなんて初めて見たぞ。

 

「いやいや、俺もびっくりしたぞ。秀次、お前いつのまにそんなことしてたんだ?」

 

「陽介までなにを……直近なら、一昨日に柿崎さんと鋼さんと(摸擬戦を)やったな」

 

「あの二人もそんなことをしているの!?」

 

 月見さんがガタンッ!と音を立てて椅子から立ち上がり叫んだ。なんだか月見さんのイメージが変わりそうなんだけど。もしかして隊のメンバーには結構こんな感じなのかな。

 

「はい。足(機動力)狙いでしたね。勝負を焦らず、じっくり構える二人らしいやり方だと思います」

 

「……え? そんな各自のスタイルが作られるほど(ナンパの)回数を重ねているの?」

 

 もう何を信じたらいいんだろうかって泣きそうな顔してるぞ。情緒も不安定になってるじゃねーか。やっぱ医療班を……おい奈良坂、邪魔すんなよ。

 

「でも、少しだけ嬉しいわ。三輪くん、そういう学生らしいことに無関心だったから」

 

 人型の効率的な倒し方に関心を持つのは果たして学生らしいのだろうか。武術とか熱い戦いが好きと捉えれば、まぁ、あるのか?

 

「俺たちだけじゃなくて陽介と奈良坂も持論教えろよ。奈良坂は狙撃手だし、やっぱり顔(トリオン伝達系)か?」

 

「狙えればな。だが、掠るだけでも状況が好転することはある。どこに照準を合わせるかはトータルで見て考えている」

 

 流石は理論派狙撃手のトップ。視野は広く、狙いは絞ってか。

 

「……奈良坂くんがすごく(ナンパの)玄人みたいな発言してる。もしかして私はこの部隊のことを何も理解できていなかったの?」

 

 え?そりゃ奈良坂は玄人って言ってもいい腕の狙撃手だけど、月見さんより三輪隊を理解できてる人なんていないでしょ。

 

「嘘よ! だって私、皆が何の話をしているのか全然理解できてないもの!」

 

「「顔(トリオン伝達系)か胸(トリオン供給機関)か足(機動力)の話では?」」

 

「もうやめて!」

 

 おいおい、これ精神が幼児退行してないか?流石に不味いだろ。

 

「俺は顔よりも首だな」

 

 なんでさっきから米屋と奈良坂は落ち着いてるんだ。三輪は『月見さんがなんか変だな』って顔で見てるぞ。それに首はどうなんだ。顔に比べたら捻ったり曲げたりしても動く幅が少ないから有りなのか?的としては顔より小さいから微妙な気もするが。

 

「米屋くんがそんなフェティシズムを……。ダメね。私は三輪隊のオペレーター失格よ。自惚れていたんだわ」

 

 月見さん体調は持ち直したっぽいけど、どんどん精神面が悪化してないか。あとこれフェティシズムに分類される話なの?バトルで興奮するからってこと?

 

「なんか蓮さん調子悪そうだし長居するもの悪いな。せっかく話題に出したんだ、ちょっと今から顔(トリオン伝達系)と足(機動力)にも意識向けて(模擬戦で)試してくるか」

 

「俺も行こう。陽介、お前は宿題を終わらせてからにしろよ」

 

「今から!? 清志くんはともかく三輪くんそんなにアグレッシブだったの?」

 

 三輪も近界民絶許勢だからアグレッシブさでは俺と大して変わらないと思うんですが。

 

「はい。清志と出会えて、俺も多少は変われたと思います。でも、(近界民を許せないという)この思いが消えることはありませんから」

 

「む、胸にそんなに強い拘りがあったのね……」

 

「秀次、清志。ここは俺が片しておくから早く模擬戦をしてくるといい」

 

 お、悪いね奈良坂。それじゃあ月見さん、お邪魔しました。あんまり無理しないでくださいね。

 

「奈良坂くん、私、私はいったいどうすれば……」

 

 隊室から出て歩いていると、三輪が『普段から月見さんに負担を掛けすぎていた』と言ってきた。こいつも周りを気遣うことをまたできるようになったんだな。俺も置いて行かれないようにしないと。




竹尾 清志PROFILE8
書くことがなくなってきた。どうしよう。

※追記:奈良坂は最初から分かってて遊んでます。米屋も途中で気が付いています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。