ドオーン!
天狗の里にある大きな屋敷に大きな火花が上がる...
その火元は会議室であり会議室の中は噴煙が立ち込めていた...
しばらくして噴煙が晴れていくとそこには戦闘で疲弊した文・紫・映姫の3名と大人しく椅子に座り書をめくっている暦の計4名がそこにはいた...
会議室は破壊の限りを尽くされており、机・襖・天井はもう手の尽くしようがないほどにまで破損していた...
「はぁ...き...境奈返しなさーい!」
「暦さんをよくも!」
「いい加減にしなさいよ!」
まだ彼女たちは戦えるようだが暦はボソッとつぶやく
「そういえば話は?」
彼女の言葉に全員が黙る
そして会議室での戦いは終息に向かい、文・紫・映姫の3名は怒りが済んだのか大人しく自分の席へと戻る...
「では...遅れましたが話を始めましょうか」
「そうですね」
「...後で境奈返してください」
そして今後の幻想郷についての話が小一時間程語られていく
side紫
「というわけよ」
紆余曲折あったが何とか幻想郷について説明をし終える...
長かったわ...
でもこれで皆分かってくれると思うわ
彼女たちは書類をめくりながら返答していく...
「何か質問はあるかしら?」
私の言葉に文が手を挙げる
「境奈はどうすればいいですか!!」
...この子はそれしかないのね
「境奈が決めることだよ...」
暦が返答し文はシュンとするが彼女は真逆に笑みを浮かべる...
本日彼女が見せる唯一の笑みだ...
「ここまでほぼ完璧なら私たちがすることはないね...まぁ問題があるとすれば妖怪達かな?」
彼女は満足そうに書類をまとめる
妖怪?
「妖怪が問題?」
「...人と共存を受け入れない奴が多数だと私は思うのよ...そこの壁を越えないと難しいかな?」
「...それね」
痛いところをつかれたわ...
確かに暦の言うとおり反対派の妖怪がいることも確かよ...
それらが裏で動いているの知っている...
私も何とかしないといけないとは思っていた...
「流石にも地獄はそれに関しては関与できませんよ?」
映姫が言うが暦は書類を指で弾く
「まぁ...そのために大神がいる...幻想郷が出来るまでは協力するよじゃあね」
暦はそのまま会議室を出ていなくなる...
それを見ていた映姫は暦を心配そうな顔で眺めている
「暦さん...随分と変わりましたね」
「ええ...」
何故彼女がここまで心変わりしたのかは私でも分からない...
そこまで酷くやられてしまったのかしら?
そしてしばらくすると文がポンと手を叩く
「その戦が起これば境奈に会えますね!」
「...」
「...はぁ」
とりあえず何も起こらないと良いのだけど...
大神家
大神家の廊下には昼食を持って姉の部屋に向かう銖理の姿が見受けられる
左腕はまだ吊っているが彼女は器用に無事な右手と尾を使ってお盆を持ち彼女は姉である境奈の部屋の戸を叩く...
side銖理
「境奈姉~!ご飯だよ~!」
「...そこに置いておいて」
...早週間
ずっと境奈姉は引きこもったままだ...
体は完治したはずなのに...
「じゃあ...置いておくよ?」
「銖理...一つ聞いていい?」
戸の前にお盆を置いて立ち去ろうとすると部屋から境奈姉の声が響き私は立ち止まる...
「何?」
「...世の中さ謝ってもどうにもならないことってあるよね?」
...分かりきっている質問だ
まだ気にしているというのだろうか?
「天狗の事気にしてるの?」
私が答えると戸越しに境奈姉のすすり泣く声が聞こえる
「せっかくできた仲間だったのにっ!」
「ふぅ」
...大妖怪というのは個で生きる者だ
一応生きていく上で仲間を持つ必要が無いが孤独感・空虚感という精神的に来るものがあるらしい...
私には理解できないが大妖怪である者はそれが唯一の悩みの種になるようだ...
境奈姉も同じ...
力・知性・美貌を持っている境奈姉でも持っていないものがあった...
それは仲間...
孤立している大神家に属する者としては天狗のような集団組織というものが境奈姉にとっては眩しい存在だったのだろう...
スパイとして天狗の組織に入り、自然と満たされてしまったようだ...
「辛い?」
「...辛いわ...アタシは大神家のためとはいえ仲間を裏切ったのよ...ううっ」
境奈姉はすすり泣いたまま会話もしなくなってしまった...
私は黙ってその場を去ることにした...
あまりにも空気が重い...
「はぁ...」
居間の方へ戻るとさっきまでいなかった華楠姉がちゃぶ台の所で俯いて前髪をいじっていた...
華楠姉は居間に入ってきた私に気づくと僅かに笑みを浮かべる...
「銖理...来たのか...怪我は大丈夫か?」
「何とか...華楠姉は?」
華楠姉は微妙な顔をする...
「...体の方は何とかな...だが心が晴れないな...長年望んでいたものを没収された気分だ」
長年望んでいたもの?
「?」
「...なんでもない...それより境奈はどうした?」
「境奈姉ね...何というか天狗に件で心に深い傷を負っているというか...」
「やはりな...あいつはああ見えて撃たれ弱いからな...大切なモノを失うというものは辛いものだ」
華楠姉は深く溜息をついた後ちゃぶ台に置いてあるお茶を飲み干し私の方を振り向く...
「銖理...お前には大切なモノはあるか?」
「大切な...モノ?それはもちろん...かぞ...」
「家族...以外でだ」
「うっ...」
困った...返答に困る
正直私の大切なモノって家族以外ないんだよね...
今までそれのみを生きがいにして生きてきたし...
只母さんに言われたことを黙々とやってたし...
家族以外のモノは興味すら湧かなかったし...
何も考えずやってきたような...
あれ?考えて見たら私の人生って...
カラッポ?
「...」
私が言葉に詰まっていると華楠姉は立ち上がり私の頭を撫でる
「...ゆっくり考えろ...お前のしたいことを大切なモノを見つけるんだ...いつまでも戦ばかりの世ではないからな」
華楠姉はそれを言うと居間を離れる...
私の大切なモノ?したいこと?
分からない...
一体何をすればいいの?このカラッポな私が...
「...」
華楠姉の言うとおりこれから先戦ばかりの世ではなくなることは分かっている...
その戦がなくなったら...自分探しでもしようかな...
大神一行の心変わり
ではこれにて