「...」
会議の翌日、八雲家の紫の部屋には煌炉が紫に呼び出されていた...
前に戦って以降、紫に会っていなかった煌炉にとっては内心緊張というものがあった...
side煌炉
「...はぁ」
式神生活を始めて1日が経過したが前途多難だということが痛いほど分かる...
同じ式神の藍は私に対して棘のある話し方をするし、式神を使えと言われても境奈姉さんではないから出来るわけがない...
結界の術式に関してもさっぱりだ...
やはり断るべきだったか?
「まぁ...自業自得だがな」
藍が私に敵対しているのも全ては私が原因だ...
彼女曰く彼女の幸せを奪ったのは大神家らしい...
私たちはそんな気はなかったが仕事が仕事だったからな
大人しく部屋で待っていると紫がスキマの中から現れる
「お待たせ煌炉♪」
「ああ...」
紫は私の近くまで来て私をまじまじと観察する
「どれどれ?」
「...何?」
「いえ...只私の用意した導師服が似合っているなぁ~と思って♪いや~流石私!また可愛い式神が手に入ったわ!」
紫は私の髪や肩を触れながら抱きしめる...
「か...可愛い?」
...今まで可愛いと言われたことがあっただろうか?
他の姉妹から女らしくしろとは言われたことはあるが...
何だ?顔が熱い
紫は私の反応を見て楽しんでいるみたいだ...
「あらあら?照れてるの?」
「別に照れてなんか...」
紫は私の胸に触れる
「堂々としなさいな...控え目かもしれないけど胸を張りなさいよ!」
「胸?」
...確かに私には胸はあまりない
幼い時は母さんみたいにナイスバディになると夢を見ていたが破瓜過ぎてから何となく諦めがついた...
境奈姉さん>母さん>華楠姉さん>潤香>銖理>私...
何処で差がついたのだろうか?
「...」
「あら?どうしたの?」
「いや...何でもない...そういえば藍は?今朝から姿が見えないが?」
紫は扇を開く
「ちょっとお使いよ...貴女にも早々だけどお使いを頼もうと思って呼んだのよ」
「お使い?」
紫は便箋を私に手渡す
そこには各地域の妖怪の名前が記入されている...
「これは?」
「...幻想郷創造について反対している危険勢力の妖怪達よそれをちょっと片付けて来てもらいたいのよね」
「...なるほどね」
...幻想郷のことはある程度理解はしている
人間と妖怪の共存しあう世界だとか?
反対している者のほとんどは人を餌にしか見ていない者が大半だろう
そんな輩が賛同するわけもない...
復活してまだそんなに日が経過していないが...
良いリハビリになりそうだ
side紫
煌炉は討伐リストに目を通した後半獣の姿になり立ち上がる...
「あら?もう行くの?」
「ああ...覚えた良い運動にはなりそうだ...こういう荒事しか私は役に立たないからな」
彼女は狐の仮面をつけてその場を後にする...
「役に立たないことはないのにねぇ」
...おそらく藍が何か吹き込んだのだろうか?
確かに彼女は大神を嫌っているけど困ったものね...
煌炉はもう仲間なのだから仲良くはしてもらいたいのだけどね...
「まぁ...幻想郷創造が終わったら何とかしましょうか」
まぁ...その前に保険はかけないと...
あの子にも働いてもらいましょうか...
私は大切な未来を考えながら今後の計画を立てていく...
side藍
「ぐはぁ!」
「...これで最後か」
リストに載った者を始末し私は切株に座り一息つく...
式神の仕事としては淡々とこなしてはいるが心は晴れない...
その原因ははっきりとしている!
これも全て煌炉の奴が紫様の式になった所為だ!
今のところ知能に関しては私の方が上だが...
戦闘力に関しては奴の方が上だ!!
今のところ五分五分といったところだが安心が全く出来ない!!
「...だが」
あいつは私が陰陽師に追われている時、傷ついた私を見て討伐するどころか...見逃してくれたのも事実だ...
完全に悪い奴というわけではなさそうだが油断は出来ない...
いつ紫様の寝首を掻くか分からないからな!
「...認めてない...お前のことは!!」
私は胸のモヤモヤに悪戦苦闘しながら今度の事についての策を考える...
一方大神家
大神家の屋敷の前にある橋の上には暦と潤香の2人が池の中で泳いでいる鯉を眺めながら今後のことについて話し合っていた...
side潤香
「...そう潤香もその考えなのね」
「...私も...ということはお母様もですか?」
私の言葉にお母様は頷く...
まさか...意見が同じとは...
絶対に反対されると思っていたのに...
「私だけではなく他の子もそんな感じよ...流石私のDNAを受け継いだだけあるわね」
「まさか...お姉様達まで」
お母様は餌を池に投げて鯉が集まってくるのを遠目で眺めている...
「...心境の変化というやつかな?まぁとりあえず紫達の夢には協力しましょう...それ以外のことは好きにして構わないでしょ?」
「...そうですか」
お母様は目を閉じて白い狐耳をピンと立てて何かに集中し始める...
「お母様?」
「...本当に近いうちに争いが起こるね...まぁ月面戦争の時よりはマシでしょ?潤香たちも用意しといたほうが良いよ?」
お母様はそう言い屋敷の中へと戻っていく...
争いごとですか...
まぁ...良いでしょう
私の手は血に塗れていますし...
罪を重ねることには慣れています...
「...今の私を見てあの方達はどう思いますかね?」
過去の過ちを思い出しながら私は空を見る...
曇天の雨雲が近づいて来ています...
これはまた大雨が来そうですね...
「死者を弔う大雨ですか...また十字架を背負っていくことになりそうですね...」
...今まで私が殺めた魂の数は恐らくお姉様達以上だと思います
仕事とはいえ...殺生をし過ぎてしまいました...
自分の心を埋めるために何人もの魂を...
それ故に私がしてしまったことに対する罪を思い出します...
只でさえ穢れている私のこの身...
もう闇という泥沼に半分以上浸かってしまいましたか
「...」
ふと自分の左胸にある傷を確認する...
もう幾年経過しただろうか?
くっきりと古傷として残っている...
これも私の罰の証...
この傷を背負ってこの未来を生きていきましょう...
「...さて煌炉お姉様もいませんし私が屋敷の事をしないとね」
着物の乱れを直して私も屋敷の中へと戻る...
次回再び戦乱が始まります
そしてあの方も出ます
名前表記は無いですが...
ではこれにて