side煌炉
幻想郷の見回りということで私たちは最初人里へ赴く...
「まずは人里か」
「...広いから迷うなよ」
私は藍の後をついていきながら辺りの様子を確認する...
人里の雰囲気は昔と同じく古い和風の建物が軒を貫き働く住民も活気がある...
昔ながらの良い感じだ...
幻想郷の外は紫曰く石で造られた高い建物が多数建てられているらしい...
いまいち想像ができないが別に構わない...
「で?私たちはまずどこへ向かうんだ?」
「稗田阿求様のところだ...無礼の無いようにな」
「...誰?それ?」
「...お前知らないのか?」
藍は信じられないみたいな顔をする
「説明を求めるわ」
「...稗田阿求様は幻想郷の歴史をまとめる方だ人里の有力者の名前ぐらい覚えておけ...あと」
藍は私が咥えているタバコを掴みすぐ近くのゴミ箱に捨てる...
「ああ...まだ吸えたのに」
「阿求様は体が弱いんだ絶対にタバコは厳禁だ!ほら!ついたぞ!」
そしていつの間にか目の前には大きな屋敷...
他と比べ物にならない程だ...
大神家が負けるかもしれない...
「...わお」
「ほら!ボーっとしてないで入るぞ!まだ行くところは沢山あるのだからな!」
私は藍に押されて屋敷の中へと入っていく...
そして屋敷に入ると薄紫色のおかっぱ髪をした少女が満面の笑みを浮かべて玄関に立っていた...
「...子供?」
「ようこそ!稗田亭へ!妖怪の賢者の式神さん達で宜しいかしら?」
「失礼します...阿求様」
藍は少女にお辞儀をする...
阿求とか言っているしこの子が?
とりあえず私もお辞儀をすると阿求と呼ばれた少女は廊下の奥を手で指す
「ではこちらにどうぞ...お茶も用意してます」
「これはこれは...お構いなく~」
藍が笑顔を浮かべながら私の尾を引きながら阿求へついていく..
「藍?別に尾を引かなくても...」
「お前が余計なことをしないようにだ...大人しくついてこい」
「あまり強く引っ張らないでよ...」
藍に引っ張られ私は居間の大きなちゃぶ台の前に座らされる...
目の前には阿求がおり彼女は私を見て嬉しそうに微笑んでいる
「なるほど...貴女が噂に聞く大神家の一族ですか!」
「大神のことを知っているの?っ!」
腿に痛みが走りそこを見ると藍が私の腿をつねっていた...
藍を見ると彼女は口パクでとある単語を口にする
(け・い・ご!)
...敬語?
ああ...敬語で話せということか...
いけないいけない...無礼のないようにだったな...
「大神のことを知っているのですか?」
「ふふ...面白い人...やはり実際に見るに限るわね...」
阿求はくすくす笑いそして一息ついたあと口を開ける...
「ええ...大神のことは遥か昔より存じています...大神の主を筆頭に5人の娘たちだけで構成されているとか...まぁ絵でしか見た事ありませんけどね」
阿求はジッと私を見る...
「...火行の煌炉さん...実際で見た方が可愛らしいですね!」
「っ!!」
...この私が可愛い?
家族からは女らしくしろと散々言われたが...
今までこんなこと言われた事すらなかった...
だがいざ言われると...
顔が熱くなり...私の思考は停止する...
side藍
「ん?」
煌炉の方を見ると顔を真っ赤にして口から煙を吐いている...
何だ?こいつ?
オーバーヒートでも起こしたのか?
阿求様は煌炉が煙を吐いている姿に心配しているようだ...
「あの?どうかしました?何か固まっちゃいましたが?」
「大丈夫です!さぁ!話を始めましょうか」
煌炉抜きで私たちは今後のことについて話し始める...
side煌炉
「面目ない...」
次の道中私は藍に頭を下げる...
彼女は溜息をつきながら私の前を飛ぶ...
「次は冥界だ...今度はボーっとするんじゃないぞ」
藍にそういわれ私は大人しく彼女の後をついていく...
...あまり怒られなかった?
私はそれに胸を撫で下ろし次の場所を目指していく
冥界・白玉楼
そこは冥界の主西行寺幽々子の住んでいる大きな屋敷があり私と藍は門の前に立つ...
そしてしばらくすると幽々子の従者である魂魄妖忌が屋敷から現る
「よくぞ参られた...藍殿に煌炉殿」
「妖忌様もお元気そうで...」
藍が返答すると妖忌は屋敷の方を手で指す
「お嬢がお待ちです...参りましょう」
私たちは妖忌に案内され屋敷へと通される...
そして屋敷の居間には大皿の上に山盛りにつまれた饅頭を一人で食べている幽々子がいた...
「あら~?来たわね~藍に煌炉~!待っていたわ~!」
「お久しぶりです幽々子様」
「まぁ...座って~」
私たちは置かれた座布団に座り幽々子は私たちを交互に見る
「本当に久しぶりね~」
「ええ...幻想郷のことなど色々ありましたからね...結界とか」
「内部の反乱の鎮圧とか...」
私と藍は個々の感想を述べる...
私も藍も忙しかったなここ数年は忙しかったな...
暇なとき息抜きをしたいな...
そして幽々子は外を眺める
「でも今年は紫には会えなそうね~あの子冬は冬眠するみたいだから次会えるのは春ね...」
「そのようだ...私たちを式神にしているんだ...当然だろ?」
「今人里で冬季花火大会が行われるのに~残念ね~」
幽々子はチラシをピラピラさせながら私に見せる...
花火大会か...
普通夏のはずだがイベントとしては良いものだな...
幽々子は私の方を振り向いて笑いかける
「幻想郷が安定したら宴会でも開きましょ?皆で飲んでどんちゃん騒ぎ楽しいわよ!」
「宴会か...できたらいいな」
「確かに面白そうですね!」
幽々子の言葉に私と藍は気づかないうちに笑みを浮かべる...
そういえば娯楽などあまりなかったな...
久しぶりにするのもいいかもしれないな...
(...ふふ...戦い以外の娯楽か...それを見つけてみるのも面白いかもな)
私がそんなことを考えていると幽々子は私に近づき私の胸を撫でる
「!?」
「...肉つきが良くないわ~煌炉も女の子なんだから沢山食べて大きくなりなさいよ?私とか紫とか藍みたいにね」
「...胸の話ですか」
「...」
...何でいきなり胸の話になった!?
「あ...あの?何で急に?」
「え?紫がさぁ~!煌炉が女の子らしくないからどうしようとか前に言ってたのよね~!胸もアレだし」
「まぁ...性格があれではな」
幽々子の言葉に藍が頷く
あのスキマァ...
後で覚えてろよ...
姉妹の中で一番小さく育った私の苦悩をこんなところで暴露しやがってぇ...
幼い時は!自分の体に希望を持っていたさ!!!
だが!どんどん差が広がって今では私の下の銖理・潤香ですら私の上だ!!
私だってこんなことを望んでいない!!
あ...そういえば...
幽々子(ドーン!)
藍(ボーン!)
紫(バーン!)
こんなに格差が...
「スン...」
やばい...泣きそう...
side藍
「...」ドヨーン
「煌炉!?」
話しの途中で煌炉が部屋の隅で体育座りをして蹲ってしまった...
どうしたというのだろうか?
「あらあら~」
「はぁ...」
こいつ抜きにして私たちは今後の話を進めていく...
side煌炉
「...申し訳ない」
「...」
藍は無言でぷんぷんと怒りながら前を飛んでいく...
はぁ...何でこうなるんだ...
次は妖怪の山...
確かあの子がいる場所か...
私たちは無言で妖怪の山を目指す
妖怪の山天狗の里...
私と藍は天狗の里へと到着する...
本来はあまり立ち入る場所ではないのだがとある妖怪に話があったのだ...
「ここか」
「ああ...早く奴を探して次に行くぞ」
「ああ...ここで待っていて...すぐに済む」
藍は里の外で待機させ私は中へと進んでいく
天狗たちの視線が痛いほど感じる...
やはりここは閉鎖社会なのは変わらないみたいだ...
はやく彼女を探そう...
射命丸文をな...
天狗の里の端...
そこに彼女の家はあった...
私たちがそっと中を覗くと机に向かって何かをせっせと書いている文の姿が見える
「失礼するよ...」
私が入ると文は私に気づき腰を上げる
射命丸文...
私の実の姉である大神境奈のスパイ時代の上司だ...
かなり姉さんのことは気にかけていたようだ...
「あやや...貴女ですか...随分と久しぶりですねぇ」
彼女は私の方へと向かい顔を見る...
「ん?」
「...いえ何でも」
彼女は寂し気な笑みを浮かべてまた机へと戻る...
何となく察しがつく...
私と境奈姉さんの面影を重ねていたのか...
だが私は言わなくてはならない...
大神として...
この現実をな...
「境奈姉さんは戻っては来ないと思う...只それだけを言いに来たんだ...」
「そうですか...分かっていますよ」
文は筆を走らせながら淡々と答える
「...」
「話が終わったら出て行って下さい...新聞の締切が間近なので」
「分かった...」
残念だがこれが現実だ...
希望をもって待つだけのことなど残酷なことでしかない...
彼女の顔を見ることなく私はその場を後にする
私は里の外に出て藍に合流する...
「...」
「終わったのか?」
「ああ」
私の言葉に藍は時計を見る
「現在時刻15:09...残りは是非曲直庁だけだから早めに帰れるな」
「分かった急ごう...」
私たちは最後に向かう場所彼岸へ向かう...
彼岸・是非曲直庁...
是非曲直庁に向かい私たちは受け付けの方へ向かう...
そこには若い死神の少女がいた...
「ようこそ是非曲直庁へ!何か御用ですか?」
「八雲藍だ...四季映姫と会いたい...アポは取っているぞ?」
受付の死神はパソコンをカタカタと動かしている
「...はい確かに...では三階の映姫様の執務室へどうぞ」
「はいどうも...」
私たちは受付横にあるエレベーターに乗って3階へ向かう...
執務室
「失礼します」
私たちが部屋に入るとそこには大きな机を挟んでこちらを見てい映姫がそこにはいた...
昔と比べて大人らしくなったみたいだ...
「待っていましたよ...八雲の式神...まぁ...座ってください」
私たちは出された椅子に座り映姫は机の上の書類をこちらの方へ動かす
「?」
「これが事前に頼まれていた地獄の面積・死神の総人員...そして送り込まれてくる魂のリストとその合計を求めたものです...」
映姫の言葉に藍はそれをバックの中へとしまう
「仕事が早いようで...我が主も喜びます」
藍の言葉に映姫は鼻を鳴らす
「ふん...これは私の仕事ですし貴女の主のためではなく暦さんの娘である煌炉のためですよ」
映姫は私の方を見る
「煌炉...暦さんは幻想郷へは来ないのですか?」
「ああ...そう聞いた」
私の言葉に映姫はシュンとするがすぐに元の顔になる...
「その言葉を聞ければ充分です...さぁ...私も次の仕事があるのでこの件はここまでにしましょう」
映姫は立ち上がり次の仕事に使うであろう書類を鞄に入れ始める...
私たちは映姫に会釈しその場を去る...
私たちは是非曲直庁から出る...
藍は時計を見る
「16:47...中々早く帰れそうだな」
「ああ...屋敷に戻ろうか」
藍は鞄を抱えるが私は手を差し出す
「何だ?」
「私が持つよ...重いでしょ?」
「...」
藍は黙って私に鞄を差し出す
重いなこれ...
「大丈夫か?案外重いぞ?」
「問題ないっ」
私たちは空に飛び立ち屋敷へと戻る...
空を飛んでいると日が暮れてくる...
下を見ると人里が見え提灯の明かりが見える
そして太鼓のような音も聞こえる
「ん?楽しそうな音が聞こえるな」
「幽々子様が言っていた人里の祭りだろ?普通夏のはずだが?」
藍の言うことももっともだ...
もっとも私たちには関係のない事だ...
帰ったら紫のご褒美があるとか...
「ご褒美なんだろ...」
「さぁ?まぁ期待はしないほうがいいかもな...」
私と藍はそんな会話をしながら屋敷を目指す
八雲家
「お帰り~!帰って来たわね~!」
帰って来た私たちを紫が寝巻姿で出迎える...
「只今帰ってきました紫様...」
「只今...」
「ほらほら~!上がって~!ご褒美を用意しているわ~!」
紫は私たちの背を押しながら居間に通す...
何か食べ物の匂いがするな...
「ご褒美ってご飯のこと?」
私の言葉に紫は頬を膨らませる
「もう!ネタバレは禁止よ!折角スキマの中から色々なものを取り寄せたのに~!」
スキマの中からか...
外の世界の食べ物かな?
これは期待できそうだ
「本当に良い匂いだ...今日のご飯はいいかも...」
藍も期待しているようだ
そして紫は居間の戸の前に立つ
「2人とも感謝なさい!!冬眠前に頑張ったんだから~!さぁ御開帳~!」
紫が戸を開き私たちは顔を輝かせる...
はずだった...
「!」
「!」
私たちの目の前には怪しげなオーラを放つ鍋がちゃぶ台の上に待ち構えていた...
「さぁ!ゆかりん特製闇鍋ご賞味あれ!!」
ハイテンションな紫にローテンションの私と藍...
惨劇が始まるかもしれない...
最近更新できない
ではこれにて