side煌炉
「さぁ!ゆかりん特製闇鍋パーティースタート!!」
紫の号令がかかり私達は大人しく闇鍋の前に座る...
目の前の闇鍋は怪しげなオーラを出しており私たちはそれを見て警戒するしかなかった...
まさか帰って来てこうなるとは...
やはり花火大会の方を行けば良かったかもしれない...
「煌炉...食べるぞ」
「藍!?本気か!?」
彼女は箸を取り一息つく...
「せっかく紫様が用意して下さったんだ...食べるしかないだろう?...ほら!中身は案外大丈夫かも...」
藍は怪しげなオーラを出している闇鍋の蓋を開ける...
どぉぉぉぉぉぉ...
「...」
「...」
鍋の中身を見て私と藍は言葉を失う...
鍋の中は闇鍋の文字通り...闇に覆われており中身が全く見えない...
何をどうやったらこんなものができるのだろうか?
私は紫の方を向く
「あの紫さん?」
「何かしら?」
「鍋の中に何を入れた?」
「スキマの中から色々とね~!何を入れたか覚えてないわ~!」
...駄目だ
食べたら駄目だ...
確実にロクでもないことが起きる...
紫は私たちを交互に見る...
「ねぇ?食べないの?折角用意したのに~!」
紫の言葉に藍は満面の笑みを浮かべる
「ええ!食べますとも~!食べますよ...」
藍は意を決して鍋に箸をつける...
そして取り出した物は...
「...?」
緑色の大きなキノコだ...
ボウリング玉くらいはあろうか?
萎れており軸の部分に顔のようなものが見える気がする...
明らかにこの世の食べ物ではない!!!
「!!?」
藍は外れを引いたかのような顔をし紫はそんな藍を楽しそうに見る...
「あらあら?当たりかもね♪」
「っ!」
藍は初めて紫に怒りの表情を浮かべる...
まぁ気持ちは分かる...
紫の奴確実に私たちで遊んでやがる...
「ぐぐぐ...」
藍は意を決してそれを噛みちぎる...
私はそっと藍に向けて合掌する...
ピコーン♪
「あれ?」
何かの音が聞こえたと思い目を開けたら
藍はつやつやになりながらそれにかぶりついていた...
「藍?大丈夫なの?」
「ああ...案外平気だ...逆に体の調子が良くなった気がする」
紫の方を見ると拍手している
「言ったでしょ?当たりだって♪ほら次は煌炉よ♪」
紫に言われて私は鍋に箸をつける...
見た目はアレだが案外中身は良い物だけかもしれないな...
「?」
箸に触れたものを引き上げると赤い肉団子だった...
見た目は普通だな...
「では私も...」
私は肉団子をかじる...
「っ!!GOHEEEEEEEEEE!!」
口の中に灼熱...爛れるような激痛が走り私は障子を突き破り庭を転がりまわる...
そして部屋の中から紫の笑い声が...
「あははは!!外れね!それはデスソース入りの肉団子よ!辛いでしょ~!?」
「あにょりゃろぉ...」
この闇鍋が終わったら爆破してやる...
この前の比ではないほどの威力で吹き飛ばしてやるぞ!!
縁側まで這って移動し居間を見る...
今の私を見た所為か藍は完全に顔を青くしている...
このまま闇鍋が続けば私も藍もお陀仏だ...
どうする...どうすれば!!
リリリリリ~!
私の懐から機械音が響き私はそれを手に取る...
音の発信源は銖理特製の大神家の通信機であった...
大神家が解散して以来これが鳴るのは久しぶりだ...
家族の誰かが私に連絡を取ろうとしている?
「...すまん連絡が入った」
「良いわよ♪さぁ!次は藍よ!」
「...」
そのまま居間を後にしようとすると藍が恨みがましい目で私を見る...
まるでお前は私を見捨てるのかと言いたげに...
「すぐ戻るからさ...」
私はそれを藍に言い居間を後にする
居間から離れ私は通信機のボタンを押し耳につける...
さて...誰が連絡をかけたのかな?
「もしもし...」
「もしもし~!煌炉~?元気してる~?」
通信機から幼い声が聞こえる...
私に似た声だが聞き間違えるはずもない...
声の持ち主は私の母である大神暦の声だ...
「...久しぶり母さん」
声に返答すると母さんは嬉しそうに話し始める
「ふふ!元気そうで何よりね!そっちはどう?楽しめてる?」
「ぼちぼちかな?」
私は壁に寄りかかりタバコに火をつける...
懐かしいこの声...
思い出すな...大神として動いていた時のことを...
「それは良かったよ~!母親としては一安心ね」
「...そういえば何か用なの?急に連絡なんて?」
通信機の奥の母さんは乾いた笑い声をもらす
「特に用はないけど?何か煌炉が大ピンチな予感がしたからさぁ...」
...ナイスだ
現在闇鍋で心身を消耗していたところだ...
私がピンチの時に助け舟を出してくれるとは有り難い...
「一応礼は言っておくよ」
「...?そう?それは良かった」
母さんはまた明るい声になリ始める...
昔よりはずっとマシになった気がするな...
私としても安心だ...
「...そういえば母さん達の方は大丈夫なの?今の時代は外の世界では生きづらいと聞いたけど?」
「そうでもないよ?私の場合は船で色々な国の海の上で仕事しているよ?まぁ...私の能力を生かした仕事にもありつけたし食うに困らない生活をしているよ...」
色々な国ねぇ...
良くは分からないけど様々な文化があるのだろうか?
幻想郷の中にいる私にとっては未知の領域だ...
他の姉妹もうまくやっているのだろうか?
「へぇ~他の姉妹はどうしてる?」
「...多分うまくやっているんじゃない?一応皆とは連絡をとっているよ?潤香は海外で活動・他3名は日本で仕事についているよ?」
...潤香が海外で活動か
...境奈姉さんは器用だし問題はないのは知っている
それよりも銖理と華楠姉さんがうまくやっているとは驚きだな...
「安心したよ個性豊かな私の姉妹がうまくやれていることに...」
「母親である私も同意見ね...さて...そろそろ休憩時間が終わるしお話も終わり...」
「ビエー!!!!!!!!!」
突如甲高い泣き声が響き私たちの会話はストップする...
「!?」
...何だ?今の声は?
幼い声...子供か?
私が驚き通信機越しの母さんにもその声は届いたようだ...
母さんは困惑したような声で話を続ける...
「煌炉?まさか...子供でもできたの?」
「そんなわけないじゃない!!」
私の言葉に母さんの溜息が聞こえる
「残念ね...孫の顔が見れると思ったのに」
「...」
泣き声の方向は居間だ...
何か嫌な予感がする...
「では私はこれで...煌炉も頑張って!」
母さんはそう言うと電源を切る...
「...嫌な予感が」
私は重い足取りで居間へと戻る
何があっても驚かないよ...
ここは幻想郷
変なことが当たり前に起こる世界だ!!
「どんと来い!!!...」
居間の戸を開けると私の思考はフリーズする
目の前には私の創造を越える信じられない光景が広がっていたのだから...
「びえええええー!!」
「...どうしよう煌炉」
私の目に映っていたのは...
小さくなった藍を抱えている紫の姿だった...
次回どうなるか
ではこれにて