東方五行大神伝・過去の章   作:ベネト

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煌炉sideです


外へ!!

幻想郷の端に存在する廃墟、大神神社...

 

そこの当主の娘の一人である大神煌炉が大きな池にかかった橋の上にてタバコを咥えて廃墟と化している屋敷を眺めている...

 

その表情は何やら寂し気であり彼女は何をすることもなく彼女はタバコを携帯灰皿の中へとしまう...

 

 

 

 

side煌炉

 

 

「...色々楽しかったなぁ」

 

廃墟となった屋敷を見ながら私は過去の思い出にふけていた...

 

紫の式神になり幻想郷に移り住んで早数百年...

 

長い時を刻み家族の顔を長らく見ていない私にとっては少し外の世界で暮らす家族のことが心配になってきたところだ...

 

 

 

母さんは子供の姿のまま何かの仕事には就いているみたいだが心配になってくる

 

 

華楠姉さんも仕事についているみたいだがあの人は人間生活になじんでいるのだろうか?

 

境奈姉さんは頭は良く器用だがメンタルが弱い...人間生活は大丈夫だろうか?

 

銖理はあの無機質な性格が災いしているしちゃんとやってられているのだろうか?

 

潤香は独り異国で生活しているみたいだが向こうの国に慣れただろうか?

 

 

 

 

 

 

「...心配だ」

 

昔は家族そろって村で生活したり陰陽師の仕事をしたりなど様々なことをしていたけど各個人がバラバラに行動しているとなると確認のしようがない...

 

どこで誰がどういう生活をしているのか予測もつかないからな...

 

 

 

「はぁ...帰るか...ん?」

 

屋敷を背にして帰ろうと踵を返すと遥か向こうから砂煙をあげてこちらへと来る人影が見える?

 

「...ろ~!」

 

何かの叫び声...

 

この声は聞き覚えが!?

 

 

 

「まさか...」

 

「煌炉~!!!!」

 

遥か向こう凄まじいスピードでこちらにやってくるのは私と同じく紫の式神である八雲藍...

 

色々あって私に懐いている...

 

 

「こ・う・ろー♪」

 

彼女は空中で一回転し私へとすごい勢いでダイブしてくる!!

 

 

 

 

「藍!待って!とめ...ぎゃあああああ!!!」

 

彼女のボディアタックを食らった私は彼女に倒される...

 

大丈夫慣れている一日数十回はこうなるから...

 

私の体の上で彼女は尾をブンブン振りながら私に抱き着く

 

 

 

「煌炉~♪ここにいたのか~!探したぞ~!」

 

「ぐぐ...藍...もう少し加減をお願いしたい...」

 

藍は私の言葉にムッとした顔をして顔を近づける...

 

 

 

「私のアプローチを無下にするのか?そんなお前にはこうだ!!んっ!!!」

 

「!!?」

 

刹那...

 

藍の顔が近づき彼女に濃厚なキスをされる...

 

これも日常茶飯事...

 

いつもこれを紫に見られてお仕置きされる藍を助けるのも私の日課となってしまった...

 

彼女は私の口内に舌を入れ軽く蹂躙した後、満足気に身を起こし満面の笑みを浮かべる...

 

「うふ♪満足♪」

 

「藍...紫に見られたらお仕置きされるよ?」

 

「愛に障害はつきものだ!それに私はお前を諦めてはいないからな!!」

 

藍は再び私に体を密着させる...

 

 

 

愛か...

 

イマイチ分からないな...

 

昔から戦闘のみを生きがいにしてたし女らしいことなどしてなかったからな...

 

 

「...」

 

「あ...そうだ!忘れるところだった!!」

 

急に藍は何かを思い出したのか慌てて立ち上がり私を起こす...

 

私を探していたみたいだし何か用事でもあったのだろうか?

 

 

 

「何かあった?私を探していたみたいだが?」

 

「紫様がお呼びだ...屋敷に戻るぞ」

 

紫が?

 

何か用か?

 

今日は特に予定はなかったはずだが?

 

緊急の用件でもあったのだろうか?

 

なら急がないと...

 

 

私は荒廃した屋敷を一瞥する...

 

未だに昔の思い出に思いを寄せるとは我ながら女々しいものだな...

 

 

「...分かった」

 

返答し私たちはその場から離れる...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八雲家

 

八雲家に戻ると居間には紫が待ちくたびれた顔をしながらスキマの淵に座っていた...

 

「遅かったじゃない...貴女達」

 

紫は不機嫌な顔をしながら私と藍を交互に見渡す...

 

「えと...」

 

「悪い遅れた...」

 

紫は私のそばに近づき顔を近づける...

 

「...」

 

「どした?」

 

「いえ...何でも」

 

紫は私から離れて敷いてある座布団に座る...

 

「座りなさい大事に話があるわ」

 

紫は敷いてある座布団に座るように促し私たちはそれに従い大人しく座る...

 

真剣な顔だ...何かあったのだろうか?

 

 

「話しは何?」

 

「一体何があったんです?」

 

私たちが問うと紫は一息いれる...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...大神家を全員幻想郷に連れて来ようと思っているの」

 

「...私の家族を!?」

 

...急に何だ?大神家解散からかなりの年月が経過しているのに呼ぶ?

 

彼女達は外の世界でうまくやっているというのに...

 

「何故?」

 

「現在の幻想郷の外の世界が妖怪にとって住みにくい世界になったからよ...彼女たちの事を考えて幻想入りしてもらおうと思ったのだけど?」

 

私の問いかけに紫は言う...

 

住みにくい世界?

 

一体どういうことだ?

 

正直外の世界など知らないが妖怪にとって住みにくいというのは何だ?

 

 

私が思考を巡らせていると紫は口を開く

 

 

「簡単に言うと畏れと信仰心が昔と比べて薄くなったのよ」

 

「畏れ?信仰心?」

 

「ええ...まさかとは思うけど理解できていないということはないでしょうね?」

 

「...うん」

 

言っていることが理解できない...

 

畏れ?信仰心?何それは?

 

となりにいる藍は話の理解ができているようだ...

 

 

 

「...なるほど...確かに彼女達には戻ってもらったほうが良いみたいですね」

 

「藍は理解しているみたいね...」

 

「あの...私にも分かるようにお願いしたい...」

 

 

私が手を上げると藍は私をそっと抱きしめる

 

 

「大丈夫...お馬鹿でも私はお前を愛しているぞ...」

 

その声は慈愛に満ちている気がする...

 

何だろ...少し泣けてきた...

 

 

そして紫が溜息をつく

 

 

「じゃあ...煌炉には一から説明しないとね」

 

「お願いします...」

 

私がお願いすると紫は一息入れた後口を開く

 

 

 

 

「貴女にも分かるように説明するわ...まず煌炉?妖怪・神が生きていく上で必要な物は分かるかしら?」

 

「...必要な物?食糧とかだろ?そんなわかりきったこと...」

 

私の答えに紫はスキマの中からバッテンが書かれた札を出す

 

 

「残念...違うわ...貴女は仮にも妖怪なのだから覚えとかないと...」

 

「煌炉...」

 

藍も少し疲れたような顔をしている...

 

今度から少し勉強しよう...

 

「答えを教えて...」

 

 

 

「...それはね存在を忘れられないことなのよ」

 

「存在?」

 

紫の言葉に私は腕を組む...

 

存在を忘れられることがそんなに重要なことなのだろうか?

 

 

 

「煌炉にもわかるようにも簡単に纏めるけど妖怪の持つ畏れと神の信仰は人に忘れられないためにあるようなものなのよ...」

 

「畏れ?信仰?」

 

「...人が感じる妖怪に対する恐怖が畏れ・神からの恩恵を受けて人が神を敬うことを信仰...これらによって人は妖怪・神を忘れずに済むのは分かるわね?」

 

「まぁ...確かに忘れないとは思うけど?」

 

「しかし近年人間の暮らしは進化を始め科学の発展・都市化などが進んで昔とは比べて妖怪の畏れ・神への信仰が薄くなってきているのよ...それにより人々に忘れ去られて消滅していく...それが現在の危惧する課題よ」

 

 

「外の世界を見た事ないから何とも言えないけど...確かに薄くなる気がするね」

 

私の言葉に紫は頷く...

 

確かに人外にとっては住みにくいだろう...

 

それらの事が本当なら神もどきである母さんもそれらが必要なのでは?

 

 

 

「話は分かったよ...しかし私の家族は世界中に広まっている...各個人がどこで何をしているか私にも分からないのだけど?」

 

「え!?」

 

私の言葉が予想外だったのか紫は身を乗り出す...

 

何だ私頼りだったのか...

 

 

 

 

 

 

「知らないの!?他のメンバー全員を?」

 

紫は私を揺さぶるが知らないものは知らん!!

 

「ああ...潤香の奴は海外で働いているとかしか知らされてないけど?」

 

「何てこと...いきなり頓挫とは」

 

紫は頭を抱えて俯く...

 

しかし何故今頃になって大神を招集しようと思ったのだろうか?

 

 

 

 

「なぁ?何でいきなり大神の召集をかけようと思った?」

 

「...秘密よ」

 

私の問いかけに紫はそれだけをつぶやく...

 

しかし困ったな、私としても協力はしたいところだが通信機は誰にかけても連絡は来ないし、他の家族が何をしているか何て分かるわけない...

 

 

 

 

 

「ん?待て...」

 

確か前に母さんからの連絡が来たときに...

 

(船で色々な国の海の上で仕事しているよ)

 

(私の能力を生かした仕事についている)

 

確かそのようなことを言っていたような...

 

何かのヒントになるだろうか?

 

 

「紫...母さんの事なら本人から前に聞いたよ?」

 

「本当!?」

 

紫は私に詰め寄る...

 

「近いって!本人が言ってたよ!船に乗って色々な国の海の上で仕事をしているとか!母さんの能力を生かした仕事をしているとか!」

 

私の話を聞くと紫は落ち着かない様子で座布団に座る

 

 

「暦の能力?」

 

「ああ...DNAを読み取る程度の能力か、天運を身に纏う程度の能力のどちらかだけどね...」

 

「前者の能力は良くは分からないけど、後者の能力は知っているわ...」

 

忌々しそうな顔を紫はする...

 

何かあったのだろうか?

 

そして彼女は思案にふけているのかスキマの中からメモと筆を取る

 

 

「船、各地の海の上、能力を生かした仕事...このヒントがあれば大体は絞りこめそうね...それに...」

 

何やら紫はブツブツと独り言をし始める...

 

 

「考え中か...」

 

「紫様も珍しく真剣だな...」

 

私と藍が話していると紫は急に立ち上がる

 

 

「良し!決まったわ!藍!私3日程、外の世界に行ってくるので後はヨロシク♪」

 

「え?紫様!それは急...」

 

藍の反論空しく紫はスキマの中に入り消える...

 

ああ...紫の仕事が全部藍に回ったか...

 

 

「煌炉~!」

 

「はいはい...出来ることは手伝うよ...」

 

藍の肩に手を置き私は紫が消えた空間を見る...

 

しかし時代が時代だが何故紫は大神をこの時期に呼び出そうとしたのだろうか?

 

何か考えでもあるのだろうか?

 

「...」

 

「煌炉~!手伝ってくれ!」

 

「はいはい...」

 

まぁ...あいつの考えは私に理解できるわけないか...

 

私は思考を止め藍の作業を手伝う準備に向かう...

 

 

 

 




遅れながらあけましておめでとうございます!

今年も東方五行大神伝を宜しくお願いします!

ではこれにて
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