東方五行大神伝・過去の章   作:ベネト

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暦の奮闘の始まりです


外の大神家

side紫

 

「母さん達がここに来るだって!?」

 

外の世界での暦とのギャンブルバトルが終わった翌日の早朝、私の式神である煌炉の声がこだまする...

 

何故こんな早朝にそうなったかというと彼女に昨夜の件と煌炉の母親である暦とその他の姉妹たちがこの幻想郷に来ることを説明したからである...

 

「そうよ!朗報じゃない?」

 

「まじか...」

 

煌炉は目をそらすが自慢の尾を嬉しそうに左右にブンブンと振っている...

 

素直じゃない彼女だけど内心嬉しいのでしょうね...

 

数百年ぶりの家族との再会なのだからね...

 

 

 

 

「でも集まるのに時間がかかるみたいだから7日程かかるわよ?」

 

「そうか...なら私もボーっとはしてられないな!」

 

煌炉は障子を開けて外へ出る?

 

「どこ行くのよ?」

 

「大神家跡地!!住めるように掃除しとかないとな!」

 

彼女はそう言い残し大神家方面へと向かう...

 

「気が早いわね...まだ一週間あるのに...」

 

そんな彼女を見ながら私はお茶をすする...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一方幻想郷の外...

 

 

 

 

 

 

○○県××市にある大きな病院...

 

そこの一室にはとある者がパイプ椅子をのけ反らせながらボーっとカルテを見ていた...

 

長い緑色の髪に長い白衣を身に着けて、昔とは違う現代風になった大神暦の娘の一人である大神華楠がそこにはいた...

 

彼女は眠そうにしながらパイプ椅子を軋ませてカルテを棚に戻す...

 

 

 

 

side華楠

 

「...ふぅ」

 

カルテを読み終え私は溜息をつく...

 

時間は23:00を示そうとしている...

 

外は真っ暗だ...

 

「帰るか...」

 

 

大神家が解散した後、私は薬の知識を活かし医者として人間の生活に溶け込むことができた...

 

色々と大変だが私に向いている...

 

「しかし...」

 

この業界は人の死を見る機会がある...

 

救える命も救えない命も当然あるのも理解しているつもりだ...

 

だがどうしても...あの時の事を思い出してしまう...

 

 

 

 

 

「...鈴音」

 

私が救うことが出来なかった友...

 

長い時が経過したが、あいつのことは今まで忘れたことなぞない...

 

あいつの件もあり、人を助けるためにこの職業に就いたが自分が無力に感じてしまう...

 

患者の死の恐怖が日々強くなってきたところだ...

 

 

「あいつが今の私を見たらどう思うか考えたくもないな...」

 

病院を出て私は自宅方面へ進む...

 

家族はバラバラ、それといった友人もいない孤独な私...

 

 

「...はぁ...消えてしまいたい」

 

それが半永久的に続くとなると気が狂いそうだ...

 

 

 

 

 

 

 

きぃ...きぃ

 

「?」

 

人気のない公園に通り過ぎようとすると何やら金属音が耳に入り、歩みを止める...

 

公園の方を見ると音の発生源を見つける...

 

街灯が壊れているためよく見えないが子供がブランコをこいでいるみたいだ...

 

時間は深夜だというのに子供一人で公園にいるとは...

 

 

「全く...親は何をしているんだ...」

 

半分呆れた感じで私はブランコへ近づく...

 

軽く注意して帰らせるか、駄目だったら近くの交番に子供を届けるだけでいいか...

 

「♪」

 

子供の方は私に気づいたみたいだ...

 

暗くて見えないが幸い月が出始めてきたみたいだ...

 

「おい...こんな夜中に何をして...っ!?」

 

月明かりが子供を照らし、私をその姿を見て言葉を止める...

 

 

 

 

 

ブランコをこいでいたのは金色の長い髪をした少女...

 

その姿は忘れることない...縮んでいるが私の母親である大神暦がそこにはいた!!

 

「か...かあさん?」

 

「おひさ~!華楠~!」

 

母さんはブランコから降りて私の方へやってくる...

 

昔より元気そうに見えるが本当に久しぶりだ...

 

しかし急に来るなんて何かあったのだろうか?

 

 

「元気にしてた~?」

 

「ああ...それなりにな...しかし急にどうした?私に何か用か?」

 

母さんは辺りを気にした後に私の手を握る

 

「ちょっと色々あってね...詳しい話しは華楠の家で話さない?」

 

「構わないが...」

 

色々あってか...

 

まぁ...何となく予想はつく...

 

私は母さんの手を引きながら自宅へと歩を進める...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side暦

 

華楠に手を引かれて私達はとあるアパートへとたどり着く...

 

彼女はアパートの一室の前に立ち鞄の中から鍵を取り出す...

 

「ここが家?」

 

「ああ...狭いがゆっくりしてくれ」

 

華楠は扉を開けて私を中に入れる...

 

部屋の電気をつけるとテレビ・ちゃぶ台・布団がポツンとある殺風景な居間があるだけだ...

 

何とも女らしくない部屋だこと...

 

「ちゃんと生活できてるの?」

 

「ああ...」

 

華楠は何事もないように鞄を布団の所へと投げてちゃぶ台の前に座る...

 

私はそっと冷蔵庫の中を開けると中は缶ビールと冷凍食材だけだ...

 

そして戸棚のところには大量のカップ麺が...

 

「ちゃんと食べてる?」

 

「ああ...昔より便利になったものだ...で?話とは何だ?」

 

華楠は片目を開けて私を見据える...

 

どうやら話が気になるらしい...

 

だがその前に!

 

 

私は冷蔵庫から豚肉の塊とパックに入ったお米とキャベツの千切りを取り出す

 

 

「その前に私がご飯を作ってあげる!」

 

「え?別にそこまでしなくとも!」

 

華楠は慌てるが私にとって華楠の食生活が心配です!

 

「大丈夫!軽い物だからさ!」

 

 

少女調理中...

 

 

 

 

 

本日の大神家のメニュー

 

ブタの生姜焼き・白米・ビールがちゃぶ台に並ぶ...

 

ちゃぶ台の向こうにいる華楠は目を輝かせている...

 

「おおっ!これは!」

 

「軽い物だよ...話は食事が終わってからにしよう!ではいただきます!」

 

私たちは手を合わせた後、遅めの夕食にありつく...

 

 

 

そして夕食後...

 

食事を食べ終えて華楠の方を見ると、彼女はビールを飲みながら眠そうに目をこすっている...

 

「眠いの?」

 

「いや...大丈夫だ...明日は休みだし別に寝なくともな...そろそろ要件を聞かせてくれ、それが気になって仕方がない...」

 

華楠は欠伸をしながら答える...

 

話が気になるらしい

 

仕方がない単刀直入で答えますか...

 

「ん~!じゃあ!要件を簡単に伝えるとね~!大神家を再結成して幻想郷に移住するっというのが今回の用件なんだけど?」

 

「...そうか」

 

華楠は私の話に驚きもせずにビールを一気飲みする...

 

随分と淡泊な反応だ...

 

しかしビールが効いているのか白い肌が紅潮している...

 

「...驚かないね?」

 

「ああ...何となくそんなことだろうなとは思っていたからな...」

 

流石私の娘だけはあるか...私の思考をよく理解しているみたいだ...

 

華楠は伸びをして溜め息をつく...

 

 

「しかし...私はともかく他の姉妹はどう見つける?日本にいる境奈・銖理はともかく海外にいる潤香はどうしようもないぞ?」

 

「そうだねぇ...」

 

そう...まだ他の子とはコンタクトはとれていないのが現状だ...

 

華楠を見つけるのだって、ちょっと能力を使って大体の位置を絞ったに過ぎないからね...

 

私は時計を見つめる...

 

 

深夜の0時...

 

境奈と銖理は後回しにして連絡をつけましょうか...

 

ならこの時間ですることは...

 

 

 

「潤香にコンタクトをとりましょうか!」

 

私は家の電話をとる...

 

この時間なら時差の都合上、潤香は昼ごろのはずだ!

 

華楠は私を見て溜息をつく...

 

 

「おいおい...あいつは海外だ...それに電話番号を知っているのか?」

 

「知らないよ?華楠は私の力を忘れたの?」

 

すると彼女は何かを悟ったのか横になる...

 

「そう...じゃあ私は少し休むからその後の話は昼ごろ教えてくれ...」

 

「はいはい♪お休み~」

 

私は国際電話につないで適当にボタンを押す...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

某国...とある教会では、暦の娘の一人である大神潤香が大きな十字架の前で跪いて祈りをささげていた...

 

長い黒髪に青い修道服に身を包んでおり、種族は違えど現地の修道女と負けて劣らず良い雰囲気を醸し出している...

 

彼女は祈りを終えて静かに立ち上がる...

 

 

 

 

side潤香

 

「幾百、幾千の時を越えても私の業は消えることはありませんね...」

 

私は神に己が犯した過去の罪をさらけ出し終えて思いにふける...

 

荒んでいたころの大量虐殺で沢山の命を奪ったこと...

 

そしてあの方に最後まで仕えることが出来なかった罪...

 

神は私を赦して下さるのでしょうか?

 

この血みどろの穢れた獣を...

 

目線を上にあげるとステンドグラスに書かれた神が静かに私を見下ろしている...

 

その顔は何をおっしゃりたいのか...今の私には分かりかねません...

 

「...私は...私は只...」

 

「シスターアクエリアス!」

 

「!?」

 

後ろを振り向くと修道女長が扉の方で私を手招きしている...

 

あ...ちなみにアクエリアスとは私の洗礼名です...

 

「はい!何かありましたか?」

 

「お電話ですよ!極東から貴女へとお繋ぎ下さいとね」

 

極東...日本のことですか...

 

わざわざ...ここに電話をかけるということは大体絞られますね...

 

「ええ...ありがとうございます」

 

その場を後にして電話の応対に行く...

 

 

 

 

 

 

 

応接間にある電話の保留モードを解除して耳に受話器をつける

 

「はい...もしもし?」

 

(もしも~し!潤香~?お久しぶり~!)

 

電話から聞こえる声は懐かしいあの声...

 

私の母親である大神暦の声です...

 

 

「お久しぶりです...どうしました?わざわざここに電話をかけるとは?」

 

(ん~?急で悪いんだけどさ~私のわがままを聞いてもらいたいんだけど?)

 

...わがまま?

 

一体何の事でしょう?お母様が裏社会で働いていることは知っていますが、お金のことでしょうか?

 

「...その内容とは?」

 

(...大神家の再結成をするからさ...日本に帰ってきてもらいたいんだけど?)

 

「っ!?」

 

...大神の再結成?

 

何故今になってそのようなことが?

 

幾らなんでも急ですし、わがままがすぎます!

 

「流石にも急ですね...」

 

(やっぱり急だよね...)

 

電話からのお母様の声は申し訳なさそうに小さくなる...

 

そして次の言葉が続く

 

(でも潤香も家族だし、やっぱり幻想入りするとなると一緒がいいと思うんだよね...この世の中は私たちにとっては住みづらい世の中になるみたいだし...)

 

「住みづらい世の中ですか...」

 

(そう...幻想郷は忘れられた者達にとっての最後の楽園...悪い話しではないと思うなぁ...)

 

「ですが流石にも...」

 

とあることを思い出して私は言葉を切る...

 

 

 

忘れられた者達?

 

私の頭に神子様・白蓮様の姿が浮かぶ...

 

神子様は病死し復活を待つ身...

 

白蓮様は封印されて解放を待つ身...

 

あの方たちにまたお目にかかるチャンスがその世界にあるかもしれないと思ったのです...

 

この役立たずの私でももう一度...お役に立てる可能性があるということ...

 

今度こそは確実に!!

 

 

 

「...畏まりました...私も向かいます...」

 

(ええ!?)

 

電話口のお母様は驚きの声を上げる...

 

私の急な心変わりに驚きでもしたのでしょうか?

 

しかしすぐにお母様は嬉しそうな声を上げる

 

(ありがとー!これで二人目だね!)

 

「2人目ということは?他のお姉様もいるのですか?」

 

(うん!華楠がいるよ!今は華楠の家にいるんだ~!)

 

華楠お姉様が承諾しましたか...

 

ということは残りは境奈お姉様と銖理お姉様の2人...

 

まぁ...お母様なら何とかなるでしょう...

 

 

「...ええ...では私も向かいますが5日程時間を下さい...帰国の手続きをしなくてはなりませんので」

 

(わかったー!では待ってるよー!)

 

お母様はそれを言うと電話を切る...

 

急な予定が入りましたが私にとっては好都合なのかもしれません...

 

これも神のお導きか...

 

「...主よ感謝します」

 

胸についたロザリオを握りしめ私は深く祈りをささげる...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side暦

 

電話を切り私は寝息をたてている華楠の頭を撫でながら今後の作戦を練る...

 

潤香は何とか説得完了...残りは境奈と銖理の2人...

 

私の娘ながら癖の強い二人が残ったが何とかなるでしょ...

 

「さて...お昼過ぎに散策でもしますかね...」

 

私は作戦に備えて華楠の横で休むことにする...

 

今後の大神家のために...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




更新遅いですが頑張ります

ではこれにて
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