side暦
境奈の工房に泊まることになり、何もしないうちに夜になっていく...
時間の経過というのも早いものだ...
「...寝付けない...何でだろう...」
となりのベットには華楠・銖理が寝息を立てている...
よく眠れているようでうらやましい限りだ...
「寝れるまでリビングでボッーとでもしていこうかな?」
部屋から出てリビングの方へ向かうが電気がついていないため真っ暗だ...
唯一の光源は窓から差し込む月・星の光のみみたいだ...
「森の奥だけあって月と星がよく見えるな...」
窓を開けて夜空の月と星を見つめる...
本当にきれいだ...
私という存在が小さく見えてくる...
私という存在...
「...永琳」
何故か彼女の顔が頭に浮かぶ...
私を狐から人へとしてくれた...私の恩人...
あの人がいなかったら私はもういないはずなのに...私は...
「...恩知らずというものかな」
私がしたのは勘違いからの月面戦争での反逆を行ってしまった...
彼女に捨てられた...そう思っていたがそれは違ったらしい...
あの出来事は彼女の意志ではなかった...
彼女も嫌だったはす...
私は取り返しのつかないことをしてしまった...
とんでもない裏切り行為だ...
「...ん?」
ふと庭の作業場を見ると何か明りのようなものが見える...
誰かいるのかしら?
私は窓からそのまま外へと出て明りのある作業場の方へと向かう...
ごと...ごと...
...誰か作業場にいるみたいだ
華楠・銖理は寝室にいたし、そこにいるのは...
私はそっと作業場をのぞく...
「...はぁ」
そこにいたのは壺などの作品を整理している境奈の姿だった...
彼女は溜息をつきながら作品を段ボールに詰め込み、何か書き込んでいるみたいだ...
彼女に近づくと彼女が私に気づく...
「あら?母さん?随分と夜更かしなのね」
「まぁね...境奈は仕事?何か詰め込んでいるみたいだけど?」
彼女は段ボールを私に見せる...
その段ボールには住所が書かれた配達用のシールが貼られている...
「アタシ最後のお仕事よ...幻想郷に行く前に取引先にすべての作品を送らないとね...」
彼女は黙々と段ボールに作品を詰め込んでいる...
意外だね...
さっきの反応を見る限り幻想郷に行くことは反対っぽい感じを見せてたのに...
「あれ?来てくれるの?」
「考えさせてって言ったでしょ?別にこの生活に未練はないわよ...でも」
境奈の手が止まる...
「幻想郷には天狗がいる...それが少しね...」
「...そう」
何となく彼女の気持ちを察してしまった...
銖理から聞いたけど、境奈は妖怪と大神の戦いの時にスパイとして天狗組織に属していた...
境奈にとってそこで仲間というものに初めて触れ合い...
心地の良い日々を過ごしたのだろう...
しかし彼女は大神のために裏切り、天狗と戦った...
それはどんなに彼女の心を傷つけたのだろうか...
「なんかごめんね?」
「何で謝るのさ?」
境奈は私の方を見ずに作品を段ボールに入れる...
表情に変化は見られない
「もっと早くに謝るべきだったのかも...昔の天狗組織での生活...それを壊すようなことをしちゃってさ」
「それはアタシがやったことだよ...自業自得よ」
彼女は時計を見てリストを確認する
「で?いつ幻想郷に向かうの?」
「え?一応潤香の帰国に合わせるから...5日後?」
境奈はリストを指でなぞる...
「...わかったわ...アタシも5日で全て終わらすから時間を頂戴...」
彼女はそれだけを言い、作業場の奥へと消える...
どうやら着いてきてくれるみたいだ...
幻想郷に不安気みたいだけどすぐになれるでしょ...
彼女を大切に思っている天狗がいるのだから...
「境奈も終わり...残りは潤香の帰国を待つだけか...」
問題なく娘の集合は完了ね...
残りは幻想郷でどうするべきかを考えないと...
side境奈
「...」
作品を詰めながらアタシは幻想郷について考える...
別に今の生活に未練はない...
幻想郷にいく不満もない...
あるとすれば...文に会うことが一番の問題ね...
「はぁ...」
文がいたからアタシは敗北した後も生きながらえることができた...
今のアタシがいるのは彼女のおかげ...
「しかし黙って消えたのは不味かったな...」
大神家完全敗北後、アタシは天狗の山を脱獄して大神家へと逃げ帰った...
お礼すらできなかったわ...
「...」
元気にしているだろうか?
それだけが気がかりね...
「覚悟...か...」
side暦
夜が明けて私は居間へと向かう...
「結局一睡もできなかった...」
目をこすりながら居間に入ると何やら良い匂いがする...
「あら?早いわね!」
台所には布巾を頭につけて朝食を作っている境奈の姿?
何やら昨夜と様子が違う?
「おはよ...どうしたの?随分と元気だけど?」
「...ちょいとね...向こうの世界に行くのが楽しみになっただけよ...」
「楽しみ?」
「それは内緒よ♪」
彼女はフライパンに卵を落とす...
どうやら元気になったみたいだね...
心配しなくても大丈夫かな?
境奈はフライパンの火を止めた後、私の方を向いて頭巾をとる...
「ん?」
「向こうの世界でも宜しくお願いします」
境奈は深々と頭を下げる!?
あの境奈が...
少し驚いたけど...私は彼女に近づき手を握る
「こちらこそ!」
境奈と握手し大神家幻想入りの最終段階を彼女に説明する...
家族そろっての幻想入り...
これ以上の幸運はないよ♪
次で外の世界終了!
ではこれにて