時流れて5日後...
日本の上空には人を乗せて空高く飛ぶ鉄の巨大鳥こと飛行機が飛んでいた...
人が知識と技術を集めて作り出した科学の結晶...
遥か昔の人にとっては人が空を飛ぶという発想はなかっただろう...
巨大な鉄の鳥は休む地を求め、極東の地に降りる...
大神家の者を乗せて...
side潤香
~日本...○○空港に到着いたしました...ご降りの際お忘れ物がなされませんよう...お気を付け下さい~
「ん?」
アナウンスで目を覚まし私はアイマスクを取って辺りを見回す...
他の乗客は降りる準備をして荷物をまとめている...
日本へ到着しましたか...
しかし飛行機というものは慣れません...
寝るだけにしても疲れが溜まります...
「ふぁぁ...向かいますか...」
ジャケットを羽織り、荷物をまとめて私は飛行機を後にする...
空港を出ると辺りはタクシーやバスを待っている客でごった返している...
これは...身動きが取れませんね...
「しかし...何年ぶりでしょう?」
地元の空気を取り入れて私は懐かしさに浸る...
数年帰っていないだけなのにこれとは...
やはり生まれ故郷はいいものです...
大神が解散して幾年の時が経過しました...
お母様・他のお姉様たちは元気でしょうか?
「...しかし」
がやがや...
ほんの数分浸っていただけなのに、先ほどより外が混んでいますね...
これでは空港を出ることすらできません...
「困りましたね...」
「おーい!潤香~!」
私を呼ぶ声が聞こえその方向を向くとそこには...
「久しぶりッス~!」
そこには皮のジャケットにスカートを身に着け、バイクのフルフェイスを被った誰かがいた?
顔が見えないので誰かわかりません...
「えっと?どちら様でしょうか?」
「えー!!?実の姉のことを忘れたッスかー!」
お姉様(仮)はオーバーに地団駄をする...
華楠お姉様ではなさそうです...
境奈お姉様でしょうか?
「お久しぶりです...境奈お姉様」
「ちげえよ!!」
境奈お姉様(仮)はフルフェイスを取り素顔を見せる...
真っ白な長い髪がなびき...
雪のような肌をした整った顔...
その顔の目の下には派手なメイク...
あら?
「銖理お姉様?」
「やっと気づいた!!酷いッス!潤香!!」
銖理お姉様(?)は不機嫌そうに鼻をならす...
私は夢でも見ているのでしょうか?
あの無機質な銖理お姉様がこうなるとは...
一体何がどうなったのでしょう?
銖理お姉様は手に持ったもう一つのフルフェイスを私に手渡す...
「これは?」
「行くッスよ!幻想郷へ向かうんだからさ!!」
お姉様は私の手を引いて地下駐車場へ向かう...
駐車場には大型のバイクが停車している...
「...」
「空港が混みが予測されるって聞いたからさ...バイクで来たってわけッス!」
銖理お姉様は再びフルフェイスを被りバイクにまたがる...
「ほら!乗ってッス!!」
「...はい」
私も銖理お姉様の後ろへ座り彼女に掴まる...
あまりこういうのは得意ではないのですが...
「では!レッツゴー!!」
ブォォォン!!!
「!?」
エンジン音が聞こえたと思いきや、バイクは高速で駐車場を走り抜け道路へと飛び出す!!!
「銖理お姉様っ!!出しすぎです!!!」
「いいじゃん!!最後の外の世界だから飛ばすッスよ!!」
銖理お姉様は私の言葉を聞かず、速度を更に上げる!!
もうすでにメーターは...100キロを超えている!!?
「ちょちょちょ!!」
町の景色が高速で過ぎていく!!
道路は混んでいるはずなのに!
車と車の間を縫う様に走る!!!
「いい風ッス...」
銖理お姉様は恍惚な声を上げる!!
「何言ってるのですか!!思いっきり違反しています!!」
ふぁんふぁんふぁん...
言っている間にサイレンの音がっ!!
帰国早々に逮捕とは!!
「停車しましょう!!」
「ん♪楽しいカーチェイスの始まりッス!!」
銖理お姉様は更に速度を上げる!!!!!
メーターが...150キロを超えた...
「えー!!!馬鹿ですか!?幾ら外の世界最後の日といってもやっていいこと悪いことぐらい!あるでしょう!!!」
「潤香は真面目すぎるッス!弾けないと爆発しちゃうッスよ?」
「事故で弾けたら意味がありません!!!」
銖理お姉様は更に速度を上げ、信号が赤だというのに突き進む!!!
「ぎゃああああ!?横からトラックが来てますって!!!」
「当たらなければどうということはない!!」
トラックをギリギリすり抜けて今度は高速道路へ侵入する...
刹那...三途の川の向こうで神子様・白蓮様が笑顔を浮かべながら手招きしている幻覚が見えました...
ですが!このままでは幻想郷に行く前に...死んでしまう!!
「はぁ...はぁ...」
メーターを見ると限界まで振り切れている...
MAXスピード!?
「限界まで飛ばすッス!!」
「もう嫌ー!!!!」
神よ...潤香をお救いください...
とある森につき、やっとバイクが止まる...
「幻想郷ではここまでのスピードは出せなそうッス...」
銖理お姉様は名残惜しそうな顔をしますが、そんなことどうでもいいです!!
もう...乗り物の類はこの人とは一緒に乗りません...
「うぷ...」
吐き気を堪えながら、フルフェイスを取りはずし、辺りを見回すと回りは木々ばかり...
完全な森の中です...
こんな場所に集合ですか?
「お母様たちは?」
「この先ッス...流石にもこの先はバイクで走行は難しいだろうし」
「そうですか...」
銖理お姉様はバイクのエンジンを切って手押しで奥へと進んでいき、私はお姉様の後をついていく...
しばらく進んでいくと、森が抜けてとある神社へと到着する...
小さな神社ですが...何か不思議な感じがしますね...
「ここですか...」
「そうッス...ほら!」
銖理お姉様が指さす方向には、懐かしき私の家族が神社の前で待っていた...
黄色の長い髪をサイドテールで纏め、黒のミニスカートに赤いロングコートを身にまとった女性こと境奈お姉様...
緑色の長い髪に白のノースリーブのタートルネックと同色のローライズジーンズを身に着けた女性こと華楠お姉様...
「あら?お久しぶりじゃん!潤香♪」
「久しぶりだな...」
「お久しぶりです」
お姉様に会釈し私はお母様の方に向かう
金色の長い髪に白と黒の着物を身に着けた少女こと...私の母親である大神暦...
彼女は私に笑いかける
「おひさ~!潤香~!元気してた?」
「お久しぶりです...お母様...」
私が会釈するとお母様は私たちを見回す...
「よし!全員そろったね!これで幻想郷へいけるね...紫~!お願い~!」
虚空にお母様が叫ぶと空間が割れて中から紫色のドレスを身に着けた金髪の女性こと八雲紫が現れる...
「はいはい...来たわよ~!」
紫は私たちを見回す...
何やら観察している気がする...
「全員...変わっていないわね...900年も経過したのに」
「銖理は変わったと思うけど?」
お母様が言うと紫は笑みを浮かべる...
「ふふ...それもそうね...さて!時間もないし!早く始めましょう!」
紫が地面に手を触れると巨大なスキマが開かれる...
目が多数見え隠れする空間...
相変わらず不気味ですね...
「これくらい大きければ貴女達でも入れるわね♪」
「そうだね...」
お母様は警戒するようにスキマを見つめる...
私たちの血は能力の干渉を受けません...
故に触れるだけで紫のスキマや幽々子の蝶の力を消滅させます...
しかし触れればの話です...
直接触れれない・干渉されないと干渉の遮断はできませんし、昔の煌炉お姉様は紫の巨大なスキマに落とされて敗北しました...
万能の力では決してありません...
「飛び込めって言われてもねぇ...」
「そうだな...」
境奈お姉様と華楠お姉様がスキマを覗き込むように見つめる...
やはり不安でしょう...
これに飛び込むのは...
しばらく観察しているとしびれを切らした紫がお姉様の後ろに立つ...
「ほら!行った行った!!」
「うわ!?」
「ぎゃ!?」
紫に押されて、華楠お姉様と境奈お姉様はスキマの中へと消える...
「あ!待ってッス!華楠姉!境奈姉!!」
銖理お姉様も後を追うようにスキマの中へと飛び込む...
残りはお母様と私のみです...
「ほらほら!時間がないのよ!」
「分かってるよ!!」
お母様もしぶしぶとスキマの中へと飛び込む...
ああ...残りは私のみ...
「どうしたのよ?残りは貴女だけよ?」
「ええ...」
私はスキマを覗き込みこの先のことを考える...
私の主のこと・師のこと...
手助けできるのだろうか?
この無力な...穢れた獣に...
side紫
「...」
「どうしたのよ?」
ぼーっとしている潤香を見つめていると、彼女は私の方を振り向き微笑む...
「いえ...何でも...そういえば貴女に言うことがありましたね」
「言うこと?」
「ええ...遅くなりましたが...幻想郷の実現おめでとうございます...」
彼女は深々と頭を下げる...
「ええ...ありがとう...急にどうしたのよ?」
「いえ...昔の貴女との会話を思い出したのですよ...」
「何の会話かしら?流石にも覚えていないわ...」
潤香はクスっといたずらっぽく笑う...
「私と貴女が初めて会った時ですよ...燃える人里での会話です...」
燃える人里...
あ!私が暦を罠に嵌めたとき!!
「...覚えてるわ...確か私の夢について話したわね」
「そう...幻想郷についての夢...まさか本当に実現させるとは脱帽ですよ...」
「確か貴女は願っても叶うことのない幻想と言っていたわね...」
潤香は罰が悪そうに目を背ける...
「まさか...できるとはあの時は思っていなかったので...」
「あきらめければ何でもできるわ...」
私の言葉に潤香は頷く...
「ええ...貴女はその夢を自力で実現し未来を創った...諦めないということの重要性が理解できました...」
「そうね...貴女も幻想郷に住んだら何かしてみたらどう?無限の可能性があるわ」
「...そうですね...では私も」
潤香はそのままスキマへと消える...
最後何か決心したような顔をした気がするわ...
彼女に良い未来があることを祈りましょうか!
「では大神家ご案内♪」
私も彼女たちを追い幻想郷へ向かう
この小説も残りわずか...
本家も宜しくお願いします!
ではこれにて