by大神暦
華楠が人間になり半年が経過する…
大神暦は早朝に洩矢諏訪子に呼び出され社へ入る…
社内の空気は重く暦は何となく嫌な知らせがあると察してしまった…
side暦
「…はぁ何か嫌な予感がするな」
私は社内の諏訪子の部屋を目指しながら溜め息をつく…
諏訪子が言うことは何となく分かっている…この半年は一緒にいたから彼女の考えていることぐらいはわかる…
私は諏訪子の部屋に入ると彼女は部屋の隅で体育座りをしていた…
「どうしたの?諏訪子…こんな早朝に呼び出してさ…」
諏訪子は暗い表情のまま話始める…
「暦…とうとう後1ヶ月で大和との戦争が始まるよ…残された時間は後わずかになってしまった」
戦争か…それの話だと思っていた…
残り1ヶ月で戦争彼女の言うとおり時間は残されていない…考えるだけで頭が痛くなりそう…
「その話か…万が一のことを考えると怖いね…残された子供達が心配だよ」
「私だって同じだよ…あの子のこともあるし絶対に生きないと」
「…あの子?」
私が言うと彼女は慌てるように手を振る…
「な…何でもないって!とりあえずこの1ヶ月後の戦争をどう切り抜けるかだよ!」
「…戦争…ですか?」
私でもなく諏訪子でもない声が部屋に響く…
その方向を向くと華楠が呆然とした表情で立ちすくんでいた…
「華楠?聞いていたの?」
「うん…一応あることは知っていたよ…でも万が一のことを考えると!」
華楠は社の外へ飛び出す…
「華楠!待って!!」
「あの子のため…負けることは許されないよ」
諏訪子は帽子を深くかぶる
分かっている…あの子達のため生き残らないと…
side華楠
「…はぁ…グス…」
いつもの田んぼの近くにある切り株に座り私は考える…
残り1ヶ月で母さんと洩矢様は戦争に行ってしまう…
もし母さんが負けてしまったら私は!!
ネガティブなことを考えてしまい私の涙腺が緩んでしまう…私はどうしたらいいの?
「な~に!グズついているのさ?」
「…ふえ?」
…辺りを見るが誰もいない
だけどクスクス笑う声は聞こえる…
「ど…どこにいるの!?」
「鈍いねえ…これがアタシの姉とはね」
私の横の地面からスゥーっと一人の少女が現れる…
黄色の髪に同色の着物を身につけており頭には狐耳・尻には黄色の尾がある…それよりも驚くべきところがある…
「…私にそっくり」
…彼女の顔は私にそっくりだった…髪と尾の色ちがいを取り除けば全てが同じ…
少女は私の顔を見て溜め息つく…
「…アタシはアンタの妹だよ…似ているのも当然でしょ?」
「妹?え?いつの間に人の姿になったの?」
「ついさっき…散歩の時に人間の姿にね…思ったより楽だねこの姿」
少女は体をストレッチするようにひねる…
「…そうなんだ…私は何と呼べばいいの?」
「…まだ名前はないんだよね…これから母さんの所へ行くときに泣いている華楠を発見したからさ…」
「あー!やっと見つけた!」
声の方を見ると鈴音がおりこちらへやってくる…
「…鈴音」
「…華楠やっと見つけたわ!この前の尾を触らしてくれるんでしょ?」
鈴音はキラキラとした目で私を見て横にいる妹を見つめる…
「…あれ?華楠がもう一人?」
鈴音の言葉に妹は首を振る
「いや…アタシは妹だよ…この前会ったでしょ」
「この前?…あ!まさかあの黄色の子狐~?」
鈴音の言葉に妹は首を縦に振る
「そういうことよ…まだ名前は無いのでそこのところ宜しく!」
妹は自分の事を伝え鈴音は再び私の方を見る
「へー!…あれ?華楠…目の周り赤いけどどうしたの?」
「…えっと」
私は今までの経緯を鈴音と妹に話す…
10分後
戦争に母さんと洩矢様が行くことを話すと鈴音は顔を曇らせる…
「…そう洩矢様と狐様がね…私も戦争か近いってことは知っていたし不安ね…華楠もお母さんが行くんだものね」
「もし!母さんが死んだりしたらっ!私はどうすればいいか!」
思い始めると涙が出てくる…できる事なら母さんには戦争に行ってもらいたくない…でも村を救うには戦うしかない!どうすれば!?
「…アホ!」
「痛い!」
妹が私の頭を殴る…
何だかすごい呆れたような顔で私を見てくる…
「私達を生み出した母さんが負けるわけないでしょう!アンタが信じなくてどうすんのよ?」
「…でも」
「ああもう!物事は前向きに考えるの!良い!?」
妹はガシガシと頭を掻き鈴音は木に腰掛け呟き始める
「でも華楠の気持ち私には分かるな…私も洩矢様のことが心配だもの」
「洩矢様?そうだねこの村の神様だもの…」
「ううん…そういう感じではないかな…何と言うか大切な人のような感じがあるのよね…いつも私を遠くから見守っていて…何と言うか…」
鈴音は考えるような素振りをしたあと笑う
「うまく言えないけど大切な人なの!だから私もこの戦争に勝ってもらいたいわ」
「…そうだね」
クヨクヨしていても仕方ないよね…
「さて!この話は終わり!…尻尾はまた今度にしようかな?じゃあね!」
鈴音は神社の方へ走り私と妹も鈴音と別れ社へと帰る…
社に帰ると母さんが外で他の妹…もとい3匹の子狐と共に待っていた…
「…母さんただいま」
「お帰り華楠…」
母さんは私をそっと抱き締めてくれる…暖かいこの暖かさを失いたくないな…
「…絶対に勝ってね」
「ええ…勝って見せるわ!…あら!?」
母さんは妹の方を見て妹は母さんにお辞儀をする…
「ただいま母さん!この姿では始めましてかな?」
「あら?人間の姿になったのね!フフ!とりあえず社の中に入りましょう」
私達は社の中に入り部屋に向かう…
「…さて!貴女の名前を決めないとね~」
母さんは妹の顔をじっくり眺めている…そして思い付いたように手を叩く…
「大地の力を統べるもの…貴女の名前は大神境奈よ!」
「境奈…それがアタシの名前かぁ♪」
境奈は尾をパタパタと振っている…どうやら気に入ったようだ
母さんは子狐である3匹の妹をじっと見る…
「どうしたの?母さん」
「…華楠に境奈は人になるのが早いと思ってね…この子達にも名前を名前をつけてあげようかと思ったのよ…今さらだけど人になる前につけて置けば色々と便利でしょ?」
確かに本日人間になった境奈は鈴音と話している間は名無しとして活動していたし…あらかじめ名前をつけて置けば便利だ…
境奈が子狐達に指示を出す…
「ほら♪妹達!一列で並んで!母さんが名前をつけてくれるよ」
子狐達は母さんの目の前に一列で並んで尾をブンブンと振る…
そして母さんが一番前の子狐をじっと見る…
「ん~!火の力を閉じ込める炉となる者…よし!貴女の名前は大神煌炉よ!」
「キューン!」
赤子狐こと煌炉は尾をブンブンと振る…
そして次の白い子狐を母さんは見る…
「…金の創造主…よし!貴女の名前は大神銖理よ!」
「~♪」
声に出さないが尾をブンブンと振る銖理…
そして母さんは最後の黒い狐を母さんは見る…
「最後ね!…清き水を降らせる者…貴女の名前は大神潤香よ!」
「キューン!」
潤香も尾を振る…これで家族全員の名前が決まったわけだ
「皆可愛い名前で良かった…」
「うふふ♪妹達おいで~」
「「「キューン」」」
私達のところに3匹の妹がやってくる…
これで皆の名前が決まった…家族らしくなってきたね
side暦
「…」
じゃれている娘たちを見ながら私は安堵する…
本当は諏訪子の話を聞いてから今日中に全員の名前つけようと思っていたところにタイミング良く境奈が人の姿になってこちらから話を切り出す手間が省けた…
…後1ヶ月戦争が始まってしまうから私に万が一のことがあっても…この子たちに名前を残してあげることができる…
弱気な発言だがどうなるかわからないが…日に日に開花し始めている私の能力に頼るしかない…
そして能力か分からないあの力にもね…
全員の名前が決まった話でした!
ではこれにて